ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

絵のモチーフ「難破船」

2020年02月10日 | 日記

 3月に自分の所属する絵画愛好会が展示会を開くので、僕は作品を3点用意した。その中の1点は、「氷に囲まれた難破船」とした。北極海で遭難した帆船が朽ち果て、氷に囲まれている絵だ。このようなモチーフはアマチュアの作品展ではあまりみない。

 何故、難破船の絵にしたのか。廃墟、廃屋、遺跡、などは、眺めていると、活き活きとしていた栄華の時代に思いをはせ、歴史のロマンを感じる、ということもある。なるほど、廃墟を巡る観光ツアーにはロマンを求める参加者が多くあつまるようだ。僕もそう思うが、なにより、捨てられたもの、朽ちたもの、それそのものに「美」があると思う。絵を描く目的の一つは「美」を追求することだろうが、毎回脚を運ぶ、日展にも、遺跡、廃墟、廃船、に「美」を見出しモチーフにした作品をよくみる。

 僕はずいぶん前から、難破船を絵にしたいと思っていた。嵐など海難に遭遇し、海底に沈んだ船。大航海時代の交易船、船内には金銀財宝が眠っている。タイタニック号、その姿を想像すると背筋がゾクゾクする。19世紀の、ヨーロッパ、ロシアなどでは難破船の絵画が多く制作されている。今回のぼくの作品はそれらの絵画を参考に、想像して難破し北極の氷に囲まれた帆船を描いたもの。

 ところで、難破船の絵などは、暗く、悲劇的で一般にはあまり歓迎されないかもしれない。客間はもちろん、居間にも飾らないだろう。好きな時に取り出し眺めるようなものだ。

 少し話を発展させると、ものごとは、上下、左右、があり成立する。富める者と貧しい者、強い者と弱い者、など常に相反するものが存在する。そしてそれぞれに、意味がある。真理というか「美」がある、と思うのだ。難破船には負のイメージがあるが絵には「美」を感じる。

 絵は「氷に囲まれた難破船」の概略スケッチ。出展作品ではありません。

     2020年2月9日  岩下賢治

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