ゴエモンのつぶやき

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聴覚障害偽装事件 仲介役の受刑者が「聴覚検査のボタンの押し方は医師 ...

2010年11月05日 01時03分00秒 | 障害者の自立
 多くの「患者」が重度の聴覚障害を装った障害年金詐欺事件で、虚偽診断書作成、同行使、詐欺の罪に問われた社会保険労務士・香田清被告(69)の第3回公判が、4日午前10時から札幌地裁(渡辺康裁判長)で開かれた。

 起訴状によると、香田被告は、詐欺罪などで公判中の耳鼻咽喉科医・前田幸被告(75)らと共謀し、前田被告が2003年から07年までに作成した虚偽の診断書を用いて年金の給付を申請、42人分の障害者年金約1億6800万円を騙し取ったなどとしている。

 香田被告は、初公判の罪状認否で公訴事実を否認している。4日は午後4時15分まで身体障害者手帳を不正に取得した3人の証人に対する尋問が行われた。

 最初の証人はかつて炭鉱作業員だったM。Mは、前田被告が札幌駅前で経営していた前田耳鼻科に通院、オージオメータ(聴力検査システム)を用いた聴力検査を3回受け、3回目に初めて聴覚障害2級(※)の聴力と診断されたことを証言した。また、前田被告からは最初の検査後、「これでは2級はあげられません。もう少し頑張ってください」と言われたことも明かした。

 Mは前田耳鼻科の待合室に居たほかの「患者」の話を聞いて、3回目の検査の時は「(オージオメータの)音が聞こえた後、1、2、3と数えてからボタンを押すようにした」ら、前田医師から「あなたは2級に該当します」と言われたと証言し、検査での不正を認めた。一方、前田被告や香田被告から具体的なボタンの押し方を聞いたことはなく、「自分で(ボタンの押し方を)考えました」と語った。

 続いて証言台に立ったのは、同じく聴覚障害の2級を不正に取得したS。

 Sは、前田耳鼻科に行くため、香田被告と菊水から地下鉄に乗車、車中で香田被告から「(ボタンを)『無理して押すな』だったたか、『我慢して押すな』などと言われました」と証言した。左陪席裁判官から「自分としては、どういうふうにボタンを押せばいいと理解したのですか」と問われ、「ボタンを一切押さなくていいと理解しました」と答えた。

 3人目の証人は、前田被告や香田被告らと共謀した詐欺などの罪で、今年1月、札幌地裁から懲役4年の判決を言い渡され、服役中の近藤順一受刑者。

 近藤証人は、聴覚障害偽装事件の仲介役として、約100人の「患者」を前田耳鼻科に連れて行き、聴力検査で不正な検査結果の出し方を教えた人物。前田被告を紹介するなどして、6人分の障害者年金を搾取したと認定された。

