Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

理性と感情

2015-06-08 01:00:00 | 雪3年3部(夜更けの治療~影響)


ダメージ、と呼ばれて振り返ると、すぐ傍に河村亮が佇んでいた。

石のように固まった雪だったが、次の瞬間何事もないような顔をすると、くるりとUターンをする。

「あ~~~~~~~っとさり気なく去るぅ‥「何してんだ?」



冷静に入る亮のツッコミ。ダラダラと汗を流しながら、雪は思った。

そうだった‥大学で出くわす可能性もあるんじゃん!



えーっと、と尚も曖昧な言葉を口にしながら固まる雪。亮の方を向くことが出来ない。

そんな彼女の後ろ姿を見ながら、亮は気まずそうに頭を掻いた。

「ん‥」







背中に感じる亮の気配。

ジャリ、と雪に向かって一歩踏み出す音を、耳が拾う。



二人きりで会うのはまずいと、頭が言っている。

けれど急に態度を変えるのもおかしい、とも考える。理性と理性が、せめぎ合っていた。



雪は覚悟を決めると、ヘラッと笑いながら亮に向き直る。

「あの‥傷の方は‥」「なんだぁその顔?!マジでクソ色だぞ?!」「はぁ?」



クソ色って‥。雪は青筋を立てながら、亮に向かって口を開く。

「今の河村氏に言われる筋合いないですけど?!鏡見ます?」「は~?オレはこんなん一瞬で治るっつの」



「薬も塗ったしよ」



亮はそう言って、ポリポリと頬を掻いた。どうやら薬は無事亮の手に渡ったらしい。

ふ、と息をついた雪は、いつもの口調で彼を責め立てる。

「てか二人ともマジで何なんですか?!ガキなの?!アホなの?!」

「お‥男なら喧嘩の一つや二つ‥。

じゃあお前は喧嘩しねーってのか?!今回は見逃してくれって!」




そして亮はニヤリと笑うと、得意気になってこう言った。

「つーかよぉ、どっちが勝ったでしょ~か?!」「もう一回殴られたいですか?



今にもパンチを繰り出しそうな表情の雪。

亮は「ちぇ。つまんね」と言いながらキャップを被り直す。



雪はそんな亮をじっと見ていた。

この人とどう接すべきかを考える理性と、自分はどうしたいかの感情の狭間で。



亮はいつもどおりだ。いつもどおり、飾らない態度で雪の前に居る。

つーか聞いて怒んなよ。オレの勝ち。マジでw



ふと、河村静香の声が甦った。

あたしの弟もゾッコンだしー







ぐっ、と思わず息が詰まる。

今日は、亮が自分を好いていると気づいてから、はじめての二人きりシチュエーションなのだ。

理性が自分に言い聞かせる。

距離を置くべきなのかもしれない。 おそらくそれが正しい。



だけど‥



脳裏に、思い出の数々が浮かんで来た。

塾でも、



下着泥棒の時も、



うちの家族が和解する時も手助けしてくれたこの人を、



そして、私以外に親しい友人も残っていなさそうなこの人を‥



私のこと好きらしいって‥仮定だけで見放すのはー‥



考えれば考える程、理性を働かせれば働かせる程、感情がそれにブレーキを掛ける。

浮かんで来るのは、忘れられない彼の泣き顔ー‥。




雪はその場に佇みながら、黙って下を向いていた。

一歩踏み出すことも、後退することも出来ないまま‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<理性と感情>でした。

亮さんのイケメンっぷり‥!傷だらけでもかっこいいな‥。




そして雪ちゃんの律儀さが際立つ回でした。

亮の気持ちに気づいた以上、知らないふりは出来ないんですよねぇ。

ていうか、淳は亮の気持ちに気づいてるのか?私は実は気づいてないんじゃないかと思うんですが‥。

(淳を困らせるために雪に近付いてると未だに思ってるっぽい‥)

皆さんはどう思いますか~?


次回は<君だけは>です。


人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!

