ゴエモンのつぶやき

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社会保障審議会障害者部会の解説(抜粋版)

2008年12月23日 23時06分55秒 | 障害者の自立
10月31日、第42回社会保障審議会障害者部会が開催されました。



今回は前回積み残しにされた所得保障と、障害者の範囲、利用者負担をテーマとして議論がされました。

前半は所得保障・利用者負担が一体的に議論される形になり、後半で障害者の範囲についての議論がされています。





11月6日、第43回社会保障審議会障害者部会が開催されました。



今回は、個別論点として、サービス体系と障害程度区分の議論がされるのみになりました。

後半は障害程度区分について議論が行われ、・「もともと介護保険の要介護認定ベースのものを見切り発車で使ってきたものだ、」・「2次判定の変更率が高く、1次判定がほとんどでないのは問題である、」・「精神、知的、発達障害、コミュニケーション障害、内部障害などが障害特性が反映されるよう根本的に見直すべき」、といった意見が相次ぎ、厚労省は「大幅に見直すつもりである。見直すと言ってもデータや根拠をベースに持ってやらないと。現在、調査を団体にお願いしている。なるべく早くやりたいが、関係団体の合意を得てやっていきたい」と大幅に見直すことを明言しました。

(資料2-①p20には、現時点での見直しスケジュール案が示されており、 平成24年度からの本格運用を目指すようです)





11月12日、第44回社会保障審議会障害者部会が開催されました。



今回は地域生活支援事業、権利擁護、虐待防止、介護保険との関係などがテーマとなりました。

国庫負担基準については冒頭、前回の大濱委員の提起を受ける形で、高橋委員から「今の基準が充分かは別としてやはり何らかの基準は必要ではないか」との意見がだされ、大濱委員の代理出席者が「国庫負担基準があることで個人の支給量が制限されてしまっていて、また市町村が超過分を負担しなくてはならない状態になっている」という趣旨を説明しました。

地域生活支援事業については、事務局からのデータの不足が指摘され、「市町村の実施率のデータも実施率では格差はでてこない」、「その内容が問題であり、よくやっている所と、実施しているがほとんど実績がない所を出さないと議論ができない」、「地域生活支援事業は格差が広がっているというが、そのデータもない利用者負担についてもデータがない、いっそ負担をなくしてはどうか。国がもっと強い指導をしていくべき」という意見と「地域の柔軟性は必要であるが財政的担保は最も重要頻度や個別性の高いものは自立支援給付(個別給付)にすべき」、「地域生活支援事業と自立支援給付をわける合理的な理由がない。中身を考えて議論しないと。」
といった制度についての意見が出されました。

後半は主に人材確保育成、虐待防止、権利擁護、成年後見についての議論がされました。

また、最後に「介護保険との関係について介護保険の受給者被保険者の範囲に関する有識者会議は中間まとめの後どうのようになっているのか?」という質問が出され、事務局は「担当ではないのでわからないが、報告書にあるとおり国民の合意形成にむけて各所で議論しているのではないか」と曖昧な回答をしましたが、省内でもあまり議論がされていない様子でした。





11月21日、45回社会保障審議会障害者部会が開催されました。


今回は前半は「平成20年障害福祉サービス経営実態等調査の結果」が発表され、
それを元に報酬に関する議論を、後半は9月に示された論点整理に従いこれまで議論を進めてきたものをまとめた「これまでの議論の整理(案)」が示され、これについての議論となりました。


経営実態調査については
・結果だけがしめされ、分析、課題がしめされていない
・単年度だけの調査ではわからない部分が多い
・給与の年齢別データや事業所の規模別データ、地域ごとのデータなどが必要
・人員削減や賃金をカットした後の結果であり、実態を把握して欲しい
・他の産業との比較はしないのか
・平均値を出すことは間違い。どういう分布になっているのか示すべき

