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山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

富士見山、平須登山口から山頂を越え、笹走集落へ縦走

2008年04月24日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成20年4月20日 天候曇時々晴れ

 道なき道を歩くのが大好きな我々嶺朋クラブのメンバーは、先月の五老峰に続いて今月は富士見山山頂の稜線を南に下り、さらに進路を南東に変えて笹走の集落に下山する計画を立てた。富士見山の平須口登山道は入山者も多く、しっかりとした道だが、矢細工からの道はほとんど歩かれておらず、荒れ果てているという。さらに、その南側は地図に書かれた道は無く、ヤブコギになるかもしれない。同じ季節に同じルートを歩いた文献を見ると、カタクリなどの花が楽しめるという。
 5時半、増穂町役場集合、だったのだが、不覚にも私は出発時間が遅くなってしまい、5分遅れて役場の駐車場に到着、既に誰もいない。待ち合わせ場所間違ったか?それとも既に出発したのか?駐車してある車の中を覗き込むとオーバージャケットとザイルが積まれている車を発見、既に出発したらしい。急いで平須に向うが、52号からの曲り口を間違え、さらに平須集落あたりの細い道に入り込み、カーナビに表示されない道を走ることになる。なんとか平須登山口に到着、クラブのメンバーたちが休憩朝食をとっているところだった。なんとか間に合った。
 
    ブナの巨木が立ち並ぶ平須から富士見山への登山道

 
    エゾアオイスミレ  濃い紫色が鮮やか。

 
    ヒトリシズカ  名前の通り、清楚な花。

6時55分、いざ出陣。本日は私を含めて総勢9人。通常の登山ルートを富士見山山頂目指して登る。この山に登ったのは2年前の2月、ダイヤモンド富士を撮影するため未明3時ごろから登った記憶がある。激寒だったが、空気の澄んだきれいなダイヤモンド富士を見ることができた。その時の記憶をたどりながら歩く。スギ・ヒノキ植林帯を過ぎて広葉樹林帯に入ると、道沿いには山の主のような大きなブナの木が何本も立ち並ぶ。足元にはタチツボスミレやエイザンスミレ、ヒトリシズカなどの春の花が咲く。順調なペースで歩き、9時30分、富士見山展望台到着。残念ながら富士山は雲隠れし、裾がわずかに見えるのみだった。裏側に見える笊ヶ岳はまだ雪を被って白く、山頂あたりは雲の中だった。記念撮影を済ませて山梨百名山標柱の立つ三角点に向う。久しぶりに歩くと、こんな急下りだったか?と思わせるような下りとなり、登り返して三角点に到着。小休憩し、矢細工からのルートがあるコルに向うが、ここからはかなりの急下りが続く。平坦になったあたりで矢細工からのルートを探すが、見つからないまま通り過ぎてしまい、眼前に次のピークが見えるあたりで休憩、昼食をとる。上野先生が持ってきてくれた自家性のコーヒーブランデーをご馳走になったが、これが激美味い。コーヒーの香り漂うブランデーの甘味と香りが良くマッチし、ぐいぐいといってしまう。3杯ほどいただいたところ、酒に弱い私は雲の上を歩いているようなほろ酔い気分となった。
 
    富士見山展望台で記念撮影

 さて、休憩して歩き始めるが今度はアルコールのせいでやたらに心拍数と息が上がる。30分ほどでようやく元に戻った。富士見山南端の1516mピークから振り返ると、甲府盆地側から見る形とは全く違う、きれいな三角錐を描く山頂が見えていた。文献ではこのあたりにカタクリの花がたくさんあったようだが、時期が早かったこともあるのか、あるいはイノシシに掘り起こされてしまったのか、わずかに葉があったのみで花は咲いていなかった。予想していたヤブコギにはならず、稜線上は草が刈られ、林業作業道らしき踏み跡が随所についていた。
 
    振り返ってみる富士見山。均整のとれた三角錐を描く。

 
    稜線西側のカラマツ林。手入れがされているきれいな林。

 
    稜線東側の眺望。山裾の集落と早川・富士川合流部が見える。

 
    アンテナ立つピーク

 南端ピークからの下りは途中からはっきりとした道となる。途中のスギ林の横を通過する急斜面は下るのにやや苦労したが、そこを過ぎると至って良い道となる。やがて目指す笹走の青い屋根の建物がある集落が見え始め、十数本のアンテナが立つピークを通過する。そして南東と南に尾根が分かれるピークに到着。道はそのまま南に進んでいるが、その道を行くと笹走ではなくて塩之上集落のほうに行ってしまうため、ここで進路を南東にとり、道なき尾根を下降する。かなりの急斜面で歩きにくく、木につかまりながら下りる。右側にスギの植林地がありそちら側のほうが歩きやすいのでスギ林の中を南東に向って下りてゆくと、30分ほど下りたところでしっかりした道に出た。スギ林の中を何本か道が走っており、道に沿って下りてゆくと、山の水を汲む貯水槽やホースが見え始め、広い林道に抜けた。送電線の下をくぐると、わずかで笹走集落の神社が見え始め、その下に笹走の集落がある。
 
