翌日。
A大学のカフェテリアにて、意外な組み合わせの二人組がテーブルを囲んでいた。
「はぁーーーーー」
「うちの姉ちゃんの話なんだけどよぉ‥」
河村亮×佐藤広隆。
キャンパス内にて佐藤を見つけた亮は、お得意の「メシおごれ」作戦でハンバーガーをゲットした。
佐藤は心の中で静香の弟静香の弟静香の弟静香の弟と念仏のように唱えて今の状況に耐えている。
亮は溜め息を一つ吐いた後こう言った。
「超のつく金好きでよ」
その言葉に、佐藤は心の中で「よく存じ上げております」と唱えた。
亮は目を閉じながら、しみじみと自分の姉という人間について話す。
「性格も汚ぇし、人に頼る(吸い尽くす)んも好きだし、
超メンクイだし、100%俗っぽいもんで出来てんじゃねって感じだし」
静香の特性が口にされる度に、生気が萎えて行く佐藤。
「それでも人間なんだから、弱点が無いワケは無いけどな」
その言葉を聞いて、佐藤はパアッと息を吹き返した。
「こっち一人前追加で!」「注文はカウンターでお願いします」
どさくさに紛れて追加注文しようとする亮のことなどそっちのけで、佐藤はモゴモゴと口を動かす。
「そ、そうだよな。彼女みたいなタイプは、心に弱みを抱えてるってこともあるから‥」
とりあえず変なヤツじゃなさそーだな。もうちっと様子見てみっか
亮はそんな佐藤のことを眺めながら、冷静にそう判断を下した。
ひとまずこの眼鏡の男は、変な目的を持って姉に近付いているわけではなさそうだ、と。
ところ変わってこちらは売店。
サンドイッチを齧りながら、太一が口を開いた。
「つーか雪さん、聡美さんって何かあったんスか?」
「何かって?」
雪は首を捻りながら太一からの質問に答える。
「さぁ‥私が知る限りは何も無いハズだけど‥。
お父さんも退院したって言うし」「そうっすよね」
しかし記憶を辿ると、確かに聡美はちょっとおかしかったかもしれない。
雪は「そういえば‥」と昨日聡美と交わした会話を太一に教えた。
<昨日>
「なんでこんなに遅れたのよ!授業終わっちゃったじゃん!」
「超便秘で‥」
けれど聡美がどこかおかしいということは分かっても、その理由が分からない。
雪は眉を寄せながら、親友の現状について頭を痛めた。
「はぁ‥」
雪は溜息を吐きつつ、サンドイッチを頬張る太一にこう言っておく。
「何か分かったらメールするよ」「ハーイ。つーか雪さんこんだけしか食べないんスか?」
「うん。私もダイエット」「ほう」
グルグルと鳴るお腹を押さえながら、雪はそう言って売店を後にした。
太一と別れた後、一人図書館へと向かう。
やることはウンザリするほどあった。
雪は机に広げたテキストを片っ端から片付けて行く。
頭の中に、先日先輩から言われた言葉が蘇った。
「会うの大変かもだけど‥努力してみよう」
彼の口から出た”努力”という言葉が、雪の心に残っていた。
自分の方を見ながら、嬉しそうにこう言う彼の姿も。
「来週末は映画観に行こっか」
雪は肩を回しながら、今自分が取り組むべき仕事を改めて確認する。
週末まで資料の調査+勉強、期末準備、課題の資料も準備して‥
彼があれだけ余裕を持ってそう言えるのは、それが可能だという根拠と裏付けが見えているからだ。
”努力”を惜しまない彼と彼女だからこそ見える、その自信の裏付けがー‥。
A大学敷地内、美術学科の近辺。
その女は美術のテキストに挟んである、「展示会」のチケットを見ながら構内を歩いていた。
その女、河村静香。
ウインドウに映る姿は、今日も見目麗しい。
静香は得意気な笑みを口元に浮かべながら、髪の毛を軽く耳に掛けた。
ほらね。超イケてる美大生スタイルじゃん?あたしってば
右手に美術のテキスト、左手にカフェ。
静香は誰よりも美しく、キャンパス内を闊歩する。
脳裏に、高校時代の記憶が思い浮かんだ。
「弟さんはピアノでお姉さんは美術?」「ステキ!」「芸術家一家なのね」
羨望の眼差し、感嘆の溜息。
彼女の自信を支えるのは、いつもそんな他者からの評価。
今の自分を目にした誰もが、憧れの眼差しを送って来るだろう。
そんな確かな自信が、今河村静香を支えているーーー‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<自信の裏付け>でした。
ここのコマ下方、紺色に白地で「BGM 猟奇的な彼女」と書かれています。
日本でも有名な映画ですよね!
