「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

第7節(10/21)の試合結果&感想

2012-10-25 02:01:47 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
○第7節(10月21日)の試合結果

 10月 21日(日) ●大東文化  0 – 40 ○流通経済 ケーズデンキスタジアム
 10月 21日(日) ●拓殖大学 27 – 28 ○日本大学 キャノングランド

いよいよ熾烈な中位争いが始まりました。前年度は下位グループに沈んでいた法政、日大、中央、拓大の4チームによる(大学選手権出場への生き残りを賭けた)椅子取りゲームと言ってもいいでしょう。この中から必ず1チームは涙を呑むことになります。日大が劇的なサヨナラゴールで僅か1点差ながら逆転勝利を収めた試合で、図らずもそのことが証明される形となってしまいました。一方、緒戦から3連敗と元気のない大東大は流経大に大敗して4連敗。実はVTRのトラブルで試合内容の確認が出来なかったのですが、ゼロ敗という点は差し置いてもチーム状態が上向きになっていないようにみえるのが気になるところです。主力の欠場だけでは説明がつかない何かがあるのかも知れません。

さて、キャノングランドで行われた拓大と日大の試合ですが、ずっと記憶に残りそうな強いインパクトを残す一戦となりました。もちろん、トップリーグのファンの方の視点からは、(悪い意味での)学生らしさの出た稚拙さが目立つ試合だったかも知れません。勝ったことだけが評価される試合で、エキサイティングではあったものの、「凡戦」のひとことで片付けられてしまいそうです。しかし、ずっと関東大学のリーグ戦グループを観てきたものとしては、劇的な幕切れ以外にも両チームに対して感じることが多々あった印象深い試合となりました。

この試合を一言で総括すると、「ウヴェに始まり、小川に終わった試合」ということになります。この試合の戦前の予想は、最初から日大が圧倒的に攻めて拓大が耐える展開になるというものでした。拓大も頑張っては居るけど、総合力では日大の方が上で、しかも日大は必勝を期してこの試合に臨んでくるはずだからというのがその根拠。ところが、蓋を開けてみれば拓大はそれまでに観た3試合に比べても最高といえる出来で、序盤から日大を圧倒する予想外の展開。ウヴェが4つめのトライを取ったところで勝負あったかと感じさせるくらいでした。残念ながら、楽勝ムードが漂いかけたところで拓大がやや緩んでしまった部分があり、日大の反撃を許すことになったわけですが、それでも拓大は勝てた試合でした。この日の拓大でとくに印象に残るのは、FW中心の手堅い攻めにBK展開でゲインできるパターンが加わったことです。選手達が自信を持って戦えるようになってきたことが大きい。

しかし、そんな上げ潮ムードの拓大に大きく立ちはだかったのが日大の小川主将でした。それも優れた個人技が持ち味の小川ではなくて、卓越したスキッパーとしての小川。前後半の終了間際に各1回ずつあり、結果的に日大に勝利を呼び込む形となったギャンブルとも言えそうな選択は、そんな小川のチームリーダーとしての能力の高さがいかんなく発揮された場面だったと思います。まずは、前半ですが、ショットでもなくラインアウトでもなく(意表を突いて)スクラムを選択したシーン。

これはあくまでも勝手な想像ですが、「ここはマイケルを使って取ろう」という閃きに近い判断があったように思います。おそらく日大が入念に準備していたプレーのひとつだと思いますが、ここはマイケルだと。彼のラインでの深めの位置取り、そそして確信を持って加速しゴールに向かったシーンからそんなことを感じました。このプレーはおそらくマイケルにも自信を付けることになったと思われ、いよいよ(遅まきながら)ブレイクということになるかも知れません。日大の今後のことを考えても大きな意味を持つトライだったと思います。

後半の2回目の「ギャンブル」はさらに素晴らしかった。ビハインドが9点なら、まず確実にPGで3点を取るというのがセオリー。でも、小川は躊躇なく7点を取りに行き、そして成功した。おそらく拓大の選手は100%狙ってくるものと思ったはず。そういった先入観が味方した面はあるにせよ、主将の迷いのない選択に敏感に反応した選手達も素晴らしかったと思います。結果論と言われることを承知で言うなら、相手にとって自陣では絶対に反則が出来ない2点リードの場合の方がプレッシャーが大きい。事実、拓大はキックオフからペナルティを2回続けてしまったことで敗れました。

