礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

石炭自動車の運転要領・坂道悪路編(雑誌『汎自動車』より)

2012-09-07 07:04:55 | 日記

◎石炭自動車の運転要領・坂道悪路編(雑誌『汎自動車』より)

 一昨日、戦中の自動車雑誌『汎自動車』(自動車資料社)に載っていた「石炭自動車の運転要領」を紹介したところ、この日は、驚くほどアクセスが多かった(おそらく、ブログ開設以来、二番目)。いったい、どこのどういう方に読んでいただいているのだろうか。
 同記事の後半については、紹介する予定はなかったが、折角の機会なので、後半も紹介させていただこう。題して、「石炭自動車の運転要領・坂道悪路編」とする。出典は、『汎自動車・技術資料』一九四三年六月号(通巻二四四号)である。

 「石炭自動車の運転要領」      自動車技術第二
 登坂運転の場合
 登坂路の通過に於ては其の坂路の程度に依り変速の要があると認めた場合は登坂前約100米前方より低速ギヤーに変速し、機関の回転を高めると共に水滴の供給を増加して瓦斯〈ガス〉の発生状態を良好にし機関の出力を大ならしめることが必要である。
 一般に登坂の場合は機関の吸入効果率が大であり、従つて石炭の燃焼が盛〈サカン〉になり炉内温度も急に上昇するから、炉の加熱を防ぐ上に於ても水滴を増す必要がある。変速操作を早めにすることは重要なことであるが、始めからローで登坂すると瓦斯が続かなくなるるからセコンド又はサードと適当に噛み合せて適宜に坂路に応じて運転することが必要である。
 機関の出力を増大する目的で登坂途中で空気を調整することは危険であるから、予め〈アラカジメ〉坂路に差懸る〈サシカカル〉以前に適当なる調整をなし置くとよい。
 尚ほ〈ナオ〉機関の回転に応じてスパークボタンを引出して点火時期を少し遅らせること。
降坂の場合
 降坂路の場合はクラツチを切断せずに空気の弁を全て機関制動とし、機関の回転数はガソリン使用運転の如くに低速回転にならない様に留意し、坂路の終る直前には空気調整弁を徐々に開いて道路状態に応じて平坦運行の状態に復するのである。
 此の理由はガソリン車の場合の様にスロツトル・バルブを開め切つ下降すると炉内は休眠状態となり、其の次の瓦斯発生が悪くなり、坂路を降り切つた場合に急に瓦期が間に合はず機関は回転することが出来なくなるものであるからである。
 故に点火スヰツチを切ることなく坂路の傾斜に応じて適宜ギヤーはロー又はセコンド或ほサードに噛み合せ空気弁砕は全閉にとしてアクセレレーターを一杯に踏み込み、機関制動〔エンジンブレーキ〕を作用して下降するのである。斯く〈カク〉する時は点火スヰツチを入れた儘〈ママ〉であつても空気弁が全閉されてゐるから機関の吸込〈スイコミ〉は激しく炉内の瓦斯発生は旺盛となりギヤーもクラツチも噛み合せた儘であるから機関制動となるのである。
 悪路の場合
 泥濘〈ヌカルミ〉、砂地等を通過の時には路道の状態に依り差異があるが、石炭自動車はガソリン車に比べて出力が低下してゐるから通過困難と認められる場合の取扱は登坂運転に準じて操作しなければならない。
如何〈イカ〉にしても通過不能なる時は、一般自動車の悪路通過の場合の如くに種々の処置を講じ已む〈ヤム〉を得ざる場合はガソリンに切換て運行するのである。(終)

 以上が後半である。これまた、わからないことばかりだが、最も意外だったのは、悪路で通過不能となった場合には、ガソリン走行に切り換えて運行せよとあったことである。
 当時の代用燃料車の中には、ガソリン走行に切り換えられるようになっているものがあったらしい。というのは、『汎自動車・技術資料』一九四三年五月号(通巻二四二号)』に、「ガソリン瓦斯切換器」という言葉が出てくるからである(二四ページ)。機種によっては、「ガソリン瓦斯切換器」がついていて、ガソリン走行への切り換えが可能だったと思われる。

今日の名言 2012・9・7

◎これでいじめ問題が解決するなら苦労はしない

 文部科学省による一連のいじめ対策に対し、学校現場からは、このような冷ややかな声が出ているという。本日の日本経済新聞社説「文科省のいじめ対策に疑義あり」より。国旗・国歌や学力テスト問題で、全国の学校を主導してきた文科省だが、同様の発想で現場に臨む限り、この問題の解決は難しいのではないか。同社説は、「閉鎖的な教育委員会のあり方」にも触れているが、論説委員にそういう問題意識があるなら、教育委員会は戦後初期のような「公選制」に戻せ、といった大胆な提案がほしかったように思う。

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