「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

「メゾン・ドゥ・アッシュ」~上尾(隠れ)グルメガイド[その壱]~

2013-01-27 21:36:24 | 上尾(隠れ)グルメガイド
我がホームタウン、埼玉県上尾市は人口23万人弱の中都市。これといった名所旧跡はなく、箱根駅伝出場ランナーが勢揃いする「上尾シティマラソン」や花火大会の他に目立ったイベントもありませんが、こじんまりした地方都市ならではのよさがあります。

そのひとつはアットホームな雰囲気で美味しい料理やお酒を(リーズナブルなお値段で)楽しめること。そんなオススメのお店のいくつかを少しずつご紹介していこうと思います。大宮周辺にお出かけの際は、少し足を伸ばしてみてください。

第1回目は上尾を代表するお店のひとつと言っても過言ではない、絶品フレンチが愉しめる「メゾン・ドゥ・アッシュ」にしました。



「メゾン・ドゥ・アッシュ」は北上尾駅から徒歩12分と少し離れた場所にありますが、素敵な建物と眺めの良いお庭がポイントのレストラン。スイスで修行を積まれたオーナーシェフと気さくな奥様のお二人によるこじんまりしたお店ですが、3~4テーブル限定で心のこもったフレンチが堪能できます。

昨年の12月末のクリスマス特別ランチのメニューをご紹介します。いつもより少し贅沢なランチでした。

まずはジャガイモのスープから。ワンポイントはトリュフです。



お次は、メゾンご自慢の季節野菜満載の前菜。真ん中のサーモンには唐墨がかかり、手前のサーモンの中にはアボガドと蟹が入っていて、半熟卵の上にはキャビアが載っかっています。野菜はシェフ自らが産地に足を運んで仕入れたものばかりとあって新鮮でシャキシャキした歯ごたえが魅力!



いよいよメインディッシュ(その1)の海鮮料理は天然ホタテとオマール海老のソテー。もうここですでにお腹の半分以上は充たされてしまいます。



そしてメインディッシュ(その2)の肉料理はフランス産小鴨のロースト。フォアグラのソテーと共にトリュフのソースで味わいます。ここで完全にお腹はパンパンになってしまいました。



フィニッシュは手作りデザートの盛り合わせをクリスマスのイメージで。飲み物は苦みの効いたコーヒーをオススメしたいです。



写真を眺めてみただけでも満腹感でいっぱい。ランチとは言ってもボリューム満点なので、お腹を空かして行かれたほうがベター。もし同じ料理を東京都心のお店でオーダーしたらと思うと2倍くらい幸福になれそうです。

ただ、難点はとにかく予約が取れないこと。とくに人気が集中するクリスマスの時期はすぐに席が埋まってしまいます。

シェフは厨房でいつも大忙しなのでなかなかお話しできるチャンスはありませんが、サッカーなどの大のスポーツファン。また、BGMでさりげなっくピアソラが流れていたりするのが音楽ファンにとっても嬉しい。寛ぎのフレンチをぜひお楽しみください。

【メゾン・ドゥ・アッシュ】

所在地 :埼玉県上尾市中妻4-2-1
電話番号:048-777-2626
営業時間:ランチ 11:45~14:00(LO)、ディナー 18:00~21:00(LO)
定休日 :水曜日(祝日の場合は翌日)






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大学選手権決勝(帝京vs筑波)の感想

2013-01-18 02:10:45 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
帝京の圧勝に終わった今シーズンの大学選手権。試合前は6対4で帝京が優位に立っていると見ていたが、実際はさらに大きな力の差が出てしまったと実感した。ただ、手に汗握る接戦にはならなかったもの、見どころがたくさんあった決勝戦に相応しい試合だったと思う。少し時間が経ってしまったが、試合内容と両チームの印象などについて。

◆普段着で戦えた帝京

帝京のセカンドステージ緒戦の相手は拓大だった。実力差は如何ともし難く、帝京の圧勝に終わったのだが、筑波と戦った帝京はさらに強力なチームになっていた。身に纏っているのはどちらも赤いジャージなのに、強さの面ではまるで別のチームを見ているかのような印象を受けた。試合内容を見比べると同じチームに見えない。

しかしながら、プレースタイルを比較すると、拓大を相手にした帝京も、筑波を相手にした帝京も(実は)殆ど変わらない。あくまでもシンプルに確実にボールを繋いで15人で戦うスタイルは不変だった。攻守の両面で対戦相手から受けるプレッシャーが違うのに同じ(普段着)のラグビーができること、これこそが帝京の強さの源泉となっている。