BGMがどの曲を指すのかはいまいち分かりませんが‥。
さて今回は、雪と静香、それぞれの自信の在処のようなものが浮き彫りになったような回でしたね。
雪は努力とそれに付随した評価でそれを得て、静香は外面や他者からの評価でそれを得る‥。
静香が本当に求めているものは、そこには無い気がするんですけどね。
彼女がそれに向き合う時は来るのか、これからの展開が楽しみですね。
次回は<女の戦い>です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は化けてしまうor文章が途中で切れてしまうので、
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A大学のカフェテリアにて、意外な組み合わせの二人組がテーブルを囲んでいた。
「はぁーーーーー」
「うちの姉ちゃんの話なんだけどよぉ‥」
河村亮×佐藤広隆。
キャンパス内にて佐藤を見つけた亮は、お得意の「メシおごれ」作戦でハンバーガーをゲットした。
佐藤は心の中で静香の弟静香の弟静香の弟静香の弟と念仏のように唱えて今の状況に耐えている。
亮は溜め息を一つ吐いた後こう言った。
「超のつく金好きでよ」
その言葉に、佐藤は心の中で「よく存じ上げております」と唱えた。
亮は目を閉じながら、しみじみと自分の姉という人間について話す。
「性格も汚ぇし、人に頼る(吸い尽くす)んも好きだし、
超メンクイだし、100%俗っぽいもんで出来てんじゃねって感じだし」
静香の特性が口にされる度に、生気が萎えて行く佐藤。
「それでも人間なんだから、弱点が無いワケは無いけどな」
その言葉を聞いて、佐藤はパアッと息を吹き返した。
「こっち一人前追加で!」「注文はカウンターでお願いします」
どさくさに紛れて追加注文しようとする亮のことなどそっちのけで、佐藤はモゴモゴと口を動かす。
「そ、そうだよな。彼女みたいなタイプは、心に弱みを抱えてるってこともあるから‥」
とりあえず変なヤツじゃなさそーだな。もうちっと様子見てみっか
亮はそんな佐藤のことを眺めながら、冷静にそう判断を下した。
ひとまずこの眼鏡の男は、変な目的を持って姉に近付いているわけではなさそうだ、と。
ところ変わってこちらは売店。
サンドイッチを齧りながら、太一が口を開いた。
「つーか雪さん、聡美さんって何かあったんスか?」
「何かって?」
雪は首を捻りながら太一からの質問に答える。
「さぁ‥私が知る限りは何も無いハズだけど‥。
お父さんも退院したって言うし」「そうっすよね」
しかし記憶を辿ると、確かに聡美はちょっとおかしかったかもしれない。
雪は「そういえば‥」と昨日聡美と交わした会話を太一に教えた。
<昨日>
「なんでこんなに遅れたのよ!授業終わっちゃったじゃん!」
「超便秘で‥」
けれど聡美がどこかおかしいということは分かっても、その理由が分からない。
雪は眉を寄せながら、親友の現状について頭を痛めた。
「はぁ‥」
雪は溜息を吐きつつ、サンドイッチを頬張る太一にこう言っておく。
「何か分かったらメールするよ」「ハーイ。つーか雪さんこんだけしか食べないんスか?」
「うん。私もダイエット」「ほう」
グルグルと鳴るお腹を押さえながら、雪はそう言って売店を後にした。
太一と別れた後、一人図書館へと向かう。
やることはウンザリするほどあった。
雪は机に広げたテキストを片っ端から片付けて行く。
頭の中に、先日先輩から言われた言葉が蘇った。
「会うの大変かもだけど‥努力してみよう」
彼の口から出た”努力”という言葉が、雪の心に残っていた。
自分の方を見ながら、嬉しそうにこう言う彼の姿も。
「来週末は映画観に行こっか」
雪は肩を回しながら、今自分が取り組むべき仕事を改めて確認する。
週末まで資料の調査+勉強、期末準備、課題の資料も準備して‥
彼があれだけ余裕を持ってそう言えるのは、それが可能だという根拠と裏付けが見えているからだ。