彼の寂しさ、彼女のストレス

2015-06-06 01:00:00 | 雪3年3部(夜更けの治療~影響)
「ぐわあああああああああ!」



志村教授は、力いっぱい亮の髪の毛を引っ張った。いくら喧嘩慣れした亮でも、この攻撃は堪らない。

「ちょ待って!オレ怪我人!怪我人っすから!!怪我人!」

「この大馬鹿モンがぁ!もうくたばってしまえ!」

「それでも髪はダメ!髪は!!」



M字の悲劇だけは避けたい亮は、必死の抵抗だ。

教授はようやく髪の毛から手を離すと、亮の手を取った。

「手は?!」「正常っすよ!正常!」



ボカン!



亮の頭に、思い切りゲンコツを食らわせる志村教授。

その根底にあるのは、亮への心配だ。

「またピアノ弾けなくなったらどうするつもりだ?!

お前には警戒心というもんが無いのか?!しっかりしろ!この野郎!」




スンマセン、と小さく呟きながら、亮は痛む頭を押さえてうずくまった。

視線の先に、ピアノのペダルや脚が見える。

 

もうここでの練習も、こんなやり取りも、出来なくなるかもしれない‥。

亮は縮こまった姿勢のまま、小さな声でこう言った。

「これから‥来れるかどうか‥」

「なんだって?」



教授には聞き取れない程の声。

亮は膝を抱えた格好のまま、小さく首を横に振った。

「いえ‥」








「ぐうううううっ‥」



胃もたれに加えてストレスで胃がキリキリと痛む。

ストレスの原因は、もちろんあの人だ。

柳瀬健太‥アイツッ‥



雪はプルプルと震えながら、先程の健太と佐藤のやり取りをもう一度思い出した。



「そこ、入るとどんなメリットあんの?!」



雪と佐藤が入会した財務学会に、案の定健太も入りたいと言って来た。

無理ですと何度言っても、健太は譲らない。

「俺も入れてくれよぉ!!

そこの担当者に言ってくれりゃいーじゃねーか!」




後輩二人を足がかりにして強引に入ろうとする健太。

しかし佐藤は論理的に言い返す。二人の言い合いが始まった。

「俺だってテストをパスして入ったんですよ!

入ろうと思って入れるもんじゃなくて、志願期間内に志願書出して、

財務常識のテストをパスしなきゃいけないんですって!」




「そこにお前ら二人共居るってのに、俺を入れることは出来ないってのか?!

志願期間過ぎてたって一人くらいねじこめんだろ!」




「あそこは俺達だけじゃなくて大学院や社会人の先輩達も居るんです!

一人くらいねじこめるとかそういう問題じゃないんですよ!入りたいなら自分の力で入るべきでしょう?!

赤山はそうやって入ってますよ?!」


「俺が入れないなんて誰が言った?!入りたくても志願期間が終わってるって今お前言ったじゃねーかよ!



モウヤメテ‥と雪は小さく声を掛けるも、二人共全く聞いていない。

日頃からの恨みも相まって、すっかりいつもの口喧嘩だ。

「つーかお前さっきから何?その言い方。文句あんのか?!」

「別に普通じゃないですか。それより俺のノートPC返して下さいよ」

「んだとぉ?!」



頃合いを見て、雪が二人の間に入る。

さながら普段の青田淳ポジションだ。

「二人共止めて下さい‥」



健太の苛立ちはおさまらない。

ブルブル



「つめてーのなマジで!先輩を牽制なんかしやがって!

財務学会ごときにも入れてくれねーなんてよぉ!」




健太の怒号が青空に響く。そして佐藤と健太の口論は決裂したのだった。

「お先」「世知辛い世の中だぜ!ありえねーっつの!」



そして、間にポツンと立たされる雪‥。

「‥‥‥‥」






キリキリと胃が痛んだ。イライラはMAXだ。

雪はお腹を抱えるような格好で構内を歩く。

耐えろ‥耐えるんだ雪‥。てかどいつもこいつも‥



朝から気を使いっぱなしの今日。雪は心の中で本音を爆発させる。

自分の勉強だけに集中したいっつーのマジで!!



