山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

6月の葦毛湿原に咲く花たち 愛知県  令和1年6月26日

2019年07月01日 | 圏外編
 名古屋に出張の機会があったので車で出かける途中で愛知県の葦毛湿原に立ち寄ってみた。お昼少し前に甲府を出発し、午後3時ごろには到着できるはずだったのだが、新東名高速から東名高速に乗り換えるところでカーナビ通りに道を進んだつもりが何故かそのまま新東名に乗っている。カーナビが古くて新しく開通した部分の新東名高速がまだルートに入っておらず、気が付けばナビにルートが出てこない。どこで高速を降りればよいのか?新東名高速は山沿いを走る道でトンネルが多くインターがあまり無い。高速を降りたのは目的地よりだいぶ先の東岡崎で、下道を30㎞ほど走ってやっと葦毛湿原の駐車場に到着した。時刻はすでに午後4時、空模様が悪く傘を持って出発である。


    駐車場近くの案内板


    葦毛湿原入り口


    カンアオイの仲間の葉があったが花は見つからず。おそらくイワタカンアオイだろう。


    南方系のシダ、ウラジロが茂っている。


    ヤブランはまだ花芽が見えない。


    ハンカイソウはもう結実していた。

 ひょっとしたらまだ見られるかも?と少しだけ期待していたミカワバイケイソウだったが、花はおろか葉も確認できなかった。あまり予習していなかったこともある。


    植生復旧のために掘り返し作業が行われている葦毛湿原。


    復旧作業のために掘り返された場所


    白い石灰岩がゴロゴロところがっていた。


    見たかった花のひとつ、トウカイコモウセンゴケ。


    午前中しか花を開かないことを予習してきたのでこの時間は当然花は閉じている。


    モウセンゴケ。こちらも同様に花は閉じている。


    ノハナショウブ。初見の花。


    もう終わっているだろうと思っていたカキランが咲き残っていた。


    カキラン


    実はこの花も見るのは初めてである。山梨県にもあったはずだが、現在では見るのはきわめて困難である。


    サワシロギク


    カヤツリグサ科の植物はまだほとんど知らない。


    丸い茎の途中から有茎の花が出ている。


    ホタルイに近いが花が有茎なのがちょっと違うようだ。不明のカヤツリグサの仲間。


    普通に茂っているこの草は?


    花の観察が不十分で正体がわからず。この湿原には三日月草というものが咲くらしいがちょっと違う。これから咲くミカワシンジュガヤか?

 人家が近い場所にある湿原は鹿の食害を全く受けていないように見受けられ、山梨県の状況と比べるとうらやましい限りである。予定では稜線の鉄塔まで登るはずだったのだが湿地内の花散策で2時間を費やしタイムアウトとなってしまった。おそらく気が付かなかった花がたくさんあっただろうし、季節が変わると湿原に咲く花も違う姿を見せてくれるのだろう。機会があるならばもう少し予習してからこの素晴らしい湿原を再訪してみたい。
    


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三ツ峠での高山植物勉強会 その2  令和1年6月22日

2019年07月01日 | 花・花・花
 三ツ峠で行われた高山植物勉強会の続きである。

 花仲間が南部町界隈で着生ランをいろいろ探してきてくれたことがあり、まだ開花していないものもあるのだが今年見た着生ランについて特集し上映させていただいた。


    南部町の梅の木に着生したカヤラン


    マクロレンズで芸術的に撮影


    天候が悪かったが風で揺れなければそこそこに芸術的な画像が撮れるカヤラン。


    これは身延町の七面山山麓で見つかったカヤラン

 カヤランは絶滅危惧ⅠB類であるが沢沿いの空気湿度が高い場所ではそれなりの個体数があることが分かってきた。南部町だけでなく身延町の川沿いでもそれなりに見ることが出来るが高い木の上に生育している個体は双眼鏡で探さなければ見つけにくいことがあって個体数が少ないように見えているのではないかと思われる。


