今朝方、アイマスゼノグラシアの最終回を見ました。
その勢いで、とっととまとめてしまいます。
アバンタイトル。大宮からタクシーに乗って東京に向かっていたやよいは、ようやく東京にたどりついてドリンクで一服していました。
どこで手に入れたのか、スクーターに乗っていましたが、板橋から築地まで2日もかかってしまったそうです。
そういう状況で、わざわざ春香に会いにきた理由とは……。
アウリンは、ヌービアムを吸収したことによって開き始めており、地軸や地球の磁場に影響を与えています。
それでも整備員のみんなは「身体を動かしているほうが気が楽」と言って、働き続けています。そのようすを見て、真は「みんな元気だな」と言ってました。
その真が、雪歩の容態をそこにいた春香から聞き、命に別状はないと知って安心したような表情を見せていたのがいい感じでした。
過去の呪縛から解かれた真は、本当は心に余裕のある優しい子だったんだな、と。
一方の春香は、自分は誰も守れなかったとちょっと落ち込んでいます。
形としては、みんなを守ったのはヌービアムでしたからね。
そんな春香の「これから、どうなっちゃうんだろうね……」という独り言めいた問いかけに応えるかのように、インベルたちはiDOL同士で互いにデータのやりとり……というか、話し合いでしょう……をはじめました。
Aパート。
雪歩は医務室でヌービアムのことをうわごとで呼びながら眠っていました。
真は、ジョセフさんにあずささんのことを話し、真はあずささんの遺志を継いだのだから強くなって、過去の過ちを未来で取り返しなさいと励まされます。
そして、ジョセフさんと真が司令室に着いたとき、名瀬さんに向かって伊織様が吼えていました。
iDOL同士がやりとりしていたデータを解析すると、「自分たちをアウリンまで連れて行け」という結論になり、そんなのおかしいと伊織様が主張していたわけです。
現在、アウリンはヌービアムだけを取り込んで不安定な状態になっており、
このままでは地球にも壊滅的ダメージを与えるものと推測されていますが、
iDOLたちは自分たちがアウリンに吸収されてそれを安定させ、
しかるのちに自分たちの力でアウリンを消滅させると言っているのです。
それを聞いて、春香はアイを見ながら「……それが、インベルの意思なんですか」とたずねています。
で、結局はその通りにすることになりました。
テンペスタースが連れて行かれるということで、真美は大暴れです。
中身が大人な亜美先輩が必死で真美をなだめていますが、最後はなんかケンカっぽくなってしまいました。
こういうのを見てると、亜美先輩もまだまだ歳相応なところもあるんだなと思ってしまいます。
続いて、最終回にも関わらずシャワーシーン(笑)。
シャワーを浴びているのは真で、今回のことはアウリンまでiDOLを無人で打ち上げるだけだからとか伊織様に言ってましたが、伊織様は「それでいいと思う?」と問いかけて、真の服をかっぱらっていってしまいました。
まあ、何かたくらんでますよね(笑)。
実は、このせいで真はモンデンキントのパイロット服を着せられます。
ヒエムスに会いに行く途中に出会った亜美先輩には似合うと言ってもらえました。
その亜美先輩は、さっきケンカしてしまった真美が引きこもってしまった医務室の前で往生していたんですけど、真美は蛍さんに説得されてテンペスタースとちゃんとお別れをすると言って出てきます。
春香は、十六夜寮があったところに行って、表札を拾い上げ「もう帰るところもなくなっちゃった」と寂しそうにつぶやいていました。
そこへ現れたのが、ペンギン着ぐるみのやよい。わざわざ用意してたのかよ!(笑)
春香は、やよいがこんなところにいるとは思ってませんので「何で……」とたずねますが、やよいは「決まってるじゃない」とさらりと言ってこう続けます。
「春香が電話で泣くのがまんしてたから」
か、かっこよすぎる……。