この2つのギャンブルで感じたことは、主将のチームメートに対する信頼感です。去年までの小川だったら自分で行ったかも知れない。実際にしびれを切らして取りに行った場面(しかも成功)も散見されました。しかし、今シーズンは主将としてチームを引っ張るだけでなく、チームメートに自信を持たせることにも尽力しているように感じます。優れた能力を持ちながら、主将になったとたんに、それまでの持ち味をなくしてしまった選手達を観るにつけ、小川の際だった才能を感じずにはいられない。彼はけして個人能力だけの選手ではないことを強く印象づけたのがこの試合というわけです。

もちろん、敗れた拓大にとっても、今後のステップアップのための良薬として欲しいし、そうなると思います。自分たちがやってきたことは間違っていなかったこと、試合を重ねるごとにステップアップできていること、そして、勝つことは簡単ではないこと。そんなこんなのいろいろなことが見えてくる楽しみがあるから(プレーは稚拙かも知れませんが)大学ラグビーの観戦はやめられません。
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拓殖大学 vs 日本大学(2012.10.21)の感想

2012-10-22 01:42:52 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
[キックオフ前の雑感]

今が私にとって1年を通じて一番楽しい時期。週末の試合開始48時間前に発表されるメンバー表を眺めながら、チーム状態を頭に重い浮かべつつプレビューをアップする。この試合がどんな戦いになるのか、キーマンは誰かなどなど、いろいろとシミュレーションを試みながら期待するところ綴っていくわけだ。シーズンが深まってチームや選手の特徴が掴めてくると、筆の進み、ではなくてキーボードのタッチも軽やかになってくる。そして最終的にはどちらが勝つのか?というところに行き着くが、ここはヒントを示す程度にとどめてあえて書かない。勝敗を予想することはラグビーの場合難しくないが、他にも見どころが盛りだくさんにあるのがラグビーだから。

でも、本当に勝敗の予想が難しい試合もある。とくにこれから始まる法政、日大、中央大、拓大の4チームによるミニリーグ戦の場合はそう。今シーズンのリーグ戦Gの特徴は、これら中位グループを形成する4チームの力が拮抗していることだ。それぞれチームのスタイルは違うし、日々成長していく大学チームだからコンディションも当然違ってくる。いろいろな要素が複雑に絡み合う中でも、個々の対戦でどちらが勝つと言い切るのが本当に難しい。と同時に、ラグビー観戦の究極の楽しみは、勝敗の行方が分からない試合のキックオフをわくわくしながら待つことであることに気付く。本日対戦する日大と拓大のマッチアップは正にそんな戦いになりそうなのだ。

チームのメンバー構成からみて、開幕前は苦戦が必至と観られていた拓大だが、ここまで2勝1敗と好調を維持している。もちろん、勝った相手が元気の見られない関東学院と大東大だから当然という見方もできそうだが、ラグビーの内容がとてもいいから勝てていると断言してもいい。身の丈に合ったシンプルなラグビーがピッチ上で戦う15人に浸透しており、無理なく無駄なく勝っている印象だ。いや、拓大の場合はリザーブも含めた22人と言い換えるべきかも知れない。驚くべき事だが、4試合目の本日に至るまで、緒戦から22人のメンバー、ポジションにまったく変更がないのだ。他にメンバーがいないわけではなく、今シーズンのベストメンバーが最初から決まっていて、その修正も必要ないということこそが、拓大の好調ぶりを雄弁に物語っている。

対する日大は1勝2敗で拓大より一歩後退している感があるが、その2敗は東海大と流経大で、関東学院には圧勝している。拓大が流経大戦を残していることを考えれば、両チームの戦績はイーブンと考えていいだろう。日大は1~4年生をバランスよく配置したメンバー構成だが、FWもBKもほぼメンバーが完全に近い状態で固定されているのが目を惹く。やはり、試合ごとにスタメンやポジションが変わるチームはどこかに問題を抱えるのかも知れない。ただし、日大のリザーブにはCTB新井とSO及川といった昨シーズンはレギュラーだった4年生が復帰を果たしている。日大がこの試合をいかに重要視しているかが分かるような布陣ではある。

