僕と猫のブルーズ

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いとうせいこう「想像ラジオ」

2014年03月08日 | Art・本・映画

いとうせいこう「想像ラジオ」を読み終えた。
東日本大震災311をモチーフとした少し不思議な物語、ファンタジーと言っても良い。

あれからもうすぐ3年。この3年間、311関係の本は色々読んだ。
大友良英の対談集、天童荒太、重松清の被災地を巡るドキュメンタリー。
高橋源一郎のエッセイ。
その何れも「東北の外から」「世界に対する向き合い方を変える」
視点で書かれていた。その視点に触れて自分自身も色々考えた。

対して、「想像ラジオ」は少し趣が違う。何より主人公は「当事者」。
そして、ここにあるのはただ・・「想像すること」そして「話すこと」。
誰と?大切な人と、知らない誰かと、そして「いなくなった人」と。

いくつかのシーンが刺さった。感動とかじゃなくて胸をえぐられた。
第二章での「ボランティア」に対する痛烈な批判。これ、まさにオレのことだ。
第三章での「あのこと」があった後、神様を殴りたくなったこと。
オレもそう思った。あんな酷いことを許すなんて何様だ?>神様。
第四章での「不在」についての対話。死んだ父を想い出した。
第五章・・鳴り響く音楽。ボブ・マーリー・・聴いてみたくなった。

311からもう3年、たった3年?この3年間、自分なりに動いた。
でも、この本を読んで自分に決定的に欠けているものが分かった。
。。それは「想像力」だ。「死者との対話」だ。

別にオカルトとか宗教の話をしてるわけじゃない。そんなのキライだし。

自分が東北に行って、目の前にある「人、景色」には想いを寄せていたが、
「いなくなった人、そこにあった景色」について想いをめぐらせていたか?
「あの日」以前にあった筈の「暮らし、景色」について考えたことはあるか?
そこにいた「筈」の人や鳥や虫や花や森や樹と「話そう」としたことはあるか?

オレが見てきたのは「残った」ものだけ。
毎回、東北に行くたびに目の前に広がる荒れ地を「1日のノルマ」のように
片付け少しキレイにしただけ。それだけで終わっていた気がする。
「自己満足と好奇心」を満たし「後ろめたさ」を晴らしただけで済ませていないか?
何より、「死者への敬意、想像力」がそこにあったか?
一番「大切なこと」がすっぽりと抜け落ちていなかったか?

自分では考えていた、想いを寄せていた積りだったが、この本を読んで
「分かっていない」と思い知った。
「ワカラナイ」なら先ずはかんがえる。想像する。そこからはじめよう。
それしかない。

今後も東北に行く。当然。そして、やること自体は変わらない。
東北の復旧、復興の「お手伝い」だ。
でも、ココロの持ちようを少し変えていこう。
わずかながらでも「想像力(ココロ)」を働かせてみよう。

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