「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

関東大学ラグビー・リーグ戦グループ(2016)第5節の結果

2016-10-27 23:14:51 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
第5節でリーグの前半戦が終了。流経大が関東学院に、大東大が拓殖大にそれぞれ勝利して4連勝となり、東海大を加えた3チームが全勝街道を走る展開。ただ、ほぼ盤石に近い東海大に比べると、流経大と大東大は一歩遅れを取っていると言えそう。流経大は関東学院を圧倒したものの、まだまだ結果オーライの精度を欠くプレーが目に付く。力の差が明らかな相手の場合なら大事には至らないが、今後の優勝争い、そして大学選手権の戦いではミスが致命傷になりかねないだけに丁寧なプレーを心がけたいところ。大東大もここに来て負傷者が増えてチームはピンチの状態となり、調子を上げつつある拓大相手に苦戦を強いられた。前半戦はラグビーの内容と結果が必ずしも一致しない戦いが続いた感があるが、後半戦はそうもいかなくなるのではないだろうか。

【試合結果】 ※左側が勝者

10/23(日) 流通経済 81-14 関東学院 (秩父宮)
10/23(日) 大東文化 48-35 拓殖大学 (熊谷B)







【第6節の試合予定】

10/30(日) 大東文化 vs 東海大学 14:00 (秩父宮)
10/30(日) 関東学院 vs 法政大学 14:00 (ニッパツ三ツ沢)

秩父宮の大東大と東海大の戦いは優勝の行方を占う大一番。負傷者が増えて戦力ダウンを強いられている大東大に対し、FWが強力で選手層の厚い東海大の優位は動かない。大東大のFWがどこまで踏ん張れるか。中央大に勝利していることがアドバンテージとなり、大学選手権の4枚目の切符獲得で一歩リードの法政は負けられない戦いが続く。流経大に大敗した関東学院もチームが崩壊している訳ではないのでニッパツの試合も拮抗した戦いとなることが期待される。

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大東文化大学 vs 拓殖大学(関東大学リーグ戦G1部-2016.10.23)の感想

2016-10-27 00:14:06 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


第5節を迎えて関東大学リーグ戦グループはちょうど折り返し点。前年度の上位校と下位校の間で行われる言うなれば「チャレンジシリーズ」はこの日で終了し、次節からはいよいよ熾烈な優勝争い(または入替戦回避のサバイバル戦)が始まる。しかし、今年はまだ観ていないチームが3つもある。秩父宮の流経と関東学院の試合も気になるが、この日は熊谷ラグビー場Bグランドの大東大vs拓大戦をセレクト。優勝候補のひとつ大東大はここまで3連勝中。対する拓大は3連敗中で順当にいけばそれぞれのチームが連勝/連敗を1つずつ伸ばす結果になるはず。

しかし、大東大は今まで観た感じではまだ盤石とは言えない状態。この日はタラウとアマトのファカタヴァ兄弟の名前がリザーブにもなく、FWの2、3列は1年生と2年生がそれぞれ2人ずつ名を連ねている。対する拓大はFWに拘りを持つチームでスクラムでは東海大を真っ二つにしたというような話を聞くと大東大ファンにとっては不安一杯のメンバー構成と言える。実は拓大のメンバーにも変化があった。ここまでNo.8を務めていたルーキーのマシヴォウ・アセリがCTBとして12番を付けて出場する。果たして拓大に戦術変更はあるのか。もっとも拓大は今シーズン初観戦だからそれも判らないわけだが。

好天に恵まれ絶好のラグビー観戦日和となった熊谷Bグランド。埼玉ラグビーサポーターズクラブの会員証のおかげで招待券を受け取って入場するのも3試合目となった。観客も少なめで今日はメインで観戦しようかと一瞬思った。が、屋根の下の席は部外者には入りづらい雰囲気。少し離れた場所でもチーム関係者用のテントが(障害物となって)建つはずなのでバックスタンドに向かうことにする。例えばの話、コンパクトなキヤノングランドのような形のスタンドだったら、むしろAグランドより観やすいラグビー場になっただろうという想いを捨てきれない。

