2歳馬が後肢のひどい跛行。
飛節以下はX線検査し、Low4でブロックしたが無反応、とのこと。
来院したが右後はほとんど負重不能。
「どこか押して痛いとこありました?」「ない」
とのことだが、右の股関節あたりは押すまでもなく、馬が触られるのを嫌がる。
その付近はなんとなく腫れぼったいように私には見えた。
ー
立位で股関節のX線撮影。
まだ臀筋も萎縮していないのでX線量的にきびしいが、恥骨が割れているであろう画像が撮れた。
飼主さんは、経過を観るより、確定診断をつけて早く判断したい意向。
全身麻酔して大型X線撮影し、ひどい骨盤骨折を確認したらそのままあきらめましょう、ということにする。
もう2歳になるとひどい骨盤骨折をしたら飼養価値喪失の判断もやむをえない。
鮮明な画像が撮れた。
股関節臼が骨折し、骨折線もかなり開いてしまっている。
他の馬と放牧されている2歳馬。
放牧地の凍ったところで滑って転んだのだろう。
骨盤は構造的に股関節臼に力が集中するようになっている。
腸骨、恥骨、坐骨が結合するところだからだ。
そして、後肢を支える関節なので、ひどい変形をすると機能障害が残る。
冬に多い事故なのだが、仕方がないことでもある。