・ 基準で常勤換算とりいれたことで、非常勤化がすすんでいる。多様な労働形態といっても経営や雇用が安定しなければ意味がない

といった調査結果に対する疑問が示され、これが客観的統計データとして一人歩きしていくことに対する懸念が多くの委員から出されました。
これに対して厚労省事務局は、「単年度だけで見ていくのは難しい面もあり、調査の限界は認識している。この調査結果だけで来年度の報酬改定を勘案するのではなく、審議会含め幅広く意見を聞きやっていく」という回答をしています。後半はこれまでの議論の整理に関する意見が出され、
・相談支援とケアマネジメント
・家族支援とピアサポートの制度化
など多岐にわたる意見が出されましたが、
竹下委員からは、夏に行った関係団体の意見は反映されているのか、
このまとめには事務局側の意見が入っているのではないか
部会で議論になった障害者権利条約のについて言及がないのは何故か
という意見が出されました。
これに対して、厚労省は「関係団体の意見は全部ではないがこの中に入っている、事務局(厚労省)の意見が書かれていることはない、権利条約については、次回以降反映させていくため、意見をもらいたい」という対応でした。
しかし、資料3を見ると、これまでの委員の発言にないような内容も含まれており、厚労省の考える意図、方向性が議論のまとめに書き込まれているようにも思えます。



11月27日、第46回社会保障審議会障害者部会が開催されました。


今回は前回に引き続きこれまでの議論の整理(案)を元に、資料の後半部分、障害の範囲、利用者負担、個別論点等について全体的な議論がされました。
今回も議論の範囲が多岐にわたったため、多くの事項について委員それぞれが意見を言い、また、これまでの議論で話された意見を再度発言する委員もいました。そうした中、ショートステイのあり方、障害の範囲、手帳制度のあり方、利用者負担と所得保障社会、国民への啓発など、大きなテーマについての意見が多く出されました。

障害の範囲、手帳制度については自立支援法の付則にも検討課題としてあげられているにもかかわらず、議論は全く進んでいないという印象です。これまでも、この問題に対しては大きな課題でもあり、中長期的に検討の場を設けて行くべきといった意見はだされますが、一向に具体的な動きや議論がされず、毎回、今後の課題として「先送り」されており、この部会の意味や存在意義もが疑われます。
ここへきて、今日の障害の範囲の議論や、前回の座長、事務局の発言から今回の見直しが審議会が立ち上がった当初より範囲の狭い、運用面での小手先の見直しに流れつつあるような印象を受けました。



12月3日、第47回社会保障審議会障害者部会が開催されました。



 今回は、とりまとめ前の全体議論として4時間もの時間をとって、これまでのまとめ的な集中的議論が行われました。
資料は前回のこれまでの議論の整理案に若干の修正が加えられたものと先ほど示された経営実態調査の補足資料(収支分布や級地区分ごとの収支など)が出されています。
 大きく前半後半にわけての議論でしたが、前半では特に相談支援体制とケアマネジメント、就労支援について、後半では利用者負担と所得保障、審議会の全体や報告書のまとめ方についての議論が大きく扱われていました。
 前半の相談支援体制とケアマネジメントでは今回の見直しの大きなポイントになることから、
・拠点的な窓口と自立支援協議会との連携が重要である
・都道府県の役割や広域的対応を入れるべき
・拠点的総合相談窓口をつくるべきとあるが、財源・人材面で実際にできるのか疑問
・拠点的にも身近なところでも、中立性がポイントになる
といった多くの意見があがっています。

後半は利用者負担と所得保障の問題に意見があがり、「施設で2万5千円残ると言ったがまったく残らない」、「軽減策の強化と継続を求める軽減策の資産要件は撤廃すべき」といった事柄から、今後も検討が必要と抽象的な文言に対して、「負担をしなければ生存さえ維持されないことが本当に福祉に馴染むのか」、「応益負担にした合理的説明は一切ない。負担することで対等な立場になると書かれているが、どの委員がいった言葉か、事務局の見解ではないか」、といった根本的な課題、疑問に対して納得いく説明がされておらず、この問題が審議会内でも納得も合意もされていないことが印象づけられました。
 また地域生活関連では国庫負担基準について「長期的には撤廃すべき」との意見に対して、「基準は必要ではあるが、その引き上げは重要」、「実際支給量の上限として捉える市町村が多く、説明を徹底してほしい」という意見がありました。
 また、地域生活支援事業の移動支援で重度視覚障害者の外出支援の個別給付化にふれ「中軽度の知的障害者にも対象拡大が必要である」という意見もあがっています。
 全体的な議論を通して、3年後の抜本的見直しと掲げてはじまった審議会でしたが、事務局のつくった議論の整理案でやはり「慎重に検討すべき」、「さらに検討すべき」といっった抽象的な表現が多くなっていることから、委員からも疑問を投げかける意見が多く出ていました。
 このままでは具体的な方向性がほとんど見えない、抜本的な見直しとはほど遠い報告書が出されかねないという危機感は、委員の中にもあるようでした。
今日の論議を受けて、厚労省側が、どこまで踏み込んだ報告書案を書いてくるか、次回は注目が集まるところです。



