Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

呪い

2014-01-30 01:00:00 | 雪3年2部(大家の孫~了)
「‥‥‥‥」



男は予想外の淳のリアクションに、暫し二の句を継げなかった。

ナイト気取りで暴力を振るう彼に対して、その残忍性を気づかせようと思ったのに。



もう一度男は淳に向かって拳を振るおうとしたが、頭部に思い切り彼の蹴りを食らった。

頭を抱えて蹲る。目の前の景色がグラグラと歪んでいく。



しかしそんな最中にも、男は先ほど淳の言った言葉の意味をずっと考えていた。

雪は全部知ってるよ。あの子は俺と同類だから



そしてようやくその意味と、彼の犯している間違いに男は気付いた。

ゴミにまみれながら頭を抱えながら、男は口角をニヤリと上げる。

「クックックッ‥何が”俺と同類”だよ?寝ぼけたこと言いやがって」



淳は光を宿さぬ瞳のまま、男をじっと見下ろしていた。

男は小狡い嗤い声と共に、愉快そうにニヤニヤと嗤って言った。

「俺はハッキリこの目で見たよ?あんたらがこそばゆいやり取りしてたあの日‥」



男はあの日のことを言及した。

雪が叫び声を上げ、その後散らばった書類を淳と共に拾った時の話だった。



勿論男は、雪と淳の間にあった数々の出来事の事など知る由もない。

しかし男の印象に残ったのは、厳しい視線で彼女を見る淳と、その視線を受けた雪の表情だった。

「あの怯えた顔が思い出せない?」



男は言葉を続けた。淳の顔を真っ直ぐに見上げながら。

「”同類”なんかじゃないことは勿論、あの子はお前を理解すら出来ないだろ?