バックスタンドに向かう途中、北側のゴール裏では拓大の選手達がアップに励んでいる。選手1人1人を見ると例年になく各選手の身体が出来上がっているように感じられた。今シーズンに限らず拓大の選手はFWでも小柄の選手が多い。190cm以上の選手はシオネ・ラベマイだけで、次に大きな選手は184cmのPR具という状況。しかしながら、ビルドアップされた状態で身体を動かしている選手達を観て、もしかしたら?の期待が高まった。



◆前半の戦い/サウマキ砲が炸裂の大東大に対しモデルチェンジした拓大が追いすがる

大東大のキックオフで試合開始。大東大は基本的にパスラグビーで、SH小山を起点としてどんどんオープンに展開する。片や拓大はFWに拘りゴリゴリかと思われたが、大東大に負けじとBKに展開して攻める。マシヴォウをCTBに起用した意図はここにあったわけだ。本来目指している形かどうかはまだクエスチョン。だが、ここまでの強いFWを持つチームとの戦いで自信を掴んだことは間違いなさそう。スクラムに拘りを持つチームではあっても、伝統的に拓大はボールをワイドに動かすランニングラグビーを信条としている。

序盤戦は両チームともに堅さからかミスが目立つ。そんな中で先にチャンスを掴んだのは大東大。拓大の選手のタックルが高めでレフリーに注意も受けていた中で10分、同じプレーを繰り返したSO大塚にシンビンが適用される。大東大はPKから22m内でのラインアウトを起点として攻める。スローイングは後ろに流れてしまうが、大東大はボールを失わずに素早く左オープンに展開。ラストパスを受け取ったサウマキが幸先良く先制トライ(GKも成功)を奪う。リスタートのキックオフが圧巻だった。ここでも大東大は自陣から蹴らずに左オープンに展開してボールがサウマキに渡る。当然拓大もこの選手をマークしており2人のタックラーがサウマキを挟み込むように同時に低く刺さる。はずだったが、何とサウマキは2人ともなぎ倒して前進する。

前にもう1人いたタックラーも(パワーは単純に1/2なので)敵ではなく、サウマキは左タッチライン際を約60m走りきってゴールラインまで到達する。強い選手に対するダブルタックルは下(足)と上(ボール)に入るのが原則だが、2人同時に同じ低さで入ってしまったのは失敗。サウマキは重心が低いので下に入ってもなかなか倒せない選手だが、2人でもダメとなると手の施しようがない。力強くはあっても不思議と強引さは感じさせない選手。ここが抜群の身体能力の高さを誇るサウマキの持ち味でもある。FWに不安がある大東大はファカタヴァ兄弟が揃って先発することが多いが、得点力アップを考えるならサウマキがスタメンの方がチームの威力は増すように思う。



エースによるトライが続き、しかも2本目はノーホイッスルトライと拓大にとっては苦しい立ち上がりとなる。しかしFW戦で想定したとおり優位に立っていることもあり、意気消沈したような雰囲気は感じられない。リスタートのキックオフでは大東大陣22m付近のラックでターンオーバーに成功。大東大が犯した反則に対するアドバンテージが出る中で、インゴールへのキックに反応したFB大國がタッチライン際でボールのグラウンディングに成功。右サイドの難しい位置からのゴールキックを拓大のゲームキャプテン林謙太が鮮やかに決めて7-14と拓大が一矢報いた。大東大のサウマキがトライショーなら拓大の林謙太は確実なプレースキックでそれぞれ魅せる。2人の競演はここからがスタート。

