ゴエモンのつぶやき

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聴覚障害偽装事件 証人の検察官が社労士は「不正拠点計画を立てていた」と証言

2011年01月16日 01時11分25秒 | 障害者の自立
 聴覚障害偽装事件の主謀者として、虚偽診断書作成、同行使、詐欺の罪に問われた社会保険労務士・香田清被告(69)の第8回公判が、14日午前10時から札幌地裁(渡辺康裁判長)で開かれた。
 この日、証人として出廷したのは、香田被告が逮捕される前に任意の聴取をした札幌地検のH検察官。香田被告の代理人弁護士は、香田被告は取り調べの際、M検察官に怒鳴られたなどとして、2009年6月29日、札幌地検に抗議書を提出した経緯がある。
 香田被告と札幌駅前で耳鼻科を開業していた医師の前田幸(よしあき)被告(75)は、実際には耳が聞こえる「患者」に重度の聴覚障害を認定、障害年金を騙し取らせたとして、逮捕、起訴された。
 事件のこれまでの経緯は次のとおり。
 2007年12月 北海道新聞社が聴覚障害の疑惑を報道
 2009年4月13~18日 札幌地検が香田社会保険労務士を任意聴取
 2009年6月11日 道警が前田、香田容疑者らを逮捕
 2009年7月1日 札幌地検が前田、香田両容疑者ら4人を詐欺、虚偽診断書作成・同行使の罪で起訴。道警が前田、香田両容疑者を再逮捕
 2010年9月24日 初公判で前田被告が起訴事実を否認、代理人弁護士が無罪を主張
 2010年10月13日 初公判で香田被告が起訴事実を否認、代理人弁護士が無罪を主張
 検察官のM証人に対する主な尋問内容は以下のとおり。
 検察官 証人は調書作成時、香田被告人から内容の訂正や追加を求められた場合は、その都度応じていたのですか。
 M証人 はい。
 検察官 高血圧や不眠など被告人に体調不良の様子はありましたか。
 M証人 特にありませんでした。
 検察官 取り調べのとき、休憩時間は確保していましたか。
 M証人 最低1時間は確保していました。
 検察官 被告人を最初に在宅で取り調べた09年4月13日、被告人は詐欺を認めていましたか。
 M証人 不正な詐欺をしたことを認め、反省の弁を述べていました。
 検察官 在宅の取り調べのとき、被告人は前田病院(札幌駅前耳鼻咽喉科)を知った経緯をどのように話していましたか。
 M証人 香田さんは「(事件の仲介役として有罪判決が確定、服役中の)近藤(順一)さんから病院を探してほしいと言われ、ワイフと電話帳で探した」と言ってました。
 検察官 証人は在宅の取り調べの時、香田被告人を怒鳴ったりしたことはありましたか。
 M証人 それはありません。香田さんは端的に質問に答えず、質問の内容と答えがずれることがあり、強い口調で質問したことはあったと思います。
 検察官 香田被告人に「供述をしないと逮捕をする」と脅したことはありますか。
 M証人 ありません。
 検察官 香田被告人に「供述しないと家族を逮捕する」などと言ったことはありますか。
 M証人 それはありません。
 検察官 (逮捕後)被告人は(障害年金を不正受給した)労働組合の組合員に対し、(聴力測定機器)「オージオメータ」を使った聴力検査の操作方法をどのように説明したと供述したのですか。
 M証人 香田さんは「(オージオメータ)の音がはっきりと聞こえたところで押せばいいんですよ」と伝えたと供述しました。一番大きな音が聞こえたときなどと露骨なことは言ってないので、「調書の内容はこれでいい」とうなずいていました。香田さんは前田耳鼻科を尋ねたとき、前田先生の方から「オージオメータの検査だけで診断書を書いてくれる」と言われた話していました。
 検察官 前田耳鼻科のオージオメータが(聴覚障害2級に相当する結果が出やすい)変更された点について、被告人はどのように話していましたか。
 M証人 香田さんは、患者からも「前田耳鼻科のオージオメータは難しく、(聴覚障害の)2級が取れる(聴力)100デシベルにはならない」という話しがあったが、前田先生は気難しい人なので、「普通の健康診断のオージオメータとは違いますね」など、暗に替えたらどうですかという話を前田先生に伝えたと話していました。
