「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

第59回 YC&ACセブンズ(2018.4.1)の感想(その2)

2018-04-15 03:04:29 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


1回戦の8試合が終わった後は、勝者8チームによるチャンピオンシップトーナメントと敗者8チームによるコンソレーショントーナメントが行われた。2つのトーナメントに進む各8チームは、1回戦の結果により次のように決まった。

【チャンピオンシップ・トーナメント】
北海道バーバリアンズ、東海大学、神奈川タマリバクラブ、筑波大学、
日本IBMビッグブルー、流通経済大学、日野自動車レッドドルフィンズ、早稲田大学

【コンソレーション・トーナメント】
湘南ベルマーレ、慶應義塾大学、サムライセブン、日本大学、
神奈川県選抜、青山学院大学、YC&AC、中央大学

■コンソレーション・トーナメント1回戦[4試合]

[マッチNo.9]  ○慶應義塾大学 33-5 ●湘南ベルマーレ(前半21-0)


慶應は緒戦で優勝候補の東海大に敗れてしまったとはいえ、圧倒されたわけではない。湘南ベルマーレとの力の差は歴然で慶應が前後半3トライずつを挙げて完勝した。そういった中でも最後に諦めずに1トライを返したベルマーレに拍手の内容ではあった。

[マッチNo.10]  ○日本大学 36-12 ●サムライセブン(前半22-5)


緒戦で筑波大に悔しい逆転負けを喫した日大だが、実はコンソレーションで力を発揮するリセットの日大でもある。サムライセブンに先制トライを許したものの、前半だけで4連続トライを奪い試合を決めた。濱端に加えてトライを重ねた杉本悠馬と金志大が今季の要注目選手になりそう。前後半で各1トライずつに終わったサムライセブンだが、試合経験を積めば強くなりそうな印象を受けた。

[マッチNo.11]  ○神奈川県選抜 28(33)-28 ●青山学院大学(前半14-7)*延長戦*


国体で上位を目指す神奈川県選抜とHCが交代して心気一新を図る青山学院の戦いは延長戦にまでもつれ込む死闘となる。前半は神奈川選抜が2トライに対し青山学院が1トライを挙げて14-7。後半は青山学院が先制した後、交互にトライを挙げるお互いが譲らずGKもすべて成功というタイトな戦いとなった。終了間際にトライを挙げた神奈川県選抜が逃げ切るかと思われたが、土壇場に青山学院が追い付いて同点でタイムアップのホイッスルが鳴り場内は興奮の坩堝と化す。延長戦は最初に得点を挙げたチームが勝利を収めるルールで、神奈川県選抜に勝利の女神が微笑んだ。セブンズでのゴールキックの重要性を感じさせたゲームでもあった。

[マッチNo.12  ○中央大学 33-5 ●YC&AC(前半14-5)


緒戦でも気になったことだが、ホームチームのYC&ACに元気がないと大会もどこか盛り上がりに欠ける点は否めない。ホンの数年前だと、独特の柄と色合いのジャージィがプレーの巧みさと相まっていやらしく見えたのだが。YC&ACが先制トライを奪ったのも束の間、その後中央大が5連続トライを挙げて快勝した。

■チャンピオンシップ・トーナメント1回戦[4試合]

[マッチNo.13]  ○東海大学 40-0 ●北海道バーバリアンズ(前半14-0)

東海大と北海道バーバリアンズの戦いは屈指の好カードの期待があった。そして、北海道バーバリアンズが幸先良く先制トライを挙げたときはそんな予感が当たるものと思われた。しかし、それも束の間。東海大は、春シーズンの段階で既に選手個々の身体は出来上がっているのが強み。最初に1本取られたあと、東海大は5連続トライを挙げて完勝。ここにテビタとアタアタの2人が加わったらどんな強力チームが出来上がるのだろうかと想像を逞しくしてしまった。

[マッチNo.14]  ○神奈川タマリバクラブ 19(24)-19 ●筑波大学(前半19-7)*延長戦*


緒戦で神奈川タマリバクラブに敗れた神奈川県選抜チームは延長戦を制してコンソレーションの準決勝に進出。だが、神奈川タマリバクラブも同じ形でチャンピオンシップの準決勝に進むとは思わなかった。前半は大ベテランを擁するタマリバが筑波を翻弄して3トライを連取。後半のスタミナに不安のあるチームとしては上々の滑り出しだった。しかし、前半の終盤に1トライ返してから筑波が力を発揮し始める。後半に筑波はさらに2トライを挙げてついにスコアは19-19に。筑波はこのまま勢いに乗って逆転勝利を収めるかと思われたが、タマリバの渾身のタックルが「あと1本!」を許さず延長戦へ。タマリバの気迫のこもった戦いぶりが見事だった。