くわっ、と目を見開いたその時だった。

「ダメージ」



聞き慣れた低い声。

振り返ると、そこに彼が居た。



河村亮は傷だらけの顔で、雪のことをじっと見ていた。

避けてきた人物がいきなり目の前に現れて、雪は思わず石になる。

ピシッ‥。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<彼の寂しさ、彼女のストレス>でした。


最後の石雪ちゃん。



石になるのはこれで三度目かな?笑

ちょっと集めてみました↓



和美にざまーみろと中指立てた後。




横山にF◯ck!と中指立てた後。


他にもあったかな?見つけたらご一報下さーい^^;

2019.7

コメント欄にてチュロさんが、新たな石雪を発見して下さいました!


先輩からのメールにルンルンからの、静香登場で石雪に!

チュロさん、ありがとうございました


次回は<理性と感情>です。


人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!

健太襲来

2015-06-04 01:00:00 | 雪3年3部(夜更けの治療~影響)
ドスドス、と足音を立てながら、柳瀬健太は構内を闊歩していた。

携帯を見ながら歩く健太は、どこか不満そうな面持ちである。



「あーもう柳のヤツどこにいんだよっ。

どいつもこいつも俺のこと避けやがって‥クッソ」




ツレナイ学科生達にブツブツと文句を漏らす健太。

そんな矢先、見覚えのある二人が目に留まった。

「お?」



「おおお~?こりゃまたどういう組み合わせだぁ?」



そこに居たのは佐藤広隆と赤山雪だった。同学科とはいえ、あまり接点のなさそうな二人なのだが‥?



そんな健太に見られていることなど露ほども知らない雪と佐藤は、経済についての話を真面目に議論していた。

「あそこって今は信用格付が安定してるけど、

もうすぐ否定的に変わるって予想されてるだろ?」


「ですね‥世界的な経済停滞の影響が大きいですよね」



まだまだ話し足りないといった二人。互いの空講時間について話し合う。

「そうだ先輩、次の授業何時からですか?」

「10時。1コマ空講だよ」「あ、私もです‥」



そして二人の平和な時間は、ここで終わりを告げたのだった‥。

「おーい!そこの二人!」




シャラララ~ン




ガーン‥



露骨に感情を顔に出した二人を見て、健太は上から凄んで見せた。

「何だその反応はぁ。先輩が挨拶してんじゃんかよぉ」

「オハヨウゴザイマス‥」



健太は二人をジロジロと見ながら、その不思議な組み合わせに疑問を持つ。

「てかこんな早い時間に二人して何の用だぁ?マジ予想外な組み合わせだな‥

赤山ぁ、まさか青田の居ない間に‥ww」
 「ったく‥財務学会があったんですよ!」

 

ニヤニヤと笑う健太に、佐藤が青筋を立てて言い返した。雪が健太に話題を振る。

「てか、先輩こそ院に何の用なんです?」「俺は特講と‥まーあれやこれやだよ」



健太は自分の話もそこそこに、先程佐藤が口にした財務学会に興味を示した。

「つーか財務学会って?!うちの大学にそんなんあんのか?」



しまった、という表情の雪と佐藤。そして健太は案の定、そこに食いついて来たのだった‥。

「そこ、参加するとどんなメリットあんの?!」



サーーーーッ







ところかわって、都内にある某企業ビル。



朝のミーティングが終わってからの僅かな休憩時間。青田淳は窓辺に腰掛けて携帯を眺めていた。

その横顔は傷だらけ。腫れた瞼や無数のアザが、痛々しいほどだ。

 