◆キックオフが要注目だった

筑波のキックオフで始まった試合。序盤は仲良くノックオンを繰り返す展開となった。片や史上初の4連覇がかかり、片や悲願の初優勝がかかる状況。だから、選手達にはどうしても堅さがでてしまうと誰もが思いがち。しかし、今にして思えば、このノックオン合戦にその後の試合展開を象徴するヒントが隠されていたように思う。筑波にはやはり緊張感があったと思うが、帝京のノックオンは周到に錬られた作戦が反映された結果だったように思われるのだ。

この試合の帝京は自陣からでもキックを殆ど使わず、積極的に継続する作戦だった。だから、ゲームの入りの部分でノックオンが起こった。帝京が得点を重ねたため、筑波のキックオフで試合が始まることが多かったわけだが、そこでひとつ印象に残ったことがある。それは、ボールを受ける帝京のFWの陣形だ。普通なら、スクラムがばらけるような形での配置になる。もちろん、レシーバーになる確率が高い長身選手が要になるわけだが、基本的にはどのチームもこのことは変わらないと思う。

しかしながら、帝京は全体的にFWを前に揃え、後方にBK選手を置く形で相手のキックオフに臨んでいた。最初は面白い並び方だと思った程度だったのだが、その後の展開を見て閃いた。それは、帝京が意図的に深く蹴らせるようにしたのではないかと言うこと。それでなくても、帝京にはハイタワーのマニングが居るので、浅く蹴って競り勝つことは難しい。だから、必然的にキックは深めに前に陣取ったFWと後方に位置したBK陣との間にできたスペースに蹴りこまれる。そこに走り込むような形でボールを受けたBK選手は蹴らずに前へ出て展開、あるいはFWにボールを渡してワンクッション置く形で展開する。キックという選択肢はなく、自陣からも継続で意思統一が成されていたわけだ。もちろん、FWがボールキープに絶対の自信を持つ帝京だから取れる戦術でもあるわけだが。

結果的に見れば、筑波は最初から帝京の術中に填まっていたことになる。同じことの繰り返しにならないように、反対サイドに蹴ってみるとか工夫があってもよかった気もする。もちろん、ノックオン合戦につきあってしまい、敵陣起点のセットプレーという絶好の先制機を逃し続けたことが惜しまれる。しっかり準備ができていて緻密な帝京に比べて、筑波のプランはどうだったのだろうか?

◆戦力の分散を余儀なくされた筑波

筑波の魅力は、メンバーに個人能力の高い選手を揃えたタレント軍団が織りなす観るものをワクワクさせるようなラグビー。そのことは、観客を魅了したニュースター福岡のトライに象徴される。だが、ここまでの試合では、個人技に溺れることなく、チームワークの良さでバランスよく戦ってきた。この試合も、そんな筑波の個人技をベースとした継続ラグビーが観客を魅了するはずだった。しかしながら、帝京はそれをさせなかった。エース彦坂に突破を許す場面はあったものの、基本的には大きくディフェンスラインを破られることは少なかった。

帝京が畏れていたのは、個々の強い選手が連携して戦いを挑んで来ることだったと思う。だから、多少は個人で突破されても、孤立させて無理をさせるような状況に持って行けば怖くない。ブレイクダウンは厳しく行ってテンポよく攻めさせないようにし、数的優位を保ち、極力ミスマッチにしないようにする。相手を熟知している強みもあるが、アタックでも戦力の分散を余儀なくされてしまったことが筑波にとっては誤算だったかも知れない。

◆BKでも塊で動く帝京

BK攻撃の魅力といえば、ワイドな展開、飛ばしパス、緻密なサインプレーといったような華のあるプレーが中心になりがち。そう考えると、帝京のBK選手達のプレーはとても地味に見えてしまう。個の強さを活かした突破やスピードに乗ったランを持ち味とした選手達が揃っていても、結果オーライ型のトリッキーなプレーは帝京のラグビーの教科書にはないのではとついつい考えてしまう。帝京のライン攻撃はショートラインを基本とした確実なパス回しを基本としている。

だから、パスミスが少なくなり、見方同士が近くに居ることでバリエーション豊かな攻撃も可能。学生相手なら、平パス、ショートラインだけでも問題なく勝負ができる。また、インターセプトに遭う危険も少ない。帝京BK陣のトップスピードに乗った状態での軽快なパス回しを見て、BKもFW同様に「塊」で動くことで迫力のある攻撃ができることがわかった。ショートラインの効用は見直されてもいいような気がする。