続く大東大リスタートのキックオフはノット10mとなり、拓大ボールのセンタースクラム。ここでアクシデントが発生。拓大の具がボールを持ったところで低くタックルに入った大東大のCTB畠山が昏倒する。逆ヘッドのようなタックルになってしまい頭を強打したように見えた。畠山がまったく動かない中、約6分が経過したところでようやく選手交替。ハイタックルは相手にとって危険なプレーだが、ロータックルでとくに逆ヘッドの状態はタックラーにとって危険なタックルと言える。リスクを負っての勇気あるプレーという評価は妥当ではない。ロータックルも時に選手生命を奪う危険性があることをプレーヤーも自覚する必要があると思う。

しばらく間が開いてスクラムから試合再開。ここで大東大がコラプシングの反則を犯し、大東大は自陣ゴール前に釘付けの苦しい時間帯を迎える。拓大はラインアウトからモール、ラックで攻めるものの、ゴールまであと一歩のところを攻めきれず得点できない。サウマキの快走もあって効率よくトライが取れる大東大に対し、拓大ファンのフラストレーションは溜まっていく。そんな拓大を尻目に大東大は26分に自陣10m付近右サイドの位置でのスクラムを起点として左オープンに展開してサウマキがハットトリックを達成。SHの小山は自ら仕掛けることを封印してパサーに徹している感じだが、それも左の大外に絶対的なエースが居るから。サウマキが11番を付けているときの大東大は左サイドで観るのが断然面白い。

拓大が攻めきれない中で33分、大東大に私感ながらこの日のベストトライが生まれる。左オープンへの展開からボールは大外のサウマキへ。拓大選手だけでなく観客の目も殆どが11番の選手に集まる中、サウマキからのリターンパスが絶妙のタイミングで内側にフォローしていたCTB戸室に渡る。前には誰も居ないような状態なので俊足ランナーの戸室は難なくゴールラインを突破。大東大は、1人の選手が抜けても必ずフォロワーがパスを受け取れる位置にしっかり付いている。サウマキ本人はもとより、併走している戸室あるいはFB大道へのリターンパスも大東大の武器のひとつ。拓大のタックルが高めで甘いことも前進を許してしまっている面がある。

だが、24-7と大東大に楽勝ムードが漂い始めた前半の終盤に拓大が盛り返す。40分、大東大ゴール前でのラインアウトを起点としてFWがボールをキープしながらじわじわと前進。最後はPR3の具がトライを決めた。さらに42分、拓大は今度も大東大陣ゴール前でのラインアウトからモールを形成して前進し、あっさりとトライを奪う。いずれも右中間から右サイドのやや難しい位置ながら、林謙太が鮮やかなゴールキックを決めて21-24で前半が終了。モールディフェンスが泣き所の大東大とっては自陣での反則が続いたことが響いた。なお、大東大は42分の被トライの際に司令塔のSO川向も足を痛めて負傷退場してしまいピンチとなる。



◆後半の戦い/失点の多さに冷や汗たっぷりの大東大だが明るい材料も

ゲームは3点差まで肉薄し、逆転勝利の可能性も見えてきて意気上がる拓大。しかし拓大ボールのキックオフで始まった後半開始早々にそんな野望は無残にも打ち砕かれる。自陣でボールを確保した大東大がタッチキックを蹴らずに(得意の)左オープンに素早く展開しボールは左翼のサウマキへ。ここでもサウマキは豪快なランを見せて左サイドをぶち抜く。拓大にとっては残念でもあり、ショッキングな失点。GKは失敗するものの大東大のリードは29-21と8点に拡がる。

FW戦に過度に拘ることはやめ、BKに積極的に展開してバランスのいいラグビーを見せるこの日の拓大。しかしながらパスミスが多いなどプレーの精度に問題があり、なかなかチャンスを活かせない。また、BKでウラに抜けるビッグチャンスも数回あったが、大東大にあって拓大にはないのが分厚いフォロー。ゴール前まで攻め込みながらのラックでのターンオーバーは本当に痛かった。13分にはクルーガー・ラトゥがトライを奪って大東大は36-21とリードをさらに拡げる。そして17分にもラインアウトからのモールを起点としてPR中村がトライを追加。GKは不成功だったが、41-21とリードはどんどん拡がっていく。