人々が俺のことを理解出来ないように、あんたも」




「あんたも俺と同じなんだよ」



淳は瞬きもせぬまま男の話を聞いていた。

気味の悪い男の瞳と、淳の大きな瞳が真っ直ぐに向かい合う。

「あの子がお前を見つめる視線が、他の女達が俺を見る時の目つきと同じだから」



自分とは異質なものを見る時の、怯えたようなあの視線。

男は何度も女達からそんな視線を送られた。あの時雪が淳に送った視線を見て、男はシンパシーを感じたのだ。



淳は勿論男の話など信じなかった。

自分と男が同族なぞ、およそ考えも及ばないところだ。

しかし男が言及した雪の視線‥。無意識下で、淳の心の扉がギシリと軋む。



淳は再び男を蹴った。

痛みにあえぐ男の悲鳴がその場に轟く。



淳は腹を抱えてのたうち回る男を見下ろしながら、幾分苛立った声のトーンで口を開いた。

「よく喋る‥。腹を立てさせようと思って言ったのなら、お前の作戦は成功だな」



男は喘鳴を上げながら、壁に手を突いて上半身を起こした。もう一度口を開く。

「へへ‥へ‥もっと言ってやろうか?」



男の口角が上がるのを、その横顔に知ることが出来た。

男は肩を小さく上下に揺らす。震えているのではない、嗤っているのだ。

「なぜこんなことが言えるのかって?俺はお前の未来が見えるからさ。

これから先の将来に、周りに誰もいないあんたの姿が見えるからさ」






そうして男は淳に呪いをかける。

独りぼっちで暗闇に座る淳に、その将来を予言するように。







「いつかあの子はあんたに背を向ける。絶対に」




クックック、と不気味な嗤いが路地裏に響く。


言い渡された暗い未来に、淳の瞳が吸い込まれて行く‥。













その頃雪は、刑事におぶられて車へ向かっているところだった。

聡美が心配そうな顔で雪の背中を擦る。

「道路工事してるので、車まで少し歩かなければなりませんね」



すいません、と雪が謝る。刑事は首を横に振った。

病院に着いたらまず応急処置を‥と言いかけた刑事の耳に、通りの向こうから悲鳴が聞こえた。



続けて何かを叩く様な音がし、雪も聡美も身を縮めた。

刑事がおぶっていた雪を下ろし、彼女らに指示を出す。

「悲鳴が‥!少しの間ここに座っていて下さい。二人とも身動きしないように!」



刑事はそう言ってから、現場へ急行した。聡美と雪が身を寄せ合う。

「なになに?!マジで犯人捕まったの?!」



そう言って見つめる先には、太一の姿があった。亮の姿もだ。

しかしよく見てみると、ご近所さん達は太一を犯人と勘違いしてポカポカ殴っているのだ。亮も右往左往している。



聡美は居てもたってもいられなくなり、雪をその場に座らせ、自分は立ち上がった。

「ちょっとあたし行って来てもいい?!雪大丈夫?!」



雪が頷くと、聡美は五分以内に戻るからと行って駆け出した。

なんだか一気に力が抜ける。

「どーなってんの一体‥」



息を吐くと、足首の鈍痛に意識が行く。そこはパンパンに腫れ、ズクズクと鼓動に合わせて痛みを刻んだ。

ヒビは入ってないようだが‥。

雪は、はぁ‥と溜息を吐いて膝を抱えた。なぜこんな目に合わなければいけないんだろう‥。



雪の心はどんよりと重く沈む。

そしてふと、今自分がどこに居るのかを意識した。見覚えのある細い路地‥。



雪はあの路地の隙間で人間の手を見たことを思い出した。

そしてその後味わった、あの居心地悪い彼との時間も。



雪の脳裏に”まさか”が浮かぶ。

「‥‥‥‥」



雪は痛む足を引きずりながら、その細い路地へとゆっくり歩いて行った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<呪い>でした。

方向性は違いますが、変態男と淳の”周囲から理解されない者”という同一点が問題になってましたね。

そして不吉な呪い‥。この先を予言するような言葉でした。

太一と亮はまだワチャワチャしてますね 笑 



次回は<無慈悲>です。

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8 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (JUN)
2014-01-30 03:16:59
はじめまして!去年の春ごろ、日本版のウェブトゥーンでチーズインザトラップにはまりました!
一気に読んでしまって、その後は週1の更新が待ちきれず、
本家韓国のウェブトゥーンを見ていました。
といっても韓国語はさっぱりわからないので、絵だけみて
なんとなく話の展開を雰囲気だけ感じて、
日本語版の方が更新されて確認していました。

そんな時にこのブログを探し当てて、毎回楽しみにしています!

時系列にまとめてあって、すごくわかりやすくて、このブログも一気に読んで、今までちょっとわかってなかった箇所や勘違いしていた箇所、
忘れてしまってたエピソードなどが明確になりました!

更新、大変だと思いますががんばって下さい!
楽しみにしています。
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こんにちは! (Yukkanen)
2014-01-30 09:45:13
JUNさん

初めまして!JUNさん、我らが青田淳と同じ名前でらっしゃるじゃないですか~!ようこそ当ブログへ!^0^

真夜中のコメ、ありがとうございます!
およそ二年前、私もJUNさんと同じ道を辿ってチートラにはまりました。
韓国語が読めないの、もどかしいですよね~!

頑張って更新して行きますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
また遊びに来て下さい!
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Unknown (ゆきな)
2014-01-30 10:05:21
チートラの続きがすごく気になって検索をかけてみたら、このサイトにたどり着きました!青田先輩と雪ちゃんの絡みが好きです。この二人にはうまくいってほしいですが、いまのところ先行きが読めず不安です(>人<)

ここは毎日更新していらっしゃるのでしょうか?
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ああ~ (ちょびこ)
2014-01-30 11:49:48
あんな変態ブサイクと同じと言われた淳坊っちゃま!
横山や健太、佐藤から妬まれはしても、
汚物のよーなヤツから、まさかの同族扱い。

コイツの言うコトだけは聞き捨てなりませんでしたな。もうちょっとジックリ話し合ってみたら、案外2人気が合ったりして。
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Re:Unknown (yukkanen)
2014-01-30 12:26:33
ゆきなさん

こんにちは!はじめまして!
管理人のyukkanenと申します。ようこそー!
チートラ面白いですよね~!先の読めない展開に、もうドキドキしっぱなしです。

当ブログはおかげさまで毎日深夜一時に更新させて頂いてます。またお時間のある時にでも、遊びに来て下さいね(^O^)
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まったく! (yukkanen)
2014-01-30 12:33:15
姉さま

淳さまとあの変態が同族なんて笑止千万!ですよね(主に顔面)
性癖は変えられないと言いますから、あの変態はこれから先も犯罪を繰り返すでしょうね。
そして先輩の歪んだところが雪ちゃんによって正される日は‥来るのかなぁ‥σ^_^;
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絶対来ると私は信じてます (CitT)
2014-01-31 16:03:20
>先輩の歪んだところが雪ちゃんによって正される日は‥来るのかなぁ‥σ^_^;

来ます!だって最近の展開を読んでいると雪が淳化してるし、淳も雪化してるから!(自分かっての考え)
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断言キタ! (Yukkanen)
2014-01-31 21:14:23
CitTさんすごい自信!ww

というか来てくれないとここまで連載した意味は何だったんだ~と地団駄踏みそうです、私。
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