 検察官 被告人が前田耳鼻科を利用するようになったきっかけはどのように話していましたか。
 M証人 最初は労働組合の組合員から前田耳鼻科を教えられたと話していましたが、(09年)6月17日頃には、A病院の院長から紹介されたと話すようになりました。この供述は6月20日になって撤回されました。実際には組合の人に紹介されたのではないか、という内容に変わりました。
 それまで香田さんは「間違いない」と言っていたにもかかわらず、供述が変わったので、私は「何で人(院長)を巻き込むようなことをするのですか。何でウソをつくのですか」と立ち上がって怒りました。
 検察官 被告人は6月20日に証人から「懲役15年を打つ」と怒鳴られたと主張していますが、そういうことはありましたか。 
 M証人 ありません。
 検察官 (6月20日の次に行った)6月22日の取り調べのときの被告人の様子はどうでしたか。
 M証人 香田さんは「いやぁ、検事こないだ(20日)はごめんね。こないだ検事にいろいろ話したでしょ。検事は若くて言いやすいんだ」とニコニコして部屋に入ってきました。
 検察官 被告人は再逮捕後、どのような供述をしていましたか。
 M証人 香田さんは「以前、不正をしていた白石区の耳鼻科は、看護婦さんが厳しいらしく、オージオメータの検査中に看護婦さんが金属の棒を床に落として大きな音を出し、患者が気付くかどうかチェックをしていた」と話していました。また不正拠点計画(不正をする拠点となる病院をつくる計画)を立てていたと話していたことも調書には記載されています。
 「(前田耳鼻科のほか、札幌市の東部や西部で偽装を協力してくれる病院を探す)不正拠点計画を取り調べの最初から話せば、今回の計画があからさまになってしまう」と話していました。香田さんが不正拠点として名前を挙げた病院は調べたので、秘密の暴露になると考えています。
 午後からは弁護人がM証人に対する尋問を行った。
 弁護人 社会保険労務士の仕事上、患者の病院に行くことは多いのではありませんか。不正拠点計画の病院には、ただ患者を連れて行っただけではないのですか。 
 M証人 香田さんは、S病院に行って、医師に会い感触を確かめたと話していました。
 弁護人 不正拠点計画について証人が厳しく追及することはあり得るのではないですか。
 M証人 取り調べの中で、「真実を話してください」と繰り返し話はしました。
 弁護人 6月20日、被告人の息子さんや奥さんを取り調べましたか。
 M証人 香田さんの生活や人となりを中心に取り調べの参考になればよいと思って話を聞きました。
 弁護人 証人が厳しい口調で取り調べをしたのは、6月20日と6月22日ですね。
 M証人 真実は何か、なぜ供述が変遷したかを強い口調で聞いたことはあったと思います。
 弁護人 香田被告人から不正拠点計画の話しが出てきたのは7月6日頃ですね。弁護人は6月29日、S検事とM検事に抗議書を送っています。抗議書には証人が香田被告人に「求刑を何年打つ」などと発言したことなどを書いています。
 M証人 私は「何年打つ」などという表現は(日頃から)しません。
 渡辺裁判長 抗議書が送られてくる前に、弁護人や被告人から証人に抗議はありましたか。
 M証人 ありません。 
 渡辺裁判長 被告人の奥さんにはどのようなことを聞きましたか。
 M証人 奥さんは「(息子と娘のほか、香田被告人も含め)うちには子どもが3人いる」と言ってました。
 続いて被告人質問が行われた。
 弁護人 あなたは裁判の最初に無罪であると言いましたが、それはいまも変わっていませんか。
 香田被告人 はい。変わっていません。
 弁護人 この事件が(報道で)取り上げられたのは07年12月です。そのときはあなたのことも報じられましたか。
 香田被告人 私が身体障害者手帳や障害年金の手続きに不正に関与したというものでした。
 弁護人 あなたが不正を行ったという報道を、あなたはどのように感じましたか。