さて、キャノングランド通いも3週連続となった。家を出てから2時間近くかかってしまうのが玉に瑕ではあるのだが、正門を入ると眼前に飛び込んでくる素晴らしい施設を前にすると、そんな(自分勝手な)不満もいっぺんに吹き飛んでしまう。学生ラグビーの場合けして大きな「箱」(音楽でいうライブの場所)は必要ないと思う。選手と父兄を多く含む観戦者との間で構築される濃密な空間の実現は必ずしも巨大なスタジアムでなくてもよく、状態のいい芝生があり、観客席とピッチが仕切られていて、しかもHポストが常設された専用競技場であればいい。今まで観た2試合の内容が好印象だったこともあり、今シーズンここでラグビーを観るのはこの日が最後になるのが残念だ。そんな想いに耽りながら、どちらにとっても負けられない、激戦が予想される試合のキックオフを待った。

[前半の闘い]

両チームともメンバーは気合い十分でピッチに登場した。メインスタンドから観て左側に陣取った拓大のキックオフで試合開始。陣取りのキック合戦があった後で、拓大陣10m付近でのラインアウトから日大がオープン展開で攻める。しかしながら、緊張感があってかノックオンがあり、ここから拓大の攻勢が始まる。拓大のキックに対し日大が自陣10m付近でノックオン。拓大がスクラムからオープン展開で攻めたところで日大にノットロールアウェイの反則。こうなると拓大の選択肢はただひとつ。相手陣ゴール前のラインアウトからモールを形成して最後はウヴェが決める形だ。1回目のラインアウトは日大が反則。そして2回目のラインアウトでモールからウヴェの得点が生まれる(GKは失敗)。キックオフから5分と時間帯も内容も過去2戦と殆ど同じ。日大にとっては分かっていても止められなかったのが反省点だが、拓大は決め所でしっかり取れるチームへと成長を遂げたことを象徴するようなシーンだった。

しかし、日大もすぐに反撃に出る。キックオフからの蹴り合いで拓大がダイレクトタッチのミス。日大はHWL付近でのモールからハイパントで攻める。ここで拓大選手が後ろに弾いたボールを日大選手がうまく確保し大きく前進。最後はフォローしたFL大窪がインゴールに飛び込んだ。小川がGKを確実に決め7-5と日大が8分に逆転に成功する。拓大にとってはアンラッキーとも言えるが、重要な試合では、ミスは確実に失点に繋がるのがラグビーの怖いところ。

さて、今シーズンの拓大の見どころはラインアウト→モールからのウヴェの得点とマイボールキックオフでのFL森のジャンピングダイレクトキャッチ。果たして、この試合でもそのシーンが早くも観られることになる。SH岩谷のキックオフは高く上がって日大陣10mと22mの中間部辺りへ。そこへタッチライン沿いから走り込んできた森が落下点に到達してジャンプ一番! 相手との競り合いに勝ってボールを確保してしまった。この場面を観るのは3試合連続で、これはもう奇跡ではなくて必然。また、このプレーが拓大の得点に繋がることもお約束事になっており、果たして本日もそうなった。拓大が日大陣22m付近まで攻め込んだところでハイタックル。ラインアウトからのモール攻撃はラックでのパイルアップに終わるが、拓大はスクラムからサイドを攻めてゴール前でラック。最後はボールを抱えたウヴェが身体をねじるように回転させながらトライを奪う。決めたのはもちろんウヴェだが拓大FWが全員でもぎ取ったトライだ。GKも決まり拓大が12分で12-7と逆転に成功する。