    道無きスギ林を降りる。

 
    笹走の神社横に出る

 笹走集落は動物から作物を守るため、集落全体が金網で囲われていて、中に入るには柵を開けて入るという特殊な造りになっており、車で通過する際も柵を開けなければ通過できない。現在人家は8件、住人は13人だという。驚いたのはその集落のきれいなこと、畑が耕されていてきれいになっているのはわかるが、集落内の道路も清掃が行き届いていて、ゴミどころか枯葉一枚落ちていない。春の花がたくさん咲き、山間の楽園といった雰囲気だった。
 
    笹走集落。集落全体が金網の柵に囲まれている。ゴミ一つ落ちていないきれいな集落。

 さて、朝手配しておいた車に乗って白須の登山口に戻る。車は関さんの8人乗りクルーザー1台、人数は9人。どうやって戻ったかは想像にお任せする。

参考タイム
白須登山口6:55-富士見山展望台9:30-富士見山三角点10:05-矢細工側のコル10:35(昼食)-南端ピーク11:55-アンテナピーク12:25-尾根分岐(南西側下降点)13:20-林道に出る14:00-笹走集落14:10

    今回の行程地図。
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春を待つ三ツ峠  平成20年4月2日

2008年04月09日 | 御坂・毛無・天子山系
  平成20年4月2日 天候晴れ

 2日前の3月31日に甲府盆地では冷たい雨が降った。三ツ峠ライブカメラの映像を見ると、山の上は雪、河口湖でも5cmほどの積雪があったという。おそらく今シーズン最後の雪、2日遅れて三つ峠に登る。
 御坂天下茶屋下の登山口に車を止め、朝5時から歩き始める。その時間にはなんとなくあたりが薄明るくなり始めていて、薄雲がかかっているのか星はほとんど見えない。登りはじめから登山道は凍っているがアイゼンを必要とするほどではない。30分も歩くと明るくなり、ヘッドライトは不要となる。ちょうど1時間で山荘に到着したが、その頃には既に陽が昇り、朝焼けのいちばん良い時間は過ぎてしまっていた。相変わらず足遅い!しかし、最近の富士山はおかしい。冷えた朝なのに何やら1枚ベールがかかったように霞んだ富士。帰り際に山荘の女将さんと逢ったが、今朝の富士山はあまり焼けず、良くなかったと言っていた。甲府では桜の花満開だが、三つ峠はまだ積雪20~30cmほどある。しかし、降り注ぐ柔らかな陽射しが春の訪れを感じさせてくれる。

    定番、三つ峠からの富士


    雪の残る裸山


    御巣鷹山から見る富士山

 大きな電波塔の立つ御巣鷹山に移動、某雑誌で樹氷の三つ峠からの写真を見たが、おそらくこのあたりから撮影したものだろう。良い条件で写真を撮るのは難しい。これで4度目の三つ峠なのだが、気に入った写真は1枚も撮れていない。帰りは裏側から山頂に登り、眺望を楽しむ。天気が良く、雪化粧した御坂山塊の上に南アルプスがずらりと並ぶ。裏側には八ヶ岳と金峰山、眺めは良好だ。8時半、持って行ったハンバーガーをかじりながら早々に下山した。今度はさそり座と天の川を入れて富士山を撮りたいが、富士吉田の明りが邪魔になるかもしれない。

    御坂山塊と南アルプス  中央の大きな山が御坂最高峰、黒岳。


    三つ峠山頂


    春を待つ三つ峠尾根

(この1週間後に再び三つ峠は雪が降り、ライブカメラで見ると尾根は真っ白に雪化粧していました。)
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下部の盟主、五老峰  平成20年3月16日 天候晴れ