◆一時的に暗澹たる気持になったが

見事前人未踏のV4を達成した帝京には心から祝福の言葉を贈りたい。と同時に、正直なところ暗澹たる気持にもなった。このままいったら帝京はずっと連続V記録を伸ばし続けてしまうのではないだろうか。施設や体制面の充実に加え、しっかりした規律と帝京に死角は見当たらない。シーズンを重ねるごとに、帝京にキャッチアップできるチームが確実に減っていく中で、帝京ファンの方には申し訳ないが、大学ラグビーの楽しみは減っていくのではないだろうかと、どうしても行き着く先のことを思うとネガティブな気持になったのだった。

しかし、帝京も4年前のチームには今の規律はなかったそうだ。また、帝京はけして難しいことをしているわけでもない。当たり前のことを当たり前にやり続けることで、ここまで来ることができるという良いお手本を示してくれていると思うと、もやもやは消えた。帝京が確立したスタイルを踏襲することでチャレンジする考え方もあるが、別のやり方もあるはずだし、また、それを実現させるチームがどんどん出てきて欲しい。

◆チャレンジを続けて欲しい筑波、そして東海も

完敗を喫してしまったとは言え、やはり来シーズンも帝京の連続Vを脅かす存在の最右翼は筑波だと思う。帝京とは違った個人能力の高さが活きるファンタジックなラグビーを追求して、次こそは日本一に輝いて欲しい。それは準決勝で涙を呑んだ東海にも言えること。各々が各々のスタイルでトップを目指すことで大学ラグビーを活性化させて欲しいと思うのだ。

いずれにせよ、「伝統校」「新興校」という言葉はもう死語にしてもいいのではないだろうか。10数年以上の期間をかけて熟成されたチームを未だに「新興校」と呼び、片や数年単位で指導体制が変わりその都度リセットになってしまうチームを「伝統校」と呼ぶことには大いなる矛盾を感じる。
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楽しみな頂上決戦(帝京vs筑波)への期待

2013-01-12 19:10:23 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
関東リーグ戦G期待の星だった東海大が戦線離脱してしまったので、どうしても(私的には)テンションが下がりがちのこの頃。でも、明日は大学ラグビーといった狭いカテゴリーに閉じ込めておくのはもったいないラグビーファンにとって重要な試合がある。帝京と筑波は現時点で大学ラグビーのトップを走る2チームであることは間違いないし、ある種閉塞感も漂うラグビー界に風穴を開けてくれる可能性があるチームでもある。実は筑波ファンとなっている私も、ワクワクモードでキックオフを待っているような状態なのだ。そんな一大決戦を前にして、期待するところを書いてみたい。

◆両チームの特徴は「3ム主義」

帝京、筑波とも、チーム作りの基本コンセプトは意外と似ているように思われる。実力を加味して「堅実性」というキーワードで全国の大学ラグビーチームを検索したら、おそらく両校が1位と2位で引っ掛かるのではないだろうか。強いて言えば、筑波がチャレンジングなラグビーをしていると言えるが、主力選手が戦線離脱を余儀なくされる中、いい意味で個人が目立たないスタイルのラグビーに収斂してきているように感じる。そんな両校の目指すラグビーをワンセンテンスにまとめると、「ムリ、ムラ、ムダを極力排除することを目指した『3ム主義』のラグビー」になる。トリッキーなプレーやリスキーなプレーによる余計なストレスを感じさせないラグビーと言い換えてもいいだろう。

どちらも基本的なスタンスは、「当たり前のことを当たり前にこなす」こと。そして、そのために地道な練習を積み重ねていることは間違いない。多くのチームに散見されるような「独りよがりなプレー」は許容されない雰囲気になっているのだ。だから、派手さには欠けるかもしれないが、堅実なラグビーに徹することで多少苦戦することはあってもしっかり結果を出せている。もちろん、細かい点を見比べると、当然のことながら両チームの試合運びに対する考え方には違いがあるし、そこが両チームにとってお互いに付け入るチャンスを与える部分になっているとも言えそうだ。