たったそれだけのことのために、壊滅した東京まで何日もかけてやってきて、さらにそれを誇るでもなく、さも当然のことのように言ってのけるなんて。
これには、春香の涙腺一発で決壊ですよ。
でも、そうやって泣くことによって、春香は不安を拭い去れたのだと思います。
やよい株も、これでどーんと上がったことでしょうよ。
そして、夕焼けをバックに親友同士の会話。
やよいは、春香にアイドルマスターになって後悔しているかとたずねましたが、
春香は「まるで私の心が読めるみたい……」と驚き、自分でもよくわからなくなっていると答えます。以下、ふたりのやりとり。
「私はただ、そのとき自分がしたいって思ったことをしてきただけで……だから」
「じゃあ、OKじゃない」
「えっ、どういう意味?」
「春香はさ、まだ最初のペンギンってことよ。あとのこと考えて身動き取れないなんて、らしくないもん。したいことをする、それでいいじゃん。春香なんだから」
……まあ、ちゃんとあとのことを考えて行動してくれと思う人もいますが(笑)、
春香は完全に善意で動いている子なので、彼女がやらかした不始末のフォローくらいなら任せとけと思えます。
たぶん、伊織様たちも同じことを考えてるはずで。
その伊織様は、整備の人たちが一生懸命作業しているのに、自分だけ手持ち無沙汰でちょっとふくれています。
で、「どうせすぐ壊れるのに……」と千佳子さんに憎まれ口をたたいたりしますが、
「いつでもiDOLをベストの状態で送り出す。それしかできることないからなあ」と千佳子さんが言うものだから、伊織様は何か決まり悪そうにしてました。最終回でもツンデレは変わりません(笑)。
そして、校庭にふらりと出てきたところでやよいと遭遇。
やよいは、伊織様を見てどういう基準でアイドルマスターを選んでいるのかと素で不思議がります。
さらに亜美真美も見つけて、真美におびえられて亜美先輩に
「大丈夫、こわくないのよ。あれはいいペンギンさんだから……」とフォローしてもらったり、りっちゃんにいつぞやと同じように抱きつかれたりしていました。
りっちゃん、こんなときでも平常心を忘れないなあ(笑)。
それはさておき、伊織様と春香は目と目で何やら語り合い、それですべてを理解しあえたようです。
そしていよいよ校庭が開き、地下からiDOLが姿を現しました。
インベルの胸は春香お気に入りのピンクに塗装されています。
非常時にも関わらず、インベルの気持ちを大切にした整備員たちの心意気はほめたたえるべきでしょう(笑)。
やよいは、そんなインベルを見てびっくりしますが、
春香に「うん、私の彼氏」と紹介されて、間をおいてさらに不思議がります。
この「彼氏」という表現が、比喩でもなんでもないところが春香とインベルの絆のとんでもないところです。
いや、伊織様とネーブラも同じようなものですけど、伊織様はツンデレだからたぶん認めません(笑)。
さて、iDOLの発進はマスターが退避してからの予定だったのですけど、
春香たちはそのへんを無視して、自分たちもiDOLと一緒にアウリンまで行こうと決めていました。
さっきのアイコンタクトがそういうことだったのでしょう。
春香は、ジョセフさんたちにこう言います。
「インベルが……インベルが、この星全部のために命をかけてくれるなら、私ひとりくらいは、インベルのために命をかけたいんです」
そして、インベルにも「いいよね、インベル。ダメって言っても聞かないよ?」と言い、インベルはそれにうなずくかのように瞳を輝かせました。
こうして、春香たちは心配するみんなを残してアウリンへ向かっていったのです。
Bパート。
世界の大ピンチに際して、モンデンキント本部でひとり踏みとどまっている響のもとへ、各国首脳からホットラインがつながっています。
響もけっこういっぱいいっぱいのようで、最初は「放っておけ!」と怒鳴ったのですが、「せっかくツキが回ってきたのだから、悪党らしく最後まで悪あがきしてやる」と何か開き直ってました。