2008年03月23日 | 御坂・毛無・天子山系
 国道52号線沿いの下部あたりから東の方向を見ると、毛無山山塊の手前に格好良く空に突き出す大きな山がある。あの山の名前は何と言うのだろう、登山ルートはあるのだろうか?昭文社の地図には山の名前もルートも書かれていない私にとっては未知の山だった。初めてその山の名を知ったのは3月の嶺朋クラブ(私が所属する山岳会)の例会でのことだった。月例山行で下部温泉から「五老峰」という山に登るという。ひょっとしてあの山か?帰り際に山の場所を聞いてみると、間違いなく下部を通るたびにあこがれとして見上げていたあの山だった。同行させていただくことにした。
 当日の朝、増穂町役場に6時に集合する。集まったメンバーは私を含めて5人、上野巌先生、高崎会長、小池さん、秋山さんと会の主力メンバーがずらりと揃う。標高差1400m、しかも明確なルートがないこの山、果たして皆について行くことができるのだろうか?と若干の不安がよぎる。6時50分、下部温泉の駐車場を出発、取り付き口は下部温泉病院の裏側にある森林浴の森という遊歩道で、下部温泉病院の前を横切って道に入る。かつて遊歩道として整備したらしく、トイレやベンチも備え付けられているが、現在は歩く人も無いらしくすっかり荒れ果てている。この道は山腹を巻くように取り付けられており、目指す五老峰は道の途中から尾根に取り付き、尾根をはずさないようにひたすら上を目指して登る。

   登山口の森林浴の森。向こうに見えるのはトイレだが、荒れている。

    
      可愛らしいアブラチャンの花。下に見える建物は下部温泉病院。

 登り始めはスギやヒノキの植林の中を歩く。ところどころに林業作業用の目印と思われるテープがあちらこちらにつけられている。1時間ほど歩いた標高500mあたりのところでやや平坦になり、左手に伐採地がある。ヒノキが植林されているがまだ若木で背丈までもなく、ここから八ヶ岳方面が見えるらしいのだが、この日は雲が湧き、見ることができなかった。

    下部のスギ・ヒノキ林を登る。あちらこちらにテープがついている。

 急斜面となり、道なき道をさらに1時間ほど登った標高約900mあたりの所に、モミの巨木が2~3本立ち並び、大きな岩がごろごろとしたやや歩きにくいところがある。さらに急斜面を進むと美しいヒメシャラの木が何本も立ち並ぶ広葉樹林の林を通過する。そしてやや平坦な登りとなり、その先にはこのルートのハイライト、大石を敷き詰めた城壁を思わせるような大岩が目の前に立ちはだかる。時間は10時15分、標高は約1150m、休憩するには良い場所だ。

    モミの大木。このあたりは大岩がゴロゴロしていて歩きにくい。


    美しいヒメシャラの木が立ち並ぶ広葉樹林の林。


    城壁のような大きな岩壁が立ちはだかる。

 この大岩を右に巻いて進むと、補助ロープが張られた急斜面を通過する。こんなルートのはっきりしない山でも管理してくれている人がいるのかと思うと感心させられる。ここを登り切って再び尾根に取り付くと、一旦傾斜が緩くなり、やや痩せた尾根を通過する。再び急傾斜となって30分ほど登ると、右側から来る尾根と合流する。標高約1550m地点の下山で使う予定の尾根だ。テープが一応はつけられてはいるが、わかりにくいので登りの時に確認しておいたほうが良い。コースを左向きに変え、20分ほど登ると大きな枯れ木が立つ岩に辿り着く。ここは展望台になっていて、岩の上から振り返ると笊ヶ岳、荒川三山から北岳まで、南アルプスの山々がずらりと並んで見える。その先にも展望台がありそこからは南部方面の眺望が開けている。ここから10分もかからずに三角点のある五老峰山頂に到着する。山頂には「五老峰、1618.5m」と書かれた古い看板が立てられている。林の中にある山頂は残念ながら眺望は得られない。時間は11時40分、順調に4時間40分で到着できた。(約300m/1時間のペース。)

    大岩を覗き込む小池さん。直登はちょっと危なそうだ。

    
      大岩を右に巻いてトラロープに沿って急斜面を登る。

    
      この岩を登ると三角点のある山頂は間近。


    五老峰山頂で記念撮影。林の中で展望は無い。

 山頂のすぐ下の平らな場所で昼食をとり大休憩する。秋山さんが持ってきてくれたビールと天婦羅が実においしかった。1時間ほど休み、展望岩のところで記念撮影して下山開始。急斜面をスリップしないように気をつけて下りる。尾根の分岐点をそのまま真直ぐに進み、湯の奥集落方向に進路をとるが、そのまま真直ぐ行くと別の尾根に迷い込んでしまうらしく、進路はやや左寄りにとる。30分ほど下ったところ(標高約1300m地点)で緩いコルに着き、小コブをひとつ越える。さらにもうひとつコブがあり、そこには大きなツガの木が立ち、赤いペンキサインが塗られている。ここが下山時の重要ポイント、先行した3人はそのまま真直ぐに進んでしまったのだが、最後尾の高崎さんがここから90度近く左に折れてテープがつけられているのを発見した。先行3人を呼び戻し、ここでルートを確認する。小池さんが以前登った時に途中のコルで曲がったのを記憶しており、ここは左に曲がって尾根を下りると、10分ほどで保存状態良好な炭焼き釜のある場所に出る。釜の中を見ると、3~4人は寝れそうなくらいのしっかりとしたスペースが開いていた。

