2021/05/19
ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は毎日出版文化賞、本屋大賞ノンフィクション大賞などを受賞して話題になりました。
『ぼくはイエロー~』を読もうと、図書館で検索したら、なんと260件以上の予約が入っていて当分読めそうもない人気の高さ。
そこで、先に『ブロークン・ブリテンに聞け』(講談社 2020年10月)を読んだのです。これは2018年3月~2020年8月まで『群像』に連載されたエッセイです。
本の紹介では、EU離脱、広がる格差と分断、そしてコロナ禍……。政治、経済、思想、アート、映画、テレビ番組、王室、英語、パブ…など英国社会のさまざまな断片から、激動と混沌の現在を描く、時事エッセイ集、となっています。
英国のEU離脱(ブレグジット)から昨年のコロナまで、もう過去のことになっていますが、あの時の英国はどうだったのか。英国民はどう感じていたのか。ブロークンというのだから、英国は壊れているのか。
ブレイディみかこさんの本は初めてでしたが、それまでの自分が考えたことのなかったものの見方があり、知らない世界があったのだと思わされました。
英国がEUを離脱したときには、まさか本当には離脱はしないだろうと思っていただけにびっくりしました。なぜ離脱したのか、それを支持していた層が多くいたことには納得でした。
英国の貧困層での生理用品の不足、ブライトン大学の新入生歓迎祭でのセックスワーカー支援団体のブースの話など、その率直さに私などたじろぐ感じですが、困っているんだったらもっと率直に語りましょう、話題に取り上げましょうといっているかのようです。
フレイディみかこさんは、保育士として失業者や低所得者の子どもたちを預かる無料託児所で働いていました。自分は労働者階級と書き、そこから英国社会を見ています。
日本も最近は格差社会といわれるようになり、上級国民という言葉も聞くようになりましたが、英国はずっと顕著な階級差が存在しています。
英国でもコロナでトイレットペーパー、食品の買い占め騒ぎがあったのですね。
自主隔離をするから買い物に行けない、流通が止まって食料品が品薄になるだろうという考えは、洋の東西を問わず同じかもしれません。人は自分が生きていくことを優先すると、弱者のことは後回しになるのです。
英国のコロナ事情も興味深いものでした。