12月10日、第48回社会保障審議会障害者部会が開催されました。


今回は資料として報告書(案)が示され、いよいよ今回の部会のとりまとめの最後の議論に入りました。
 示された案は、前回までに示されたこれまでの議論の整理を若干加筆修正したものとなり、昨年の与党合意や、4月にこの部会が始まったときに言われた「抜本的に見直し」とはほど遠い内容になっています。
自立支援法成立時に附則に具体的に盛り込まれている、障害者の所得保障や障害の範囲ですら、具体的な議論がされず、またしても先送りになり、3年前に比べなんら議論が前進していないように思われます。
 この報告書案に対して、本日は総括的な議論が行われましたが、厚労省側は、細かい語句の修正や、文言、言い方に関する委員の意見には応じましたが、それ以外の事項に関しては全く応じる気がないような姿勢を見せています。
 例えば、今日の議論のやりとりの中で就労と移動支援(p42一番下の○)について、「訓練的な移動支援を使い、職場に通えるようになるケースもあるが、継続的に必要な人もいる。通勤だけでなく職場内で食事、排泄の介助などがあれば就労できる人も多くいる。その策の検討に関して書き加えたい」
という委員からの意見があり、他の委員も多く賛同していましたが、
厚労省側は、
「労働部局に職場介助の助成金制度があり、その課題は労働部局の検討課題である」とはねつけ、障害福祉部としてはまったく検討していくことはないという対応でした。
「厚生労働省」とは名ばかりで、2つの部局が共同して課題解決に向かうこともないようです。
 そもそも、委員の多くが賛同する意見を部局が違うのでこの審議会の検討課題ではないとして、意見を受け付けないのはまさに事務局主導、審議会軽視の姿勢と言えます。
 関係団体のヒアリング等を含め半年以上の議論を経て出て来た報告書ですが、
全体的に抽象的な表現が多く、また「引き続き検討」、今後とも更に検討といった文言が目立ちます。
 具体的な見直し案がでているのは、相談支援のサービス利用計画の取り扱いや自立支援協議会、地域生活支援事業の移動支援、地域移行時のサービスの体験的利用ぐらいといってもいいのではないでしょうか。
 今回の報告書を読み、今後自立支援法がどうのように変わっていくのか具体的なイメージをふくらますことはなかなか難しいようにおもいます。





12月15日、第49回社会保障審議会障害者部会が開催されました。



 今回は報告書案のとりまとめで、4月から開催されてきたこの部会も、今回で一区切りとなりました。
 今回は報告書についての追加修正の議論というよりも、報告書全体についての感想や、今回の部会での審議内容、今後の見直しの進め方についての意見や質問をする委員が多くいました。
委員から主に、
・様々な意見は出たが、議論は深まらなかった。
・一歩前進だが、所得保障・障害の範囲など残された課題も多い。本来の目的を達していない。
・この報告書がどのように扱われるか、運用面で反映されるのか。
・報告書の内容が与党PTの「抜本的な見直し」値するものか疑問がある。
・介護保険統合の議論は国民の意識を障害者施策に向ける議論をすべき
といった趣旨の発言がありました。
 語句の修正では9pの「受け入れ条件が整えば退院可能な長期入院患者」とういう表現を「社会的入院患者」として改めるように委員が発言し、他の委員も賛成の意を表しましたが、厚労省事務局はこれを頑なに拒み、最終的に部会長と事務局が調整することになっています。今日の議論を含め若干の文言修正を加え、近日中に報告書が出されます。(編注:12月16日に出されました)

 厚労省側の説明では、今後この報告書を元に厚労省は法律改正事項に関しては来年の通常国会に提出すべく作業をすすめます。その他運用面での政令、省令、通知などは今後も関係団体と調整を続け、具体案をつくっていくとのことです。

今回の報告書は甚だ不十分な内容です。法成立時の附則や付帯決議にあげられた検討事項、例えば障害の範囲、所得保障に関してはほとんど議論がないまま、先送りにされて、3年前から全く進んでいません。
 課題になっている事項について、運用面での見直し、規制緩和や対象拡大にとどまっていて、法律の大きな枠組みや制度を大きく変更していくものはほとんど見あたらず、当初いわれていた、また与党のいう抜本的見直しにはほど遠いものです。また、今後の制度改正についても厚労省のフリーハンドとならないように、不十分ではあるが、少なくともここに書かれていることをがどのように具体化されていくか、3pの基本視点に書かれているように、当事者中心に制度変更がされていくのか注視する必要があると思います。


全障害者がケアマネ利用する仕組みに変わる?