たぶん、運よく最後まで生き残れば、地球の英雄になれる可能性があるのでしょう。
客観的に見れば貧乏くじを引かされた状況で、ここまで粘れるのですから、響のこともちょっと評価したくなりました。
アウリンに向かっているインベルたちの前には、おそらくはアウリンがよこしたドロップが迫っていました。
んー、アウリンにも意思があって、iDOLが来ると自分が滅びる可能性があるということを知っているということなのかな。
とにかく、春香たちは「ドロップを迎撃するのが私たちのお仕事!」ということで、みんなで次々とドロップを破壊していきました。
地球で見られるコンペイトウスノーがきれいです。
それを見たやよいが「あそこに春香がいるの……」とつぶやき、
それを聞いたジョセフさんが、春香を止められなかったことをわびようとします。
が、やよいは「仕方ないですよ」と笑いました。
「だって……春香は最初のペンギンだから」
先ほども出てきた「最初のペンギン」という言葉。
それは「危険の待つ海に、群れの中から真っ先に飛び込むペンギン」、すなわち「勇気のある人」のたとえでした。
しかし、それに対して、
「後先考えずに飛び込むって、ただ無謀なだけじゃ……」
と考えずにいられない亜美先輩は、私と同じ感性をもっていらっしゃる(笑)。
ていうか、「デコはバカなの?」と言った真美と双子の姉妹ということが証明されてしまったような。
で、春香たちはようやくアウリンのそばまでたどりつきました。
どうもアウリンにはコアしか入れないっぽいということで、
(真がどうやってそれを知ったのかは不明(笑))
春香とインベルのために、真と伊織様が先輩風を吹かせて道を開いてくださいました。
テンペスタースのコアをアウリンに放り込み、そこに出来た隙間を、ネーブラとヒエムスで強引にこじ開け、インベルを通したのです。
その瞬間、
「やったね、ネーブラ!」
「ありがとう、ヒエムス……」
と笑顔で言い残して、伊織様と真の乗っていた機体は爆発四散しました。
まあ、ベタベタな演出ではあります(笑)。
アウリンの中に入った春香は、iDOLのコアが漂っているのを見ます。
春香は、自分が生まれた地球が小さくなっているのに気づきますが、
同時に、アウリンがかつてインベルが見せてくれた生まれ故郷(の入り口)であることも知ります。
ということは、アウリンが解放されるというのは、iDOLたちの世界に人類が到達できるということだったのかな。
春香は、こんな状況でもインベルに対して「ちょっと怒ってる」とか言い出します。
春香は、インベルと一緒ならどこにいても平気なのですね。
春香が怒っていたのは「地球を守ることを言ってくれなかったこと」でしたが、
インベルはそれを否定しました。
その答えは、整備員の七草さんたちが出してくれます。ようするに、
「本当に助けたいのは春香だけなんだけど、そのついでに地球も助けるつもり」
だったのです。一途というか、アホな子だ……(笑)。
でも、その意思を知って春香は心打たれてインベルにキスしちゃいます。
何げにファーストキスですよね。この瞬間、周囲の空間がピンクに染まります。
春香の好きな色で、インベルも好きになった色です。
このときに、たぶん春香はずっとインベルと一緒にいることを心に誓ったのだと思いますが、
インベルは、「これだけでいい」と言って、春香のリボンを片方だけもらいます。
そして、インベルは春香をコックピットに乗せ、そのまま強制排除してしまいました。
アウリンに残ったインベルは、春香からもらったリボンを握りしめ、残った力を振り絞って5つのコアをすべて破壊します。
その結果、宇宙に開いたのは……。
インベルが春香に贈った白い花
……あー、このシーンだけでおなか一杯です。
最初、なぜ花なのかピンとこなかったのですが、それとひらめいた瞬間に、こみあげてくる何かを感じました。理屈を通り越して。
そりゃ、亜美真美や、雪歩、伊織様が涙を流すのも当然です。
