「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

東海大学 vs 法政大学(2012.10.14)の感想

2012-10-17 13:30:39 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
[キックオフ前の雑感]

優勝を狙うような強豪チームに力を与えるのは、実は強力なライバルの存在。練習での頑張りも必要だが、実戦を通じて体験することになる厳しいプレッシャーに勝る「強化剤」はない。現時点では東海大の「一人旅」となりかねない状況を救っている存在は流経大と言える。しかしながら、前節に法政がその流経大に僅か1点差で敗れたというニュースは、関東リーグ戦Gのファンに大きな衝撃(と希望)をもたらした。とくにこの試合で法政と対戦する東海大にとっても、大きなインパクトを与えたものと思われる。「法政は去年や一昨年の法政ではない」といった(いい意味での)危機意識が練習を行う選手達の頭の中を駆け巡っていたかも知れない。いずれにせよ、法政がかつての輝きを取り戻しつつある状況は、リーグ戦Gを応援するものとしても励みになる。

さて、今週も先週に引き続きキャノンスポーツパークでの観戦となった。規模こそ大きくないが、ラグビーをプレーするものと観るものの間に一体感をもたらす素晴らしい競技場だと思う。上で書いたような状況もあってか、ピッチに登場した東海大のメンバーからは先週(拓大戦)とは明らかに違った雰囲気が感じ取れる。おそらく、強力なライバルへと復活を遂げつつある法政を強く意識して、1週間の間、緊迫感を持って練習に取り組んできたものと思われる。その東海大メンバーはFW1列にPR阿部とHO崩がスタメン復帰。また、BKではCTBに湯の迫が戻ってきた。SHは本日も1年生の小泉がスタメンで松島はリザーブ。ほぼベストの陣容で法政のチャレンジを受ける。

法政のメンバーもおそらく現状でのベストと思われる。悔しい思いと同時に手応えも感じさせたであろう流経大戦を経て、選手達は自信を取り戻したかのようだ。去年や一昨年に観た法政とは別のチームになっていることはピッチに登場した選手達の表情からも読み取れた。とくにFWの選手に東海大の選手ほどの身体の厚みがないことが気にならないでもないが、FWとBKに優れたランナーを配する陣容であることは間違いない。あとは、過去の試合では殆ど不発に終わっている、BKに展開してトライを重ねる法政が持ち味とするラグビーの復活を待つだけだ。FW戦に自信を持つ東海大も展開ラグビーで勝負してくることが予想されるだけに、ボールが大きく動くラグビーを期待したいところ。

本日はあいにくの小雨模様。試合を観ながらメモを取らなければならないので、傘をさして観戦できそうな場所を探した。さすがに注目カードとあって中央部の座席は殆ど両校のファンで埋まっている。結局、オープンスペースになっていた東海大サイドの22mライン付近の前の方に落ち着いた。すぐ左隣には東海大の部員達が大挙陣取っていて、ピッチに登場したメンバー達に元気に声援を送っている。ちょっと賑やか過ぎるかなとも思ったが、試合が始まれば彼らが熱心で節度をわきまえた観戦者に変わることを知っているのでそのまま落ち着くことにした。(事実、試合が始まると左側からの声援は殆ど気にならなくなっていた。)

[前半の闘い]

激戦となることが期待された中で、右側に陣地を取った法政のキックオフで試合開始。拓大の例を挙げるまでもなく、今シーズンはキックオフ(とくにマイボールの場合)に工夫を凝らして積極的にボール獲得を目指すチームが多い。法政は浅めに蹴って競り合う方法を選択したようだ。上背はなくても法政は伝統的にハイボールに強い選手が居るチームで、意図したとおりボール確保に成功する。が、惜しくもノックオンがありスクラム。ここで法政がコラプシングの反則を取られてから前半の半ばくらいまで、法政は東海大の圧力の前に殆ど自陣での戦いを余儀なくされる苦しい展開となる。

2分、東海大は法政陣22m内でのラインアウトからモールで前進した後、オープン展開主体の連続攻撃で左右にワイドに攻めるがノックオン。本日の東海大はBK展開勝負の方針のようだ。5分には法政のキックがラッキーバウンドになって東海大のノックオンを誘い、法政が東海大陣22m手前付近でスクラムのチャンスを掴む。しかしながら、東海大FWの強力なプレッシャーの前にターンオーバーされて蹴り返しに遭い自陣深くまで大きく陣地を戻されてしまう。実は前半20分の間に法政が東海大陣に入ったのはこの1回のみという予想外の一方的な展開となってしまった。ただ、東海大も肝心なところでミスを犯すなど攻めきれない。また、法政の粘り強いディフェンスの前に東海大が得点を奪えないまま時計が進んでいく。

