ダンスカンパニー「コンドルズ」を主宰する近藤良平が、埼玉県内の障害を持つ人たちとダンスチーム「ハンドルズ」を作って9年。10日にさいたま芸術劇場(さいたま市)である第7回公演を前に、近藤の思いを聞いた。
埼玉県福祉部からの依頼をきっかけに、2009年結成。チーム名は「ハンディキャップ」と、車いす操作を表す「ハンドリング」から。「車いすの人が多いけど、やってることはコンドルズと同じ。全員がそろった踊りをするわけじゃなくて、その人の面白い部分を拾っていくところが」
メンバーのうち2人は今夏、横浜市であった「Dance Dance Dance@YOKOHAMA 2018」の舞台に客演した。車いすのまま力強く足を踏み鳴らすタップダンスで、会場をわかせた。
「車いすでタップできるかな?と言ったら、ものすごく真面目にタップをしたがる。音楽をかけるとリズムをとろうとする。僕は何もしていないのに、『向かう姿勢』で成立してしまう。振り付けって何だろうと考えさせられた」
別の舞台では、「美しい声で歌います」「力強く歌います」と言って、「アアー」と声を出す場面を作った。
「僕たちの何倍も時間がかかるけど、できる。伝えることができる。ワークショップの過程でそういう表現がたくさん見えた。作品を作っているというより、みなが表現をしてくれる。結果的に美しく見えたり、滑稽に見えたりする」
体が思うように動かない人が真剣に取り組む姿を見せつつも、神聖視することはしない。「僕は、人生自体を楽しもう、起きてる事柄をもっと楽しく受け止めようと、ポジティブに考える。『苦悩』みたいにしたくはない。誰でも表現していいと思っているから」
2018年11月5日 朝日新聞