[マッチNo.15  ○流通経済大学 33-7 ●日本IBMビッグブルー(前半12-0)


序盤から流経大がタナカ・ブランドンらの突破力を活かして日本IBMを圧倒。前半に2トライを挙げた後、後半に1トライを返されるものの3連続トライを挙げて圧勝。後半の1本目のトライはタナカ・ブランドンからビリー(ビリアメ・タカヤワ)を経て積がフィニッシャーとなったトライが見事だった。タナカとビリーのコンビは対戦校の脅威となりそうだ。

[マッチNo.16]  ○早稲田大学 33-7 ●日野自動車レッドドルフィンズ(前半14-7)


中野、桑山兄弟、岸岡らの豪華メンバーを揃え勢いに乗る早稲田が先制。しかし、日野自動車も豊島(東海大OBで兄は東芝で活躍)が俊足を活かして突破を図り、パスを受けた小澤が決めたトライで同点に追い付く。しかし、早稲田の勢いは止まらない。前半に逆転トライを挙げた後、後半は3連続トライを挙げて日野自動車を一気に突き放しベスト4にコマを進めた。

■コンソレーション・トーナメント 準決勝

[マッチNo.17]  ○日本大学 26-19 ●慶應義塾大学(前半7-12)


日大と慶應の戦いは息詰まる接戦となる。慶應が先制したあと日大が1本返してGKの差で逆転に成功。しかし、慶應が逆転トライを挙げて前半は12-7とリードを奪って終了。後半に日大が1本返して12-12の同点となった後、慶應がトライを挙げて再びリード。だが、日大も粘りを見せて2連続トライを奪い決勝進出を決めた。日大は試合を重ねる毎にセブンズの戦い方にフィットしてきている感があり、動きが良くなっていった。

[マッチNo.18]  ○神奈川県選抜 38-22 ●中央大学(前半17-5)


青山学院との死闘を制した神奈川県選抜が3連続トライを挙げて大きくリード。しかし、中央大も前半終了前と後半開始後に1トライずつを挙げて食い下がる。神奈川県選抜がトライを挙げて突き放しにかかるが中央大も2連続トライ奪い22-24と2点差まで肉薄。ピッチサイドで声援を送る中央大の部員達の応援のボルテージが上がる。しかし、神奈川県選抜がダメ押しのトライを挙げて決勝進出を決めた。中央大では八尾の強さが光った。また、神奈川県選抜では林謙太の存在感が一気に増してきて、ピッチ内からしきりに「ケンタ」「ケンタ」の声が飛んでいた。

■チャンピオンシップ・トーナメント 準決勝

[マッチNo.19]  ○東海大学 38-7 ●神奈川タマリバクラブ(前半19-7)


北海道バーバリアンズを圧倒した東海大の勢いが止まらない。先制した後タマリバに1トライを返されて同点となるものの、その後は5連続トライで圧倒。前の試合で筑波と延長戦にもつれ込む死闘を演じたことで疲労を蓄積したこともあってか、神奈川タマリバクラブは苦しい戦いを強いられた感がある。東海大は猪腰風太、高橋香成、村井康太郎らがフィニッシャーとして活躍した。

[マッチNo.20  ○流通経済大学 24-14 ●早稲田大学(前半14-14)


ここまでの戦いでは、優勝候補の東海大、流経大に続く、いやそれを上回るかも知れない力を見せていた早稲田。準決勝の2試合目は期待に違わぬ好ゲームとなった。先制したのは流経大だが、以後、前半は両チームが交互にトライを挙げ、かつゴールキックも成功する拮抗した展開となる。流経大は桑江、早稲田は岸岡がそれぞれキックで魅せた。ただ、早稲田は負傷のためか、中野の姿が見当たらないのが気になった。

前半を終えて14-14と5分。しかし、流経大は後半に逞しいエースへと成長を遂げたタナカ・ブランドンがトライを奪ったことで早稲田を突き放す。流経大はさらに1トライを追加。自陣インゴールからボールを繋いで決めた100メートルトライは見事だった。中野の欠場が響いた面もある後半は早稲田が息切れといった印象もあった。

