アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

虚構の中の実在曲

2017年04月26日 | ピアノ
昭和のテレビドラマ、「疑惑の家族」とかだと超有名な実在曲しか出てこなくて、
「今度のコンクールの課題曲は、リストのラ・カンパネラに決まったそうよ」(←まじかっ!!)
ってな調子でしたが

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平成の漫画/アニメ/ドラマの「のだめ」になりますと、悲愴ソナタのような超有名曲から始まって、ベト七のような有名曲になるポテンシャルを秘めたいまいち有名でなかった曲やら、アンドレ・ジョリベとか、プーランクのピアノトリオとかの、この漫画がなけりゃ一生出会わない人が多そうな曲を経由して、クライマックスあたりはまた超有名(ショパコン)に戻ってきたり、ずいぶんな広がりが感じられました。

のだめに登場する曲のほとんどは実在する曲だったわけですが、たまに虚構の曲があって(おなら体操とか…)、でもそれが後付で作曲されたりね。こういう、漫画上で作られた曲が混じってくることも作品世界を立体的にしていると思います。もちろん漫画だけじゃ曲がわからないんですけど、アニメ化やドラマ化や、CDを売るとかでほんとうに音に接することもできてしまうわけで、これまたおもしろいところですね。

しかし、虚構の曲ばかりでは、音がわからないので漫画にならないと(ふつうは)思うのですが…

私が今読んでいる漫画「ミュジコフィリア」(さそうあきら)は圧倒的に虚構の曲が多いんで、これはちょっとびっくりです。

タイトルからわかるように「音楽中毒」の人たちのドラマですけど、これ、音楽といっても現代音楽漫画なんです。…なんでそんなウスいとこ突こうと思ったよ!! ってな感じです。

これ、京都芸術大学という、音楽と美術の両学科を併せ持つ大学を舞台とするストーリーで、主人公は美術の人なんですね在籍してるところは。それを、たまたま入学式の日を間違えて大学に行ったところ(←またろうかいっ)現代音楽研究会の人の荷物運びを手伝わされてついでに合奏にも参加させられて云々。

この合奏というのがこの大学の教授が作った「チェロと打楽器のための「回帰の環」op.16」とかいうものでもちろん虚構の曲ですがなんか漫画のコマ割りを見つつ説明を読みつつ(「ゴングにはじまりゴングに終わる、ジャワのガムラン音楽にみる円環構造の中で、楽曲はテンポを落としながら、音価の密度を高めていく。徴収は顕微鏡の倍率をあげるように時間のフラクタルな襞に分け入り…」)、なんだかそんな曲がありそうな気にさせられていってしまいます。

漫画全体に、自然音や環境音の描写も溢れているのでなんとなく、なんだってまぁ音楽になるやろ的なアバウトな気持ちになってしまうところが効いているのかなと思うんですが。

それでまぁ、そんなふうないろんな「うそっこ」の曲が流れていく中で、[Invention 1]という曲が出てくるんですが、この描写が圧巻で、声楽と打楽器の曲なんですが、歌詞が「は」だけで「葉」から「羽」から「刃」からもっと知らない漢字まで延々と、いろんな質感の「は」が出てくるという、それが七色ヴォイスで歌われるシーンがあります。

楽譜断片まで出てきて、これが「??? これ、漫画家が書けるもんちゃうやろ」と思っていますとこれは実在する作品で、作中では登場人物が作曲したことになってますが、川島素晴という作曲家さんがそういう作品を実際に書いてて、楽譜込みで漫画に提供してくれたそうです。

うそもんとほんもんの混ぜ方がうまいと思いましたよ…「うそもん」のほうの説得力も増すように使われています。

そのほか、ジョン・ケージ、シェーンベルクなどの曲も出てくるんですけどね。そのあらかたは、私の頭にインプットされてないんで、漫画は音楽なしの漫画に過ぎないのですが、まぁそのへんは自分で探して聞けば音として観賞することもできるわけで…

これが第二の「のだめ」になって現代音楽を流行らすか!? っていうと…まぁナイだろうけどねぇ(^^;;

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コメント (4)
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