◆「後工程」を大切にするのが帝京スタイル

帝京のラグビーを観ていて感心させられる点は、ラックからボールがスムースに供給されることだ。そんなラグビーを観ていて思い浮かんだのはビジネス用語の「後工程はお客様」という言葉。タックルを受けた選手は丁寧にダウンボールするだけでなく、かつボールをSHが捌きやすい位置に置く。パスやキックも基本的に同じ考え方だ。自分は頑張っているのだから、あとは頑張ってくれというラグビーにはならないことを心がけているように見える。

帝京の特徴は、FW、BKに限らずしっかり身体作りができていること。その目的とするところは、身体の強さを誇示するようなラグビーを目指していると考えてしまいがちだ。しかし、真の目的は相手をクラッシュすることよりも、安定してボールを確実に動かすことを優先しているような気がする。やろうと思ったプレーができていない多くのチームのことを思うと、どうしてもそう思ってしまう。それと、ここ一番の集中力。初期フェイズの段階では堅実だが、チャンスになったら確実にトライに持って行ける形を持っている。一瞬の判断で15人のベクトルが合うようになっていることが素晴らしい。トライに至るプロセスがしっかりしているだけに、もしこのチームがフルパワーで戦ったらどんなに凄いラグビーができるかという部分に期待してしまう。

◆個の強さを組織的に束ねるのが筑波の魅力

規律を重んじた堅実性が持ち味の帝京に比べると、筑波は自由度が高いラグビーを指向しているように思われる。実際にトライのパターンを見れば、個人能力の高さが活かされた形が多いように感じる。しかしながら、筑波も帝京同様に組織重視の堅実なラグビーを持ち味としている。個の突出がチームをバラバラにすることがないのは、選手間でのコミュニケーション(個々のプレーの選択に対する意思統一)がしっかりできているからだと思う。閃きを共有することで、チーム全体の組織力、そして試合における集中力が保たれているのではないかと感じる。

だから、観ていて面白いのは筑波のラグビーの方かもしれない。筑波にとって残念なのは、本来この舞台に立って欲しかった選手の何人かが戦線離脱を余儀なくされていることだ。筑波は帝京のような強力なB、Cチームを持つほどの選手層の厚さがないのが苦しいところ。だが、そんな中にも、主力欠場の穴を感じさせないような選手達が出てくるところが強みだと思う。東海大戦での陰のMVPといってもよさそうなWTB福岡や控えではもったいない山下一といった頼りになる選手達がいる。

◆勝利の女神はどちらに微笑むか

帝京大は史上初の4連覇、筑波大は初優勝がかかった試合。どちらにもそれぞれプレッシャーはあるはずだが、国立での戦いに慣れていて堅実性のある帝京の方が優位に立っていると思う。逆に言えば、帝京が普段着で戦えるような試合展開になれば、筑波の付け入る隙はなくなる。お互いの手の内を知っているとなると、やはり経験豊富な方がいい結果を出せると考えるのが自然だと思う。帝京の堅守を崩そうと筑波が策を弄することを逆手に取って、組織力で個々の力を分散させるというのが考えられるシナリオだ。

だから、筑波は慎重に行ったら帝京の術中に填まってしまう。あくまでもチャレンジャーとして果敢に攻める姿勢を持つことで活路を開きたい。テンポを一段上げることで帝京を慌てさせるような展開に持って行ければ面白くなる。あと、ディフェンスでは粘り強く前で止める。帝京の怖さは、前にも書いたように、いざ得点機となると確実にトライに繋げる瞬発力を持っていること。一度ディフェンスに穴が開くと失点を覚悟しなければならない。感覚的に6対4で帝京優位と見ているのだが、普段通りに個々の力を束ねることができれば筑波にも十分にチャンスはあると思う。

◆蛇足ながら

両チームのラグビーをとくにしっかり観て欲しいのは関東リーグ戦G所属校の選手やチーム関係者。今後の大学ラグビーは両チームが指向しているようなスタイルが主流になっていくと思うし、それができなければリーグ戦Gの地盤沈下に歯止めがかからなくなる。自分たちに足りないものが何かを知る上で、この2チームのラグビーは最高の教科書(強化書)になるはずだ。「いい素材を集めているから」とか、「身体が強いから」という部分だけを見ていたら、いつまでたってもいい結果は出せないと思う。来シーズンこそは、少なくとも1チームはこの舞台に立って欲しいと切に願う。
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東海大学vs筑波大学(大学選手権準決勝2013.1.2)の感想

2013-01-06 01:11:13 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
いよいよ関東リーグ戦Gの2012シーズンの締めくくりが近づいてきた。上位陣が鎬を削る対抗戦Gと底上げが進む関西Aリーグの狭間にあって、実力伯仲とはいうものの、実力面では低迷傾向に歯止めがかからない関東リーグ戦Gという図式がより鮮明となってきた今シーズン。正直、今回の選手権ではリーグ戦Gにはお正月が来ないことも覚悟していただけに、東海大がベスト4に残ってくれたことは嬉しい。しかも、十分に日本一を狙える陣容だから、このチャンスを逃す手はない。1月2日の国立で東海大の力いっぱい応援できること率直に喜びたい。

◆「関東リーグ戦G命」の私だが...