■コンソレーション・トーナメント 決勝

[マッチNo.21]  ○神奈川県選抜 36-26 ●日本大学(前半21-7)


YC&ACでは「コンソレの日大」と勝手に名付けてみたが、それくらいに敗者復活トーナメントでは優勝などの実績を挙げている日大。試合を重ねる毎に選手の動きも良くなってきて優勝への期待が高まる。先制したのは神奈川県選抜だが、日大もすぐに追い付き7-7。しかし、その後は神奈川県選抜が2トライを連取して21-7のリードで前半を終えた。

日大は後半にトライを挙げてビハインドを7点に縮めるものの、巧さで勝る神奈川県選抜が日大のミスにも助けられて2トライ連取でリードを一気に21点まで拡げた。だが、日大も諦めない。2トライを連取してビハインドを9点まで縮めたところで試合終了となった。日大は有望な留学生を新たにメンバーに加えており、敗れたとは言え今季の活躍に期待を持たせる内容だった。

■チャンピオンシップ・トーナメント 決勝

[マッチNo.22]  ○東海大学 14-12 ●早稲田大学(前半7-7)


いよいよチャンピオンシップ決勝。セブンズとはいえ、朝から1日試合を続けていたら体力的に厳しくなるのが普通だが、この2チームは元気いっぱい。やはり、関東リーグ戦グループの「胸板番付」で1、2を競うチームは普段から鍛え方が違うようだ。他のチームがなかなか追いつけないのがこの部分でもある。そんなパワフルな選手達を揃えた決勝戦はファイナルに相応しい好ゲームとなった。お祭りムード的な賑わいがあるのが59回の歴史を重ねるYC&ACセブンズだが、ファイナルのレベルの高さが維持されていることも特筆すべきだと思う。

キックオフからめまぐるしく攻守が入れ替わる展開。この試合まではバック側の仮設スタンドで観ていたが、メインに移動。選手とほぼ同じ目線でピッチサイドに立つと迫力は倍増する。先制したのは流経大で決めたのはエースのタナカ・ブランドン。屈強な選手達を揃えた東海大といえども、この選手はなかなか止められない。来シーズンはNDSに読んで欲しい候補選手の筆頭格でもある。ゴール成功で7-0とリードするが、東海大もこの日活躍が目立つ高橋香成がトライを返し、GK成功で7-7。両チームの選手達も元気いっぱいで後半への期待が膨らむ中で前半が終わった。



後半も両チームの攻守の入れ替わりが激しい一進一退の展開が続く。そんな中で最初に得点したのは東海大。ラインアウトでのスティールから村井がインゴールまでボールを運んだ。ゴールキック成功で14-7とリードを奪う。しかし、流経大もこのままでは終われない。そして、決めたのはまたしてもエースのタナカ・ブランドン。ゴールキックは外れて東海大が2点リードの状態で時計は進む。そしてタイムオーバーを告げる合図が鳴り、ボールは東海大が保持。誰もがボールを蹴りだして優勝決定と思われた。

しかし、何と!東海大の選手がボールを持って前に向かう。ここで反応したのがターンオーバーできれば逆転で優勝のチャンスが転がり込む流経大の選手達。そして、注文通りにボールの奪取に成功して東海大ゴールに向かう。流経大ベンチのボルテージが最高レベルに上がる中、東海大も死力を尽くしたディフェンスでチョークに成功。マイボール確保となったところで今度は冷静にタッチにボールを蹴りだして試合終了となった。最後はハプニング的な幕切れとなったが、本当に手に汗握る好ゲームだった。優勝した東海大の選手達の喜びようを見ても、彼らがこの大会に照準を絞って準備してきていたことがよくわかる。セブンズを強化の柱として捉えているチームが今年もリーグ覇者の優勝候補筆頭であることを強く印象づけた。
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第59回 YC&ACセブンズ(2018.4.1)の感想(その1)

2018-04-06 02:35:05 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


スーパーラグビーに参戦したサンウルブズのおかげで充実した気持ちで春が迎えられるここ3シーズン。しかし、ずっと7人制ラグビーの開花宣言のような位置づけになっている「YC&ACセブンズ」は重要なイベントで、毎年楽しませてもらっている。ひとつ残念なことは、この時期は天候不順のことが多く、花冷えのような環境での観戦を強いられること。