ああ、あれだけ爆発してても、伊織様と真はちゃんと生きてたんですよ(笑)。
雪歩は、花が開いた瞬間に目覚めて、ヌービアムが約束を守ってくれたといって、滂沱しながらありがとうと言ってました。
そして、春香の無事を知ったときのやよいのセリフ。
「そうだよ春香。勇気を出して海に潜ったペンギンは、エサをいっぱいとって、家族のもとへ……帰ってくるんだから!」
ペンギンは最初からずっと伏線だとは思っていましたが、
春香の行動を規範付ける点で非常に大きな意味合いを持っていたのですね。
子供のころ、いろいろなものを恐れてしまって友達も作れなかった春香。
その春香が、やよいと出会って、ペンギンの持つ勇気を手に入れた。
春香にとって、ペンギンは勇気のお守りで、
だから、やよいは春香を励ますときはいつもペンギンの格好をしてた、と。
そこまで考えると、やよいのやってたことはネタじゃなくて深かったんだなあ……。
で、地球まで帰ってきた春香のアイが、お別れをいうように光をきらめかせながら空に還っていきます。
そのとき、インベルが残した最後の言葉。
「ダイスキ」
そういえば、インベルのほうから告白したのはまだ聞いてなかったのですね。
でも、春香は一通り泣き終えたあと、インベルが残した光のほうへ向かって言い返します。
「……バカ、知ってるわよ。インベル……」
エピローグ。
春香は、やよいとともにアイドルを続けていました。
春香は、アイを手に取って出かけ、例の光のほうへ向かって「行ってきます」とあいさつしました……。
ということでおしまい。
私としては、大満足できるラブストーリーでした。
これをロボットSFとしてみると、けっこう突っ込みどころ多いと思うのですけど、
異星人と人間の女の子の恋愛ものを真面目にやったものとしてみれば、
なかなか深いものがあったと思いますよ。
そもそも、花田十輝は「かしまし」でもシリーズ構成を担当していて、
男と女以外の恋愛劇はすでに手がけていたのです。
あれも、世間的には「あのね商法」ばかりがクローズアップされて、あまり評価されてないのですけど、
私は恋愛の精神面を抽出して描いて見せた良作だったと思っています。
アイマスゼノグラシアは、そこからさらに一歩進んで、無機物との恋愛を表現してみせました。
iDOLは、マスターに対して人間らしい反応は示しますが、それが心なのかどうかは客観的にはわかりません。
信じるかどうかは、マスター次第なのです。
これは、人間同士でもいえることだと思います。
他人の心なんて、本当にあるかどうかわからないんですよ。
ただ、自分にそれらしいものがあるから、相手にもあると思っているだけで。
そして、ときに他人の心がわずらわしくなることもあるから、
相手のことをまるで物とか道具のように扱ってしまったりすることもあります。
真がネーブラに対して接したようにね。
そんな中で、春香はインベルの心を信じ、インベルのことを一生懸命知ろうとしました。
こないだの結婚式でも言ってたことなんですが、
「理解されるよりも、理解する人間になりたい」
という心構えは、人間にとってとても大切なことだと思います。
春香は、それを当たり前のように実践できるステキな子で、
だからこそ、あの臆病な引きこもり少年インベルを外の世界へ連れ出すことができたのです。
そのインベルも、最後春香のリボンだけを受け取って地球を救ったところはかっこよかったです。
あの図体ばかりでかくて、頼りなかった少年が、あんなに勇気のある性格になれたなんてと思うと、お兄さん泣けてきたよ(笑)。
ただ、この作品を好きになれるかどうかは、ひとえに春香のことを好きと思えるかどうかにかかっていると思います。
春香って、黒化した雪歩にも言われてましたが、
「言ってることがいちいち偽善者っぽくて、ヘドが出る」
と思われそうでもあるんですよ。
そう思う人は、ここまで私が書いてきた感想もうさんくさく感じているんじゃないですかね(笑)。
まあ、私はこの作品から感じた心地よさを本物だと思ってますよ。