やっぱりラグビーが最高と思うファンではあるが、生観戦する試合は9割以上が関東リーグ戦G絡みの試合。対抗戦Gやトップリーグも時間があれば観に行きたいし、関西に行く機会があれば関西Aリーグもじっくり観てみたい。ただ、物理的には無理なことは判っていても、「関東リーグ戦Gの全試合観戦」を究極の目標に掲げている以上、優先順位を崩すことはできない。だから、いろいろなチームや選手を観る/知ることが出来る大学選手権は貴重な機会となっている。

そんな私にとって、関東リーグ戦G以外で心を捉えたチームがひとつある。それは本日東海大を対戦する筑波大で、2010年に流経大が大学選手権の1回戦で対戦した相手だ。もちろん、件の試合は流経大の選手権での悲願の初勝利を観るために観戦したのだが、キックオフ前にピッチに登場した筑波大の選手達にすっかり魅せられてしまった。今ではすっかりお馴染みになった試合前の光景だが、筑波の選手はタッチラインに並んで反対サイドまで全員でジョギングする。当日はバックスタンドに居たのだが、選手達が軽やかな足取りで思い思いのスタイルでにこやかに駆け込んでくるのを観て、とても新鮮な感覚を味わったのだった。このチームは対抗戦G、そして大学ラグビーに対するイメージを(明るい方向に)変える力を持っていると確信した。過去を振り返ってみても、「ここで試合ができることが嬉しくて楽しくてしょうがない」という表情を包み隠さずに見せてピッチに登場したチームは記憶になかったから。

もちろん、その試合では流経大を力いっぱい応援し、また流経大の悲願達成を喜んだ。しかし、それ以来、筑波大は自分自身にとって心から離れないチームとなってしまった。だから、準決勝の舞台で筑波大と東海大が対戦するのを観るのは正直辛い部分がある。物事には順番があり、できれば東海大に先に日本一になって欲しいと思いつつ、勝った方が優勝に近づくことは確かだ。そんな複雑な想いを抱きながらも、回りで声援を送る東海大関係者たちとともに80分プラスαだけは東海大の応援に徹することに決めた。

◆出場メンバーのこと

お正月の晴れ舞台だから、ベストメンバーでの激突を期待したいところだが、やはりこの時期になるとどうしても主力が数人欠けることになってしまうのは仕方ない。東海大では、エース小原が負傷欠場となり、代役に抜擢されたのはルーキーの近藤。私的にも期待大の選手ではあるのだが、この大舞台には経験のある相応しいメンバーが居るのではないだろうかという私的想いもある。だが、それは監督に考えがあってのこと。近藤にはこの経験とチャンスを活かして、来シーズン以降の飛躍に結びつけて欲しい。

ほぼベストの陣容の東海大に対し、筑波大は本来ここに居るべきメンバーの多くが負傷のため戦線離脱を余儀なくされている。とはいえ、帝京などの他の対抗戦G校と比べてもけして選手層が厚いとは言えない筑波だが、主力選手不在の穴を感じさせない選手が出てくるのが強み。とくに、東海大にとって警戒すべき選手はWTBの福岡だと思う。大学選手権からの登場だが、短い登場時間の中にも、持ち味のスピードだけでなく、瞬発的な加速力と奔放なランでしっかりアピールができている。また、リザーブに復帰した山下一も春の東日本セブンズで大活躍した選手だ。そして、筑波の強みは何よりもチームの纏まりがよいこと。ピンチに立たされても、全員ラグビーでそれを乗り切る力がある。

◆そして試合が始まった

ピッチに登場した東海大の選手達が纏ったジャージは白だった。ファーストのマリンブルーでもライトブルーの筑波大とは紛らわしくないはずだし、できればいつものジャージで戦って欲しかったところ。それに、同じく「白衣軍」だった過去の大学選手権(関東学院戦での残念すぎる惜敗)でのいや~な記憶が蘇ってくる。でも、変なことは忘れてあくまでもポジティブに観戦することにしよう。