    ベニカヤラン。今年訪問した際に撮影したものはまだ蕾だったため、これは昨年4月に撮影したもの。


    紅色の斑が入っているが全体的には黄色から黄緑色の花


    今年5月に撮影したもの。花は1ヶ月以上咲き続け、変色して紅色に変わる。


    この花の色がベニカヤランの由来であろう。

 ベニカヤランは山梨県レッドデータブック2018年版から新たにⅠB類に登録された植物である。富士山麓の森の限られた場所で生育が確認されている。


    上部はマメヅタラン、下部はムギランが着生している木


    びっしりと着生したムギラン


    トリーミング画像。ムギランの由来となった麦のような偽球茎が見える。これは葉の茎の一部である。中央上方に小さな花芽が見えている。


    満開のマメヅタラン


    別の場所をトリーミング。葉はシダ植物のマメヅタと区別が難しい。

 いずれも絶滅危惧ⅠB類の植物であるが、マメヅタランは2018年版からⅠB類となった。ムギランは他の場所でも数ヶ所生育が確認されたがマメヅタランは私が知る限りではこの木のみである。探せば見つかるであろうがマメヅタとの区別が難しい。


    樫の木に着生したヨウラクラン


    結実したヨウラクラン

 ヨウラクランは今年は大株に出会うことが出来なかった。梅の木にも着生するがどちらかというと樫の木のような常緑の木を好んで着生している。


    梅の木に着生したクモラン。まさに蜘蛛のように葉(根?)を広げる。上方に着生しているのはカヤラン。


    きわめて小さな花芽が出ている。

 カヤランと同じくクモランも梅や柿の木を好んで着生している。個体数はそれなりにあるように思うが山梨県では南部町に限られている。


    シダレザクラに着生したフウラン


    先端が赤っぽく伸びている白い茎が花茎だと思っていたがこれは根茎の一部ということが判明した。

 今年最も期待していたのがこのフウランである。カヤの木と柿の木に着生しているものが確認されているが驚いたのは枝垂桜にも着生していたことである。その後も訪れているが今年は一株も花を咲かせていなかった。来年に期待である。


    渓谷の岩壁に着生したセッコク


    大株もあるが生育している場所は双眼鏡で覗き込んでようやく見えるような遠い位置。


    比較的近場で咲いていた株だが、使用しているレンズは570㎜望遠である。

 着生ランはほとんどのものが高い木の上や遠い岩壁の上に生育しているため、探し出すのは双眼鏡を使って見つけ出すことがほとんどである。撮影も難しく570㎜望遠レンズとフルサイズミラーレスカメラ、さらにエクステンション装着した1,140㎜超望遠レンズが威力を発揮した。動物の食害を逃れて高い場所に引っ越していった着生ランなのに今でも人による盗掘が後を絶たないのが残念である。
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三ツ峠での高山植物勉強会 その1  令和1年6月22日

2019年07月01日 | 花・花・花
 昨年に続いて今年も三ツ峠清掃登山の際に勉強会を担当してくれるように仰せつかり、前日にパワーポイントでスライドを作成して深夜(いや、未明1時ごろまでかかって)出来上がり、保護地の観察会とテンニンソウ除去作業を終えた後に上映させていただいた。熱心な方たちが30名ほどが勉強会に参加してくださり、熱い勉強会となった。今回のテーマは『今年見た絶滅危惧の花たち』で、今年になってから撮り歩いたり新しく出会った花たちのスライドを上映した。

 早川町にフクジュソウの自生地があると聞き、2度目の訪問で満開のフクジュソウに出会えた。この界隈はかつてはニリンソウやイチリンソウのお花畑になっていたそうだが今では鹿の食害によるものか、お花畑はほぼ消滅してしまっている。フクジュソウはそれなりに咲いているがそれでもかなり減ってしまったそうである。山梨県ではフクジュソウとミチノクフクジュソウの2種類が生育しているがこの花を見に行った頃はそんなことは知らず、萼の観察が不十分だった。分布域から見ておそらくはフクジュソウと思われるが来年に課題を残した。


    フクジュソウ(2月 早川町)


    これはフクジュソウ?それともミチノクフクジュソウ?