しかしながら、今年は例年になく暖かい陽気の中での開催となった。会場に着くと、もうひとつ嬉しいことがあった。YC&ACセブンズの醍醐味は、何と言ってもピッチサイドで観戦出来るところにある。ただ、難点は座席数が少なく立ち見が基本なこと。また、仮に座席に座ったとしても目線が選手より下がってしまう。このため、せっかくの近接観戦の醍醐味が失われる。今年も立ったままの観戦になることを覚悟して出かけたのだが、会場に着いてみるとメインと反対側に仮設のスタンドが設けられていた。また、いつもは出場チームのテントが立ち並ぶメイン側も、大会関係者のもの以外のテントの設営はなくすっきりしている。早くもキックオフ前から熱戦への期待がより高まる状態になっていた。



■今年も多彩な出場チーム

今シーズンも出場チームは以下のとおり、社会人/クラブ8チームと大学8チームの計16チーム。大学チームは関東の対抗戦Gとリーグ戦Gからそれぞれ4校ずつで、顔ぶれもほぼ決まっている。社会人も常連チームが主体のため、どこかフレンドリーな雰囲気が漂っている。

[社会人] 日野自動車レッドドルフィンズ、日本IBMビッグブルー、神奈川県選抜
[クラブ] サムライセブン、北海道バーバリアンズ、湘南ベルマーレ、神奈川タマリバクラブ、
YC&AC横浜カントリー&アスレチッククラブ
[大学(関東・対抗戦G)] 筑波大学、早稲田大学、青山学院大学、慶應義塾大学
[大学(関東・リーグ戦G)] 流通経済大学、東海大学、中央大学、日本大学

ここ数年はパワーと運動量に勝る大学生が優位の状況が続き、社会人/クラブチームは苦戦を強いられている。優勝候補は東海大と流通経済大の2校で、有力選手を揃える早稲田大学や筑波大学も虎視眈々と優勝を狙う。また、社会人/クラブチームでも大型選手と俊足ランナーをバランス良く揃えた北海道バーバリアンズやベテランを揃えて気合いと老獪な戦術を駆使して毎年熱い戦いを魅せる神奈川タマリバクラブの実力も侮りがたい。また、トップリーグ昇格を決めた日野自動車はひと味違う戦いを見せたいところ。さらに、今年のサプライズの選手は誰なのかなど、キックオフ前から興味は尽きない。

■1回戦8試合

1回戦は社会人(クラブ)同士、大学生同士と言った具合に、同じカテゴリー同士の対戦。勝敗もさることながら、16チームが次々と現れてまさに百花繚乱の賑わいを見せた。

[マッチNo.1]  ○北海道バーバリアンズ 33-5 ●湘南ベルマーレ(前半19-0)



北海道バーバリアンズは、ワールドシリーズのコアチーム復帰を賭けて香港で戦うことになったハイタワーのジョセ・セル不在が残念だが、スピードスターの平川の他にも大学ラグビーで活躍した選手を多く含む強力な陣容。ルーキーで専修大学出身の黒川ラフィがいきなり韋駄天ぶりを発揮してトライを奪うなど、北海道バーバリアンズが貫禄を見せての圧勝。平川は安定したゴールキックでも魅せた。後半に何とか一矢報いたベルマーレは、昨年よりパワーアップした感がある。ただ、力の差は如何ともし難かった。



[マッチNo.2]  ○東海大学 19-5 ●慶應義塾大学(前半7-7)



公式戦はベストメンバーで臨むことを基本とする東海大。看板選手のテビタ・タタフとアタアタ・モエアキオラを欠くものの、相変わらず大きくて強い選手達を揃えている。もちろん、小さな選手も居るのだが、が選手全員が組織的にバランス良く鍛えられている印象。ジュニアジャパンでの活躍が印象に残る眞野の他にも、筒井エディ、山菅、モリキ・リードらが顔を並べる豪華メンバー。しかし、今日もゲームへの入りが悪く、慶應に先制を許す。序盤戦は運動量に勝る慶應のペースで試合が進む。だが、東海大は前半に追い付くと後半も2トライを挙げて逆転勝利を収めた。



[マッチNo.3]  ○神奈川タマリバクラブ 33-12 ●サムライセブン(前半14-5)



監督兼任の福田恒輝や竹山将史といったベテラン達が引っ張る神奈川タマリバクラブは、大学生を翻弄するような老獪な戦術が持ち味。一方のサムライセブンは他競技で実績を積んだアスリートを加えたメンバー構成でオリンピック出場選手を輩出することを目指しているチーム。神奈川タマリバが1トライを先行するものの、サムライセブンも1トライ返して観客席を沸かせる。しかしながら、その後は神奈川タマリバが自力を発揮してトライを連取し勝負を決めた。