    1300m地点、下山時のポイントとなる場所。右の大きなツガの木に円いペンキサインあり、ここでほぼ直角に左方向に下りる。


    分岐から10分ほど下るときわめて保存状態の良い炭焼き釜がある。

 さらに急斜面を下ってゆくとやがてスギ・ヒノキの植林帯に入る。足元に切り倒された木がゴロゴロと転がっており、なんとなく道があるような無いような斜面だが、標高900mあたりの場所から道は明瞭になってくる。途中には壊れた炭焼き釜の跡があり、そのあたりはもうしっかりとした山道になっている。歩く人は少ないらしく、足元には落ち葉がたくさん積もっていた。明瞭な道を40分ほど下ると、入り口に願掛け地蔵の立つ湯の奥林道に到着した。時間は午後14時55分だった。(下りは約550m/1時間のペース。)
    
      下山道下部の良い道。標高900mあたりからこういう道になる。


    湯の奥集落にある国指定重要文化財、門西家の建物。

 直下に湯の奥集落があり、ここには国の重要文化財に指定されている門西家の藁葺屋根の建物がある。集落で1人の老人と出会い、今回私たちが登った山を「ごろぼう」と愛着をこめて呼んでいた。湯の奥林道を道端のふきのとうを摘みながら楽しんで歩き、午後4時半、下部温泉の駐車場に到着した。大変な山だったが、山歩きの楽しさを存分に味わえる、実にすばらしい山だった。ここのところ月や星、太陽と富士山を中心に、写真のことばかり考えて登っていたが、登山の楽しさを改めて実感させてくれるすばらしい山行だった。嶺朋クラブの方々に感謝したい。

参考タイム
下部温泉6:50-モミの大木(標高900m)9:15-城壁のような大岩(標高1150m)-10:15-尾根分岐 (標高1550m) 11:15-五老峰山頂 (標高1618.5m) 11:45-(休憩1時間)-五老峰12:50-尾根分岐12:58-下山尾根分岐点(ツガの木地点、標高1300m) 13:25-炭焼き釜13:35-明瞭な道(標高900m)14:15-湯之奥林道14:55-湯之奥集落15:15出発-下部温泉16:30


    五老峰ルート地図(カシミール3Dから作成)

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手強かった冬の節刀ヶ岳  平成20年3月9日

2008年03月17日 | 御坂・毛無・天子山系
平成20年3月9日 天候晴れ

 3年前の夏に芦川側から大石峠を経て節刀ヶ岳に登った時は、完全に霧に巻かれ、富士山どころか隣の十二ヶ岳や鬼ヶ岳さえ見ることができなかった。御坂山塊で富士山を見ていない山はここだけと言って良く、いつか天気の良い日にもう一度登りたいと思っていた。

    河口湖から見る富士山

 この日は天気予報では晴れ、午後から雲が広がるとの予報で、風が穏やかで暖かく、登山には絶好の天候となった。今回はまだ歩いたことのない河口湖側の大石から登ることにした。河口湖の湖畔から富士山を眺めると、見えてはいるもののなんとなくモヤがかかったようなすっきりしない富士山だ。最近こんな富士山ばかり。大石の林道を行くと、現在大きなトンネルを掘る工事をしていて、いずれ甲府盆地と河口湖が大きな道でつながるらしい。登山口まで車で行けるが、雪が少し残っていてアイスバーンになっていたので、10分ほど手前の工事用プレハブ小屋があるところに車を止め、8時少し前から歩き始める。
先週の三方分山が手頃な雪だったので節刀ヶ岳もそんなもんだろうと多寡をくくって出発。大石峠に登る道は整備され、道標もしっかりとつけられた良い道。そのまま道をたどって行けば間違いなく大石峠なのだが、1時間ほど登ったところで左側に鋭角に曲がる細い道が目に留まる。踏み跡もついているし、節刀ヶ岳の方向はそちら側になる。もちろん地図にはない道なのだが、途中で尾根を右に取り付けば節刀に行く稜線に抜けられるはず。ということでそっちの地図にない道を歩くことにした。15分ほど歩くと予想通り尾根に取り付く。踏み跡はそのまま山腹を横に辿ってついているが、私はここで右に曲がって尾根を直登、ここから踏み跡はないが、林業作業をした痕跡がありところどころにテープがついており、何となく道らしいところもある。しだいに傾斜がきつくなり、15~20cmほどの雪を踏みながら稜線に出ると、予想通り大石峠から節刀ヶ岳に向う道に着いた。しかしそこは・・・予想に反してノートレース。歩けないことはないが、簡単に膝まではまる30~40cmの積雪がある。しかも悪いことにスパッツを置き忘れてきてしまった。とりあえず行けるところまで、と節刀側に歩いて行くと、100mほど進んだところでトレース発見。どうも稜線上は風でトレースが消えてしまっていたらしい。しかし、このトレース、やたらと大きな足跡で、スノーシューかなにかの跡らしく、私が踏むとさらに深く沈んでしまう歩きにくいトレースだった。少し歩くと富士山を見るのに絶好の岩場があり、その上に乗って写真を撮る。毛無山から十二ヶ岳に向う稜線の上に富士山が立ち、河口湖で見た霞を抜けてすっきりとした富士山が見えていた。やはり山の上から見る富士山は良い。
    