そんな彼を遠巻きに眺めていた女子社員達が、恐る恐る声を掛ける。

「大丈夫ですかぁ?」



淳は彼女達の方を向いて、力無く微笑んだ。

口角を上げると、傷口がチクチク痛むが。



そしていつもなら淳の笑顔に色めき立つ彼女達も、さすがにその傷だらけの顔にはときめかないらしい。

「や~んも~ど~なのよアレ~。イケメンなのに~」



上辺だけの付き合いの人間など、見た目が変わればすぐに態度を変える。

淳は普段とは違う、そんな周りの人達の反応を一つ一つ目の当たりにした。



先程の上司の態度だって、あまりにもあからさまだった。

「きっ君ィ!一体どういうこと?!」

「酔っぱらいに絡まれまして‥。すみません」



「きっ‥気をつけるようにっ‥」



誰も本当の自分なんて知らない。

当然ながらそのことに、今日は否応なく気付かされる。



不意にポケットの中の携帯が震えた。取り出して見ると、雪からメールが届いている。

うわぁぁ!健太先輩登場ぅぅ!うわぁぁ!



そのどこかコミカルな文面に、ふ、と笑いが出た。

柳瀬健太に困惑する雪の表情が、目に浮かぶようだ。



彼女だけは、本当の自分の一片を知っている。

昨夜傷だらけの自分を抱きしめてくれながら、”私達は皆違うだけ”と、自身を肯定してくれた‥。








微笑みながら携帯に目を落としていた淳だが、

続けて受信したメールを見て、その表情は固く戻る。

今日中に実家に顔を出しなさい



父からのメールだった。

傷だらけの自分の姿が、まるで見えているかのようなタイミングでの呼び出しだ。



通路で休憩を取る社員達に、上司が大きな声で鼓舞する。

「さー皆、仕事仕事!」



無能な上司、上辺だけの付き合いの同期、手柄を横取りしようと近寄る人間‥。

舞台は違えど、環境というものはさほど変わらない。

健太に苦労する雪も、会社の高層階で空を見ている自分も、同じものだ。



淳はゆっくりと立ち上がり、自分のデスクへと歩を進めた。

今夜は就業後、実家に寄り、小一時間説教を受けるはめになるだろう。



これが現実。そしてこれがずっと続いていく。

淳は父の事を考えながら、ポツリと一人呟いた。

「やっぱりどこにでも目があるんだな」



河村姉弟がいなくなっても、大学に入っても、そして会社に入った今も尚、それは同じだ。

父は息子を監視し続けている。


おかしな子供を見るような目つきで。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<健太襲来>でした。

蒙古襲来、みたいな印象ですね。健太襲来‥。

もうなにか面倒なことが起こる想像しか出来ません‥^^;


次回<彼の寂しさ、彼女のストレス>です。



人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!

隣の佐藤君

2015-06-02 01:00:00 | 雪3年3部(夜更けの治療~影響)


本日は気持ちの良い秋晴れ。

しかしそんな抜けるような空の下で、赤山雪は眉間にしわを寄せていた。



お腹の辺りを押さえながら、優れない顔色で一人思う。

胃もたれが‥昨日の夕飯かな‥。てかあの雰囲気で食べれた私ってスゴイ‥

お腹がイタイ‥しかも疲れ取れないし‥。




悪いのは顔色と身体だけではなかった。心まで様々な気掛かりが押し寄せる。

てか蓮のヤツ、薬はちゃんと渡したでしょうね?

私から直に渡すのはちょっとね‥。二人きりってのはさすがにマズイ‥


 

亮への気遣いのみならず、今の状況下で自分がどう振る舞えば良いのかにも気を配らなければならず、

雪の思考はグルグルと渦を巻く。

きっと先輩と同じくらい怪我してるんだろうけど、あの人の性格上放っとくに決まってるもん‥。

あ、てかてか今日先輩会社で大騒ぎなんじゃないの?もうっ 二人共後先考えず一体何やってんのよ!