[マッチNo.4]  ○筑波大学 31-21 ●日本大学(前半12-14)



YC&ACセブンズの楽しみのひとつが、大学チームでは入学したての新人がデビューして大活躍すること。有望新人を多く加えた日大にその期待があったのだが、さすがに4月1日の開催には登録が間に合わない。その日大では昨シーズンもルーキーながら活躍したSH濱端が存在感を見せる。筑波が2連続トライで先行したものの、日大も2連続トライで前半は14-12の日大リードで終了。後半も先に日大が1本取って21-12とリードを拡げる。しかし、筑波は日大のミスにもつけ込む形でその後に3連続トライを挙げて再逆転で試合を決めた。



[マッチNo.5]  ○日本IBMビッグブルー 28-14 ●神奈川県選抜(前半7-7)



日本IBMビッグブルーのメンバー表に懐かしい名前が。15番を着けた窪田幸一郎は日本代表でも活躍した選手だが、NECグリーンロケッツ退団時に引退表明をしていた。日大時代に俊足を活かしてトライを奪うシーンを何度も観ていたことを思い出した。一方の神奈川県選抜は国体出場と成績上位を目指しているチームで、鮮やかなブルーのジャージーが一際映える。こちらにも昨シーズンまで拓大で中心選手として活躍した林謙太がいた。また、茂野圭輝も拓大で活躍したSH。前半は7-7の同点で後半に神奈川県選抜が1トライを挙げてリードを奪う。しかしながら、その後はIBMビッグブルーが3連続トライを挙げて試合をひっくり返し勝利。窪田はそのうち2トライを挙げて存在感を示した。



[マッチNo.6  ○流通経済大学 31-14 ●青山学院大学(前半31-0)



流通経済大は東海大とともにジャージーの中に筋肉の鎧も纏っている選手が多い。なかでも、今年3年生になるブランドン・タナカ・ムゼケニエジがひときわ分厚い胸板を持つ選手に変わっていたことが強く印象に残る。前半はそのタナカが猛威を奮う形で流経大が怒涛の5連続トライを挙げて一気に勝負を決めた。後半はうって変わって流通経済大がまさかの沈黙(ノートライ)で青山学院大が2トライを挙げた。流通経済大はイエローカードで選手が一時退場したことも響いた。今シーズンの開幕直前に監督交代が伝えられた青山学院は、素質に恵まれた選手が多い。今シーズンは新規一新で着実にステップアップが期待される。



[マッチNo.7]  ○日野自動車レッドドルフィンズ 46-0 ●YC&AC(前半24-0)



今シーズンよりトップリーグ昇格を果たした日野自動車レッドドルフェンズは流石。他の社会人チームと動きに違いを見せ、前後半に各4トライずつ挙げての圧勝だった。出場メンバーでは背番号15を着けた豊島直哉が韋駄天ぶりを発揮してトライを量産し存在感を示した。いつもは地元の熱い声援を受けて大会を盛り上げるYC&ACも、今回はサプライズメンバーの出場もなく元気がないことが気になった。



[マッチNo.8]  ○早稲田大学 40-7 ●中央大学(前半19-0)



学生ナンバーワンSHの呼び声高い齊藤は出場しないものの、中野、岸岡、桑山らを擁する早稲田はなかなかの豪華メンバー。とくに留学生に対しても見劣りしない中野のサイズは魅力的で、実際にペネトレーターやトライゲッターとして大活躍だった。また、中野に負けじとランで光った桑山の7本中6本を成功させた正確なゴールキックも印象に残る。優勝候補は東海大と流経大と見ていたが、早稲田にも十分に可能性があると感じさせた緒戦の戦い。中央大は後半に1トライ返すのがやっとの完敗だった。



1回戦は大学生と社会人/クラブが交互に試合を行ったが、クラブチームが苦しい戦いを強いられる状況は変わらない。今年はPSIスーパーソニックスの出場もなく、セブンズに特化したチームはより厳しい状況。セブンズの試合そのものが少なく、また、試合開催時期がほぼ春に限定されていることが強化の壁になっているように思われる。北海道バーバリアンズや神奈川タマリバクラブのように15人制のチームを持っていないと選手獲得も難しい。ただ、だからこそ、この大会はクラブチームに出場機会を与える大会で会って欲しいと願う。大会に華を添えているのは元気のいい大学チームだけではなく、クラブチームも一役買っていると思うので。



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