礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」の英訳

2013-12-28 07:06:58 | 日記

◎「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」の英訳

 昨日、紹介した「英語辞書のはなし」というエッセイの中で、中野好夫はこう言っていた。

 ついでながら斎藤〔秀三郎〕は、昭和三年(一九二八)に『和英大辞典』も出しているが、これがまた愉快である。いかに大辞典とはいえ、辞書の中に漢詩・和歌はおろか都々逸〈ドドイツ〉の試訳まで披露しているのはこの辞書だけであろう。たとえば「三千世界」というのを開けると、「三千世界の烏を殺し、主〈ヌシ〉と朝寝がしてみたい」という志士高杉晋作つくる都々逸、同じく「通う」の項なら、「惚れて通えば千里も一里、逢わずにかえればまた千里」、ぺージもないから試訳は引かぬが、……

「ぺージもないから試訳は引かぬが」と言われて、その「試訳」が知りたくなった方もおられるであろう。
 そこで、本日は、『縮刷版斎藤和英大辞典』(日英社、一九三〇)から、当該の項目を引用しておこう。
 まず、七七五ページ、Sanzen-sekai(三千世界)の項から。

●三千世界の    Throughout the world I’d kill
  烏を殺し     The cawing morning crow,
 主と朝寝が    And sleep at morn my fill
  してみたい    With you as bed-fellow.

 続いて、四〇四ページ、Kayou(通ふ)の項から。

●惚れて通えば   Love laughs at distance,Love-
  千里も一里    A thousand miles is one to love;
 逢はずに帰れば  But when I can not see my love,
  又千里      A thousand is a thousand,Love.

 ついでに、二一七ページ、Hatsugatsuo(初鰹)の項から。

●褌を質に置いても初鰹
 The Edokko will go any length for the first bonito of the season.

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