怒りのブログ

憤りを言葉にせずになんとしようか。

寺西隆行(Z会)のとんでも記事

2012-03-07 22:34:16 | 教育
小学校の理科教育は、先生によってこんなに違う!/寺西 隆行(INSIGHT NOW!) - goo ニュース

すごい我田引水と論理の飛躍と誤解や悪印象をまねくデマの数々に一瞬空いた口がふさがらなかった。

英語と理科を同列に扱う暴挙から始まって、世の中の動向に注意せよという煽りともいえる言葉で締めくくっているのは、ちょっと悪意さえ感じる。

高校の理科と小学校の理科の状況を混同して用い、読む者を誤解の世界へ誘っているのが全体の基調。
これはひどい。

>そして…理科的能力の育成に最も大切なスタートライン、小学理科。

の文言は、何を指しているのか、寺西氏も冷静に理解しているとは思えない。
「理科的能力」といいつつ、単なる進学塾であるZ会の状況を引き合いに出して来るのだから、これは「いわゆる受験のための能力」でしょう。
さらに、何を指して「最も大切」なのか?
イメージで話を進めている部分は他にも指摘できるけれど、こういう煽り方ってあこぎだよなぁ。

>平成23年度調査によると、小学校3年生14%、4年生20.3%、5年生31.8%、6年生34.2%の学校で理科担任。
>小学6年生だけ、平成16年からの変化を見てみると、おおよそ、ですが…
>21%→25%→26%→28.5%→32%(H21年)→34%(H23年)
>と増え続けているのです。

の部分も、なぜ増えてきたかの分析もない。
第一、段階的に理科が重視されてきたなんてことはトレンドとして誰も確認していないし・・・。

で、結局、

>以上、いろいろ見てきましたが、
>「小学校の理科教育は、先生によってかなり違う!」
>ということが推し量れるかと思います。

というごり押し。
ま、断言でなく、推量におさめているのは、さすがに詐欺扱いを避けようとしている魂胆が見え見えなのですが・・・。

>この差に(感覚的な)危機感を覚え、制度・仕組み・運用で対処をしようとした結果が、理科担任教員の増加とみることもできます。

こういう推量の書きっぷりはあきらかに誘導なので、やはり悪意か?と思える。

ま、所詮、Z会の宣伝文なので、ケチをつけるのもこれくらいまでにしておいた方がいいのだろうけれど、この寺西という人の発言は、たまにネットで見かけるだけに、気をつけたい名前だなと、そういうこと。

最後に、「理科嫌い」は、統計的には753状況で、高校では「理科嫌い」といえるけれど、小学校では「理科好き」の子どもが多いことがわかっている。
その高校での履修状況や、文系の「理科嫌い」が教員レベルでも繁栄されているのは、いわば当たり前で、そのことを問題視するよりも、そういった中でも、かなり一生懸命な取り組みが小学校教諭の中で行われていることの方が注目してほしいことだ。
教え方の差なんて、それこそ議論するだけ無駄だ。
そんなことをいいだしたら、他の教科でも同様のことが出るだろうし、何の為に担任が学年区切りで代わったり、異動があったり、研究会を積極的に行ったりしているのかわからなくなってしまう。
教員バッシングにさえつながりかねないことを、知ったかぶって述べないでほしいものだ。

塾の営業関係の人は、やっぱり好きになれない。


(以下、引用)
小学校の理科教育は、先生によってこんなに違う!/寺西 隆行
INSIGHT NOW!2012年3月6日(火)10:40
小学校の先生は、国算理社、学級担任がすべて教える…というのが、現在の社会人世代のスタンダードだったかと思います。
しかし今、英語が小学校で必修となり、教科担任制を導入する学校も増えてきました。

これは英語だけではありません。理科もそうなのです。それはなぜか?

…背景に、理科教育の強化と、小学校の先生の「理科好き・嫌い」にかなりのバラツキがあることが。。。

東大数学、今なら解ける!?~そして「ゆとり教育」の反作用への記事中にも書きましたが、2012年高1生…つまり、この4月からの新高1生から、全員が理科3科目必修となります。
「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の4科目のうちから3科目。理系の場合には、この後専門教科として「物理」「化学」「生物」「地学」の学習に入ります。
事前の学校調査により、ほとんどの学校では「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」の履修と考えられましたので、Z会もこれに備え、「理科基礎5days」を2012年度からリリースしています。

この文章だけでも、「うわー学生全体の理科の学力をものすごく強化しようとしているんだな…」とお分かりになるかと思いますが、高等学校でこの強化に備えなければいけないわけですから、当然、小中の学習指導要領や指導内容についても随分変わってきています。

まず中学。社会人の方にはお馴染み!?の「一分野」「二分野」という括りがなくなり、中1・中2・中3での学習内容がそれぞれ一冊ずつの教科書に総合的にまとまった上で、中学3年間で学習する理科の時間数が95時間増!となりました。