      なんとなく道? 今回登った尾根道。ところどころに林業作業用のテープがついている。(登山道を示すテープではないので注意。)


    毛無山-十二ヶ岳尾根の上に立つ富士  下界のモヤの上に富士が聳える。

 11時山頂の予定だったのだが、時間は既に10時。夏ならばここから1時間で行けるのだろうが、この雪ではどうなることやら。途中で6本歯アイゼン装着し、靴の中に入ってくる雪をしばしば払いのけつつ、ズポズポの雪道を一歩ずつ進む。途中にとんでもない急斜面があり、膝上まで雪にはまりながら足場を踏み固めつつなんとか越える。節刀ヶ岳が目の前に迫ってきた。苦節2時間あまり、12時半に金山への分岐に到着、節刀ヶ岳はすぐそこだが、すでにヘトヘト、しばし休憩。結局山頂到着は予定を2時間もオーバーした12時50分だった。

    十一・十二ヶ岳と富士  節刀ヶ岳山頂からの眺望。


    河口湖方面の眺望  左が御坂山塊最高峰の黒岳、その右が三つ峠、いちばん右が杓子山と鹿留山。


    南アルプスの眺望  荒川三山から白根三山の山々が軒を連ねる。
    
      雪道のトレース  足がはまって歩きにくい。

天気が良いのにこの日の節刀ヶ岳山頂は私一人だけ。十二ヶ岳や鬼ヶ岳側から来る人もいない。十二ヶ岳から鬼ヶ岳へのコルに大きく富士山が聳え立つ。右手には荒川三山から白根三山、仙丈岳へと、南アルプスの山々がずらりと軒を連ねる抜群の眺望。山頂からわずかに下った岩の上からは河口湖側の眺望が楽しめ、裏側には八ヶ岳と奥秩父の山々が顔を出す。下山するのがもったいない気がするが、1時間ほどのんびりしてさて、下山だ。また登って来た雪道を戻るのはちょっと辛いが、歩くしかない。大石峠までのトレースを心配していたのだが、幸いなことに帰りは途中まで数人登って来た人がおり、しっかり踏み跡がつけられていた。雪が多くて途中であきらめて引き返したらしい。そのトレースに沿って大石峠に到着したのは3時40分、2時間かからずに到着できた。ここから見る富士山もまたすばらしい。西日が差し込む斜面がまた格別に美しい。結局ここでまた1時間も時間を費やしてしまうことになる。

    大石峠


    西日射す富士山  午後4時過ぎの大石峠から見る富士山。

 急ぎ足で峠からの道を降り、45分で林道まで下り、駐車場に到着したのは午後5時30分だった。思った以上に雪が深くて足をとられ、大幅に予定時間を超えたが、富士山を見ることができ、山頂を踏むことができた満足感のある登山だった。ただ、この雪道を一人で行くのはちょっと辛いものがある。

参考(にならない)タイム
大石林道7:45-大石峠登山道入り口8:00-中腹の分岐8:45-尾根取り付き9:00-稜線9:45-ガレの淵10:50-金山分岐12:30-節刀ヶ岳12:50(昼食休憩約1時間)-大石峠15:30(1時間休憩)-林道17:15-駐車場17:30
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月光の精進湖と三方分山 平成20年3月2日

2008年03月07日 | 御坂・毛無・天子山系
  平成20年3月2日 天候晴れ

 この日は早朝3時半ごろに南東の空からさそり座のシッポあたりに三日月が昇って来るはずで、本栖湖あたりから富士山山頂に昇る三日月が捉えれれる・・・はずだった。予定通り2時に目が覚めたのだが、眠気が強くてうとうととしていたら、あっという間に1時間が過ぎ、時間は3時15分。あわてて準備して出発、精進湖のトンネルを抜けた頃には時間は4時をとうに過ぎ、富士山の右に月が昇ってしまっている。ダイヤモンド月には間に合わず、精進湖の湖畔に車を止めて月光と富士の撮影にとりかかる。