 以下、検察官、弁護人、裁判官の主な尋問内容を記載する。

 検察官 あなたは香田被告と話す時、耳が聞こえないふりをしましたか。

 近藤証人(以下、近藤) いいえ。

 検察官 この法廷で問題になっていることは、6人に関する事実です。この人たちが年金を受給できるように、あなたが手伝ったことは間違いないですか。

 近藤 (6人は)結果的には2級になりましたが、普通にしゃべっていたので、耳が聞こえていることはわかっていました。偽装というか、ウソでなかったかと思っています。

 検察官 香田被告は、6人が耳が聞こえるかどうか、どう認識していたと思いますか。

 近藤 普通に話ができると思っていたと思います。

 検察官 あなたは前田被告から香田被告を紹介されましたか。

 近藤 はい。札幌のそば屋だったと思います。

 検察官 あなたは香田被告と会う前に前田耳鼻科に通っていたんですか。

 近藤 はい。私は、耳鳴りがひどく、夜も寝れないので通っていました。いずれは2級の手帳をもらえるかなという思いはありました。

 検察官 あなたが香田被告と初めて会った時、あなたは香田被告にどうしたら2級が取れるかを聞きましたか。

 近藤 香田先生に聞いてもわからないと思ったので、聞いていません。

 検察官 オージオメータのボタンをどういうふうに押すか、香田被告に始めて会った時に教えてもらいましたか。

 近藤 いいえ。ないと思います。

 検察官 あなたは香田被告に2級の手帳はどうやったらもらえるか、尋ねたことはありませんか。検察官の供述調書で、あなたは「尋ねた」と供述していませんか。

 近藤 (尋ねたと記載されている供述調書は)検察官のYさんが作ったかなという感じがします。前田先生からはこういうふうに押しなさいと聞きましたが、香田先生からオージオメータの押し方は教わっていません。

 検察官 前田医師とはどのくらいの大きさの声で話をしていましたか。

 近藤 普段、話すくらいの大きさです。

 検察官 あなたは、前田医師に耳が聞こえないふりはしましたか。

 近藤 していません。

 検察官 前田医師は、あなたが普通に耳の聞こえる人とわかっていたと思いますか。

 近藤 はい。

 検察官 (前田耳鼻科で)最初に2級の検査結果が出なかったことを、あなたは香田被告に話しましたか。

 近藤 はい。香田先生からは「あきらめないで(前田耳鼻科に)通うことだね」と言われたと思います。

 検察官 あきらめないで通うと、そのうちに2級になるということですか。

 近藤 2級になるとは言われてませんが、私は自分の耳鳴りもあるので通っていました。

 検察官 どうやって2級の手帳をもらうつもりだったのですか。

 近藤 出るか出ないか、わからないが通っていました。2級の診断書を書いてくれるかどうかは、前田先生の判断だと思いました。幸田先生は、オージオメータの押し方を教えてくれませんでしたから。

 弁護人 あなたが前田耳鼻科に通い始めたのは、平成8年の8月か、9月でしたか。

 近藤 はい。

 弁護人 香田被告に、何回通っても2級にならないと話したことはありましたか。

 近藤 ないと思います。

 弁護人 あなたは前田医師からオージオメータの押し方を教えてもらった平成11年5月以降、(前田耳鼻科を)紹介した患者にオージオメータの押し方を教えましたか。

 近藤 はい。前田先生から教えてもらったように、「小さい音はパスして、一番大きな音で押しなさい」と伝えました。

 弁護人 2級の診断書が出るか、出ないかについて、香田被告の影響力はありましたか。

 近藤 私はないと思います。

 弁護人 前田先生から聴力検査のやり方を教わった人はあなた以外にいますか。

 近藤 私だけではないと思いますが、わかりません。

 弁護人 あなたは病院以外で、前田先生に会ったことはありますか。

 近藤 はい、あります。(近藤証人の住んでいた)芦別は山菜が多いので、前田先生と山菜採りや登山に行きました。

 弁護人 その時、香田被告は一緒に居ましたか。

 近藤 いいえ、いません。

 弁護人 あなたが香田被告をかばう理由はありますか。

 近藤 ありません。

 弁護人 あなたは平成21年6月11日に逮捕されてから、7月1日に起訴されるまで、供述調書を何通くらい作ったか、覚えていますか。

 近藤 覚えていません。

 弁護人 28通くらいの供述調書のうち、13通がY検察官の作ったものですか。ひとつずつ、供述調書の内容を確認できましたか。

 近藤 できないです。

 右陪席裁判官 (香田)被告人がウソの診断書に基づいて、手続きをしていたという認識はありましたか。

 近藤 ありました。前田耳鼻科に行くと、芦別と赤平の人で(待合室が)満員で、不正のためと思いました。

 次回の第4回公判は、5日午前10時から行われる。(文、写真・東)

(※1)身体障害者手帳は障害の程度によって1級から6級(1部は7級まで)に区分されているが、聴覚障害の場合、1級と5級はない。聴覚が100デシベル以下の2級が最も重度

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