その東海大にとって、魔の時間帯(その1)はキックオフからの10分間。選手達は十分過ぎるくらいに意識しているはずなのだが、本日も6分に早々と失点してしまった。同じ事が繰り返されるのは何故だろうか。だが、今シーズンの東海大は気持の切り替えができるチーム。相手キッカーに強力なプレッシャーをかけてGKの成功を阻止したのは大きい。12分に絶妙のキックパスが決まり、WTB近藤が大舞台で初先発初トライを記録。東海大ファンは思わず胸を撫でおろしたはず。

その後は風上に立った東海大がペースを掴み、押し気味に試合を進める。33分と終了間際の40分に1トライずつ決めてリードを16点に拡げたことで東海大応援席には安堵の空気が流れる。トライの内容も、卓越した個人技あり、緻密に練り上げられたサインプレーありとBKのアタックが冴える理想的な形。陣地取りからトライに繋がりそうだった起死回生のキックが、風に乗った事もありデッドボールラインを越えてしまうなど不運な面も。とはいえ、いい時間帯に加点できたことで今日はスカッと勝ってくれるかもと思った。ただ、対抗戦Gで揉まれた筑波大がこのまま終わるとは思えない。東海がリードしているとは言え、期待したほどはFWで圧倒できていない。それに攻撃のリズムは明らかに筑波の方がいい。

◆ファイナル進出に期待が高まった後半だが

前半で16点リードなら御の字のはずだが、この点差はなかなか曲者だ。3点、5点、あるいは7点といった形で必ず奇数で得点が増えていくラグビーの場合は、点差が偶数の場合の戦い方が実は難しいように思う。普段それを感じないのは接戦が少ないためで、とくにリード/ビハインドが一桁台のときは、プレーの選択にも大きな影響が出るはず。果たして、後半10分に筑波がPGで3点を返し東海大のリードは2T2Gで逆転可能な13点に縮まる。筑波にとっては貴重な追加点だし、東海大にとってはもったいない反則だ。東海大を応援するものとしては、胸騒ぎを感じさせた失点となった。

そして16分。筑波大は1T1Gを返して遂に6点差。こうなってくると追いかける側に俄然勢いが出てくる。東海大ファンにとっては、逆転されるのも時間の問題と覚悟を決めたところで、本当にそんな展開になってしまった。23分にトライを決められてリードは僅か1点に。さらに27分のPGで遂に逆転されてしまった。2点差だからPG1本でもOKなのだが、いかんせん敵陣にも殆ど行けない状態だから苦しい。しかし、東海大が意地を見せる。34分、筑波大のミスからのカウンターアタックで一気に陣地を挽回し、最後はFWのパワーでトライを奪い再逆転に成功。GKがポストに弾かれたのは残念だが、あとは3点リードを守りきればファイナルに行ける。

しかし運命は残酷だ。東海大ファンの期待は直後の1プレーで一気に萎んでしまう。追い風にも乗ったSOによる深めのキックオフ、キックチャージのためキッカーめがけて一直線に走り込んだLO、絶妙な位置に転がったボールをグラウンディングしたFLの絶妙のランニングコース。選手間の図ったような連携にツキも味方した、東海大にとっては不運ともいえそうな失トライ。しかし、ここに筑波大の強さと勝利への執念が集約されていたように思う。これは早稲田に快勝した帝京大とも共通する部分だが、筑波大は選手間で得点を取るイメージがしっかりと共有されているのだ。

かくして、東海大はまたしても国立で涙を呑むことになってしまった。終盤の10分間も東海大にとっては魔の時間帯(その2)なのだ。僅か2点差とは、あまりにも残念という他ないが、回りの東海大ファンは至って冷静に事態を受け止めているように感じられた。僅差でも負けは負けだし、負けた理由も長年ファンをやっていれば痛いほどわかるはずだから。

◆なぜ東海大は勝てなかったのか

確実に言えることは、筑波大の力が上回っていたこと。筑波大にツキがあった面もあるし、また、ツキを呼び込めるのも強さという説明もできる。でも、ここで考えなければならないのは、この試合に限らず東海大が大一番で結果を出せないのは何処に原因があるのかだと思う。選手個々の強さを比較したら東海大が負ける要素はないし、これ以上練習量を増やすことが打開策になるとも思えない。