3点のビハインドがついに3トライ3ゴールでないと逆転できない点差になってしまった。だが拓大は諦めない。林謙太のプレースキックが絶好調なので、失点せずに「3つトライを重ねれば逆転」のチャンスは残っている。20分、拓大は大東大陣でのスクラムを起点としたオープン攻撃から右WTB濱副がトライを奪う。GK成功はデフォルトで28-41と拓大のビハインドは13点に縮まる。一度は意気消沈していた拓大応援席に活気が戻ってきた。しかしそれも束の間。23分、大東大は拓大陣10mのスクラムからBKに展開し、戸室が鋭いステップワークを見せてボールをゴールラインに運ぶ。とにかくボールを動かせばトライラインまで到達できるのが大東大の強み。GK成功で48-28と大東大のリードは再び20点に拡がる。

残り時間が少なくなっていく中、30分にサウマキが危険なプレーでシンビンを適用されるものの拓大に残された時間は10分あまり。直後の30分に大東大ゴール前でのラインアウトからモール、ラックで攻めてトライを奪いGKも成功する。だが残り時間が殆どないなかでの13点差は重い。拓大は38分にもCTBマシヴォウがウラに抜けて大東大ゴールに迫るものの痛恨のターンオーバー。今シーズン初勝利まであと一歩のところまできたものの、大東大の4連勝に対し拓大の4連敗というかたちで試合終了となった。



◆試合後の雑感/手応えを掴んだ拓大と来シーズンの不安が払拭されつつある大東大

戦前の予想ではFW戦に拘ると思われた拓大だったが、展開ラグビーに活路を見いだすバランスのよいラグビーを見せてくれた。サバイバルマッチとなる後半戦ではおそらくこの形で勝負するものと思われる。この日初めてCTBとして起用された大型選手でスピードランナーのマシヴォウ・アセリはキープレーヤーとしての活躍が期待される。残る3戦の相手もけして楽に勝てる相手ではないが、3連勝の可能性は十分にあるとみる。そのためにも、この試合で散見されたパスミスやラックでターンオーバーされることを減らすなど、プレーの精度を上げたいところ。冒頭にも書いたとおり、身体は出来上がっている。あとは丁寧なプレーを心がければチャンスは拡がるし、来シーズン以降の展望も開けると思う。

拓大でもう一つ強く印象に残ったのが、5本のゴールキックをすべて決めた林謙太の安定したプレースキック。角度のある難しい位置からのキックもほぼ2本のポストの真ん中に収まったことは特筆に値する。下級生だった頃から既にチームの牽引者的な存在感を見せていて、現在はゲームキャプテンを務める(主将は松崎)。いわば拓大の精神的な支柱となっている選手の正確なプレースキックがホンモノなら、「残り試合3連勝」に向けての大きな武器となるだろう。

ファカタヴァ兄弟の欠場に加えて下級生中心で2、3列を組んだ大東大。相手がFW戦に自信を持つ拓大ということもありどうなるかと思われたが、取り越し苦労だったようだ。この試合の苦戦の原因がFW戦での劣勢にあったことは間違いないが、下級生でとくにNo.8の佐々木が予想以上の頑張りを見せたことで勝利を掴んだことは大きな収穫とも言える。優勝がかかった後半戦はもとより、来シーズン以降の展望が開けたことも大きい。小山、川向、戸室、菊地、大道、サウマキといった1年生から活躍を続ける選手達が揃って抜ける来シーズンに大いなる不安を抱かせる大東大ではあるが、FW中心のチームに変貌を遂げることも十分に考えられる。今年は4年目の集大成であると同時に、来シーズン以降に向けてのチーム構想も練られているとみていいと思う。

