高齢者や障害者の介護中であることを周囲に知らせる静岡県発案の「介護マーク」が全国の自治体に広まっている。2017年3月時点で県内を含む509市区町村が配布し、今後も38市区町村が取り組む予定。愛知や佐賀など8県は全県で導入する。“本家”の県内は全35市町が扱うが、16年度の県政インターネットモニター調査では「見たことがあり、意味も知っている」とした人は41%。県は「普及協力事業所」を指定するなど一層の周知に努めている。
介護マークは、外見上は介護の必要性が分かりにくい認知症患者の家族からの要望をきっかけに作られた。「介護中」と周知することで、異性の要介護者のトイレに付き添ったり、下着を買ったりする際に、誤解や偏見を受けないようにする。県内ではこれまで市町の福祉担当窓口などを通じ、計2万3千枚が希望者に無償配布されている。
マークが役割を果たすには、見た人が意味を理解している必要がある。ただ、県政モニター調査から「周知が十分と言えない状況」(県担当者)が判明。一方、「介護マークを使用したいか」との質問に「早速入手したい」「将来、機会があれば使いたい」と回答した人が8割を超え、潜在需要の大きさも分かった。
さらなるPRが求められる中、県が指定する普及協力事業所は、ポスターやチラシといった啓発品の配布、社内研修などを通じて、顧客や社員に介護マークの意味を伝える役割を担う。17年3月で千事業所に達している。
毎日新聞 2017年4月12日