ひとつのヒントになりそうなことは、筑波大と同じく決勝に進出した帝京大も試合巧者ではなかったこと。とくに帝京大は対抗Gで勝ちゲームになるはずの試合をいくつも落としてきている。おそらく試合後に流した悔し涙の量は東海大の比ではなかったはず。筑波大にしても、試合内容はよくても勝てない「善戦マン」という(ありがたくない)褒め言葉を戴いている。だから、なぜ結果を出せなかったのかを追求していく過程で、チーム作りの方法論が確立されていき、現在のチームができあがった。そう考えてみると、改めて現在の東海大が対戦相手に恵まれていないことが残念に思われる。

東海大の敗戦をもって今シーズンの関東リーグ戦Gの戦いは終戦となったわけだが、リーグ戦Gの他チームの首脳陣や選手達も真剣にこの戦いを観ただろうか。自分たちの所属するリーグのトップチームがどのような戦いをし、そして敗れたかをじっくり分析しないようなら、関東リーグ戦Gの低迷傾向に歯止めをかけることは困難と言わざるを得ない。
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流通経済大学 vs 東海大学(2012.11.25)の感想

2013-01-02 03:00:44 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
新年、明けましておめでとうございます。東海大の大学選手権ベスト4進出で何とか面目を保った形の関東リーグ戦グループ。間の抜けたタイミングとなってしまいましたが、2012年の宿題を片付けてから東海大を力一杯応援したいと思います。

[キックオフ前の雑感]

理想的と言っていいのかどうか判らないが、今シーズンのリーグ戦Gは最終戦の頂上決戦(全勝対決)で優勝が決定する形となった。ディフェンディングチャンピオンの流経大に覇権奪還を目指す東海大が挑む。と書きたいところだが、どうも実感が湧かない。どうしても、主客が逆のような感じがするのだが、それも無理はない。昨シーズンに悲願の初優勝を果たしたものの、主力の多くが卒業したことでチーム再構築となった流経大に対し、東海大は主力メンバーが残ったこともあり、昨シーズンよりもパワーアップしている。とくに8人全員が100kgを越えた重量FWを軸に、ここまで安定した戦いができている。ただ、流経大も個性的なメンバーが揃ったこともあり、当初の不安をよそにチーム力を上げてきた。東海大優位の状況にはあるが、流経大にもチャンスはある。なかなか楽しみな対戦であることに違いはない。

キックオフ前に両チームのメンバーを確認する。シーズン前には複数のオプションを試合によって使い分ける構想だった流経大だが、結局はSOオペティ、CTB矢次、FB合谷が先発する形に落ち着いた。強力なFWに対抗するためには、LOシオネは外せないことから、本日もリリダム・ジョセファは後半の投入になる。流経大としては、リードされても僅差の状態で(短い時間でもトライを量産できる)リリダムにバトンタッチしたいところ。一方の東海大は負傷欠場のPR阿部に代わってルーキーの平野が先発している以外は不動のメンバーがずらりと並ぶ盤石の布陣といえる。大学選手権に向けて、最高の形で締めくくりたいところだ。

[前半の闘い]

流経大のキックオフで試合が始まった。今シーズンに限らず、東海大の課題のひとつは、ゲームへの入りの悪さの克服。これはピッチに立つ選手達も十分に意識しているはずなのだが、今日もあっさりと先制を許してしまった。キックオフ早々のスクラムでコラプシングを犯し、自陣22m内での相手ボールラインアウトといきなりピンチを迎える。流経大がモールを押し切れなかったところでFL辻が抜け出しゴール前でラックとなる。ここから出たボールをNo.8高森がタイミング良く受け取りそのままゴールラインを越えた。流経大の誇る第3列の7-8コンビの活躍により、流経大が幸先良く7点を先制した。

しかしながら、東海大もすぐに反撃を見せる。流経大は東海大のプレッシャーを受けて反則を重ねることでピンチに陥る。自陣を背にして、流経大が東海大の重量FWの圧力に耐え続ける展開で10分、ラインアウトを起点としたモールからFL谷が抜け出し、まずは5点を返す。東海大のFWは重いだけでなく機動力も兼ね備えた強力なメンバーが揃っている。とくにNo.8村山を中心とした第3列の破壊力には凄まじいものがある。東海大に持ち味とする形が出たことでゲームの流れが変わるかと思われたが、東海大はピリッとしない。流経大はキックオフに対するカウンターアタックでFB合谷が巧みなステップを駆使して大きくゲイン。オペティがボールを前に運び、ロングパスを受けたWTB伊禮が対面の小原のタックルをかわしてゴールラインまで到達する。GKは失敗したが、流経大が12-5とリードを拡げた。