”努力”を惜しまない彼と彼女だからこそ見える、その自信の裏付けがー‥。
A大学敷地内、美術学科の近辺。
その女は美術のテキストに挟んである、「展示会」のチケットを見ながら構内を歩いていた。
その女、河村静香。
ウインドウに映る姿は、今日も見目麗しい。
静香は得意気な笑みを口元に浮かべながら、髪の毛を軽く耳に掛けた。
ほらね。超イケてる美大生スタイルじゃん?あたしってば
右手に美術のテキスト、左手にカフェ。
静香は誰よりも美しく、キャンパス内を闊歩する。
脳裏に、高校時代の記憶が思い浮かんだ。
「弟さんはピアノでお姉さんは美術?」「ステキ!」「芸術家一家なのね」
羨望の眼差し、感嘆の溜息。
彼女の自信を支えるのは、いつもそんな他者からの評価。
今の自分を目にした誰もが、憧れの眼差しを送って来るだろう。
そんな確かな自信が、今河村静香を支えているーーー‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<自信の裏付け>でした。
ここのコマ下方、紺色に白地で「BGM 猟奇的な彼女」と書かれています。
日本でも有名な映画ですよね!
BGMがどの曲を指すのかはいまいち分かりませんが‥。
さて今回は、雪と静香、それぞれの自信の在処のようなものが浮き彫りになったような回でしたね。
雪は努力とそれに付随した評価でそれを得て、静香は外面や他者からの評価でそれを得る‥。
静香が本当に求めているものは、そこには無い気がするんですけどね。
彼女がそれに向き合う時は来るのか、これからの展開が楽しみですね。
次回は<女の戦い>です。
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じゃなくて
「それでも人間であるかぎり、弱点がないかな?(=ない訳ない)」
そしてチートラとは関係ない愚痴ですが、
私は今まで韓国ウェブマンガを読むには
韓国が最高の環境だと思ってましたよ。
でも最近は「そうでもないか」ですよ。
韓国ウェブじゃ有料のマンガが翻訳版は無料のケースが多いですから。
チートラもorange marmaladeも有料になりましたけど、
日本語版と英語版はただ読みですし。
それでも「訳されてない作品が多い」と思ってましたが、
私にとって永遠の名作Dieterをレジン日本語版が
lezhin.jp でサービスしてると知ったら、
本当に韓国ウェブが最高なのか自信なくなりましたよ(笑)
やぁー便利な世の中になりましたね!
有料の壁で読めなかったDieterを読み返してます!
とても丁寧にマンガのことが書かれていて読みやすくて、まるで小説版・文章解説版チートラのように感じました!
本編では分かりづらかった表現や心情描写も紹介されていて、翻訳版と同じくらいこのブログの更新楽しみにしてます!
チートラ関係のメールを送りたいですが。
はじめまして!コメントありがとうございます。お名前が‥unknown‥!
ブログ、気に入って頂けたようで嬉しいです!もう少しで本家に追いつきそうですが、頑張って更新して行こうと思います。
また遊びに来て下さいね^^
CitTさん
亮さんのセリフ、ご指摘ありがとうございます!
そして今まさにオススメのDieter読んでます!面白いですね。なんだかお菓子を摘む手が止まる漫画ですね 笑
そしてメールアドレスの方なのですが、Gooブログでは管理人のみへのコメントが出来ないので、開設したきり放置してある私のFC2ブログの方へ、CitTさんのメールアドレスを送っていただけないでしょうか。
http://yukkanen.blog.fc2.com/
「テスト」という記事のコメント欄にお願いします。
「管理人にだけ表示を許可する」というところをチェックして送って下されば結構です。
送って下さったアドレスに、メールを送らせて頂きます。
よろしくお願いします。