2008年12月23日 23時03分28秒 | 障害者の自立
 支給決定の仕組みが障害ケアマネジメントとのからみで、大きく変わります。ヘルパー制度などの時間数が決まる前に、中立的な者がケアマネジメントを行い、ケアプラン(サービス利用計画)を作り、それを参考に市町村が支給決定するという仕組みに変わります。

 サービス利用計画は、現在は指定相談支援事業者によって作られていますが、その対象者は予算で全利用者の1割で、実際はほとんど利用されていません。これを改め、原則、すべての利用者に拡大していくべきとされました。


 中立的な相談支援事業者の設置が各県で全域で出揃うまでは、新しい方式での支給決定は始まらないかもしれませんが、法改正後、数年後には新制度に移行していくことが予想されます。

 今までは、支給決定に当たって、市町村の中には、財政的な制約から、自立した生活ができない、あまりにもひどい支給決定をしている市町村もあります。また、そのような市町村に迎合している、国の障害ケアマネジメントの理念を理解しない民間の相談支援機関も全国各地に存在します。

 障害者団体としては、過去に、厚生省が身体障害者ケアマネジメントを検討を始めた際、その実施に反対し、その後、国の身体障害ケアマネジメントの理念を検討する会議への参加や、都道府県代表者を集める国の障害ケアマネジメント研修会の講師などに最初から参画して来ました。今回の改正でも、各地域で全利用者のケアプランをつくる組織に参画していくことが必要です。介護保険のような当事者主体の理念の薄いケアマネジメントのシステムにならないように、当事者団体も参加しやすくなるように、国との話し合いも同時に進めていきますが、今後の情報も注目しながら、全国各地で県や市など自治体との話し合いも始めていってください。


テレビ電話で手話通訳サービス 村山市、福祉窓口で導入

2008年12月23日 01時11分50秒 | 障害者の自立
 行政窓口を訪れる聴覚障害者へのスムーズな対応を目指して村山市は19日、テレビ電話を介した手話通訳サービスをスタートさせた。手話通訳コールセンターを運営するNTC企業組合(山形市、高橋笑利代表)によると、県内では山形市、寒河江市に続き3番目のシステム導入だという。

 市福祉事務所の窓口に光回線を使ったIPテレビ電話を設置。聴覚障害などの来訪者に応対する職員が操作し、コールセンターの手話通訳者につなぐ。来訪者の手話で伝える意思を通訳者が声にして職員の装着するヘッドホンに流し、応答は即座に手話で来訪者に伝える仕組み。

 スタート初日となったこの日は、高橋代表が聴覚障害者役となり、窓口対応の職員と「手話通訳サービス派遣の依頼」という想定でやりとり、テレビ電話の手話通訳を介して派遣日時の決定までを実地体験した。

 市内の聴覚障害者数は168人で、障害の程度や手話の習熟などに差はあるものの、手話通訳導入は行政サービスを受けやすくすると期待されている。

報告書8

2008年12月23日 01時01分59秒 | 障害者の自立
Ⅱ-2 就労支援

【基本的考え方】

○ 障害者自立支援法では、それまでの授産施設等を、目的・機能によって、一般就労を希望する障害者を対象とする「就労移行支援」と、一般就労が困難な障害者を対象とする「就労継続支援(A型・B型)」に再編するなど、就労支援の強化を図っている。

○ 法の施行後まだ2年が経過したところであり、引き続き実施状況をみていく必要があるが、障害者の自立を支援する観点から、今後とも就労支援の充実と活性化を図っていく必要がある。

○ 障害者がその能力を十分に発揮し、地域で自立して生活することができるよう、以下の観点から、就労支援の充実を図るべきである。

① 一般就労への移行支援の強化
② 就労継続支援の在り方
③ 障害者雇用施策等との連携強化等
(1)一般就労への移行支援の強化

(一般就労への移行の成果の評価の在り方等)

○ 一般就労への移行を更に促進するために、就労移行支援事業において、職業スキルの向上のみでなく、就職後の生活を想定した社会適応能力を高める訓練プログラムの確立・普及を図るとともに、一般就労への移行実績を十分に評価し、一般就労への移行が増加して、その後の定着支援を行っても経営が圧迫されないような報酬設定等について検討すべきである。