その勢いで、とっととまとめてしまいます。
アバンタイトル。大宮からタクシーに乗って東京に向かっていたやよいは、ようやく東京にたどりついてドリンクで一服していました。
どこで手に入れたのか、スクーターに乗っていましたが、板橋から築地まで2日もかかってしまったそうです。
そういう状況で、わざわざ春香に会いにきた理由とは……。
アウリンは、ヌービアムを吸収したことによって開き始めており、地軸や地球の磁場に影響を与えています。
それでも整備員のみんなは「身体を動かしているほうが気が楽」と言って、働き続けています。そのようすを見て、真は「みんな元気だな」と言ってました。
その真が、雪歩の容態をそこにいた春香から聞き、命に別状はないと知って安心したような表情を見せていたのがいい感じでした。
過去の呪縛から解かれた真は、本当は心に余裕のある優しい子だったんだな、と。
一方の春香は、自分は誰も守れなかったとちょっと落ち込んでいます。
形としては、みんなを守ったのはヌービアムでしたからね。
そんな春香の「これから、どうなっちゃうんだろうね……」という独り言めいた問いかけに応えるかのように、インベルたちはiDOL同士で互いにデータのやりとり……というか、話し合いでしょう……をはじめました。
Aパート。
雪歩は医務室でヌービアムのことをうわごとで呼びながら眠っていました。
真は、ジョセフさんにあずささんのことを話し、真はあずささんの遺志を継いだのだから強くなって、過去の過ちを未来で取り返しなさいと励まされます。
そして、ジョセフさんと真が司令室に着いたとき、名瀬さんに向かって伊織様が吼えていました。
iDOL同士がやりとりしていたデータを解析すると、「自分たちをアウリンまで連れて行け」という結論になり、そんなのおかしいと伊織様が主張していたわけです。
現在、アウリンはヌービアムだけを取り込んで不安定な状態になっており、
このままでは地球にも壊滅的ダメージを与えるものと推測されていますが、
iDOLたちは自分たちがアウリンに吸収されてそれを安定させ、
しかるのちに自分たちの力でアウリンを消滅させると言っているのです。
それを聞いて、春香はアイを見ながら「……それが、インベルの意思なんですか」とたずねています。
で、結局はその通りにすることになりました。
テンペスタースが連れて行かれるということで、真美は大暴れです。
中身が大人な亜美先輩が必死で真美をなだめていますが、最後はなんかケンカっぽくなってしまいました。
こういうのを見てると、亜美先輩もまだまだ歳相応なところもあるんだなと思ってしまいます。
続いて、最終回にも関わらずシャワーシーン(笑)。
シャワーを浴びているのは真で、今回のことはアウリンまでiDOLを無人で打ち上げるだけだからとか伊織様に言ってましたが、伊織様は「それでいいと思う?」と問いかけて、真の服をかっぱらっていってしまいました。
まあ、何かたくらんでますよね(笑)。
実は、このせいで真はモンデンキントのパイロット服を着せられます。
ヒエムスに会いに行く途中に出会った亜美先輩には似合うと言ってもらえました。
その亜美先輩は、さっきケンカしてしまった真美が引きこもってしまった医務室の前で往生していたんですけど、真美は蛍さんに説得されてテンペスタースとちゃんとお別れをすると言って出てきます。
春香は、十六夜寮があったところに行って、表札を拾い上げ「もう帰るところもなくなっちゃった」と寂しそうにつぶやいていました。
そこへ現れたのが、ペンギン着ぐるみのやよい。わざわざ用意してたのかよ!(笑)
春香は、やよいがこんなところにいるとは思ってませんので「何で……」とたずねますが、やよいは「決まってるじゃない」とさらりと言ってこう続けます。
「春香が電話で泣くのがまんしてたから」
か、かっこよすぎる……。
たったそれだけのことのために、壊滅した東京まで何日もかけてやってきて、さらにそれを誇るでもなく、さも当然のことのように言ってのけるなんて。
