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介護保険制度との統合策に関する意見書(その1)

2007年04月28日 14時18分58秒 | 制度の話し
2月7日に「日本障害者協議会」が第5回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議に提出した意見書です。
文面が長いので、2回に分けて掲載します。
ここでは、障害分野に関する主要な基幹的政策課題、現状の福祉施策の課題、問題点を述べています。
2回目では「当面の検討課題・この問題に対する結論」をお届けします。
皆様の、ご意見をくだされば幸いです。



介護保険制度との統合策に関する意見書

団体名:日本障害者協議会
発表者:藤井克徳(常務理事)

■はじめに
 厚労省老健局より照会のあった「障害者施策からみた介護保険制度」について、以下に日本障害者協議会(JD理事会)としての基本的な考え方を記す。意見表明に先立って、一言述べておきたい。それは、2006年4月から施行されている(完全施行は同年10月より)障害者自立支援法についてであるが、障害当事者ならびに家族への影響は極めて甚大であり、介護保険との統合問題など、この時点で論議を深める状況にはないということである。厚労省として、先ずは障害者自立支援法に関する問題解消に向けて、効果的で永続的な対応を図られることを、あらためて強く要望する。

■障害分野に関する主要な基幹的政策課題
 日本障害者協議会は、一貫して障害分野に関わる基幹施策の立ち遅れを主張してきた。「介護保険との統合問題」を論じる以前に、基幹的な政策課題を整理することであり、それらの実現をどう展望するのか、これらにエネルギーが割かれるべきではなかろうか。本日のヒアリングにおいても、あらためて主要な基幹的政策課題を列挙しておきたい。
◇ 「個」の尊重と当事者主体の法制の構築
◇ 障害者総合福祉法(仮称)の制定
◇ 法的な措置を伴う社会資源の拡充策
◇ 本格的な所得保障制度の確立
◇ 「障害」の定義、等級制度、手帳制度の改訂
◇ 関連基礎データの集積

■現状の福祉施策の課題、問題点
 障害者福祉施策と介護保険制度の統合を論ずるにあたっては、現状にみる次のような課題や問題点を押さえることが必要である。
① ニーズに応じきれないサービス:現行の介護保険制度にあっても、「上乗せ」「横出し」が成されているが、高齢者の尊厳を保ち、そのニーズを満たすには余りに不備が多い。こうした不完全な介護保険制度に、自立や社会参加に関して多様なニーズを持つ若齢の障害者が加わった場合に、一体どうなっていくのか、率直に言って展望が見出しにくい。
② 障害者福祉サービスの絶対量不足:入所施設中心(知的障害者)ならびに入院中心(精神障害者)の政策がとられてきたわが国にあって、地域生活を支えるサービスは極端に不足している。また、質的な面からも、事業提供者が十分育っているとは言えない(高齢者分野も同様では)。まずは、障害関連のサービス基盤の量的な拡充に政策エネルギーを割くべきではなかろうか。
③ 権利擁護システムの未確立:当事者主体のサービスを実施するにあたり、これまで弱い立場に置かれがちであった利用者、特に自ら主張することに困難がある人々を護るための権利擁護システムについては、課題が多く、まだまだ未確立と言わざるをえない。成年後見制度や地域福祉権利擁護事業などの利用が進み、地域包括支援センターなども位置づけられたが、新たな課題も指摘されており、権利擁護について踏み込んだ検討が必要である。
④ 制度成立過程の相違:介護保険制度による高齢者福祉と、支援費制度を経て障害者自立支援法によるサービスがスタートした障害者福祉とでは、その成立の過程や求められるサービスに大きな違いがあり、単純に統合することは困難である。地域での支援にあたって重要な役割を果たす相談支援・ケアマネジメントの位置づけや、実際の支援にあたるケアマネージャーの役割・養成過程なども異なっている。2つの制度を統合するにあたっては、実績についてのデータ蓄積と、今後のあり方について十分な議論を尽くすための時間が必要である。


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