日大も反撃。拓大の蹴り返しのキックがまたしてもダイレクトタッチとなり、日大は拓大陣22m付近でラインアウトのチャンスを掴む。日大はモールで大きく前進してオープンに展開、拓大ゴールラインに迫るもののノックオン。命拾いした拓大が自陣22m付近でのスクラムから大逆襲に出る。過去3戦での拓大の戦いはFW主体でボールを確実に前に運ぶスタイルだった。しかしながら、本日は積極的にオープンに展開し、CTB斉藤やWTB永野らがしばしばビッグゲインを見せる。FWのタテも交えた連続攻撃で日大陣22m手前までボールを運び日大の反則を誘う。こうなったら拓大はしめたもの。ラインアウト→モールからウヴェがあっさり抜けて難なくグラウンディングに成功。GKは外れたものの17-7と拓大のリードは10点に拡がる。23分にも拓大は日大陣ゴール前でのラインアウトを起点としてFWのサイドアタックからウヴェが決める。GKはまたしても外れるが22-7と拓大は確実に点差を拡げる。

決めるべき人が決めしかもそれが4つ連続。GKがさほど難しくない位置からでも決まらないのが難点だが、このまま拓大が突っ走ってしまいそうな勢い。GKの「不調」は拓大の泣き所でもあるのでまぁ仕方ないかと、拓大応援席に「楽勝できるかも?」というムードが漂い始める。しかし、ラグビーは難しい。もちろん、この日の拓大は今期最高の仕上がりと言ってもいい状態なのだが、比較的簡単に取れてしまったことが油断を生む。何となくだが、ピッチ上にも一瞬テンションが緩んだような空気が支配したように感じられた。過去の拓大なら、この雰囲気になると別のチームになってしまうことが多い。直近シーズンでも勝てる試合をいくつか落としてしまったことが思い出された。

このような一瞬の「緩み」を察知したかのように、日大が反撃に出る。28分、小川の拓大G前を狙ったPK(タッチキック)はノータッチとなるが、拓大がノックオン。続くスクラムで拓大にアングルの反則があったところで、小川が間髪入れずタップキックで仕掛けてオープンに展開し、WTB瀧水がゴールラインを越えた。小川はリーグ戦G屈指のSH(かつ司令塔)だが、指折りのスーパーブーツでもある。ここも確実にGKを決めて14-22とビハインドを8点に縮める。内容から観たらトライ数で4対2と拓大が圧倒しているのだが、点差は僅かに8点。コンバージョンキックによる2点の積み重ねがいかに大切かは、終盤に拓大が痛いほど知ることになる。

しかし、今シーズンの拓大が違う。心配された凧の糸が切れてしまうような状態にはならなかった。34分、日大陣G前ラインアウト→モールからラックを経てオープンに展開。ブラインドサイドから絶妙のタイミングでライン参加してボールを受け取ったWTB永野が日大DFを切り裂き、ボールを一気にゴール前まで運ぶ。そして、サイドアタックを経てラックからHO川俣がボールをインゴールにねじ込み、拓大は27-14とリードを13点に拡げた。(またしてもGKは外れた。距離は十分なのだが、無情にもボールはゴールポストの僅か右に逸れる。せめてこれが入っていれば...)

拓大はこのまま優位に立った状態のまま前半を終えたいところ。しかしながら、日大も負けられない。
36分、拓大が自陣でハイタックルの反則を犯したところで日大は拓大ゴール前でのラインアウトを選択。モールからオープンに展開し、G前ラックからLO館山が飛び込む。GK成功で27-21と日大がビハインドを6点に縮める。同じひとつのトライなのに確実に2点ずつ差が詰まってしまうから、GKは大切だ。さらに40分、日大は自陣10m手前付近のスクラムを起点として、FWとBKが一体になってテンポよくボールを繋ぐ波状的な継続攻撃を見せる。おそらく、これが日大の目指している形なのだろう。キープレーヤーはNo.8の高橋。サイズはないが、ポイントポイントに必ず現れて効果的にボールを繋ぐ。昨シーズンまで活躍していたパワー系のタカウとは違ったタイプで、他にもなかなかいないタイプのNo.8だが日大の要注目選手のひとりだと思う。