これには、春香の涙腺一発で決壊ですよ。
でも、そうやって泣くことによって、春香は不安を拭い去れたのだと思います。
やよい株も、これでどーんと上がったことでしょうよ。
そして、夕焼けをバックに親友同士の会話。
やよいは、春香にアイドルマスターになって後悔しているかとたずねましたが、
春香は「まるで私の心が読めるみたい……」と驚き、自分でもよくわからなくなっていると答えます。以下、ふたりのやりとり。
「私はただ、そのとき自分がしたいって思ったことをしてきただけで……だから」
「じゃあ、OKじゃない」
「えっ、どういう意味?」
「春香はさ、まだ最初のペンギンってことよ。あとのこと考えて身動き取れないなんて、らしくないもん。したいことをする、それでいいじゃん。春香なんだから」
……まあ、ちゃんとあとのことを考えて行動してくれと思う人もいますが(笑)、
春香は完全に善意で動いている子なので、彼女がやらかした不始末のフォローくらいなら任せとけと思えます。
たぶん、伊織様たちも同じことを考えてるはずで。
その伊織様は、整備の人たちが一生懸命作業しているのに、自分だけ手持ち無沙汰でちょっとふくれています。
で、「どうせすぐ壊れるのに……」と千佳子さんに憎まれ口をたたいたりしますが、
「いつでもiDOLをベストの状態で送り出す。それしかできることないからなあ」と千佳子さんが言うものだから、伊織様は何か決まり悪そうにしてました。最終回でもツンデレは変わりません(笑)。
そして、校庭にふらりと出てきたところでやよいと遭遇。
やよいは、伊織様を見てどういう基準でアイドルマスターを選んでいるのかと素で不思議がります。
さらに亜美真美も見つけて、真美におびえられて亜美先輩に
「大丈夫、こわくないのよ。あれはいいペンギンさんだから……」とフォローしてもらったり、りっちゃんにいつぞやと同じように抱きつかれたりしていました。
りっちゃん、こんなときでも平常心を忘れないなあ(笑)。
それはさておき、伊織様と春香は目と目で何やら語り合い、それですべてを理解しあえたようです。
そしていよいよ校庭が開き、地下からiDOLが姿を現しました。
インベルの胸は春香お気に入りのピンクに塗装されています。
非常時にも関わらず、インベルの気持ちを大切にした整備員たちの心意気はほめたたえるべきでしょう(笑)。
やよいは、そんなインベルを見てびっくりしますが、
春香に「うん、私の彼氏」と紹介されて、間をおいてさらに不思議がります。
この「彼氏」という表現が、比喩でもなんでもないところが春香とインベルの絆のとんでもないところです。
いや、伊織様とネーブラも同じようなものですけど、伊織様はツンデレだからたぶん認めません(笑)。
さて、iDOLの発進はマスターが退避してからの予定だったのですけど、
春香たちはそのへんを無視して、自分たちもiDOLと一緒にアウリンまで行こうと決めていました。
さっきのアイコンタクトがそういうことだったのでしょう。
春香は、ジョセフさんたちにこう言います。
「インベルが……インベルが、この星全部のために命をかけてくれるなら、私ひとりくらいは、インベルのために命をかけたいんです」
そして、インベルにも「いいよね、インベル。ダメって言っても聞かないよ?」と言い、インベルはそれにうなずくかのように瞳を輝かせました。
こうして、春香たちは心配するみんなを残してアウリンへ向かっていったのです。
Bパート。
世界の大ピンチに際して、モンデンキント本部でひとり踏みとどまっている響のもとへ、各国首脳からホットラインがつながっています。
響もけっこういっぱいいっぱいのようで、最初は「放っておけ!」と怒鳴ったのですが、「せっかくツキが回ってきたのだから、悪党らしく最後まで悪あがきしてやる」と何か開き直ってました。
たぶん、運よく最後まで生き残れば、地球の英雄になれる可能性があるのでしょう。