その後も、流経大は辻、高森に加えてFL今井、LO今野、HO植村らの走力のあるFW選手達の活躍で得点機を掴む。しかしながら、東海大も個々のパワーを活かしたディフェンスで最後の一線は超えさせない。合谷の奔放なカウンターなど、アタックの面白さなら流経大に軍配が挙がるが、トライを取る力は東海大の方が上。30分にはPKからのアタックでパスミスがあったものの、うまく拾ってNo.8村山がトライ(GKは失敗で10-12)。さらに35分には流経大のディフェンスがFW周辺に集められたところで、オープンにスペースができパスを受けたFB高平がゴールラインを越えた。GK成功で東海大は逆転に成功し、17-12とFW戦で優位に立つ東海大のリードで前半が終了。ただ、流経大には短時間集中でトライを量産できるリリダムが居るだけに、流経大にもチャンスは再逆転のチャンスはありそうだ。

[後半の闘い]

両チームはややミスが目立ったとはいえ、鍛え上げられた肉体と肉体のぶつかり合いはなかなか見応えがある。突き放したい東海大に対し、何とか早い段階でひとつ返して試合を振り出しに戻したい流経大といった形で両チームがそれぞれ思惑を秘めながら、後半が始まった。東海大のキックオフに対して流経大はハイパントで前進を図るものの、マイナスキック気味となりオフサイドの反則を犯す。東海大は流経大ゴール前でのラインアウトを選択するが、流経大がノックオンを犯してスクラムとなる。東海大はサイド攻撃からモールを形成して前進し、FL谷がトライ。GKも成功して東海大が24-12とリードを拡げた。

その後も、FWのパワーに勝る東海大のペースで試合が進み、流経大はなかなか東海大陣に入ることができない苦しい展開が続く。ただ、東海大も得点機にミスでボールを失い、流経大にカウンターアタックのチャンスを与える。流経大は自陣からも積極的にオープンに展開して局面の打開を目指すものの、HWLを越える前に東海大に止められてしまう。接点で絡まれることで球出しのテンポが遅れ気味となり、無理なパスでチャンスを潰す場面も見られた。

試合が膠着状態となったところで21分に流経大は切り札のリリダムを投入。ここで、本来ならSOにオペティを残したいところだが、FW戦のことを考えればシオネはベンチに下げられない。SOには櫻場が起用されることとなった。31分にはラックでのターンオーバーからCTB矢次がビッグゲインを見せるものの単発に終わる。試合も終盤に近づいた35分、流経大に残念なミスが出る。東海大陣10m付近でのラインアウトを起点としてオープンに展開したところでタックルに遭いノックオン。ポロリとこぼれたボールがちょうどディフェンスで詰めていたWTB小原の前に転がり、入れ替わりのような形で小原がインゴールまでボールを運んだ。流経大にとってはもっとも警戒すべき選手にプレゼントを渡してしまった格好で12-31とビハインドが19点に拡がった。

エースのトライで勝利を確信した東海大は手堅く試合を進める。終了間際にPGで3点を追加し、34-12と粘る流経大を振り切りノーサイド。7戦全勝の文句なしの優勝を決め、流経大に奪われた覇権の奪還に成功した。最後に点差が開いたものの、大学最重量FWに挑んだ流経大の健闘が光った試合だった。

[試合後の雑感]

見事、昨シーズンの雪辱を果たして優勝を決めた東海大だが、今シーズンは力の差が点差に反映されていない戦いが続いた印象がある。しかしながら、相手をクラッシュしないでもしっかり勝てているところに東海大の底力を感じる。省エネと書くと誤解を招きそうだが、FWがフルスロットルにならない状態で確実に前にボールを運び、決定力のあるBKに得点を託す形が東海大の目指している全員ラグビーということになるのかも知れない。今シーズンこそはいい形で終わって欲しい。

春の段階では、どこまでチーム力を上げられるか不安を抱かせた流経大だが、最終戦で東海大と覇権争いができるところまで来たことは正直嬉しい。当初からオペティをSOに固定してチーム作りをしていたらという想いもないではないが、個性的なメンバーが揃った中でいろいろな可能性を試すことができたことは大きな収穫かも知れない。逆に来シーズンは覇権奪回のチャンス到来となる。今シーズンのテストの結果をふまえてどんな形のチームを作りあげていくのかに期待したい。
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