6分の法政陣22m付近でのラインアウトのチャンスでは、東海大はモールを押し込んでサイドアタックでゴールを目指すがオーバー・ザ・トップ。11分の22m付近でのラインアウトからの攻撃はオープンキックで攻めるが法政がゴール前で辛くもタッチに逃れ、14分のゴール前ラインアウトのチャンスはノット1m(間隔を1m開けていなかった)。さらに17分には法政のハイパントに対するカウンターアタックからNo.8村山が大きく前へボールを運ぶものの、オープンに展開したところで(またしても)ゴールを目前にしてノックオン。東海大が圧倒的に攻めているにも拘わらず、試合が落ち着いて見えるのが何とも不思議。これが法政の潜在的な底力なのかもしれない。

しかし、そんな膠着状態の中で19分、東海大にようやくトライが生まれる。ゴールをこじ開けたのは大学屈指のエースのひとりWTB小原。東海大は、法政陣22m付近でのセンタースクラムから左に展開して決めるべき人が決めた。リスタートのキックオフでは、法政にアーリーチャージ(東海大選手がジャンプした状態の時にタックルに入る)があり、法政は敵陣になかなか行けない時間帯がさらに続く。キックオフで浅めにボールを蹴る場合のリスクとも言えるが、マイボールキックオフでのミスは失点に繋がりやすいので慎重に行くべきだろう。24分、法政は自陣22m付近でのラインアウトを起点としたアタックからSO猪村がウラに抜け出てビッグチャンスを掴むが、WTBを走らせようとしたキックが東海大陣22m付近でタッチを割ってしまう。その後も何度か猪村がFW周辺のディフェンスの甘さ?を突いてあっさり抜けるシーンが見られたことは、東海大の反省材料。

得点板が5-0から動かないままだった30分に東海大はPGでようやく3点を追加する。東海大がリードを8点に拡げたところで、ようやく法政のアタックにリズムが出てきた。しかし、そんな法政に落とし穴が待っていた。東海大が法政陣22mにキックを蹴りこんだところで法政はカウンターアタックを試みるが、無理に繋ごうとしたことが徒となり東海大のCTB湯ノ迫にインタセプトを許して東海大のリードが13点に拡がる。波に乗り始めた法政にとっては本当に痛い失点だった。ただし、法政は前半終了間際にPGで3点を返して後半に望みを繋いだ。

前半の法政は35分以降の僅かの時間帯を除いて自陣深くでの戦いを強いられる非常に苦しい展開。点差が10点しかついていないのが不思議なくらいだった。選手個々のパワーの違いもさることながら、それ以上に両校の組織力の差が顕著になったのが前半の戦い。法政は時折目の覚めるような鮮やかなアタックを見せるものの、結局「個人突破」で終わって最後まで完結せず、フェイズを重ねるごとに組織に乱れが生じる形が多い。逆に東海大は組織が破綻することは少なく、ミスが起こってもカバーリングがしっかりしているので傷が深くならない。法政の個人能力の高さが組織的に活かされたらどれだけ強いチームが出来るだろうかと思ってしまうのだが...

[後半の闘い]

前半は殆どいいところなく終わった法政だが、後半は開始早々から気持を切り替えて勝負に出る。東海大のキックオフに対するカウンターアタックからオープン展開で東海大陣内に攻め入る。東海も逆襲。オープン展開からの絶妙のゴロパントを追って二人のランナーが法政選手を追い越してインゴールに到達するが相次いでグラウンディングに失敗して追加点のチャンスを逃してしまう。法政はアタックのリズムを掴み始めたところでSO猪村が持ち前の「スーパーブーツ」を披露する。ゴール正面だが距離にして約45mのPGを鮮やかに決めた。法政のビハインドは1トライ1ゴールで追いつく7点となり、法政の応援席は一気に活気づく。

(なお、法政は後半からSHに本村に替えて中村を、LO石川に替えて西を投入。SHの交代は球捌きの面もあるのだろうが、トリッキーなプレーは必要ないはず。春シーズンから感じていたことだが、後半から登場した選手の場合は、どうしてもプレーが軽く見えてしまう点が気になってしまう。BK展開勝負の法政にとって、攻撃の起点となるSHになかなか決定打が出ないことは「らしさの復活」に向けてのマイナス要因のように思われる。)