ボールが拓大ゴール前まで運ばれたところで拓大に痛恨の反則。場所はゴール正面で、時間的に見てもここは小川がショットを選択して点差を確実に詰めると誰もが思った。ところが、小川の選択は何と(劣勢だった)スクラム。しかし、ここで日大の頼みの選手にトライが生まれるからラグビーは分からない。センタースクラムからオープンにボールが展開されたところで、深めの位置取りだったCTBマイケルにボールが渡る。歓声をため息に変えることが多かったマイケルだが、ここは強さを活かして拓大DFをぶち抜きインゴールへ。もちろん、結果論だがこのギャンブルは効いた。28-27と日大は何と再逆転に成功してしまう。小川に閃きがあったのかも知れないが、結果的に本日のハイライトシーンとなった。

[後半の闘い]

前半の序盤の戦いは拓大の楽勝ムード。しかし、日大も簡単に負けるわけには行かない。試合は予想をも上回る拮抗した展開になってしまった。日大側の応援席からは部員達による校歌の斉唱も聞こえてくる。かつての日大でこんな場面はまったく記憶にない。やはり、応援する部員達も相当に気合いが入っているのだろう。

さて、試合がほぼ振り出しに戻ったところで日大のキックオフから両者の激しい攻防が展開される見応え十分の展開となる。そして、気持を入れ替えた拓大が鮮やかなオープン攻撃を見せる。7分に日大ゴール前で得たPKはラインアウト狙いがタッチインゴールとなってしまうが、日大ドロップアウトに対するカウンターアタックからの連続攻撃でCTB斉藤がビッグゲイン。そして、WTB永野が日大DFを振り切ってインゴールに飛び込んだ。ここまでウヴェの4つを含む5トライはすべてFWによるもの。拓大としては待望のBK展開によるトライで、前3試合でも観られなかった形。元来はオープン展開指向が強かった拓大にとっては嬉しいトライに違いない。キッカーはステイリンに替わったが、ここもダメで拓大応援席からは大きなため息。対戦相手の選手ではあっても、どの位置からも確実にGKを決める小川に対しては感嘆の声を上げるしかない。

32-28と拓大が4点リードという微妙な点差を保持したまま、しばらくは両チームによる激しい攻防が続き得点板が動かなくなる。ただ、押し気味に試合を進めたのは拓大の方。ペナルティがことごとく失点に繋がっているのが痛いが、基本プレーでのミスは少ない。今季の拓大は、オープンに展開する前にFWでボールを前に運ぶスタイルなのだが、FWが厳しめのパスを受け取ってもノックオンが殆どないのは他のチームには見られないこと。キックオフの場面然り、安定したラインアウトも然り、いかに彼らが基本プレーを大切にしているかがよく分かる。それと、過去には散見された選手の意識がエアポケットに陥る場面も殆どない。たった1年でここまで変われるか?と言うくらいに拓大は見事に変身を遂げたようだ。

24分、そんな拓大に待望の追加点が生まれる。日大ゴール前でのスクラムからサイドアタックで攻めてHO川俣がトライ。GKは…やっぱり決まらない。が、37-28の9点差なら何とか逃げ切れる。そんな祈りにも近い形で拓大応援団が見守る中、時計はどんどん進んでいく。しかし、試合も終盤に近づいた34分に今試合のハイライト「第2弾」が待っていた。日大が拓大陣22m内ゴール正面の位置でPKを得る。日大がここで3点取ってリードが6点に縮まると誰もが思った。ところが小川の選択はタップキックからのアタック。これが見事に当たりFL外園がインゴールへ。35-37と日大が1PGで逆転可能となったところで拓大応援席に悲鳴が上がる。

とは言ってもまだ2点をリードして勝っている。キックオフからはとにかく敵陣で大切に時間を使うだけだ。ところが、痛恨のペナルティを犯してしまう。インジュリータイム2分が宣告されたところで、日大は拓大陣10m/22mの位置でのラインアウトから最後の反撃を試みる。ラインアウトからボールがオープンに展開されたところで拓大にまたしてもペナルティ。距離が40m近くあるとは言え、ゴール正面の小川なら問題なく決められる位置だ。拓大ファンの祈りも届かず、小川の蹴ったボールはポスト中央に吸い込まれる。そしてノーサイドのホイッスル。まるで日大の選手達は優勝したかのような歓喜の輪に包まれる。この試合の勝ち負けが今後の戦いに大きな影響を与えることは間違いないのでそれは無理もない。