心の中で爆発する二人への不満。

‥ていうか私も自分のことで手一杯なのに何やってんだか‥。頭イタ‥



そしてそんな二人に振り回される自分への不満。

雪は溜息を吐きながら、大学院の方へ歩いて行った。







そこはまだ朝早い時刻だというのに、沢山の人で賑わっていた。

わぁ‥大学院にこんなとこあったんだ



暫し驚いた後、ガラス戸を開けて入室した。雪は担当者らしき人物に向けて口を開く。

「おはようございます。ここが財務学会で‥」



最後まで言い切る前に、視界に入って来た人物を見て雪は言葉を飲んだ。

「あれ?佐藤先輩?」 「え?赤山‥」

 

そこにいたのは、経営学科四年の佐藤広隆だった。

担当者は笑顔を浮かべ、雪に向かって口を開く。

「お知り合いですか?それは良かったですね。

赤山雪さんですよね?時間ピッタリですよ」




「お会い出来て光栄です。財務学会MSTAへようこそ」

「あっ、はい。ありがとうございます」

「では佐藤君の隣に座って下さい」



はい、と雪は返事をした後、佐藤広隆の隣に着席した。

漂うのは、そんなに親しくないのに隣にされてしまったという、なんとも気まずい雰囲気‥。



そして雪が座るやいなや、担当者からの説明が始まった。

「志願書には全セッションに参加可能と書いてありますが‥大丈夫ですか?」

「あ、はい!なんとしても‥



「ひとまず今日から毎週金曜の午前は企業別財務諸表、または討論を行います。

土曜の午前は最近の企業イシューを個々に分析する時間になっています。勿論全ての活動は英語で行いますので」


「はい‥」



英語で発表‥。覚悟はしていたが、これは相当大変そうだ。担当者はそんな雪の表情を見て、柔和な態度で話を続ける。

「少しハードに感じられるかもしれませんが、現在金融機関で働いている先輩達からのアドバイスも聞けますし、

コンテストや資格証の準備をする時も有利ですから、根気強く取り組めばとても役に立つでしょう。

ですが、出席が足りなかったり準備不足が続けば除名しますので覚悟して下さいね」


「はい。分かりました」



雪がそう返事をすると、担当者は笑顔で頷いた。

「その他詳細につきましては、隣の佐藤君に聞けば良いでしょう」「ハイ‥」



担当者からそう言われても、佐藤は雪の方を見もしなかった。

ただ軽い咳払いをしだけだ。

佐藤先輩がここにいるとは‥



雪は佐藤の横顔をちらと見ながら、ソワソワと落ち着かない気分になった。

やっぱり皆水面下で頑張ってるんだな‥。

私ももうすぐ四年だし、もっともっともっとしっかりしなくちゃー‥




雪の心はじわじわと焦り始めた。

財務学会に受かったことに満足してちゃいけない。更に前進し続けなければー‥。




 

その後、入会初日の雪は見学だが、その他メンバーは通常通りの活動を始めた。

全て英語で行われるやり取り、慣れない状況‥。覚悟はしていたが難しい。

  

そんな中、佐藤広隆のプレゼンが始まった。佐藤は流暢な英語で、サクサクと説明を進めて行く。

雪は手元の資料とホワイトボードを見比べながら、流れに付いて行くのに必死だ。



佐藤は涼しい顔をして丁寧な仕事をしていた。

しかしその陰には、おそらくたゆまぬ努力があるのだ‥。



雪は今まで意識することのなかった佐藤の勤勉さを目の当たりにし、その説明に聞き入った。

そして佐藤は一つのミスもしないまま、その流暢なプレゼンを終えたのだった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<隣の佐藤君>でした。

ちょっと他の漫画のタイトルをパロった題名にしてしまいました^^;ははは‥。

最後の方は絵しか無いので、優秀な佐藤先輩の描写はほぼ私の想像です。あしからず‥。
(でもきっと佐藤先輩はかなりデキる子だと思う!)


次回は<健太襲来>です。


人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!