客観的に見れば貧乏くじを引かされた状況で、ここまで粘れるのですから、響のこともちょっと評価したくなりました。
アウリンに向かっているインベルたちの前には、おそらくはアウリンがよこしたドロップが迫っていました。
んー、アウリンにも意思があって、iDOLが来ると自分が滅びる可能性があるということを知っているということなのかな。
とにかく、春香たちは「ドロップを迎撃するのが私たちのお仕事!」ということで、みんなで次々とドロップを破壊していきました。
地球で見られるコンペイトウスノーがきれいです。
それを見たやよいが「あそこに春香がいるの……」とつぶやき、
それを聞いたジョセフさんが、春香を止められなかったことをわびようとします。
が、やよいは「仕方ないですよ」と笑いました。
「だって……春香は最初のペンギンだから」
先ほども出てきた「最初のペンギン」という言葉。
それは「危険の待つ海に、群れの中から真っ先に飛び込むペンギン」、すなわち「勇気のある人」のたとえでした。
しかし、それに対して、
「後先考えずに飛び込むって、ただ無謀なだけじゃ……」
と考えずにいられない亜美先輩は、私と同じ感性をもっていらっしゃる(笑)。
ていうか、「デコはバカなの?」と言った真美と双子の姉妹ということが証明されてしまったような。
で、春香たちはようやくアウリンのそばまでたどりつきました。
どうもアウリンにはコアしか入れないっぽいということで、
(真がどうやってそれを知ったのかは不明(笑))
春香とインベルのために、真と伊織様が先輩風を吹かせて道を開いてくださいました。
テンペスタースのコアをアウリンに放り込み、そこに出来た隙間を、ネーブラとヒエムスで強引にこじ開け、インベルを通したのです。
その瞬間、
「やったね、ネーブラ!」
「ありがとう、ヒエムス……」
と笑顔で言い残して、伊織様と真の乗っていた機体は爆発四散しました。
まあ、ベタベタな演出ではあります(笑)。
アウリンの中に入った春香は、iDOLのコアが漂っているのを見ます。
春香は、自分が生まれた地球が小さくなっているのに気づきますが、
同時に、アウリンがかつてインベルが見せてくれた生まれ故郷(の入り口)であることも知ります。
ということは、アウリンが解放されるというのは、iDOLたちの世界に人類が到達できるということだったのかな。
春香は、こんな状況でもインベルに対して「ちょっと怒ってる」とか言い出します。
春香は、インベルと一緒ならどこにいても平気なのですね。
春香が怒っていたのは「地球を守ることを言ってくれなかったこと」でしたが、
インベルはそれを否定しました。
その答えは、整備員の七草さんたちが出してくれます。ようするに、
「本当に助けたいのは春香だけなんだけど、そのついでに地球も助けるつもり」
だったのです。一途というか、アホな子だ……(笑)。
でも、その意思を知って春香は心打たれてインベルにキスしちゃいます。
何げにファーストキスですよね。この瞬間、周囲の空間がピンクに染まります。
春香の好きな色で、インベルも好きになった色です。
このときに、たぶん春香はずっとインベルと一緒にいることを心に誓ったのだと思いますが、
インベルは、「これだけでいい」と言って、春香のリボンを片方だけもらいます。
そして、インベルは春香をコックピットに乗せ、そのまま強制排除してしまいました。
アウリンに残ったインベルは、春香からもらったリボンを握りしめ、残った力を振り絞って5つのコアをすべて破壊します。
その結果、宇宙に開いたのは……。
インベルが春香に贈った白い花
……あー、このシーンだけでおなか一杯です。
最初、なぜ花なのかピンとこなかったのですが、それとひらめいた瞬間に、こみあげてくる何かを感じました。理屈を通り越して。
そりゃ、亜美真美や、雪歩、伊織様が涙を流すのも当然です。
ああ、あれだけ爆発してても、伊織様と真はちゃんと生きてたんですよ(笑)。