後半は、前半とはうってかわって、両チームによる激しい攻防が繰り広げられる展開となったものの、15分に東海に待望の追加点が生まれる。法政陣22m手前のスクラムを起点としてNo.8山村がタテをつき、オープンに展開して最後はライン参加したFB高平がゴールラインを越えた。GKも成功し、東海大は20-3とリードをさらに拡げる。20分には法政陣ゴール前でのラインアウトからモールを押し込みHO崩がトライ。さらに25分にはほぼ同じ位置でのラインアウトからモールを作ると見せかけてFL扇が巧みに回り込んでボールを受け取りサイドを抜けるサインプレーが鮮やかに決まってトライを追加。34-6と東海大の勝利を決定づける貴重な得点となった。ここで両チームややテンションが緩んだためか、プレーが少し雑になり始める。プレッシャーが厳しいので急ぎたい気持は分かるのだが、下のボールは手と身体を使って落ち着いて確実に処理したいところ。

後半になって一気に力の差を見せつけられた形の法政だが、このままノートライで終わるわけにはいかない。32分には東海大陣22m手前のラインアウトからの鮮やかなオープン展開でライン参加したFB森谷がトライ。続く35分には再びラインアウトからのオープン展開でCTB岡本がトライを奪い法政は18-34と追いすがる。しかし時は既に遅く、もう少し早く仕掛けることができていればと一瞬思ったが、ボール支配率から考えれば仕方がない面がある。やはり、思ったようにボール支配ができなかったことが大きく、そのことが東海大との力の差といえる。終了間際の39分に東海大が法政陣ゴール前でのスクラムからの8→9を起点としてNo.8村山がリターンとなるラストパスを受け取りトライ。GKは失敗するものの東海の39-18のダブルスコアでの圧勝となった。

前節までの勢いから見て、法政が東海大に肉薄することも予想されたが、終わってみれば実力差がそのまま出た形で東海大が勝利を収めた。しかしながら、得点差はついたものの、最後はBK展開で2連続トライを奪うなど、法政がかつての勢いを取り戻しつつある状況を観ることができたのは嬉しい。やはりリーグ活性化のためには強いチーム同士の切磋琢磨が必要。違った特徴を持ったチーム同士がマッチアップすることでファンも増えていくはずだ。いずれにせよ、今シーズンのリーグ戦Gにまたひとつ明るい材料が加わったことは間違いなさそうだ。

[試合後の雑感]

東海大はまだ細かいミスが目立つ状態だが、FWで力強くボールを前に運び、決定力のあるバックスリーで取る形ができあがりつつあるように感じた。ただ、ひとつ気になるのは、タックルが総じて高いように感じられること。身体の強さを活かしてボールを抑え込もうとする意図はわからないでもないが、結果的にゲインを許してボールを前に運ばれていることが多い。帝京や筑波をはじめとする対抗戦Gの上位校は執拗にFWでタテをついてくる面があるため、前進を許していたら大量失点を覚悟しなければならない。ケースバイケースだと思うが、相手に攻撃のリズムを与えないためにも確実に前進を止めるという意識が必要ではないかと感じられた。

法政は春シーズンの迷走状態のことを思えば、別のチームになったかのようだ。前節では流経大にミスが多かったとは言え、優勝候補の一角を追い詰めたことはけして偶然ではなかったようだ。だからこそ思うのだが、春の段階である程度チームができていれば、今頃は間違いなく3強の一角として残り2校(東海大と流経大)と堂々と優勝争いを演じることになったはず。そろそろ法政も、「毎年リセット型」ではなく東海大や流経大のように「積み上げ型」のチームへと変わって欲しいところ。他のチームが持っていないものも含めて、積み上げるものをたくさん持っているはずのチームだけにもったいなく思えてしまうのだ。

[閑話休題]

