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第7節(10/21)の試合結果&感想

2012-10-25 02:01:47 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
○第7節(10月21日)の試合結果

 10月 21日(日) ●大東文化  0 – 40 ○流通経済 ケーズデンキスタジアム
 10月 21日(日) ●拓殖大学 27 – 28 ○日本大学 キャノングランド

いよいよ熾烈な中位争いが始まりました。前年度は下位グループに沈んでいた法政、日大、中央、拓大の4チームによる(大学選手権出場への生き残りを賭けた)椅子取りゲームと言ってもいいでしょう。この中から必ず1チームは涙を呑むことになります。日大が劇的なサヨナラゴールで僅か1点差ながら逆転勝利を収めた試合で、図らずもそのことが証明される形となってしまいました。一方、緒戦から3連敗と元気のない大東大は流経大に大敗して4連敗。実はVTRのトラブルで試合内容の確認が出来なかったのですが、ゼロ敗という点は差し置いてもチーム状態が上向きになっていないようにみえるのが気になるところです。主力の欠場だけでは説明がつかない何かがあるのかも知れません。

さて、キャノングランドで行われた拓大と日大の試合ですが、ずっと記憶に残りそうな強いインパクトを残す一戦となりました。もちろん、トップリーグのファンの方の視点からは、(悪い意味での)学生らしさの出た稚拙さが目立つ試合だったかも知れません。勝ったことだけが評価される試合で、エキサイティングではあったものの、「凡戦」のひとことで片付けられてしまいそうです。しかし、ずっと関東大学のリーグ戦グループを観てきたものとしては、劇的な幕切れ以外にも両チームに対して感じることが多々あった印象深い試合となりました。

この試合を一言で総括すると、「ウヴェに始まり、小川に終わった試合」ということになります。この試合の戦前の予想は、最初から日大が圧倒的に攻めて拓大が耐える展開になるというものでした。拓大も頑張っては居るけど、総合力では日大の方が上で、しかも日大は必勝を期してこの試合に臨んでくるはずだからというのがその根拠。ところが、蓋を開けてみれば拓大はそれまでに観た3試合に比べても最高といえる出来で、序盤から日大を圧倒する予想外の展開。ウヴェが4つめのトライを取ったところで勝負あったかと感じさせるくらいでした。残念ながら、楽勝ムードが漂いかけたところで拓大がやや緩んでしまった部分があり、日大の反撃を許すことになったわけですが、それでも拓大は勝てた試合でした。この日の拓大でとくに印象に残るのは、FW中心の手堅い攻めにBK展開でゲインできるパターンが加わったことです。選手達が自信を持って戦えるようになってきたことが大きい。

しかし、そんな上げ潮ムードの拓大に大きく立ちはだかったのが日大の小川主将でした。それも優れた個人技が持ち味の小川ではなくて、卓越したスキッパーとしての小川。前後半の終了間際に各1回ずつあり、結果的に日大に勝利を呼び込む形となったギャンブルとも言えそうな選択は、そんな小川のチームリーダーとしての能力の高さがいかんなく発揮された場面だったと思います。まずは、前半ですが、ショットでもなくラインアウトでもなく(意表を突いて)スクラムを選択したシーン。

これはあくまでも勝手な想像ですが、「ここはマイケルを使って取ろう」という閃きに近い判断があったように思います。おそらく日大が入念に準備していたプレーのひとつだと思いますが、ここはマイケルだと。彼のラインでの深めの位置取り、そそして確信を持って加速しゴールに向かったシーンからそんなことを感じました。このプレーはおそらくマイケルにも自信を付けることになったと思われ、いよいよ(遅まきながら)ブレイクということになるかも知れません。日大の今後のことを考えても大きな意味を持つトライだったと思います。

後半の2回目の「ギャンブル」はさらに素晴らしかった。ビハインドが9点なら、まず確実にPGで3点を取るというのがセオリー。でも、小川は躊躇なく7点を取りに行き、そして成功した。おそらく拓大の選手は100%狙ってくるものと思ったはず。そういった先入観が味方した面はあるにせよ、主将の迷いのない選択に敏感に反応した選手達も素晴らしかったと思います。結果論と言われることを承知で言うなら、相手にとって自陣では絶対に反則が出来ない2点リードの場合の方がプレッシャーが大きい。事実、拓大はキックオフからペナルティを2回続けてしまったことで敗れました。

この2つのギャンブルで感じたことは、主将のチームメートに対する信頼感です。去年までの小川だったら自分で行ったかも知れない。実際にしびれを切らして取りに行った場面(しかも成功)も散見されました。しかし、今シーズンは主将としてチームを引っ張るだけでなく、チームメートに自信を持たせることにも尽力しているように感じます。優れた能力を持ちながら、主将になったとたんに、それまでの持ち味をなくしてしまった選手達を観るにつけ、小川の際だった才能を感じずにはいられない。彼はけして個人能力だけの選手ではないことを強く印象づけたのがこの試合というわけです。

もちろん、敗れた拓大にとっても、今後のステップアップのための良薬として欲しいし、そうなると思います。自分たちがやってきたことは間違っていなかったこと、試合を重ねるごとにステップアップできていること、そして、勝つことは簡単ではないこと。そんなこんなのいろいろなことが見えてくる楽しみがあるから(プレーは稚拙かも知れませんが)大学ラグビーの観戦はやめられません。

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