ファカタヴァ兄弟の不在でもうひとつ分かったことがある。大東大はエースのサウマキにボールを集める形がもっとも強いチームになり得ると言うこと。この日はアマトの突破力という選択肢がひとつ消えたことでむしろ焦点が定まった戦いが出来ていたように思えるのだ。大東大のBK展開の生命線は起点となる小山の球捌き。自ら仕掛けることよりもBKラインにアタックを託すことでサウマキの4トライと戸室の2トライが生まれた。あくまでも私見だが、サウマキは後半から出てくるインパクトプレーヤーではなく、スターターとしてトライを重ねてチームに活力を注入する選手だと思っている。残り3試合、どのような選手起用になるか興味津々だが、サウマキがスタメンを務める形が定着することを期待したい。

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関東大学ラグビー・リーグ戦グループ(2016)第4節の結果

2016-10-22 00:30:03 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
第4節は八王子の上柚木で2試合。第1試合では前半こそ日大が粘りを見せて接戦となったものの、中央大が終盤に住吉の3連続トライで圧勝。上柚木で絶対的な強さを見せるチームであることはさておき、後半から出てくる藍好(住吉)が強烈なインパクトプレーヤーになっている点が見逃せない。日大は我慢の戦いが続く。

第2試合は法政が大敗でしかもまさかのゼロ封。とくに前半はスクラムが完全崩壊の状態でよくこの失点で収まったという印象。後半にFWのメンバーを入れ替えたことで何とか試合が落ち着いたが、かつてはまったく歯が立たなかったのは東海大の方だったはず。そんな記憶もどんどん薄れていくことに一抹の寂しさを感じる。

【試合結果】 ※左側が勝者

10/10(祝月) 中央大学 36-14 日本大学 (上柚木)
10/10(祝月) 東海大学 78- 0 法政大学 (上柚木)







【第5節の試合予定】

10/23(日) 関東学院 vs 流通経済 11:30 (秩父宮)
10/23(日) 大東文化 vs 拓殖大学 14:00 (熊谷B)

前年度の上位対下位対決の最終ラウンド。流経は先行する東海大の追撃態勢を整えたいところだが、関東学院も1部の戦いになれてきたこともあり難敵となっている。また、FWのセットプレーに不安を抱える大東大はスクラムに拘りを持つ拓大の挑戦を受ける形。どちらも上位校がすんなりとは勝たしてもらえないような接戦となることが期待される。

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関東大学ラグビー・リーグ戦グループ(2016)第3節の結果

2016-10-08 01:32:53 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
第3節で3連勝が3チーム(東海、大東、流経)、2勝1敗(中央)と1勝2敗(法政)、3連敗(関東学院、拓大、日大)の概ね3グループに分かれた今季のリーグ戦。優勝争いはもとより大学選手権出場の切符獲得のための熾烈な争い、そして入替戦回避とこれからが本番の負けられない戦い。優勝争いは東海大が1歩リードだが大東大、流経大の追撃態勢も整いつつある。法政と中央の4位争いは順位は逆だが法政が1歩リードか。下位グループでは関東学院が抜け出しそうだが、拓大も不気味。苦しい戦いが続く日大も意地を見せたい。

【試合結果】 ※左側が勝者

10/01(土) 東海大学 52-10 拓殖大学 (秋葉台)
10/02(日) 大東文化 68-14 日本大学 (足利陸上)
10/02(日) 流通経済 57-26 法政大学 (足利陸上)
10/02(日) 中央大学 38-29 関東学院 (熊谷B)











【第4節の試合予定】

10/10(祝月) 中央大学 vs 日本大学 11:30 (八王子・上柚木)
10/10(祝月) 法政大学 vs 東海大学 14:00 (八王子・上柚木)

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関東学院大学 vs 中央大学(関東大学リーグ戦G1部-2016.10.02)の感想

2016-10-07 01:00:14 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


第2節に引き続き第3節も熊谷ラグビー場Bグランドでの観戦。Aグランドの改修工事の関係で本日はいつものメインスタンド側が入り口になっていた。今日こそはメインスタンドでの観戦といきたいところだったが、いざスタンドに上がってみると眼前にチーム関係者用の巨大なテントが鎮座ましましている。そうでなくても屋根がむしろ視界を遮るような感じの構造になっているので、目線は低くてもバックスタンド側に回った。ピッチが近く、選手の息づかいを感じながらの観戦はラグビーの醍醐味といえる。