例によって試合終了後、東海大の主将と副将の3人が法政ベンチに挨拶に向かった。それと並行するような形で法政からは武者主将が一人で東海大の木村監督のところにやってきた。簡単な挨拶で終わりかなと思ったら、なにやら熱心に木村監督に問いかけを始めた。木村監督もいやな顔一つせず、真摯に対応。武者主将はおそらく対戦する側から見て、法政がどんなチームに見えたかを聞きたかったのだと思う。武者主将はかなり長い時間の対話を経て自陣へと戻ったのだが、大学ラグビーらしいいい場面だなぁと思った反面、それだけ彼もいろいろと悩みを抱えているのだろうなと感じた。ここで直に見た武者主将の真剣なまなざしと木村監督の真摯な対応は、けして忘れることのできない1コマとなりそうだ。
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記憶に残るスーパーゴール/至福の時に立ち会えた

2012-10-13 17:30:51 | いろいろ何でも雑記帳
昨日の夜のこと。ビデオを見ながらうたた寝してしまい、目が覚めたら時計の針は午前4時を指していた。風呂に入ってからちゃんと寝るかと思ってお湯を沸かして準備をしていてふと思い出した。

そうだ、確か今日は欧州遠征中のサッカー日本代表の試合があるんだった。相手は強豪フランスでキックオフは4時のはず。風呂に入るのをやめてTVにスイッチを入れた。

やってた! 前半22分で、スコアは? う~むゼロゼロかぁ。

日本、なかなかやるじゃん。と一瞬思ったが、身体能力の高さを活かしたフランスに面白いように攻められている。流石はフランス代表。それもホームゲームだから自国サポーターの前で無様な試合はできない。そのせいかもしれないが、顔つきを見ると確かに気合いが入っている。

ただ、日本は殆どなすすべもないくらいに攻められているのだが、不思議と点を取られる感じがしない。親善試合とは言え、世界のトップチームとこんな試合ができるのかと劣勢はさておきちょっと感動。少なくとも、ホームという点は差し引いても、フランスの選手達を本気にさせている感じがするから。

やっぱり、どんな強豪チーム(かつ豪華メンバー)を招いても日本で試合をやってる限りダメだなぁと実感。ザックジャパンに負けたアルゼンチンだって、「地球の裏側の遠い国」で試合をした訳だから。

相手のホームグランドで、しかも彼らを本気にさせることが一番の強化になるのだ。親善試合ではあっても相手は(極東アジアのチームに)負けるわけには行かないわけだから。勝って当たり前で、それも偶然の徒では困る。

さて、日本は前半を何とか凌ぎきったといった感じ。確かにボールを支配されて攻められてはいるし、相手が外してくれているラッキーはあったけど、ブロックを崩されているわけではない。これは後半楽しみ!ということで風呂に入る。

後半、徐々に日本がボールをゴール前まで運んで攻撃ができるようになってきた。監督の指示が効果を挙げたのかもしれないし、フランスがメンバーを代えてきたこともあったかもしれない。

ひとつ言えるのは日本の進化。パス回しにリズム感が出てきたことと、不用意なバックパスも少なくなっていて、それなりにボールが支配できている。長友はやっぱり逞しくなっているし、吉田や清武も落ち着いている。遠藤もいいところに顔を出す。そして、最後尾には鬼の形相の川島が居る。とにかく物怖じせずに戦えているのが信じられない気分。

ただ、実戦から遠ざかっている長谷部が心配。ハーフナーもちょっと大人しい感じなのが物足りない。岡崎と前田が不在だから、ここは宮市使ってくれないかなぁ...と思ったり。

さてさて、日本のチャンスが増えていく中で時計がどんどん進んでいき、フランスもリベリを投入したりして「本気で勝つぞ!」モードになっていく。でも、日本が不思議と負ける感じはしなかった。

そして、いよいよ終盤。川島が神懸かり的な好セーブを連発する中、なぜだかわからないが、このまま引き分けに終わることもなさそうだなという気分になってきた。何かが起こりそうな胸騒ぎ。もしかしたら最後に日本が1点入れて勝ってしまうかも。何となくだが、そんな気配を感じたのだ。(今だから言えるよねとの突っ込んでくれていい)

ついにその時間はキタ~。相手がCKで前掛かりになったところで、ゴール前のぽっかり空いたスペースに居た今野がボールを拾ったときには前が完全に開いていた。ここからが本当に素晴らしかった。これぞサッカーの醍醐味と言えるだろう。

今野が左右を見ながら確信を持って(というように見えた)ドリブルで力強く前進。右サイドにはまるでこの展開を待っていたかのように長友と香川が全速力で前に走る。香川が斜めにゴール前へ切れ込む中で、今野からどんぴしゃのパスがゴール前右に到達した長友へ。