接戦となることを予想したとは言え、ここまで縺れる(痺れる)展開になるとは思わなかった。ゴール裏でクーリングダウンをしている拓大の選手達の背中がみんな泣いている。そう、試合内容ではまちがいなく拓大が勝っていたのだ。僅か1点差でも負けは負け。でも、この敗戦を糧としてさらにこのチームは成長して欲しい。結果は出なかったが、この日の拓大は今シーズンに観たどの試合のどのチームよりも輝いて見えた。

[試合後の雑感]

殆ど言いたいことは本文の中に書いてしまった。日大は本当にしぶといチームになった。小川のギャンブルとも思える2回の判断も仲間を信頼してのことだと思う。日大は小川だけのチームではないことを証明したような試合でもあった。もちろん、日大にとっては反省点の多いほろ苦い勝利ではある。でも、やはり、このチームは今年こそ大学選手権で羽ばたいて欲しい。

それ以上に羽ばたいて欲しいのは敗れた拓大だ。ここまで春を含めて5試合を観てきたわけだが、試合を重ねる毎に確実に成長を遂げている。まるで、チームの立て直しはこうやってやるのだというお手本を見ているような感じがする。当たり前のことを当たり前にやってきたのが前節までの戦い。そして、この試合では「オープン展開でも取る拓大」という新たな姿を見せてくれた。FWとBKの連携がよくなったことで攻撃の幅が確実に拡がっているだけに、今後のさらなる成長が楽しみだ。

拓大の今後の相手は流経大、法政そして中央。どこも自分たちよりも素材に恵まれた選手達が揃った難敵だ。しかしながら、今一歩ピリッとしない流経大には肉薄することが可能とみる。潜在力の高い法政はチームがまだ完成しておらず、チームが完成しつつある中央もプレーの精度に欠ける部分がある。1試合ごとに成長を遂げている拓大にはチャンスが3つ残されていると言ってしまおう。泣くな! そして、頑張れ!!!
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地球おんがく一期一会/イントロダクション

2012-10-21 11:11:56 | 地球おんがく一期一会


音楽とスポーツは私の大切なスタミナ源。いやそれ以上かも知れません。

様々な音楽との出逢いが人生を豊かにしてくれた…かどうかは分かりませんが、少なくとも自分自身の世界を大きく拡げてくれたことだけは確か。

あるときはラジオから、あるときは街角で、そしてあるときはレコードショップでといったぐあいに様々な場所や時間に出逢ってきた音楽のことを、自分史を振り返りながら綴っていきたいと思います。
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第7節(10/21)の試合予定&みどころ

2012-10-20 11:07:55 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
○第7節の試合予定

 10月 21日(日) 大東文化 vs 流通経済 12:00 ケーズデンキスタジアム(水戸)
 10月 21日(日) 拓殖大学 vs 日本大学 14:30 キャノングランド

東海大と流経大の2強による覇権争いもさることながら、熾烈を極める様相を呈してきた中位グループの凌ぎ合いも大きなみどころとなっている今シーズンのリーグ戦グループ。第7節ではそのオープニングに相応しい注目のカードが組まれています。キャノングランドでの拓大と日大の戦いは、勝敗がその後の両チームの運命を決める可能性が高い重要な戦いとなることは必至。ここまで2勝1敗の拓大は、勝てば上位グループ進出に大きく前進するのに対し、1勝2敗の日大は負ければ上位グループ争いから一歩後退となってしまいます。

現在中位グループを形成する4チームにとっては、5位以上となって大学選手権への出場切符を獲得することはもちろんのこと、上位と下位では来シーズンのチーム作りにも違いが出てくることを考えれば、とくに日大にとってこの試合は負けられない戦いとなります。また、水戸では連覇を狙う流経大が大東大のチャレンジを受けます。流経大は開幕から3連勝中で好調を維持しているとは言え、法政戦では終了間際のトライ+GK成功の1点差で辛くも逆転勝利を収めるといった具合に、着実に仕上がりつつある東海大に比べれば安定感を欠いているとも言えそう。この試合でチームを完成させることが出来るかが注目ポイントとなります。