    
      月昇る  左の明るい星は木星、右手の星座はさそり座。

    
      月光湖面を照らす  風が吹いて湖面の月光が乱れた瞬間を捕える。

    
      東の空に昇った白鳥座

 既に先客は7~8人、三脚を立ててはいるが撮影している人は少なく、みんな日の出を待っているらしい。私の目的は月とその右手のさそり座、それと左手に輝く明星、木星だ。甲府盆地から見上げる霞のかかった星空とは違い、ここからはきらきらと輝いた星空が見える。月光と富士を映す精進湖の湖面もまた神秘的で美しい。東の空には白鳥座が頭を下げて昇り始めており、冬だというのにもう夏の大三角形が観察できる。夜明けまで精進湖湖畔で至福のひと時を過ごすことができたが、この季節は日の昇る角度が悪く、赤く焼ける富士山は見ることができなかった。

    黎明の精進湖


    朝焼けの精進湖

 朝7時、カメラ撤収し、三方分山へ登ることにした。前回登った時はパノラマ台に登り、折り返して三方分山、女坂峠と一周してきたが、今回は精進山に直登するコースを行く。踏み跡があるか心配だったが、かなり歩いた跡があり雪が踏み固められて凍り付いていた。コースに入ってすぐに6本歯アイゼンを装着、約1時間で精進山に到着した。既に先客が一人、凍る精進湖越しの富士山を眺めていた。地元、河口湖の方らしく、周辺の山や地元の情報についてはかなり詳しい。湖畔の右手に見える赤い屋根のホテルを富士急が買い取って、今まで夏だけの営業だったのを年間営業にするらしい。ここは内装がきれいでかなり良いホテルらしい。
    
      凍る精進湖  精進山からの眺望。

 情報交換し、先に私が三方分山に向って出発、雪は15cmほどで雪道散歩を楽しむには手頃な量だった。40分ほどで山頂到着、途中で2~3人とすれ違い、さらに山頂で2~3人、さらに女坂峠に向う途中で10人以上のグループ2組とすれ違った。更に女坂峠でも10人ほどの中高年グループ、こちらは女坂峠から反対側の五湖山を目指して登っていった。さらに7~8人のグループが到着、この山域は冬でも安全に登れるので、かなり人気が高いらしい。

    三方分山山頂  15cmほどの積雪あり、雪を楽しむには手ごろな量。

    
      三方分山山頂からの富士


    女坂峠の道標  五湖山まで3000m、精進湖まで3000m、距離が間違っているとしか思えない標識。

 私は11時半には下山し、いつものように写真家栗林先生が経営する喫茶店写ば写ばに立ち寄り、またまた3時間近くも居座ってしまった。写真好きの人たちや、時としてプロのカメラマンが集うこの喫茶店はお客さんたちともすぐに仲良くなれる憩いの場である。満足して甲府に戻る。
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毛無山のダイヤモンド富士  平成20年2月16-17日

2008年02月22日 | 御坂・毛無・天子山系
平成20年2月16-17日 天候晴れ

 毛無山山塊のダイヤモンド富士撮影には何度か訪れている。3年前は下部側から早朝から登ったが天候不良で不発、昨年は雨ヶ岳にテントを張り、タカデッキから狙ったが笹が深くていまひとつ、そして今年、毛無山三角点付近でダイヤモンド富士が見られる時期になったので、テント担いで行ってみることにした。
 下部側の湯の奥林道から入るルートと静岡側の麓からのルートがあるが、湯の奥林道は私の車では不安なため麓から登る。(結果的にこちらのルートが正解だった。)コースタイムでは3時間ほどだが、雪道、急登、かつテント持ちなので、4~5時間はかかるだろう。麓の毛無山入り口駐車場(有料)を12時に歩き出す。天気は良好、毛無山の上には5~6機のパラグライダーが気持ち良さそうに舞っていた。川沿いの広い道を過ぎ、地蔵峠への分岐を過ぎたあたりから傾斜が強くなってくる。林の中は10~20cmほどの積雪があるが踏み跡がしっかりとつけられ、固まっていた。不動の滝展望台で一休み、まだ2合目だというのに既にバテ気味だ。その先もひたすら急登、5合目あたりからは完全に雪道となり、12本歯のアイゼンを装着(6本歯で十分だった)してひたすら登る。かなりきつい登りだ。そういえば、初めて秋に登ったこのルート、途中で太腿が攣って大変な思いをしたことがあった。下部側から登った時も日の出に間にあわなそうだったので急いで登り、下腿が攣った記憶がある。この山に登るのは結構大変だ。
 4時間ほど登ってようやく9合目の富士山展望台に到着、この山から見る富士山は何も遮るものがなく。大きな富士山が見られる。この先は傾斜が緩くなり、間もなく山梨百名山の標柱が立つ山頂にたどり着く。目指す毛無山三角点はもうすぐだ。しかし、その先は踏み跡がやや薄くなり、ワカンやスノーシューの足跡らしく、私が踏み込むと簡単に膝のあたりまで埋まってしまって歩きにくくなる。三角点に行く途中に眺めの良い場所があり、そのあたりで日が傾き始め、眼下の朝霧高原に毛無山の影が落ち始めたので三脚を立てて日の入りを待つことにする。しだいに富士山に射す夕陽の面が小さくなり、やがて暗くなる様は何度見ても感動的だ。日没後のたそがれ時の赤紫色に染まる空も良い。