ここでの長友の瞬時の判断とテクニックが素晴らしかった。センタリングは低いライナー性の浮き球。そこにこれまたどんぴしゃのタイミングでゴール前に走り込んでいた香川が体制を崩しながらもボール確実に捉えてゴールに突き刺す。

もし長友のパスがゴロだったら、ピッチが荒れ気味だったからイレギュラーしていたはず。逆に高く浮いていたら香川といえどもうまく合わせられたかどうか。最高の選択と技術だったと感嘆するしかない。

確かに決めたのは香川だけど、今野、長友の3人の瞬時の連携で奪ったゴールといって間違いない。3人のタイミングが少しでもずれていたらこんなスーパーゴールは生まれなかった。

試合後の選手達のコメントもよかった。ぜんぜん浮かれていない。やっぱり世界のトップチームで試合経験を積むことが大切なわけだ。

早起きではなかったが、三文以上の得はした感じ。情報シャッタダウンで録画再生でもダメ。その時間は共有できていないわけだから。やっぱりリアルタイムで見なくっちゃ。そのときにしか目に見えない電波は届かない訳だし。

なでしこからずっとそうなんだけど、サッカーは夜中に起きてでも見たくなる場面が増えているのが嬉しい。 果たして、ラグビーでこんな至福の時を迎えるときはやって来るのだろうか。
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第6節(10/14)の試合予定&みどころ

2012-10-13 10:56:40 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
○第6節の試合予定

 10月 14日(日) 中央大学 vs 関東学院 12:00 秩父宮ラグビー場
 10月 14日(日) 東海大学 vs 法政大学 14:30 キャノングランド

「サバイバルマラソン」の様相を呈している今シーズンのリーグ戦の戦いは、いよいよ折り返し点に近づいてきました。今週は優勝争いを左右しかねない注目すべき試合があります。その主役は、もちろん前節で流経大を(覇権争いレースからあわや脱落かという)崖っぷちにまで追い詰めた法政。流経大にとっては「悪いところがすべて出てしまった戦い」だったようですが、法政がいよいよチームとして機能し始めたと観るべきなのかも知れません。おそらく法政の健闘は東海大の選手達に強い刺激を与えたものと思われ、当日のキャノングランドのボルテージは最高潮に達することが予想されます。もちろん秩父宮ラグビー場の戦いも見逃せません。3連敗と既に崖から転落しかけている関東学院が意地を見せるのか、それとも好調を維持する中央大が上位グループ入りに向けて大きな一歩を踏み出すのか。後に控える試合のために多くの大学ラグビーファンが見守るような状況の中で、両チームともいいパフォーマンスを見せて欲しいところです。

【中央大学 vs 関東学院大学】

開幕戦からの3連敗で上位グループ維持は絶望的となり、入替戦も覚悟の状況となりつつ関東学院。この試合では今までのテスト(あくまでも私見ですが)の成果を示すべく、FW中心の局地戦とBKへのワイドな展開が噛み合ったバランスのよい(らしさが戻った)ラグビーを見せてくれるはず。と期待したい所ですが、発表されたメンバー構成からはまだまだテストが続いているような印象です。今シーズンを何とか乗り切るのではなく、来シーズンに向けての基礎固めを実戦で行っているように見えてしまいます。拓大戦の終盤で見せた光明は果たして幻だったのか? 一つ勝つことでチームには計り知れないエネルギーが生まれることを思えば、何とかいい結果を出して欲しいところです。

例年になく好調なスタートを切った中央大は関東学院も破って後半戦に向けての確かな手応えを掴みたいところ。中央大も永らく関東学院に勝つことが出来ないでいるチームのひとつですが、この試合はそんなことは意識せずに自分たちの目指す方向で思いっきりよく戦って欲しい。ここまでの3試合の関東学院の闘いぶりはおそらく参考にならないし、また結果が出ていない関東学院が与しやすしと観るのは危険。キックオフからどんどん攻めていくことも重要ですが、関東学院がどんな闘いを挑んでくるのかを早い段階で見極めることも大切だと思います。あとはミスをなくすこと。勝利を呼び込むためにも集中力を切らさないことが肝要かと思われます。