【大東大文化大学 vs 流通経済大学】

前節で4連敗となってしまった関東学院だけでなく、目下3連敗中の大東大にも元気が観られないのがリーグ戦Gファンとしては気になるところ。何とかひとつ勝って自信を取り戻して欲しいところです。しかしながら、対戦相手の流経大はチームがまだ完成していないとは言え、強豪であることは間違いありません。大東大は、FW戦で完敗してしまうと大量失点負けも覚悟しなければなりません。ただ、流経大はこの試合もSOの先発は1年生選手なので、法政の闘いぶりが参考になると思います。流経大がオープンに展開した段階でしっかりプレッシャーをかける。FW戦に切り替えてきたら身体を張ってアタックを止めると言った形で戦術はシンプルになると思います。あとは、力負けしないこと。言うや易しで現実は厳しいと思いますが、大東大はテビタやフィリペが復帰する前にチームの形をしっかり整えておきたい所です。

現時点ではまだBKのフォーメーションをテストしている段階に見える流経大ですが、やはりSO合谷(1年生)、WTBリリダムがファーストチョイスのようです。ただ、法政戦の苦戦の原因のひとつはここにあったようで、しばらくは実戦を通じてルーキー選手に経験を積ませることになると思います。個人的には1stセットをオペティにして試合を落ち着かせ、ゲームが動いてきたところで合谷の起用がいいように思いますが、それはチームの判断なので。あと、気になるのはまだWTBリリダムが爆発する形が作れていないように感じられること。他チームにとっては羨ましい様々な選手の選択が可能な流経大ですが、LOのシオネは外せないのでしばらく首脳陣の(贅沢な)悩みは続くかも知れません。WTBがトライの山を築くラグビーが観たいと思う半面、FWでじっくり組み立ててから展開する流経大のラグビーも捨てがたい魅力があります。辻、高森らのFW3列が決定的な仕事ができるトリオだけにそんなことも思ってしまいます。

【拓殖大学 vs 日本大学】

中盤戦屈指の好カードだと思います。力関係は日大6に対し拓大4と言った感じで日大が優位にあるとは思うものの、それは選手個々を比較してのこと。最後はウヴェで決めるというゲームプランが明確なことと、チームの纏まりの面では拓大の方に軍配を挙げたくなります。その拓大ですが、4戦目を迎えてもリザーブも含めて先発メンバーが完全固定の状態が続いています。激戦を経ているだけに負傷者が何人かでても不思議はない状況だけに、これは特筆に値することだと思います。いかに選手個々もチームもいい状態にあるかがわかります。この試合はおそらく日大が最初からオープン展開で攻勢に出ることが予想されます。拓大としてはまずここをしっかり止めたいところ。日大が手詰まりになって「小川頼み」の状態になったマークすべき相手がはっきりするのでしめたものです。とにかく粘り強いディフェンスがキーワード。小粒ながらしぶといFWの頑張りも見どころです。

前段でも書いたように、日大はオープン展開勝負で来ると思います。バックスリーは日大のエースに成長した瀧水に加えWTB早川とFB富樫の1年生コンビも自信を付けてきているだけに、マイケルを活かす形でWTB勝負ができれば拓大は苦しくなります。逆にBK攻撃で拓大の抵抗に遭い、手詰まりになったら日大はピンチです。展開を意識しているSH小川が個人能力で打開しなければならない状況になると拓大に勝機が訪れます。FW周辺での戦いは拓大の得意としているとこで、多くの得点もここから生まれているから。そう、拓大には頼りになるウヴェが居ることが大きく、また、彼をフィニッシャーにすることで拓大は意思統一が図られていることは日大も十分に警戒すべきところ。事実、東海大戦でもウヴェがフリーになってしまう場面が散見され、堅守の東海大らしからぬ形で2トライを奪われています。FW戦に巻き込まれてしまいウヴェを見失うのが日大にとって最悪のパターン。タイプが違うチーム同士戦いは見どころ満載です。

[閑話休題] 拓大vs日大の私的見どころはSH対決!