    夕暮れ迫る  毛無山三角点の手前で。


    富士残照


    富士残照と茜雲

 三脚を背負ったままそこから三角点までは10分とかからなかった。明日のダイヤモンド富士を撮影するためには雨ヶ岳側のほうが良いので向うに回り込もうと思ったのだが、その先はワカンの足跡1つのみ。少し歩いてみたが、雪が深くてとても歩けそうも無い。あきらめて三角点の上でテントを張る。もうすっかり日が暮れ、頭の上にはやや膨らみかけた明るい半月が昇っていた。その下にはオリオン座と冬の大三角形が輝く。富士の右裾野には富士宮から駿河湾の明りがきらきらと輝いている。この日も風が無く静かで穏やかな夜、山の上の宿泊客は私一人だった。夜景と富士と星空を堪能し、9時半にシュラフに潜り込む。

    駿河湾の明かりと星空

 シュラフに潜り込んだ時にはさほど寒いとは思わなかったのだが、2時間ほど過ぎた頃に背中が寒くて目が覚める。一旦シュラフから出てバーナーを焚いて暖をとり、また寝るが、2時間ほどするとまた寒くて我慢できない。そういえば、1ヶ月ほど前の大蔵高丸、先週の杓子山ともテントの中は今までに感じたことがないくらい寒かった。ふと敷いているエアマットを見ると、半分以下につぶれてぺっちゃんこになっているではないか。エアを入れなおして休むが、しばらくするとまたつぶれている。どうやらエア漏れらしい。どうりで寒いわけだ。といっても他に代用を持ってきているわけではないし、死ぬほどの寒さでもない(といっても朝は-15℃くらい)。時折バーナーを焚いて暖をとりながら、寝たり起きたりで朝を迎える。

    黎明の富士

 翌朝は空気の澄んだすっきりした朝となる。ダイヤモンド富士を見るには最高だ。早朝5時半、富士山の右上に明けの明星、金星と木星が輝いている。写真を撮って一旦テントに戻り、朝食と暖をとって6時45分に再び三脚を構えてダイヤモンドを待つ。7時を回った頃、予定通りに富士山頂の右寄りからダイヤが輝き始める。何枚か撮影してモニターを見ると、何やらものすごいゴーストが出ている。レンズを見ると・・・!なんと!フィルターにびっしりと白い氷の膜ができている。急いで拭き取ってまた写真を撮るがあっという間にまた凍りつく。食事の時にテントの中に持って行き、レンズが温まったのが失敗だった。しかし、そのおかげで今まであまり見たことのない面白い作品にはなった。

    富士山頂輝く


    毛無山のダイヤモンド富士2008  レンズに薄く氷が張る。


    ダイヤのまわりに輝くダイヤ  拭き取ったレンズに残った氷が反射し、ちょっと変わったゴーストが輝いた。

 テント撤収し、9時半に下山しようと思ったら、もう三角点まで登って来た人がいた。さらに下山中に約20人の人とすれ違った。人気の高さが伺えるが、登りにはかなりの体力を要する山である。また、今回は地蔵峠側(下部から来るルート)には全くトレースが無く、下部ルートから入ったならばかなりのラッセルを強いられることになったであろう。毛無山に35年前から登り続け、既に1,500回登った(凄い!!)というミスター毛無山に2日間出会い、毛無山界隈や富士山などの新情報をたくさん教えていただいた。下りも急傾斜なので結構大変だ。12本歯アイゼンの歯がしばしば露出している木の根や石にひっかかって何度も転倒しそうになるが、木の枝やロープにつかまりつつなんとか転ばずに下りる。昨日よりだいぶ雪が溶けていて5合目から下は土の斜面が露出しているところが多く、3合目あたりでアイゼンをはずし、膝がガクガクになった12時半、ようやく駐車場に到着した。
    
