礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

文部省教学局編纂「日本精神叢書」既刊一覧

2013-01-13 09:00:28 | 日記

◎文部省教学局編纂「日本精神叢書」既刊一覧

 文部省教学局が編纂し、内閣印刷局が印刷発行した「日本精神叢書」は、最後は第何号まで出たのだろうか。あるいは、全部で何種類が発行されたのか。これはなかなか難しい問題である。
 というのは、国立国会図書館のデータベースでは、第六六号(小島鉦作『北畠親房と二十一社記』一九四三)まで出ていることが確認できるが、それ以降に発行されたものがないとまでは断言できない。また、その間に、欠番などがなかったということも断言できないからである。
 同叢書の第十二号、佐成謙太郎〈サナリ・ケンタロウ〉『謡曲と日本精神』は、一九四〇年(昭和一五)八月に第一刷が出た後、一九四三年(昭和一八)一〇月に第六刷が出ているが、第六刷の巻末には、三ページにわたって、「日本精神叢書目録」というものが載っている。
 本日はこれを紹介してみることにしたい。執筆者には、すべて「氏」という敬称が付けられていたが、ここでは省略した。「・15」は、定価が15銭であることを示す。

番号 書名               執筆者     定価
1  歴代の詔勅            河野省三    ・15
2  古事記と肇国の精神        植木直一    ・20
3  聖徳太子と日本精神        花山信勝    ・30
4  神楽・神歌            志田延義    ・25
5  十訓抄と道徳思想         藤岡継平    ・20
6  親鸞と日本仏教          小野正康    ・35
7  日本精神歌集           久松潜一    ・20
8  翁問答と日本教育論        海後宗臣    ・20
9  心学精神             石川 謙    ・25
10 吉田松陰の留魂録         紀平正美    ・35
11 万葉集と忠君愛国         武田祐吉    ・20
12 謡曲と日本精神          佐成謙太郎   ・25
13 二宮翁夜話の精神         佐々井信太郎  ・25
14 庭園と日本精神          龍居松之助   ・25
15 頼山陽と日本精神         塩谷 温    ・20
16 祝詞と国民精神          武田祐吉    ・20
17 神道大意             河野省三    ・20
18 世阿彌と其の芸術思想       野上豊一郎   ・25
19 伝教・弘法と日本文化       金子大栄    ・20
20 山鹿素行の配所残筆        紀平正美    ・20
21 徒然草と人生観          坂口玄章    ・25
22 中臣祓と民族精神         河野省三    ・20
23 万葉集と国民性          武田祐吉    ・25
24 宮本武蔵五輪の書と剣道の精神   岡田恒輔    ・30 
25 聖徳太子の十七条憲法       白井成允    ・30
26 戦記物話と日本精神        高木 武    ・25
27 炉辺閑想             奥田正造    ・15
28 道元と日本の禅          紀平正美    ・30
29 芭蕉と俳諧の精神         志田義秀    ・25
30 風土記と古代日本         次田 潤    ・25
31 日蓮と日本の仏教         小林一郎    ・25
32 大仏師運慶            丸尾彰三郎   ・25
33 万葉精神             鴻巣盛広    ・25
34 漢詩と日本精神          塩谷 温    ・25
35 日本書紀と日本精神        武田祐吉    ・25
36 菅家遺誠―和魂漢才        加藤仁平    ・24
37 奈良時代に於ける国家と仏教    辻 善之助   ・20
38 太平記と武士道          高木 武    ・20
39 古語拾遺と神国日本精神      植木直一    ・25 
40 長谷川昭道の皇道述義       飯島忠夫    ・25
41 太神宮参詣記と敬神尊皇      加藤玄智    ・25
42 幕末勤皇歌人集          志田延義    ・35
43 国学と玉だすき          久松潜一    ・20
44 三経義疏と日本仏教        金子大栄    ・25
45 直毘玉―神の道やまと心      安藤正次    ・20
46 創学校啓―国学の建設       竹岡勝也    ・20
47 日本書道と日本精神        尾上八郎    ・20
48 新撰姓氏録と上代氏族史      太田 亮    ・25
49 弘道館記と其の述義        加藤虎之亮   ・25
50 日本建築の特性          岸田日出刀   ・35
51 法然と日本文化          椎尾弁匡    ・25
52 吉田松陰講孟余話         広瀬 豊    ・25
53 橘曙覧評伝            折口信夫    ・35
54 日本の演劇            守随憲治    ・25
55 大日本史と水戸教学        中村孝也    ・25
56 やまとごころ(大国隆正の思想)  河野省三    ・30
57 玉勝間と初山踏          久松潜一    ・20
58 懐風藻と日本文化(未刊)     山岸徳平
59 佐久間象山の省■録        飯島忠夫    ・30
60 新論の思想と政策         塚本勝義    ・30

 59にある■は、「侃」の下に「言」がつく字である。
 最後の方は、一部、未刊のものも含まれているので、号数は、実際のものと違っている可能性がある。56の『やまとごころ(大国隆正の思想)』は、その号数で出ていることが現物によって確認できる。また、山岸徳平『懐風藻と日本文化』は、第六三号として発行されたもようである。
 不思議なのは、久松潜一『玉勝間と初山踏』である。国立国会図書館のデータベースでは、第五七号として出ているもの、第六二号として出ているもの、このふたつが確認できる。これをどう理解すべきかについては、今のところ未解決。場合によっては、号数の重複ということも考えられる。こういうこともあって、日本精神叢書が「全部で何種類が発行されたのか」は、意外に難しい問題なのである。

今日の名言 2013・1・13

◎広く国民をして日本精神の心解と体得とに資せしむる

 戦中に出た「日本精神叢書」の巻頭にある言葉。署名は「教学局」。「本叢書は、主として我が国古来の典籍中より精神教育上適切なるものを選択してその要点を解説し、広く国民をして日本精神の心解と体得とに資せしむるを以て目的とするものである」。

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