拓大と日大が好調なのは、HB団コンビがどちらも安定しているから。もちろん、華麗さの面では日大の小川~下地に軍配が挙がりますが、地味ながら堅実な岩谷~ステイリンのコンビも捨てがたい。とくに注目したいのはSH対決で、経歴やプレースタイルは異なりますが、小川も岩谷もまずSOを経験してからSHに転向したという共通点があります。さて、この2人を比べたら、どうしても注目は小川の方に集まると思います。個人技はもとより、ラインを動かすことも巧みで大学生では「もっとも華麗にトライを演出できる選手」と言っても過言ではない。もちろんリーグ戦G屈指のスーパーブーツのひとりでもあります。相手陣スクラムからの8→9によるトライは芸術品の域に達していると思います。

そんな「華麗さ」が似合う小川に比べたら、岩谷はどうしても地味に見えてしまいます。ただ、副将ながらゲームキャプテンを務める彼の存在、そしてキック力も含めてSOとしての過去の経験が現在の拓大のラグビーに活かされているようにも思うのです。バックスリーに高速ランナーを揃えた以前の拓大なら、求められたのは球捌きのいいSHで、現チームにも好選手がいます。が、敢えて岩谷を起用しているのは、SHながらSO的な感覚でゲームを作れるからではないかと。スクラムでのNo.8からのアメフトスタイルのボールの出し方にしても、岩谷を攻撃の起点としてSO的に使うという発想から来ているのかも知れません。もちろん、後ろにはCTBとしても機能する安定したステイリンが居るからそんなことが可能になる。

ネームバリューもタイプもまったく違う2人ですが、ゲームキャプテンを務め、しかもSOを経験している点では共通している。BKへのパスの供給はもちろんのこと、FWをコントロールしなければならないし、SOとしてラインを動かす起点にもなる場合があるSHの重要度を考えてみる上でも、なかなか楽しみな「対決」になるのではないかと期待しています。
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第6節(10/14)の試合結果&感想

2012-10-18 18:48:48 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
○第6節(10月14日)の試合結果

 10月 14日(日) ○中央大学 50 – 12 ●関東学院 秩父宮ラグビー場
 10月 14日(日) ○東海大学 39 – 18 ●法政大学 キャノングランド

この第6節で約半数の13試合を消化したリーグ戦Gは、折り返し地点を間近に控えて大変な事になってきました。それは、前年度下位グループだった4チームによる熾烈な中位(3~6位)争いの様相を呈してきたこと。法政(2勝2敗)、中央(2勝1敗)、拓大(2勝1敗)に日大(1勝2敗)を加えた4チームは実力的にも伯仲しており、どのチームが3位(以上も可能性あり)に上がっても、また、どのチームが6位に沈んで(大学選手権を逃し)涙を呑んでもまったくおかしくない状況となってきました。今後は日程表をにらみながら、11月末までの毎週末、各チームのファンは一喜一憂することになりそうです。

さて、第6節では、相手が調子の出ていない関東学院とはいえ、会心の戦いぶりを見せて圧勝した中央大が中位グループから一歩抜け出しそうな勢いを見せました。また、緒戦、2戦目で勝利を納めたとは言え、出遅れ感があった法政は急速にピッチを上げており、東海大には完敗を喫したものの、このままスパートしてトップに躍り出ようかというムードになってきました。試合がなかった日大も先行ムードは消え、ライバル達の激走に強い刺激を受けているに違いありません。また、開幕前は劣勢が予想されていた拓大は開幕2連勝と好スタートを切れたことが大きく、中位グループをしっかりキープしています。そして、次の第7節には、壮絶なサバイバルレースの幕開けを告げる日大と拓大の直接対決があります。

そうなってくると、どうしても気になるのは調子の上がらない2チーム(関東学院と大東大)と言うことになります。とくに関東学院は開幕からまさかの4連敗で、しかも試合を重ねてもチーム力が上向きになる様子が見られません。このような状態の中で、これから本格的にパワーアップしていく状況にある2強との対決を控えていることは大きな不安材料と言えます。そのことは、主力が欠場していることが響いて苦しんでいる大東大にしてもまったく同じ。2強+中位陣4チームに置いて行かれないためにも、関東学院と大東大にはとくに奮起を期待したいところです。
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