丹沢菰釣山 平成21年4月10-11日 天候晴れ
前日の毛無山に登った筋肉痛を引きずりながら,車で向った先は道志道の駅.2年ほど前の冬にこの奥の林道から菰釣山登山口に向かったところ,途中雪とアイスバーンに阻まれて進めず,狭い林道で無理矢理車を回して戻ってきたことがある.その時乗っていた愛車マークⅡのナンバープレートがその時に曲がってしまい,廃車になるまでそのままだった.今回はリベンジ,とまでは言わないが,あの先の林道がどうなっているのかずっと気になっていた.それともうひとつ,菰釣山から早朝富士山頂に沈む月を見ることができる.道志道の駅で小休憩後,林道を進んで突き当りまで行ってみる.かなりの悪路でところどころ道の端に落石のあるところもあったが,現在乗っているラッシュではそれほど難なく林道奥まで行くことができた.
終点は鎖が張られていて,左手に橋を渡って菰釣山方面に行く林道が伸びていた.もちろん,案内の看板もある.ザックにテントと荷物を詰め込んでゆくが,シュラフを持ってくるのを忘れてしまった.春めいて昼間の気温は20度を軽く超えているとはいえ,山の上の夜の気温は0度から5度くらいまでは冷え込むだろう.一旦はあきらめて,車を回して林道を帰り始めたのだが,そういえば先日ホームセンターで試しに購入してみたビバークシートがあったのを思い出した.シュラフカバーはないが,袋状になった緊急避難シートもある.この2枚があれば,0度までならば問題なく過ごせるはず.車を回して再び林道終点に戻り,再度荷物を詰めて出発.時間はもう午後4時になってしまった.
菰釣山登山道入り口.林道沿いにあり,水場がある.
ブナ沢.川を数回渡り返す.
林道を10分ほど進んでゆくと,橋を渡ったところで菰釣山方面を示す看板とその先に登山口の看板と階段,その横には水場がある.階段を登り,斜面を進んで行くと道はブナ沢の河原に下り,川を右に左に数回渡り返していよいよ尾根に取りつくやや急な登りとなる.しかし,道はジグザグにとりつけられていてあまりきつさは感じない.歩きはじめて約50分で稜線にたどり着き,そこから10分ほどで菰釣山避難小屋に到着した.結構きれいで立派な避難小屋だった.中は布団はないものの,寝るにはきわめて快適な部屋,誰もいないだろうと思っていたのだが,神奈川県側から来られたお客さんが一人食事をしているところだった.挨拶して,本日自分は山頂にテント泊りすることを告げ,出発.ここからは丹沢らしいブナの林の中を緩い登りが続き,約30分で山頂に到着,時間は5時40分ごろだった.西に日が沈みかけており,目の前には裾を長く引く端正な富士山が聳えていた.
菰釣山避難小屋
菰釣山山頂.大きなブナの木に囲まれ,富士山側の眺望が開けている.
山頂のベンチの横に早々にテントを張る.山頂は低木の枝が撮影にはやや邪魔になるので,すぐ隣に見えるピークまで行ってみたが,山頂から30mほど下りた斜面がいちばん眺望が効いた.三脚とカメラを持ってその場所に移動して,夕暮れの空が赤く染まる富士山をじっと眺める.風もなく,春霞の上に佇む夕暮れの富士山にすっかり見入ってしまった.夕陽を背にして富士山が立つ丹沢の夕暮れは,御坂山塊とはまた一味違った味わいがある.すっかり暗くなるまで富士の夕景に見とれ,テントに戻る.
日没
春霞に立つ夕景富士
夕食をとり,テントの入り口を開けて星空を見上げながら横になっていると,東の空から十六夜の明るい月が昇ってきた.テントの外に出ると,大きなブナの木の枝の間から金色の光を放ちながら円い月が昇ってきていた.血管のように伸びるブナの枝とからみ合い,なんとも妖艶な雰囲気をかもし出している.
妖艶の森,丹沢ブナ林
富士山に傾く冬の大三角形. 月が明るすぎて星が写りません.
おおいぬ座シリウスの光跡. 富士山頂に向かって一直線.木の中に隠れている光跡はオリオン座のベテルギウス.
山中湖の灯と月光の富士 山頂に光るのはおおいぬ座のシリウス.
西の空を見ると,富士山の右手にオリオン座が沈みかけていたが,月が明るすぎて写真ではわずかにしか写ってくれない.ちょうど富士山頂におおいぬ座のシリウスが沈んでいったので,そこまでで本日の撮影は終了,テントに戻って一旦寝ることにする.気温は5度くらいだろうか.風がほとんど無いのであまり寒くは感じないが,それでもセーターとダウンジャケットは欠かせない.ビバークシートと袋状緊急避難シートを重ねて中にもぐり込み,その夜は全く寒さを感じることなく快適に過ごすことができた.
富士山に傾く十六夜の月
富士山に沈む月,丹沢菰釣山
さて,翌朝は4時に起床,明るい月が富士山に傾きかけていた. 待つこと1時間,5時5分,いよいよ月が富士山に沈んで行く.今回は左側の角に沈んでいったが,日の出の約10分前だったので月の紋様を消さずに富士山を写し込むことができた.日の出の後の薄ピンク色に染まった富士山も良かった.
菰釣山の朝富士
早々にテント撤収して6時半には下山を開始,約1時間で車を止めた場所に到着した.下山の時は河原沿いに道があるのを発見し,登山道入り口の手前の橋のところに出ることがわかった.丹沢山系の富士山,特に夕暮れは格別な味わいがある.
