馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

ひどい裂蹄のその後

2016-11-02 | 蹄病学

朝、シカに襲われた1歳馬が上腕骨骨折のようだ、ということで来院。

左胸に角で突かれた傷があり、肋骨も折れている。

そして、右前肢は負重不能。

X線撮影して上腕骨骨折を確認した。

斜骨折だが、粉砕しているようだ。

助ける術はない。

                      -

ひどい裂蹄をおこし、蹄関節もひらいてしまった重種の仔馬。

ほぼ1ヶ月経って再来院。

歩きはとても良い。

前回の術後もほとんど痛みを見せなかった、とのこと。

Distal Limb Castをはずす。

傷の状態も素晴らしい。

もちろん蹄壁は癒合しない。しかし、軟部組織は癒合したようだ。

ただ、これから蹄球や蹄冠が開いてしまうと、そうなってからでは処置のしようがない。

せっかくうまく癒合しているので、またキャストを巻くことにした。

キャスト擦れもまったくない。

正直、ダメかな、と思うような怪我だったが、何が幸いしたのだろう。

発症してから時間が短かったこと、

徹底したデブリドメントと関節洗浄、

ワイヤーによる蹄壁の縫合、

キャストによる不動化、

これらは重要な要件だったように思う。