いまさら言っても仕方ないが、メインスタンドを最低でも1000~2000人収容レベルの規模にしていたらと思う。ピッチはAグランドに勝るとも劣らないのだから、通常の試合ならとても観やすい競技場になるはず。つくづくAグランドのバックスタンドに築かれた土手の上は最高のビュースポットだったなと思う。そして、そこから観たBグランドでの試合は何故か印象に残っているものが多い。熊谷ラグビー場での私的20年史をひもとけば、とにかく「波瀾万丈のBグランド」なのだ。

さて、本日は1部に復帰したばかりの関東学院が中央大に挑む。とにかく一度チームの(人為的とも言える)崩壊を経験し「2部リーグでの3年間」を余儀なくされた今の関東学院はチャレンジャー。しかし、大学王者として君臨したチームの基礎が完全に崩壊してしまったわけではない。それを感じさせたのが10-42の大敗ながら復活への確かな手応えを見せてくれた大東大戦だった。本日はもしや?と何だか胸騒ぎがする中でキックオフを待つ。東海大、大東大と1部リーグのレベルを経験したところで、果たして関東学院は白星を挙げることができるか。



◆前半の戦い/中央大の攻勢に堪えた関東学院が優位に試合を運ぶ

関東学院のキックオフで試合開始。浅めに蹴って長身(190cm)のNo.8宮川にマイボール確保を託す作戦だがノックオン。アドバンテージから中央大の攻勢が始まる。FWに拘るかとも思われたが、BK展開のパワー勝負。アタックが単調というか力任せなこともあり関東学院の低いタックルにことごとく止められる。1年生から基本的にスターターを務めるSH長谷川はFWを操る選手というイメージだったが、早めのテンポでどんどんパスアウト。後半から出てくる藍好(住吉)を意識しているのかも知れないが関東学院のディフェンス面の健闘もあり、有効なアタックとはならない。

中央大は切り札のWTB伊藤にボールが渡らなければビッグゲインが望めない状況だが、関東学院は防戦一方となる。6分に関東学院が自陣10mライン付近でオフサイドの反則。PKからボールをタッチに出して得意のモールで勝負かと思われたが、中央大はショットを選択。ゴール正面ながら40mの距離のPGを浜岸が確実に決めて中央大が幸先よく3点を先制した。

リスタートのキックオフ。今度はハイタワーの宮川がボールの確保に成功し、関東学院がオープンに展開して中央大陣22m内に攻め込むものの惜しくもタッチに押し出される。単調でパワー勝負の感が強い中央大のアタックに対し、関東学院はFWをうまく使ってテンポよくボールを繋いで攻める。14分、中央は自陣からのFK(フェアーキャッチ)を起点にして関東学院陣に攻め上がるが、ターンオーバーに成功した関東学院が一気に逆襲。CTB吉良がラインブレイクして、丁寧にパスを受け取ったFB今村がゴールラインを駆け抜ける。GKも成功して関東学院が7-3と逆転に成功した。

ディフェンスを崩されたショックもあったためか、中央大はキックオフでラインオーバーの初歩的ミスを犯す。関東学院のセンタースクラムを起点としたウラへのキックに対する中央大の蹴り返しが関東学院陣10m付近でタッチを切りラインアウト。ここを起点として関東学院がBKに展開し、SO古賀のショートパントがCTB青山への絶妙のキックパスとなる。タイミングよく併走していた吉良が青山からパスを受け取りゴールラインに到達。GK成功で14-3と予想外の展開に観客席が沸く。



