「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

東洋大学 vs 大東文化大学(関東大学リーグ戦G1部-2022.10.02)の感想

2022-10-04 02:09:16 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


本当に久しぶりのセナリオハウスフィールド三郷。コロナ禍もあって、リーグ戦グループの試合観戦からも遠ざかっていたことも思い出す。2018年度のシーズンが最後で、そのころは競技場の道路側は芝生の土手だったのだ。

有料試合開催ということで、スタンドはどうなっているのだろうか?とか、道路側は(外から丸見えなので)目隠しフェンスを作ったのだろうか?とか想いをめぐらしながら試合会場に向かう。着いてみると、バックスタンド側にコンクリートの座席が設けられていたことを知る。熊谷ラグビー場のBグランドや明治大学を訪れたことがある人にはお馴染みの形。(目隠しフェンスはなかったが、会場スタッフが通行する人に立ち止まらないように通行する人に促していることを観戦中に知る)。

以前は、メインの座席が観にくいため、チームのテントがある側に立ち、選手目線で観戦していたが、今シーズンからは落ち着いて観戦できる。実はバリアフリーの競技場は、チームや選手の状態、ゲームの流れがダイレクトに伝わってくるのが面白い。試合に纏わる色々な思い出が頭の中を走馬灯のように駆け巡る(テンションが高まった状態で)キックオフを待った。

◆前半の戦い

1部リーグ昇格の緒戦で東海大を破り、2戦目の関東学院戦にも圧勝して勢いに乗る東洋大。それに対し、開幕2連敗でなかなか調子が上がらない大東大。そんな状況もあり、東洋大優位の予想も立っていたことは否めない。

しかしながら、元気いっぱいのはずの東洋大の状態がおかしい。キックオフから全体的に身体が重そうに見える。アタックでもなかなか前進できず、ボールキャッチでのノックオンなどイージーなミスが多い。キックチェイスも中途半端に見える。極めつけはラインアウト。211cmのウーストハイゼンが居るので圧倒的に優位に立っているはずなのだがマイボール獲得に窮する状態。

このような状況が続けば、自ずと試合の流れは相手に傾く。LOサイモニ、No.8リサラ、CTBラトゥらの強力なランナー達にボールを集める大東大の攻めが功を奏し、東洋大が防戦一方となる。大東大は17分、25分、30分に3連続トライを挙げ、ゴールキックもCTB戸野部のGKもすべて成功で21-0とリードを拡げる。

ゴール前まで攻め上がってもなかなか1本が取れない、東洋大ファンにとってはフラストレーションが溜まる試合展開。ただ、大東大も前半だけで3人の選手が負傷交代と後半戦に不安が残る状況ではある。東洋大が建て直せずこのままずるずる行きそうな内容ではあるが、大東大にとってもけして安心はできない状況の中で前半の戦いが終了した。



◆後半の戦い/東洋大の大逆転も束の間、

前半、精彩を欠いたとは言っても開幕2連勝のチームがこのまま引き下がる訳にはいかない。LOのウーストハイゼンに替えて森山を起用。これでFWの2列、3列はすべて180cm台の選手になったが逆に前半あれだけ苦労したラインアウトが安定するから不思議。

この選手交替もあり、後半は東洋大に積極性が加わったように見えた。ただ、ゴール前まで攻め上がるものの、あと一歩が届かずなかなか意気が上がらない。そうこうするうちに、15分に大東大が東洋大陣22m付近でPKのチャンスを得る。後半、大東大が先に1本取れば(東洋大は意気消沈し)ほぼ試合が決まるような状況で、ゴール前でのラインアウト選択も考えられた。

が、ここで大東大の選択はPGによる3点。24-0とすることは理に適っていると思うものの、東洋大の息の根を止めるためにも積極的に行ってもいいかなと思ったのだ。その理由の1つとして、前半に負傷交代が相次いだことと終盤戦でのフィットネスの不安が挙げられる。

果たして、この失点を機に東洋大が息を吹き返したような形で19分に反撃の狼煙を上げる。大東大の選手達の足が止まり始め、あっさりとラインブレイクを許す場面も。東洋大の勢いは止まらず、29分、34分にトライを挙げて19-24。あと1トライ挙げてGKが成功すれば大逆転勝利というところまできてしまった。3連敗はしたくない大東大との死力を尽くした攻防が展開される。

そして終了間際の44分、ついに東洋大は4連続トライで逆転に成功。ロスタイムが長めに取られているとは言え、大東大のキックオフを凌げば3連勝達成。しかし、運命は残酷。自陣で一番やってはいけない反則を犯してしまった。PGが決まれば大東大のサヨナラ勝ちになる。ここまで4本のGKすべてを難しい位置からも決めている戸野部が慎重に慎重を期して蹴ったボールは2本のゴールポストの中央を通過。大東大応援席から大歓声が上がったことは言うまでもない。

結果論(前言を翻す?)だが、15分にPGを1本決めていたことが大きかった。大東大は戸野部のスーパーブーツのおかげで勝てたとも言えるが、勝機を逃した東洋大にとっては悔やんでも悔やみきれない敗戦となってしまった。



◆試合後の雑感/大学ラグビーの怖さと難しさ

大学ラグビーで指導者の方がもっとも苦労されるのは、おそらく選手達のメンタルコントロールではないだろうか。たった1週間で絶好調から絶不調に陥ったチームを何度も観ているのでそう思う。いい結果を得たときの達成感は往々にして気持ちの緩みを生みやすい。テンションが緩むことで蓄積された疲労感が一気に吹き出してくることはあるかも知れない。

とくに前半に精彩を欠いた東洋大の選手達は「こんなはずでは…」と感じるくらいに身体が重かったのではないだろうか。また、相手が3連敗していることも心の片隅にあったかも知れない。そういった意味でも、後半に建て直せたことは今後の戦いでは大きな財産になると思う。緒戦で勝利した東海大にしても、この状況を経験するまでに数年間を必要とした。

大学ラグビーの面白さは1週間でチーム状態がガラッと変わって良くなるというのもある。東洋大は(流通経済大や東海大が1部昇格後に何年も要した)上位校に対する勝利を既に達成している。2週間でしっかり切り替えてリーグ戦グループ活性化の起爆剤であり続けて欲しいと願う。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第60回 YC&ACセブンズ... | トップ | 流通経済大学 vs 日本大学(... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

関東大学ラグビー・リーグ戦」カテゴリの最新記事