蓮の勘

2015-05-31 01:00:00 | 雪3年3部(夜更けの治療~影響)
喧嘩の翌日、蓮の前に現れた河村亮の顔は、見事に腫れて傷だらけだった。



その顔を見て、蓮はあんぐりと口を開ける。

「ひょえ~」



「亮さんなにその顔!マジパネェ!」

「オレ今日そのまま大学行くわ。この顔じゃバイト出来ねーし」

「なんでねーちゃんがこれ渡せって言ってんのかと思ったら!」



「受け取って」と言いながら、

蓮はビニール袋に入ったそれを亮に差し出した。



そこには薬やバンドエイドなど、怪我を治療する為のものが沢山入っていた。

「これ‥ダメージが?」「こっち座んなよ!薬塗ってあげるわ



そう言う蓮に、亮はげんなりして舌を出す。

「げーっ何言ってんだ鳥肌立つっつの」

「亮さん、ねーちゃんの彼氏さんと喧嘩したんでしょ?」



蓮の指摘に、亮は思わず言葉に詰まった。恐る恐る聞く。

「‥ダメージがそう言ってた?」

「んーん。でもねーちゃんがこれ渡して来た時点で明らかじゃん」



蓮は話を続けた。

「知らないとでも思ったー?晩メシん時も、そっぽ向きながらも火花バチバチだったじゃん。

父さん母さんも、「二人共外見と違って子供っぽい」っつってたし」




蓮だけでなく、両親にまで見透かされていたとは‥。

亮は返す言葉もなく、居心地悪そうに舌打ちをして俯いた。



蓮は軽い口調で、思っていたことを更に続ける。

「まー亮さんなら「だよね」って感じだけどー。元々血の気が多いし‥」

「何が「だよね」だよ「でも淳さんに関してはちょっとビックリだよ」

「あぁ?あいつだって同じ人間だろーが」



蓮は首を捻りつつ、以前感じたことをこう振り返る。

「いやだってほら‥前下着ドロん時見たじゃん、

淳さんがヤツをギッタギタにしたとこ」




「あんな事するようには見えないのにな~」



数ヶ月前、夏の終わり。あれは相当ショッキングな出来事だった。

青田淳が引っ張ってきたあの男が、皆の予想を超えた姿で発見されたこと‥。



「マジで死ぬんじゃないかってくらい殴ってたじゃん。

実は血も涙もないよーな人なんじゃないかって‥」




侮れない蓮の勘。彼は赤山家特有の鋭敏さで、あの日の淳に疑問を持った。

そしてそれは今も続いている。

「もしかして義兄さんになるかもしんない人だし、ちょっとな~って」

「ハッ!なーにが義兄さんだよ」



亮は蓮のその言葉に反応し、嫌悪感を顕にした。

蓮はそんな亮を見て、その鋭い勘で彼の感情を感じ取る。



「先にそういうこと言い出したのは亮さんでしょー?

急にどーしたの?何よ、嫌なん?」




からかうようにそう口にする蓮の方を亮は振り返り、軽く彼を睨んで見せた。

「べっつに。つーかオレにグチグチ言うなっつの。

テメーの姉ちゃんの恋愛事情に口出しすんならすりゃいいし、しねーならほっとけっつの」




その亮の言葉に、「ふぅん」と含みのある返事をする蓮。

亮はそのまま「行くわ」と言って、蓮に背中を向ける。

 

「またねー」と手を振る蓮の声を聞きながら、

亮は昨夜淳から送られて来たメールの文面を思い出していた。

あの社長の番号だ。

どう行動すればいいか分かってるな




吉川社長が、宴面屋赤山を探し出すのは時間の問題‥。

それを踏まえた上で、自分がしなければならない行動とは‥。



亮は蓮の方を振り返り、こう聞いた。

「おい!最近店に変なやつ来てねーか?」「んー?来てないよー」



その返事を聞き、幾分ホッとする亮。

蓮もまた亮にとって、このトラブルに巻き込みたくない人間の一人だ。



亮はキャップを目深に被り直すと、一人大学を目指して歩き出した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<蓮の勘>でした。

亮さん、痛々しい‥。でも傷だらけの顔が先輩よりしっくり来てますねー。

そして薬を用意してあげる雪の優しさ!キュンと来ちゃいますね。


次回は<隣の佐藤君>です。


人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!