やることなすことがうまくいく関東学院に対し、力強さはあっても単調感が否めない中央大。ボールを支配している時間は長いがなかなか有効なアタックに繋がらない。エリア獲得のためのキックが多い展開の中で試合は膠着状態となる。言い換えれば五分と五分。体格面では劣勢ながら2部リーグで3シーズン戦っていたチームとは思えない戦いぶりは関東学院ファンにとっても意外だったかも知れない。28分、中央大はカウンターアタックからの連続攻撃でゴールラインに到達かと思われたが惜しくもノックオンとツキにも恵まれない。後半にもゴール目前で選手がタッチに押し出されてしまう場面があった。

しかし、31分に中央大に「試合の流れを変えたかもしれないプレー」のパート1が飛び出す。関東学院陣での相手ボールスクラムを強力に押し込みターンオーバーに成功。BKに展開して関東学院陣22m内に攻め上がる。ここも中央大にノックオンがあり関東学院は命拾いするが、自陣ゴールを背にしてのスクラム。当初は劣勢ながらもスクラムで堪えていた関東学院だったが、ここもあっさりとターンオーバーを許す。こうなれば中央大は得意のモールでじっくり攻め込むだけ。中央大FWの塊がゴールラインを越えたところでレフリーはペナルティトライを宣告する。GK成功で14-10と関東学院のリードは4点に縮まった。これ以降、関東学院のスクラムが崩壊に近い状態となったことを考えると、大きな「ワンプッシュ」のように思われた。

しかし、関東学院も粘る。前半も残り僅かとなった37分、関東学院はFB今井が正面約38mのPGを成功させて17-10。さらに40分、中央陣10m/22mの位置でのラインアウトを起点としたアタックでキックパスがFB今井に渡りトライ。GKは失敗するが22-10と効率よく得点を奪った関東学院の(中央大ファンだけでなく関東学院ファンにとっても?)まさかのリードで前半が終了した。宮川主将の高さ、BK展開に絶妙のキックパスとロングPGとスクラムで劣勢だったことを除けば関東学院がほぼ完璧なゲーム運びを見せた前半。このままいけば関東学院に貴重な復帰後の初白星が記録されるはず、だった。



◆後半の戦い/地力を発揮した中央大の貫禄勝ちも実態は関東学院の自滅

中央大のパワーを耐え忍ぶ形ではあったが、ほぼ理想的なゲーム運びを見せた前半の関東学院。後半もこのままリードを保って勝利を掴みたいところ。キックが多い展開で必然的にラインアウトも多くなるのだが、中央大は宮川の高さに苦しみなかなか得意のモールに持ち込めない。その中央大は後半開始早々の2分にSH長谷川に代えて早々と住吉を投入して局面の打開を図る。しかし、テンポアップを目指すはずが、実際は前半にみせたBK展開が影を潜め、FW戦に拘る形となる。ちぐはぐ感も漂うのだが、この戦術変更がじわじわと関東学院を追い詰めていくことになる。

中央大FWが持ち味を発揮し始める中でも、後半の序盤は関東学院にツキがあった。9分、関東学院は中央大陣でパスミスを拾ったFWの選手がすれ違いのような格好で一気に中央大ゴールへ。誰もがそのままトライと思った瞬間、ピッチの内外を唖然とさせるワンプレーが出る。ゴールポストに向かって併走していたFB今井に山なりの15人制ではなかなかみかけないパスが放たれた。今井はそのままゴールポスト中央にボールを持ち込むが、スタンドから上がった「パスミスにならなくてよかった。」「スローフォワードを取られたら最悪だ。」の声も頷ける。何となくだが、ここでグランド内に張り詰めていた緊張感が一気に緩んだような状態になったことは否めない。これが正に試合の流れを変えたかも知れないプレーのパート2となった。

おそらくここで中央大の選手達(とくにFW)のハートに火が付いたに違いない。得点は29-10と関東学院にとっては安全圏に近づいた格好だが、FW周辺に拘りを見せる中央大が完全にペースを掴み、関東学院は防戦を余儀なくされる展開となる。ラインアウトからはもちろんモールだが、スクラムも押し込んでサイドを攻めてモールに持ち込む。まずは17分、そのモールから1トライを奪いGK成功で17-29と中央大のビハインドは12点に縮まる。さらに24分、関東学院は自陣22m内での中央大ボールのピンチでボールのタップに成功するものの、ゴール前に転がったボールを確保したのは中央大。ラックから住吉が持ち前のスピードを活かして一気にゴールラインを越えた。GK成功で24-29と遂に中央大のビハインドは一発逆転が可能な5点まで縮まった。