      日高く昇りて  テント撤収、下山。

 毛無山は何度登っても大変な山だが、それに見合った素晴らしい富士の展望が期待できる山だ。
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今は昔、犬を供に毛無山へ 平成18年2月18日

2008年02月21日 | 御坂・毛無・天子山系
平成18年2月18日 天候曇り時々雪

 今となってはもう昔の事、2年ほど前に毛無山のダイヤモンド富士を撮影に下部から湯の奥林道経由で毛無山に登ったことがあった。冬季は造林小屋のところでゲートが閉じているので余計に1時間近く歩かなくてはならない。山頂の日の出は7時ごろなので、3時から歩けばなんとか到着できるかどうかという時間だが、出発が遅れてゲートから歩き出したのは4時近くになってしまった。ゲートの前にプレハブの小屋があり、そこに車を止めると何やら白いものが近付いてきた。ヘッドライトを照らすと、首輪をつけた犬だった。(白い犬なのでシロ君と命名。)このシロ君、非常に人懐っこく、私の足元から離れようとしない。お腹が空いているようだったので持って行ったソーセージ1本を分けてやったら大喜び。歩き出した私の後をずっとついて来た。どこかであきらめて帰るだろうと思っていたら、毛無山登山道の入り口まで林道をずっとついてきた。さすがに登山道に入ればもう来ないだろうと登山道を歩き始めると、林道から悲しそうに私を見上げている姿が見えた。そのまま私は登山道を歩いて行くと、目の前をふと白い影が横切る。まさか!と、ヘッドライトを照らすと、なんと、シロ君ではないか。よほど私が気に入ったのか、それともご飯を分けて欲しいのか。ならば行けるところまで一緒に行こうということでお供に歩くことになる。

    お供してくれたシロ君

 途中から薄雪の積もる道になり、途中日の出に間に合わせようと急いだおかげで足が攣り、あきらめて普通のペースで登ったが、あいにくの曇り空でとても日の出は望めそうになかった。地蔵峠の下ですっかり夜が明けてしまい、地蔵峠で休憩し、おやつを食べる。せんべいを出して半分シロ君に分けてやると、あっという間にバリバリと食べてしまう。次にカロリーメイト、こいつもあっさり平らげる。ソーセージ、もちろん大好物。食べ物は全て半分ずつ分ける。明るくなってあたりの景色が見えるようになると、地蔵峠から上は見事な樹氷になっていた。今まで見たことがない景色、風が吹いたためか、木の枝の一方向にだけ雪が着いている。ダイヤモンド富士は見られなかったものの、思わぬ景色に出会うことができた。

    毛無山の樹氷


    雪の華咲く地蔵峠

 さらに地蔵峠から先の急登を頑張って稜線まで登ると、上の道は完全にアイスバーン状態でカチカチに凍り付いていた。ここで6本歯アイゼンを装着、素足のシロ君はいかにも冷たそうだったが、それでも私の前や後ろを離れずについて来た。アイゼンの無いシロ君が氷の上でまるでスケートでもしているようにスリップしている姿がまた可愛らしかった。山梨百名山の標柱がある山頂に到着した頃には小雪が舞う天気になっていた。風が吹き顔が痛いほどに寒い。私と同じくダイヤモンド富士でも狙っていたのだろうか、テントが一張りあり、中でまだ寝ているようだった。ここで持ってきた鳥弁当を食べる。半分凍りついていたが、これもシロ君と半分ずつ。標柱の前で記念撮影したのだが、シロ君が気になるのは私のザックの中の食べ物だけらしい。なかなかカメラのほうを向いてくれない。

    山頂でシロ君と記念撮影


    毛無山山頂の樹氷

 記念撮影後、下山。半分しか弁当を食べなかったので何となく腹の空いた状態でさっさと下りる。駐車場に到着すると林業作業にやって来た人たちが5~6人作業を始めていたので、犬を借りたことを話すと、なんと、シロ君、飼い犬ではなくて野良犬(誰かが置き去っていったのか、それとも主人とはぐれたのか?)だそうだ。隠しておいた、とっておきのカニ飯弁当をこっそりと車の中で食べて帰ろうかと思ったのだが、お供してくれたシロ君に申し訳ない気がして、これも半分シロ君にあげて帰って来た。また機会があったら一緒に登ろう。楽しかったよ、シロ君。

    湯の奥林道から見る樹氷の毛無山

 さて、今年の毛無山ダイヤモンド富士はいかに?
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