そして…理科的能力の育成に最も大切なスタートライン、小学理科。
社会と共に小学3年生から開始する教科で、Z会も小学2年生からの変化に対応するため、「新小学3年生のための理科・社会スタート応援サイト」をつくり、どんなことから始めるのかの説明も行っています。

2011年から始まった、小学の新学習指導要領、理科は、ぱっと見てわかる変化はそんなにないのですが(専門的な内容では、「コンデンサー」を小学生で扱う、など、いろいろあります)。。。

理科を教える先生のあり方はとても変化しています。

この記事をご覧になっている方の世代では、「小学理科の教科担任」、つまり、「学級担任の先生以外の先生」に理科を習った経験のある人は少ないのではないでしょうか…?
しかしいまや、「音楽」や「家庭」などのように、「理科」教科担任をとっている小学校は増え続けているのです。
平成23年度調査によると、小学校3年生14%、4年生20.3%、5年生31.8%、6年生34.2%の学校で理科担任。
小学6年生だけ、平成16年からの変化を見てみると、おおよそ、ですが…

21%→25%→26%→28.5%→32%(H21年)→34%(H23年)

と増え続けているのです。
理科担任をとっているところととっていないところでは、教え方も違うでしょうから…「違う小学校では、理科を“違う教え方”で習っているかもしれない」と思っていた方がいいですよね。
※Z会の小学生コースで学習すれば、誰でも、全国標準+αの学力はつきますが(笑

そんな小学校の理科教育に関して、科学技術振興機構 理科教育支援センターは「理科を教える小学校教員の養成に関する調査報告書」を昨年発表しています。調査したのは、若手教員や教員養成系学部の学生。
大変厚い資料ですので、その中からピックアップして、「(小学校の先生によって、理科の理解度などは)こんなに違うんだ!」ということがわかる情報をご紹介します。

○大学の教員養成課程入学時、「理科」を選択させていたか

小学校の教員養成課程に対応する学部のうち、国公立大学では約70%、センター試験で理科を課しているのに対し、私立ではわずか9%。個別試験でも国公立大学の方が課している割合が高いため、「私立大学出身の小学校の先生は、理科の基礎学力が弱い」可能性が出てきますよね。

○小学校教員は高校時代に理科をどれだけ学習していたか

理科専修ではない先生の、高校時代の理科の履修状況は、物理28%、化学71%、生物83%。物理の履修をしていない小学校の先生が多い、と見ることができ、物理分野の指導法には差が出ると見ていいでしょう。
また、この先生群で物理的内容を「嫌い」「大嫌い」と答えた人が80%いたのも、うなずける話。。。
化学は60%、生物は20%の人が「嫌い」と答えていますので、小学校理科の物理・化学分野については、担当する先生によっては、うまく校外学習を活用しないと、子どもの「理科嫌い」を生んでしまう危険性が…

○理科非専修の先生はどれくらい「理科」が嫌いか

国算理社英を好きな順に並べたときの平均順位をみると、「国語」「算数」は「好き」寄りなのですが、「理科」「英語」は「嫌い」寄り。算数と理科が異なっているところは面白いですね。
逆に、「理科専修の小学教員」では、理科が「一番好き」と答えた人がダントツで多く、専修・非専修の差で教え方が大きく異なることが容易に想像がつきます。

○観察・実験等の指導に関する自信

A:理科専修者、B:理科非専修者、とし、「やや自信がない」「自信がない」と答えた人の割合の違いを見てみましょう。

<虫眼鏡の使い方>A:15%、B:24%
<温度計の使い方>A:3%、B:20%
<電流系の使い方>A:19%、B:52%
<上皿てんびんの使い方>A:15%、B:24%
<顕微鏡の使い方>A:8%、B:21%
<天体望遠鏡の使い方>A:70%、B:90%
<手回し発電機の使い方>A:41%、B:78%
<ろ過の仕方>A:10%、B:30%
<モンシロチョウ・アゲハの飼育>A:57%、B:69%
<アサガオ・ホウセンカ等の栽培>A:41%、B:40%
<動植物の野外観察>A:40%、B:45%
<てこの実験>A:31%、B:58%
<実験レポートの書き方>A:38%、B:68%
<自由研究や取り組み方の指導>A:33%、B:70%

生物分野はほとんど差がないのに比べ、物理・化学分野では大きな差があることがわかります。

以上、いろいろ見てきましたが、

「小学校の理科教育は、先生によってかなり違う!」


ということが推し量れるかと思います。
この差に(感覚的な)危機感を覚え、制度・仕組み・運用で対処をしようとした結果が、理科担任教員の増加とみることもできます。

いずれにせよ、高校の理科基礎(物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の総称)導入をはじめ、公教育の中での理科教育の強化は間違いありませんので、高校生までのお子さんがいらっしゃるご家庭では、学校の理科の授業だけではなく、世の中の動向に注意してください!