まだ若い繁殖雌馬が夕方から疝痛を示し、鎮痛剤を2回投与しても良くならない。とのこと。
夜、9時前に来院。
ひどい痛みではない。
心拍44、PCV47%、乳酸値0.8mmol/l。血液はそれほど悪くない。
腹もそれほど張っていない(腹囲膨満はひどくない)。
青草がある季節には2週間に1度くらい疝痛を起こす馬なので放牧制限をしていた。とのこと。
体表からの超音波画像診断では、結腸壁の肥厚はわからなかった。
(右)
正常と変わらない程度の大きさの結腸膨起が見えている。
つまり、結腸壁の肥厚もなく、結腸の膨満もない。
(左)
盲腸外側紐の血管は体表から見えることがあるが、結腸動脈は結腸が正常な位置にあれば体表から見えるはずはない。
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輸液をしながら様子を観たが、やはり身をよじるような痛みを間欠的に示す。
「おかしいね。やっぱり切りましょう」
ということで開腹手術することにした。
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開腹すると結腸はチアノーゼも肥厚もないものの、途中で360°以上捻転している。
引き出してみると背側結腸と腹側結腸を結ぶ結腸間膜が、骨盤曲近くでかなり広い。
この様な結腸間膜が広すぎたり、破れていたり、あるいは結腸がU字型でなく、クローバー型やト字型をしている馬の疝痛は何度か診たことがある。
結腸の走行や腸間膜に奇形があると、結腸捻転を起こしやすいらしい。
(右写真は別症例;U字型をしているはずの大結腸が、ト字型をしている)
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今回の症例は、結腸の捻転はひどかったが、採食制限をしていたせいか結腸壁の肥厚はまったくなかった。
ごくわずかに結腸動脈周囲に水腫があるだけ。
これでは術前に超音波画像診断で結腸壁の肥厚をとらえようとしても無理だ。
しかし、結腸はグルグルに捻転していた。
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屈斜路湖にはまだ朝もやが漂っていた。
遠くに見えるのが和琴半島。
今日も天気は良さそうだ。
「とうちゃん、カヌー乗るのか!?」
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倒木が多く、
蛇行はげしい。
しかし、気をつけていけば大丈夫。
ただし、最後に土壁と呼ばれる難所がある。
危なかった~
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普通はここまでが1日コースなのだが・・・・
明日は台風崩れの低気圧で天気が荒れる。
できるだけ今日、距離をかせいでおきたい。
標茶に向けて、行けるところまで行くことにした。