 トウゴクサバノオは他県ではそれほど珍しく無いのかも知れないが山梨県では絶滅危惧ⅠB類の花である。ネット情報やレッドデータブックの情報で3年前から探していたが、実際に見に行ってみると小型のサンリンソウだったりツルシロカネソウだったりとなかなか見つからず、今年になってようやく出会うことが出来た。この場所に咲くこの花はクリーム色をしていてひときわ可愛らしく感じた。


    クリーム色の小さな花


    3年越しでようやく出会えた花


    トウゴクサバノオ

 コシノコバイモとカイコバイモは今年から山梨県動植物保護条例により新たに特定指定種に指定された花である。ここ数年は毎年のように見に出かけているが、イノシシによる斜面の掘り返しで大打撃を受けた場所があった。一方、3年ぶりに訪問した南部町のカイコバイモ自生地では個体数、生育範囲とも増えており嬉しかった。


    沢沿いの斜面に咲くコシノコバイモ


    もうひとつの自生地は登山道脇に何気なく咲いており、踏まれないように石が置かれて保護されている。


    この場所はイノシシに斜面を掘り起こされ大打撃を受けてしまった。


    思親山のカイコバイモ。訪問時期が早かったこともあるが今年は個体数が少なく感じた。


    南部町の山にある別の自生地では個体数、生育範囲とも増えていた。一安心である。

 山梨県絶滅危惧ⅠB類からⅡ類に格下げとなったコミヤマスミレというスミレがあり、数年前から見てみたいと思っていた。昨年は甲府市北部の沢を訪れたが出会えず、今年は最も出会える確率が高い南部町の沢に入ってみた。意外とあっさりと出会うことが出来たが、ここに咲くコミヤマスミレは葉に白い斑が入っていた。


    南部町の沢沿いで出会ったコミヤマスミレ


    花だけでなく苔の上に生えている斑入りの葉が周りの景色に溶け込んでいてひときわ美しい。


    おまけのスミレ。これでもかというくらいにたくさん咲いていたオクタマスミレを花仲間がシコタマスミレと名付けた。


    花はヒナスミレ似だが葉がギザギザしている。

 山梨県東部の沢沿いに咲くチチブシロカネソウは何度か見に行っているが南アルプスに咲くこの花は何度か探したことがあったが出会っていなかった。今年は山岳連盟の植物観察会に参加した際にこの花に出会うことが出来、さらに別の場所でも発見された。


    南アルプス前衛の山で出会ったチチブシロカネソウ。以外にも沢筋では無かった。


    チチブシロカネソウ。ひっそりと咲いていた清楚な白花。

 山梨県レッドデータブック2018年版ではアズマギクの生育地は富士山周辺になっているが、別の山域にも生育地があってネットに載っている。なかなか訪問する機会が無く今年ようやく出会うことが出来た。


    山梨県北部のカヤト野原に咲くアズマギク


    薄紫色の美しい花


    個体数は決して多く無い。

 今年見たかった花のひとつにハルリンドウがある。ほとんど情報を持っていなかったが、偶然にもスミレを見に行った際にバッタリ出会った花仲間が数日前に見てきたというその花をスマホの写真で見せてくれた。さらには別の花仲間が別の場所で探し出してきてくれて情報をいただき、2ヶ所でこの花を見ることが出来た。


    これは普通に見かけるフデリンドウ。ミヤマセセリという黒っぽい蛾のような蝶が止まっている。


    探していたのはこのハルリンドウ。情報をいただき、八ヶ岳の山麓で出会うことが出来た。


    1本の茎に1輪の花を咲かせる。


    別の場所で出会ったハルリンドウ。この花は水際を好んで咲く。

 今年から新たにベニバナヤマシャクヤクが特定指定種として指定を受けた。残念ながらまだ見たことが無く情報も持っておらず、山岳レインジャー説明会の際に情報提供を呼び掛けたところさっそく情報をいただくことが出来た。1ヶ所はレッドデータブック登録範囲の中であるがもう1ヶ所は範囲外である。


    富士北麓の森の中に咲いていたベニバナヤマシャクヤク


    ここの個体は花の色が濃く派手である。


    もう1ヶ所は南アルプス市の山奥。保護柵で守られている。


    ここに咲く花は紅色が薄目で上品な感じがする。

 高山植物とは言えない花も多数含まれているがおそらくはあまり目にすることが無い花が多かったようで、来場者はそれなりに興味を持って聞いてくれたようである。
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