○ あわせて、一般就労への移行を促進していくためには、広く障害者本人や関係する者の意識を醸成していくことも重要である。働く意欲のある障害者を支援していくと同時に、障害者が潜在的に持っている働く意欲を引き出し、育てていくことも重要である。

○ また、企業の採用時期が4月以外の時期も多いことを踏まえると、年度中途における企業の採用に向けて就労移行支援事業による訓練を行うことも有効、という観点を関係者が共有することが重要である。

(福祉現場の本人への外部からのアプローチ)

○ 障害者本人の一般就労の可能性を最大限に引き出すことができるよう、職場での実習や体験など、一般就労についての実感や意欲につながる機会の拡大が図られるよう支援すべきである。

○ 一般就労への移行を進めるため、就労継続支援等の支給決定時や支給決定更新時において、本人への外部の情報の提供など、福祉施設ではない第三者の視点による関わりを充実させることが重要である。

(支援ノウハウを持った専門職の配置)

○ 就労支援を担当する職員について、一般就労への移行支援のノウハウを習得する研修を受講した者等、就労支援ノウハウを有する者の配置を促進していくべきである。
また、そうした人材が配置できない場合にも、地域障害者職業センターの専門的な助言、援助等の支援や、ハローワークや障害者就業・生活支援センターとの連携を図ることなどにより、就労移行支援事業の質の向上を図っていくべきである。

(特別支援学校からの一般就労への移行の在り方)

○ 在学中から、企業での体験実習等により、「働きたい」との意識を育てる取組が有効であることから、卒業後の就労に向けた訓練等も視野に入れ、体験的に就労移行支援事業等の福祉サービス等を利用していくことが重要である。

(就労移行後の継続的な支援(フォローアップ)の在り方)

○ 就職後一定期間経過後のフォローアップについて、本人の意向、支援の継続性や生活面の支援を併せて必要とすること等にも配慮した支援体制の充実を検討すべきである。

○ その際、通勤寮が担ってきた就労する障害者の自立生活に向けた生活面の訓練を行う機能の充実を図るべきである。

障害者の法定雇用率 県教委など未達成

2008年12月23日 01時01分13秒 | 障害者の自立
労働局、改善を指導
 障害者雇用促進法で2%と定められている障害者の法定雇用率を、県教委と松山市教委が達成していないことが、愛媛労働局のまとめでわかった。県の知事部局や県警、松山市教委以外の県内の市町は、すべて基準を満たしており、同労働局は達成のめどがついていない県教委に改善を指導した。県教委は「職員の9割が教員で、免許を持った障害者が少ないため」と釈明している。(藤戸健志)

 同法は一定規模以上の団体や企業を対象に、被雇用者の一定割合を障害者とするよう義務付ける。法定雇用率は、国、県、市町村の機関は2・1%、教育委員会は2%、民間企業は1・8%などとされている。

 6月1日現在の同労働局の状況報告では、県教委の実雇用率は前年比0・06ポイント増の1・71%で、法定雇用率達成には新たに26人の障害者を雇用する必要がある。松山市教委も1・78%にとどまり、あと1人の障害者雇用が必要だという。

 実雇用率は、県の知事部局で2・14%、県警本部で2・7%に達しており、6月現在で1・93%だった県公営企業局も、10月に新たに1人を雇って基準達成を果たした。県内20市町の教委を除いた部局の平均は2・48%に上り、初めて全市町で法定雇用率をクリア。同法の対象となる県内11の市町教委も、松山市以外はすべて基準を超えていた。

 民間企業でも、対象となる県内714社の平均は前年比0・04ポイント増の1・65%にとどまるものの、法定雇用率を満たした企業の割合は54・5%と、前年よりも2・7ポイント改善した。

 同労働局は11月、「基準を下回る状態がずっと続いている」として菅原正夫・県副教育長を呼んで県教委への改善指導に踏み切った。京都や大阪、奈良などの府県教委が給食調理や美術館などに障害者を配置して法定雇用率を満たしていることを指摘したが、県教委側は「財政状況が厳しく、教員以外の職員採用は難しい」とした。

 301人以上の規模の企業が法定雇用率を達成できない場合、達成に必要な障害者の人数1人につき、月に5万円を納付しなければならないが、公的機関に納付義務はない。同労働局は「ペナルティーがないからといって、未達成の現状に甘んじてもらっては困る」として、今後も県教委と松山市教委に改善を求めるとしている。