 香田被告人 よくウソばかり書けるなと非常に強い腹立たしさがありました。きちんと取材をしてくれれば、本当のことが分かってもらえると、積極的に取材に応じました。
 弁護人 09年4月8日、(道警の)A刑事に取り調べを受けたとき、不正をしたという自白調書をつくりましたね。
 香田被告人 はい。
 弁護人 A刑事から何を言われましたか。
 香田被告人 「(不正受給した)みんなは私から不正(の手口)を教えられているということを話していると聞かされました。
 弁護人 そう言われてあなたはどうしましたか。
 香田被告人 テレビでも女の人が「香田社労士から不正を教えてもらった」と話していたので、みんな責任を人に押し付けると思いました。警察は息子をたびたび西署に呼び出したりしていたので、私が否認しては(持病のある息子が)危険だと思って、諦めの気持ちがありました。
 弁護人 M検事の取り調べはどうでしたか。
 香田被告人 威圧的でした。立ち上がったり、怒鳴ったり、物凄かったんです。
 弁護人 M検事の態度を見てどう思いましたか。
 香田被告人 検察官は巨大な権力を背景にした国家的暴力団みたいなものだと思いました。M検事からは「不正をやるのに電話帳で偶然(前田耳鼻科を)見つけることができるわけない」などと、私の話は信じてもらえませんでした。
 弁護人 あなたが電話帳で前田耳鼻科を見つけたことはウソと認めたのはどうしてですか。
 香田被告人 (M検事は取り調べ中に)机から立つし、大声は出すし、どうしようもなくなって認めました。M検事からは、A刑事に「電話帳ではなかったと謝れ」と言われました。
 弁護人 実際にA刑事に謝りに行ったのですか。
 香田被告 行きました。「あれは電話帳ではありませんでした。ウソを言ってすいません」と謝りました。
 弁護人 どうして、そんなことをしたのですか。
 香田被告人 謝りに行かなければ、何が起こるかわからないので行きました。
 弁護人 あなたは逮捕前に前田医師との共謀を認めてませんね。その理由は。
 香田被告人 検察官、警察官が前田先生に会えば、(2人で)患者の話をしていないことはすぐに分かると思いました。
 弁護人 あなたは6月11日に逮捕されましたね。それまでに逮捕されることは考えていましたか。
 香田被告人 まったく考えていませんでした。6月10日の取り調べのとき、警察とは6月11日の午後1時に取り調べの約束をしていましたから。
 弁護人 勾留中の健康状態は。
 香田被告人 血圧が高くなり、頭がクラクラするようになりました。それと不眠もありました。
 弁護人 血圧が高くなった原因は。
 香田被告人 ストレスだと思います。
 弁護人 (不正受給をした)患者42人について、あなたは覚えていますか。
 香田被告人 ほんの一部、5、6人は覚えています。
 弁護人 調書の内容には事実と違うことが書かれていますね。なぜ、サインをしたのですか。
 香田被告人 違うといっても個々の人(患者)が言っているので仕方がないと思いました。
 検察官が証人として出廷することのは異例のことだ。裁判所が検察官の取り調べ手法に、少なからぬ関心を抱いた結果とも言えるだろう。だが、検察官の証言は、香田被告人の「不正拠点計画」が明らかになるなど、"やぶ蛇"となった観も拭えない。
 次回公判は2月8日午前10時から開かれる。(文・東)
(※)身体障害者手帳は障害の程度によって1級から6級(1部は7級まで)に区分されているが、聴覚障害の場合、1級と5級はなく、聴力が100デシベル以上の2級が最も重度。聴覚障害を装った患者の多くは2級を取得した

聴覚障害偽装事件 不正受給者が公判で明かした医師と社労士の「指南」 前編
http://www.hokkaido-365.com/feature/2010/11/post-606.html
聴覚障害偽装事件 不正受給者が公判で明かした医師と社労士の「指南」 後編
http://www.hokkaido-365.com/feature/2010/12/post-607.html

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