前日の毛無山に登った筋肉痛を引きずりながら,車で向った先は道志道の駅.2年ほど前の冬にこの奥の林道から菰釣山登山口に向かったところ,途中雪とアイスバーンに阻まれて進めず,狭い林道で無理矢理車を回して戻ってきたことがある.その時乗っていた愛車マークⅡのナンバープレートがその時に曲がってしまい,廃車になるまでそのままだった.今回はリベンジ,とまでは言わないが,あの先の林道がどうなっているのかずっと気になっていた.それともうひとつ,菰釣山から早朝富士山頂に沈む月を見ることができる.道志道の駅で小休憩後,林道を進んで突き当りまで行ってみる.かなりの悪路でところどころ道の端に落石のあるところもあったが,現在乗っているラッシュではそれほど難なく林道奥まで行くことができた.
終点は鎖が張られていて,左手に橋を渡って菰釣山方面に行く林道が伸びていた.もちろん,案内の看板もある.ザックにテントと荷物を詰め込んでゆくが,シュラフを持ってくるのを忘れてしまった.春めいて昼間の気温は20度を軽く超えているとはいえ,山の上の夜の気温は0度から5度くらいまでは冷え込むだろう.一旦はあきらめて,車を回して林道を帰り始めたのだが,そういえば先日ホームセンターで試しに購入してみたビバークシートがあったのを思い出した.シュラフカバーはないが,袋状になった緊急避難シートもある.この2枚があれば,0度までならば問題なく過ごせるはず.車を回して再び林道終点に戻り,再度荷物を詰めて出発.時間はもう午後4時になってしまった.
菰釣山登山道入り口.林道沿いにあり,水場がある.
ブナ沢.川を数回渡り返す.
林道を10分ほど進んでゆくと,橋を渡ったところで菰釣山方面を示す看板とその先に登山口の看板と階段,その横には水場がある.階段を登り,斜面を進んで行くと道はブナ沢の河原に下り,川を右に左に数回渡り返していよいよ尾根に取りつくやや急な登りとなる.しかし,道はジグザグにとりつけられていてあまりきつさは感じない.歩きはじめて約50分で稜線にたどり着き,そこから10分ほどで菰釣山避難小屋に到着した.結構きれいで立派な避難小屋だった.中は布団はないものの,寝るにはきわめて快適な部屋,誰もいないだろうと思っていたのだが,神奈川県側から来られたお客さんが一人食事をしているところだった.挨拶して,本日自分は山頂にテント泊りすることを告げ,出発.ここからは丹沢らしいブナの林の中を緩い登りが続き,約30分で山頂に到着,時間は5時40分ごろだった.西に日が沈みかけており,目の前には裾を長く引く端正な富士山が聳えていた.
菰釣山避難小屋
菰釣山山頂.大きなブナの木に囲まれ,富士山側の眺望が開けている.
山頂のベンチの横に早々にテントを張る.山頂は低木の枝が撮影にはやや邪魔になるので,すぐ隣に見えるピークまで行ってみたが,山頂から30mほど下りた斜面がいちばん眺望が効いた.三脚とカメラを持ってその場所に移動して,夕暮れの空が赤く染まる富士山をじっと眺める.風もなく,春霞の上に佇む夕暮れの富士山にすっかり見入ってしまった.夕陽を背にして富士山が立つ丹沢の夕暮れは,御坂山塊とはまた一味違った味わいがある.すっかり暗くなるまで富士の夕景に見とれ,テントに戻る.
日没
春霞に立つ夕景富士
夕食をとり,テントの入り口を開けて星空を見上げながら横になっていると,東の空から十六夜の明るい月が昇ってきた.テントの外に出ると,大きなブナの木の枝の間から金色の光を放ちながら円い月が昇ってきていた.血管のように伸びるブナの枝とからみ合い,なんとも妖艶な雰囲気をかもし出している.
妖艶の森,丹沢ブナ林
富士山に傾く冬の大三角形. 月が明るすぎて星が写りません.
おおいぬ座シリウスの光跡. 富士山頂に向かって一直線.木の中に隠れている光跡はオリオン座のベテルギウス.
山中湖の灯と月光の富士 山頂に光るのはおおいぬ座のシリウス.
西の空を見ると,富士山の右手にオリオン座が沈みかけていたが,月が明るすぎて写真ではわずかにしか写ってくれない.ちょうど富士山頂におおいぬ座のシリウスが沈んでいったので,そこまでで本日の撮影は終了,テントに戻って一旦寝ることにする.気温は5度くらいだろうか.風がほとんど無いのであまり寒くは感じないが,それでもセーターとダウンジャケットは欠かせない.ビバークシートと袋状緊急避難シートを重ねて中にもぐり込み,その夜は全く寒さを感じることなく快適に過ごすことができた.
富士山に傾く十六夜の月
富士山に沈む月,丹沢菰釣山
さて,翌朝は4時に起床,明るい月が富士山に傾きかけていた. 待つこと1時間,5時5分,いよいよ月が富士山に沈んで行く.今回は左側の角に沈んでいったが,日の出の約10分前だったので月の紋様を消さずに富士山を写し込むことができた.日の出の後の薄ピンク色に染まった富士山も良かった.
菰釣山の朝富士
早々にテント撤収して6時半には下山を開始,約1時間で車を止めた場所に到着した.下山の時は河原沿いに道があるのを発見し,登山道入り口の手前の橋のところに出ることがわかった.丹沢山系の富士山,特に夕暮れは格別な味わいがある.