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畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

「ホヤ」の話

2012-02-07 03:54:42 | 食べ物

 先週の「週刊文春」の連載エッセイに「平松洋子」さんが面白い事をお書きになっていた。
「この味」と言う題での連載で有り、その都度興味深い食べ物の話を読ませて下さる。

 今回はなんと、私の大好きな「ホヤ」の話でした。
私がその味を絶賛しても、友達もいや、家族でも賛意を示した人はいなかった。
     (この写真はずいぶん前だけれど、生のホヤが手に入った際のもの)


 平松洋子さんと、そのお仲間一行が九人で雪の中、「山形美術館」を訪れたそうな。
「鬼海弘雄写真展」の見物がその旅の目的だったと言われます。

 その写真展のお話と彼女の素晴らしい経験談はさておき、次はその夜の宴席での話。
美味しい山型の郷土料理と、美味しい地酒で二本目の一升瓶が空になるころ、
彼女の隣席の男性が「へへへ」とバッグからキャラメルの小箱のような物体を取り出した。

     (これも以前の写真。このように切ると強い海の香りがします)


 読み進めて思わず笑みがこぼれてしまう。
小箱には「三陸 磯の風味 酔明 ほや」と書いてあり、中にはオレンジ色の短冊が。

 名代の酒好きたちが一瞬静まり返り、でも、あちこちから(もっとおくれ)と手が伸びた。
呆けたように、八人がそれぞれ左手を差しだし、右手で盃の酒を舐めたとか。

 「ホヤは、乾いてなお怪しい。
雲丹にも似て、くちこにも似て、ひたすら濃厚一直線。
ほや×雲丹×くちこ、三つ巴のアブナイ不倫関係が露呈した。」


 なんて、さすがにお金の取れる大人のエッセイストの表現です。

 別名海のパイナップルなんて呼び方もするけれどいえいえ、「ほや」は酒飲みを虜にします。
なんでも、デビューは東北新幹線が開通した昭和57年だとか。
他にも「風味無双 滋養豊富」なんて懐かしいような文字も入って一箱340円。

 もちろん震災前のことだけれども、盛岡から帰る新幹線の中で車内販売の売り子を、
いまや遅しとばかりに待ち構え、期待して満載の土産物の台車を確認すると「有った~」。
妻には呆れられながらも数個有ったその「乾燥ほや」を全て買い占めてしまった。

 そして、トイレにと席を立った際に、通路で売り子さんが電話している場面に遭遇。
なんと、彼女は次の停車駅での「乾燥ほや」の積み込みを依頼していたのでした。
買占めの私は危なくって、悪いオジサンだったわけです(笑)。

 ま、久しぶりに我が意を得たと言う感じの話に出会えました。
それよりも嬉しかったことは、私の大好きな「三陸」で、震災にも関わらず作られていたこと。
そうかー、「ほや」も、「ほや」を養殖する漁師さんたちも無事だったのかー。

 また何時の日か、復興し元気になった東北、三陸海岸を訪れよう。
新幹線に乗ったら、懐かしい「乾燥ほや」を真っ先に買い込もう。

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10 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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お早うございます。 (meibi)
2012-02-07 08:12:59
乾燥ほやは食べた事が無いですが、生は食べました。
なんとも言えないムワッとする感じが面白かったです。
食べなれると美味しいですね。
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海のパイナップル! (EPOM)
2012-02-07 13:39:01
私の故郷では大きな缶を持った魚屋さんが来るのでした
ホヤ! 私はもう匂いからして苦手でしたが
父兄は好みまして よく食卓に上っていました
母が一切れづつ青シソの葉にくるんでいましたね
お塩少々 米酢で味付け でした
お酒の肴にぴったりなのですって
私は食わず嫌いです
燻製もありますね ビニール入りでも臭い!(笑)
返信する
ホヤ (おくやん)
2012-02-07 20:47:17
スーパーに並ぶ海産物じゃないですね
検索してみたら土佐日記に登場してますから、希少な美食材だったんでしょう
 越後の銘酒とあわせて、いい晩酌です
返信する
ほや~。 (居酒屋猫まみれ)
2012-02-07 21:08:37
のほほんとした名前は好きなんですが
食べるのはどうも苦手です。
地元のお寿司屋さんで、ものすごく新鮮なのをいただいた事がありますが、…う~ん。
もし、スベルベさんとお食事に行って、ホヤが出て来たら
私の分、ぜん~んぶ差し上げますからね~。ははは。ラッキーでしょ?
返信する
ホヤ (ハハクジラ)
2012-02-08 00:07:23
こんばんは(^^)
昨年より雪が少ないようで良かったですね??
まだ増えるかも(まだ旧の1月)
ホヤ・・・三陸の旅行で頂きましたが??・
乾燥ホヤはまだ食して無いですね。食べてみたい?かな??・ 苦手かも~~。私の分も上げます~~。
返信する
meibi様 (スベルべ)
2012-02-08 12:15:49
 本当にエッセイストって上手く核心を突いて表現すると感心しました。
そうですねー、生は確かに食感はそんなところが有りますね。
生と、乾燥のホヤを並べて酒を飲んでみたいものです(笑)。
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EPOM様 (スベルべ)
2012-02-08 12:19:27
 越後の片田舎、しかも山に近いところに生まれ、
どうしてこんなものが好きなのか自分でも分かりません。
前世は猫だったのかも知れませんね(笑)。
ま、ホヤにご飯と言うのもミスマッチ気味の感が有りますし、
やはり、酒飲みだけの垂涎の的なのかもしれません。
燻製も、茹でホヤもホヤの塩からもなんでも有りますよ。
どれも全て好きなんだから、こりゃ病気なのかも知れません(大笑)。
返信する
おくやん様 (スベルべ)
2012-02-08 12:22:07
 ナマコと同列で最初に食べた人は偉い!
なんて言われますが、そんなに由緒のあるものだったんですね。
酒の味が確実にワンランクはアップします。
今度ネットで取り寄せてみようかなー。
一時期は正月用のしかも私専用の御馳走として、
取り寄せていたものでした。
返信する
居酒屋猫まみれ様 (スベルべ)
2012-02-08 12:25:49
 やはり、新鮮なものは断然美味しいですよ。
妻と札幌の妻の姉夫妻を訪れた時は、義兄が飛びきり新鮮なものを、
仕入れて来て御馳走して下さいました。
妻がホヤが美味しいと言って食べたのは記憶の限りその一度だけ(笑)。
でも、今回のエッセイに有った「乾燥ほや」これはまた特別ですね。
有難いなー、一緒に食べるときは下さるなんてー(笑)。
すぐ横に座っちゃいますからね(笑)。
返信する
ハハクジラ様 (スベルべ)
2012-02-08 12:30:29
 そんなことを言うと叱られるけれども、こっちにしたら平年並みですよ。
今までのところはね(笑)。
今回のエッセイは、三陸でも生産が続けられている。
ほやも、ほやを育てる人も頑張っておられると言うことです。
本当に良かったなー。
今度はハハクジラさんと居酒屋猫まみれさん合同で酒を飲みましょう。
自分の分も入れて、ほやが三人前なんて参っちゃったなー(大笑)。
(追伸)
カレンダーありがとうございました。
携帯メールでお礼を送信したけれども、帰ってきちゃいました。
もちろんその後でメールもしましたが。
ともあれ、大切に使わせていただきますよ。
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