雪歩は、花が開いた瞬間に目覚めて、ヌービアムが約束を守ってくれたといって、滂沱しながらありがとうと言ってました。
そして、春香の無事を知ったときのやよいのセリフ。
「そうだよ春香。勇気を出して海に潜ったペンギンは、エサをいっぱいとって、家族のもとへ……帰ってくるんだから!」
ペンギンは最初からずっと伏線だとは思っていましたが、
春香の行動を規範付ける点で非常に大きな意味合いを持っていたのですね。
子供のころ、いろいろなものを恐れてしまって友達も作れなかった春香。
その春香が、やよいと出会って、ペンギンの持つ勇気を手に入れた。
春香にとって、ペンギンは勇気のお守りで、
だから、やよいは春香を励ますときはいつもペンギンの格好をしてた、と。
そこまで考えると、やよいのやってたことはネタじゃなくて深かったんだなあ……。
で、地球まで帰ってきた春香のアイが、お別れをいうように光をきらめかせながら空に還っていきます。
そのとき、インベルが残した最後の言葉。
「ダイスキ」
そういえば、インベルのほうから告白したのはまだ聞いてなかったのですね。
でも、春香は一通り泣き終えたあと、インベルが残した光のほうへ向かって言い返します。
「……バカ、知ってるわよ。インベル……」
エピローグ。
春香は、やよいとともにアイドルを続けていました。
春香は、アイを手に取って出かけ、例の光のほうへ向かって「行ってきます」とあいさつしました……。
ということでおしまい。
私としては、大満足できるラブストーリーでした。
これをロボットSFとしてみると、けっこう突っ込みどころ多いと思うのですけど、
異星人と人間の女の子の恋愛ものを真面目にやったものとしてみれば、
なかなか深いものがあったと思いますよ。
そもそも、花田十輝は「かしまし」でもシリーズ構成を担当していて、
男と女以外の恋愛劇はすでに手がけていたのです。
あれも、世間的には「あのね商法」ばかりがクローズアップされて、あまり評価されてないのですけど、
私は恋愛の精神面を抽出して描いて見せた良作だったと思っています。
アイマスゼノグラシアは、そこからさらに一歩進んで、無機物との恋愛を表現してみせました。
iDOLは、マスターに対して人間らしい反応は示しますが、それが心なのかどうかは客観的にはわかりません。
信じるかどうかは、マスター次第なのです。
これは、人間同士でもいえることだと思います。
他人の心なんて、本当にあるかどうかわからないんですよ。
ただ、自分にそれらしいものがあるから、相手にもあると思っているだけで。
そして、ときに他人の心がわずらわしくなることもあるから、
相手のことをまるで物とか道具のように扱ってしまったりすることもあります。
真がネーブラに対して接したようにね。
そんな中で、春香はインベルの心を信じ、インベルのことを一生懸命知ろうとしました。
こないだの結婚式でも言ってたことなんですが、
「理解されるよりも、理解する人間になりたい」
という心構えは、人間にとってとても大切なことだと思います。
春香は、それを当たり前のように実践できるステキな子で、
だからこそ、あの臆病な引きこもり少年インベルを外の世界へ連れ出すことができたのです。
そのインベルも、最後春香のリボンだけを受け取って地球を救ったところはかっこよかったです。
あの図体ばかりでかくて、頼りなかった少年が、あんなに勇気のある性格になれたなんてと思うと、お兄さん泣けてきたよ(笑)。
ただ、この作品を好きになれるかどうかは、ひとえに春香のことを好きと思えるかどうかにかかっていると思います。
春香って、黒化した雪歩にも言われてましたが、
「言ってることがいちいち偽善者っぽくて、ヘドが出る」
と思われそうでもあるんですよ。
そう思う人は、ここまで私が書いてきた感想もうさんくさく感じているんじゃないですかね(笑)。
まあ、私はこの作品から感じた心地よさを本物だと思ってますよ。