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2012-03-28 06:05:53 | 教育
脱「ゆとり教育」最終段階 高校教科書、分量12%増へ(朝日新聞) - goo ニュース

「学びからの逃走」という言葉が言われたのは1990年代半ば。
いわゆる「ゆとり世代」は2000年前半。
「学力低下論争」はその後。
そう見てみる。

ちょっとこの手の論議の土俵に片足をかけてみると、「学びへの回帰」は図られたのだろうか?

以前、私もこの手の話で、ちょっとロジックミスを犯したなと思う部分がある。
それは、「理科教科書」のこと。

生活科導入は1990年代前半の指導要領改訂あたりから。
その後、すぐに「学びからの逃走」がいわれたことを考えると、「理科離れ」「理数離れ」論議などが下地にあった気がする。

私のいっていたのはこうだ。
「生活科導入」は小学校低学年の実質的な理科的内容の削減であって、その後、「ゆとり」による理科の内容の3割程度削減と合わせると、2000年代の指導要領改定後、1990年代以前との単純比較において、実質理科の内容は半減しているのではないか?
それは教科書の量をみても明らかだ。
よって、理科的な内容の「学テ」レベルで見た「低下」は当然である。

しかし、しばらくして私は考え方を変える。
自分の論拠となるデータを探していたのだけれども、それほど優位なデータがないとわかったからだ。
ここに、私の中では「ゆとり=低学力」という図式は崩れている。

今回の教科書増は何を意味するのだろうか?

学テ上、理数よりも問題視された国語についての記述がないので、現時点ではここまでとしたいが、ちょっと気になる点があるので、そちらを記したい。

この朝日の記事は後段、こんな記述を羅列して閉めている。

>週の授業時数が標準の30コマを超えた
>小中学校の学習内容を学び直したりすることが認められた
>指導要領の範囲外の内容を載せる際、分量を「全体の2割程度」と限定した規定も撤廃

「学びの逃走」の問題提起は、「つめこみ型の教育」の崩壊を物語っていたハズだ。
それは、社会的な要請としての人材育成に対して、子どもや若者がノーという態度を示したことだと私は理解している。
「『お勉強』したって、暮らしはよくならない、将来はドロップアウトの機会だらけ、よりよい社会への変革を単純には求められない。」そんな未来への静かで無意識的な失望があった気がする。

「子どものしつけ」のような問題で矮小化されてしまいそうなところを、寺脇らの「ゆとり」による一定の回避行動があったのだが、今の40~50代世代あたりがクラシカルなイメージで、それを否定的にとらえ、「学力」を求めた図式だと私は理解している。
はっきりいうと、「学力低下」なんて、なかったも同然だと思っている。
(これは数値的にも示せる)
それなのに「学力(テスト)強迫症」にかかっている世代の多さが、「ゆとり批判」なるものを生み、結果、1990年代よりも過酷な教室が出現することになってきたのだと思う。

馬鹿な妄想はやめて、少し考えてほしい。
小学校1年生の5月から5時間授業。
高校は4時まで授業をやって、さらに補習や塾へ通う。
そいういうことをやっていて、何が人格育成か?
学力テストレベルでさえ、どのような手立てをとっても全体として二極分化は固定的な状況だろう。
それは子どものせいではないし、ましてや教科書のせいではない。
それから高校で小中の内容を補習せざるを得ないのは、小中の学習内容のせいでも、指導者の責任でもない。

(以下、引用)
脱「ゆとり教育」最終段階 高校教科書、分量12%増へ

図:高校教科書ページ数の推移拡大高校教科書ページ数の推移

 文部科学省は27日、2013年度から使われる高校教科書の検定結果を公表した。「ゆとり教育」から転じた新学習指導要領に基づき、主な10教科の分量は現行より12%増えた。09年度の小学校から始まった「脱ゆとり」の教科書作りが、仕上げ段階に入った。

 今回の検定は、主に高校の1、2年生向け教科書が対象。専門学科も含めて275点の申請があり、1点を除いて合格した。新指導要領に合わせた検定は09年度に小学校、10年度に中学校で実施。高校は学年ごとに進み、14年春に終わる。

 今回合格した教科書のうち、主な10教科(検定を1年前倒しした数学と理科は昨年度分含む)の教科別平均ページ数の合計は2621ページ。現行の教科書より12%、ゆとり教育時代の05年度より16%増えた。教科別で、現行から最も増えたのは数学(27%増)。以下、英語(25%増)▽公民(19%増)▽理科(17%増)▽情報(17%増)と続く。

 学習指導要領を09年に学力向上重視へ改訂したことが増加の要因。週の授業時数が標準の30コマを超えたり、小中学校の学習内容を学び直したりすることが認められた。指導要領の範囲外の内容を載せる際、分量を「全体の2割程度」と限定した規定も撤廃された。