【東海大学 vs 法政大学】

前節の流経大戦での惜敗(僅か1点差)ですっかり上昇気流に乗ってしまった感がある法政。流経大にミスが目立った展開だったようですが、目下3位争いを演じているライバル達とも力の差がないことが証明された形となりました。おそらく選手達も復活に向けて自信が掴めたのではないかと思います。しかしながら、日大戦、拓大戦とまだまだ本領発揮とは言い難い東海大は、目の色を変えて戦いに挑んで来ることが予想されます。法政はそろそろオープン展開に華を咲かせたい気持も強くなっている頃かと思いますが、ここはまだ慎重にいくべきかも知れません。SO猪村が安定しているだけにFW中心で確実にボールをキープし、機を見てオープン展開勝負というのが現実的なシナリオのように思われます。相互の力関係から観て、法政が東海大の攻撃に耐える時間帯が多くなることが予想されますが、確実なタックルを積み重ねることで勝機を掴むことは可能と見ます。

ここまで2連勝ながら今一歩ピリッとした戦いができていない東海大にとって、この試合は闘魂にスイッチを入れる千載一遇のチャンスになったものと思います。覇権奪還に向けて負けられない東海大は、おそらくこの1週間強い危機感を持って練習に取り組んできたはず。FWも阿部らの頼もしい選手が戻って来たことで、さらにパワーアップした戦いを見せてくれることと思います。BKはCTBにメンバーの変更がありましたが、層の厚い東海大なので心配はなさそう。SHは拓大戦と同じなので、ここでHB団も固定ということになるのでしょうか。法政は決定力のあるバックスリーにいい形でボールを渡さないようにHB団に強力なプレッシャーをかけてくるはず。東海大は自慢のFW3列トリオの活躍がとくに期待される状況となっているように思われます。
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ラグビーとサッカーを音楽に例えたら(後編)

2012-10-12 02:21:31 | いろいろ何でも雑記帳
前編でサッカーファンとラグビーファンの近親憎悪的な感情について書いた。でも、よくよく考えてみれば、コメントを頂いたWaratasさんの弁を待つまでもなく、ラグビーファンの自意識過剰という現実に辿り着く。それも、過去(Jリーグが始まる10年以上も前に遡る)にラグビーファンがサッカーファンに比べて元気があった時代の名残。ワールドカップなんて夢の夢、プロ化なんてとんでもないといったような風潮があり、その頃には全盛期を迎えた関西の某老舗大学チームの勝ち負けに一喜一憂していたことを思い出す。

そんな旧タイプのラグビーファンの血が流れつつも、今はサッカーも平等に愛している。そして、ラグビーは関東大学ラグビーのリーグ戦グループを中立的な立場で楽しむことになった者として思うことは、サッカーファンはラグビーファンになってくれる可能性が一番高いスポーツファンだと言うこと。数的優位、タックル、オフサイドといった用語を知っているだけでも大きい。何とかうまくサッカーファンにラグビーの魅力を(押しつけではなく)アピールする方法はないものだろうか。例えば、サッカーの試合会場で2019年には日本でラグビーのワールドカップが開催されることをアナウンスするだけでも違ってくるような気がする。

話が本題から逸れてしまった。例えば、演奏会を迎えるまでの日々のことを考えてみる。クラシックの場合はほぼ100%プログラムが決まっている。だから、コンサートに出かける前に某かの予習をすることになる。当日演奏される曲がどんな内容なのかを深く知ることで、想定内の出来事かも知れないが、ステージで何が起こるかを楽しみにコンサート会場に向かうことになる。逆にジャズでは当日何が演奏されるかが事前には分からないことが多い。だから、何が起こるかを楽しみにライブハウスに出かける。

ラグビーとサッカーにも同じことが言えそうだ。ラグビーの場合は、チーム力、メンバー、コンディションを知ることで勝敗から試合展開まで予想することが可能。日本とオールブラックスが対戦するとしたら、勝ち負けは(残念ながら)興味の対象外とならざるを得ない。でも、サッカーなら「もしかしたらブラジルに勝つかも知れない。」という期待を持ってスタジアムに足を運ぶことができる。勝つ確率もじわじわと上がってきているような気がする。

サッカーとジャズで共通性を感じることはまだある。それは発展の歴史と世界への拡がり。1950年代に全盛期を迎えたモダンジャズ期までのジャズは、スーパースターが引っ張る時代だった。代表選手はマイルス・デイヴィスでありジョン・コルトレーンであったりする。サッカーならペレやベッケンバウアーといった名前が思い浮かぶ。また、ソリスト(ストライカー)が王様の時代だったことも同じ。ジャズのピアノトリオでベーシストやドラマーが前に出てくることは「例外的」とされる。