こうなると試合は完全に中央大ペース。前半は肉弾戦に対抗できていた関東学院だったが、自陣ゴールを背にしてのスクラムが多い状況になると苦しい。そして31分、この試合を決定づけるワンプレー(試合を決めたシリーズのパート3)が中央大に出る。自陣10m付近のマイボールスクラムからSO浜岸が渾身のアタックで強力にボールを前に運ぶ。このワンプレーがここまで再三関東学院の左サイドを切り裂いていたWTB伊藤のトライに結びつく。浜岸のランには鬼気迫るものが感じられた。ここで前に出れば試合を決めることが出来るという確信に満ちたアタック。地味だが堅実なプレーでチームを引っ張ってきた主将兼司令塔のここ一番のプレーにより31-29と僅か2点差だが、中央大が逆転に成功する。

大逆転とも言える展開に前半は大人しかった中央大応援席のボルテージは上がる。しかし、逆転を許したとは言え、関東学院のビハインドは2点。PGが1本決まれば再逆転は可能だ。そしてそのチャンスは4分後にやって来た。36分、中央大が自陣で反則を犯した位置は関東学院にとって左中間35mの位置。しかし、無情にもPGはゴールポストに当たって外れる。中央大応援席からも漏れ聞こえた安堵の中で、あとはFWでボールを保持しながら前進を図るのみ。終了間際の42分に住吉が疲労の色濃い関東学院のディフェンダー達が棒立ちの状態となる中、一気にゴールラインに駆け込み勝敗は決した。結果的には地力に勝る中央大の貫禄勝ち。しかし、後半の32分までリードしていたのは関東学院で、最後に試合をひっくり返すチャンスも巡ってきたことを考えると、関東学院の自滅という印象の方がより強い戦いだった。



◆試合終了後の雑感/メンタル面に見る大学ラグビーの難しさ

大学ラグビーのメンタル面の難しさを感じさせられた試合だった。ミスが起こるのは仕方ない。失敗は積極性の裏返しでもある場合も多い。一番やってはいけないのは、精神的な緩みで自ら緊張感ばかりか勝利も手放してしまうこと。言い換えれば自滅ということになる。試合内容からは大学ラグビーの未成熟な部分が散見されて好ゲームとは言い難い。しかし、見どころの多い面白いゲームではあった。それを感じることが出来たのは、ほぼグランドレベルに使い熊谷ラグビー場のBグランドでの観戦だからかも知れないと思ったりもする。

それはさておき、掴みかけた勝利をあと一歩のところで逃した関東学院だが、着実に復活への道程を歩んでいるように見える。大東大戦で感じたことがより現実味を帯びてきたのがこの試合での戦いぶりだった。キックオフやラインアウトでは宮川の高さが武器になるので、あとはFWのスクラムの強化。FWとBKの連携をみても、ピッチ上での選手達の創造性を活かしたアタックを取り戻すまでにそんなに時間はかからないと思う。

一方の中央大だが、前半と後半の戦いぶりを見比べてみると、何ともちぐはぐな感じが否めない。最初からFW戦に拘ればという想いもあるが、首脳陣としてはBKのアタックを試したい意図があったのかも知れない。逆転勝利の原動力は身体を張ったFW陣と後半から投入されて2トライを挙げた住吉になると思う。しかし、この試合で一番強く印象に残るのは、4シーズンに渡って司令塔を任されているSO浜岸の安定したプレー。派手さとは無縁の印象が強い選手だが、後半の逆転勝利を呼び込むトライに繋がった渾身のランなど勝負所でとても頼りになる選手であることを確信した。

ハルのゆく道
村上 晃一
天理教道友社
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