しかし、サッカーはスターの存在だけでは勝てなくなってきている。全員攻撃、全員防御のトータルフットボール、そして役割分担や決まり事に支配された高度に組織化されたスタイルに変貌を遂げている。同じことはジャズでも起こっていて、ピアノトリオであっても3人が対等の立場で丁々発止と渡り合う演奏スタイルが主流になっている。ジャズもある意味では全員攻撃全員守備の状態になっているのが面白い。

サッカーが世界的な人気を博している大きな理由は、いろいろなスタイルで世界一になれる可能性があることだと思う。チーム作りひとつにしても、選手達の身体能力だけでなく、国民性も色濃く反映された形になる。そう考えると、ジャズもいろいろな戦い方が可能なことに気付く。リズムは4ビートである必然性はなく、世界中の様々なスウィングするリズムが使える。コードもスケールにも地域性を反映させることができるし、ブルージーな感覚はアフロアメリカンだけが専有している訳ではない。それに比べたら、クラシック音楽の戦術は限られたものにならざるを得ない。限られたフォームの中で、演奏者の特色が顔を出すというスタイルになる。こんなところにも限られたトップチームが覇を競うラグビーとの共通したテイストを感じる。

とりとめのない話になってしまったが、確信を持って言えることは、耳に飛び込んできた音楽が感動を呼ぶのはそれがクラシックであるとかジャズであるとかは関係ないということ。心に響くか響かないかが先のはずだ。振り返ってみれば、偶然から奇跡までの様々な音との出逢いがあり、そのことが地球上の時空を越えた様々な音楽へのアプローチに繋がった。ラグビー観戦の合間を縫って、少しずつそのような素晴らしき音楽との出逢いについて書いていきたいと思う。
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第5節(10/6 & 10/8)の試合結果&感想

2012-10-11 02:41:07 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
○第5節(10月6日, 8日)の試合結果

 10月 6日(土) ●拓殖大学 12 – 28 ○東海大学 キャノン・グランド
 10月 8日(月) ●法政大学 16 – 17 ○流通経済 たつのこフィールド

昨シーズンに顕在化した(相対的な)地盤沈下、そして春シーズンでのある種絶望的な結果を見て、この先いったいどうなってしまうのだろうかと大いなる不安を抱かせた今シーズンの関東リーグ戦グループ。しかしながら、(地盤沈下の面はさておき)もしかしたら近年にない面白いシーズンかも知れないと、序盤戦の展開を見て思うようになりました。これは嬉しい誤算と言っていいでしょう。その想いを決定的にしたのが第5節の2試合。とくに、昨年度覇者の流経大に僅か1点差で敗れてしまった法政の戦いぶり(復活と言ってもいいかも知れません)が決定打となった感があります。

その前々日にキャノングランドで行われた拓大対東海大も見応えのある戦いでした。春からチームコンセプトを固めて地道に強化を図ってきた拓大に対し、強力なメンバーをどのように日本一を狙えるチームへと仕上げていくかに課題があった東海大。ある程度拓大はやれるのではないかと予想した半面、拓大は強力FWのパワーの前に為す術もなく粉砕されてしまうかも知れないという不安も入り交じった中でキックオフとなりました。結果は、拓大の大健闘と言っていい内容。もちろん、2戦目でまだ本調子にはなっていない東海大にポロリ連発などのミスが目立ったとはいえ、入替戦回避が当面の目標である拓大にとっては(自分たちが目指している方向性と努力に対して)自信を掴むことができた一戦になったのではないかと思います。また、東海大にとってもこのほろ苦い勝利は良薬になったのではないでしょうか。大学ラグビーの場合、チームは1週間で変わることが出来ます。

流経大のホームグランド、たつのこフィールドで行われた戦いは、さらにリーグ戦Gファンにとって衝撃をもたらす結果となりました。流経大が終了間際に挙げた起死回生のトライ+コンバージョンで辛くも逆転に成功。もし、ゴールキックが入らなければ連覇に黄信号が灯る薄氷を踏む想いの勝利だったようです。残念ながら、この試合は観戦できなかったのでどんな内容だったのかが大変気になります。新発田で行われた法政vs関東学院戦同様に、試合についての感想などをコメントいただければ嬉しいです。いずれにせよ、これから8チームによる「ハラハラどきどきショー」が毎週のように展開されるであろうことを思うと、ずっとリーグ戦Gファンでいてよかったなと思っています。
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