「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

祝、今季初勝利/燃えよサンウルブズ!

2017-04-14 01:21:54 | 頑張れ!サンウルブズ


ここまで開幕5連敗のサンウルブズ。しかし、1つ2つ勝っていてもおかしくなかった南アフリカ遠征での戦いぶりを見ても、昨シーズンより着実にパワーアップしていることは間違いない。嬉しい誤算と言ったら頑張っている選手達に申し訳ないが、新たに抜擢された選手達の想像以上の活躍で(キングズ戦は除き)安定した戦いができている。欲しいのはとにかく勝利。プロチームである以上、内容がよくても負けが続けば評価されず、スポーツニュースからも消えてしまう。

バイウィーク明けの久々の秩父宮でのゲーム。何となく勝てるのではというそよ風のような気持ちが頭の中を駆け抜けた。チケット入手は2日前だが、たとえバックスタンドB指定の後ろの方の席でもその場に居るのと居ないのとでは全然違う。キックオフ10分前、競技場は既に「今日こそは勝利を」の期待を胸にスタジアムに足を運んだ熱心なファンで埋まっている。昨シーズンも感じたことだが、国は関係なく「いいラグビーが観たい」という想いで足を運ぶ外国人が多いことが華やいだムードを醸し出しているのもスーパーラグビー観戦の楽しさ。心配された雨も小降りとなり、いよいよキックオフ。



昨シーズンは毎試合毎試合がどうなることかの連続で、とくに離脱者が増えた終盤戦は厳しい戦いを強いられたサンウルブズ。そう思うと、フレッシュなメンバーの想定を超える活躍もあり、今シーズンは安心して試合を観ることができる。ここがこのチームの確実な進化を感じる部分。緒戦の大敗したハリケーンズ戦、ミス多発で自滅した感がある2戦目のキングズ戦とは別のチームになっている。課題だった密集周辺のディフェンスが改善されたことと身体能力の高い松島がFBに定着したことでキック処理も安定してきた。アタックでは見せ場を作れるチームだから守備力が上がれば勝利は遠くないはず。

開始早々の5分でさほど難しくないPGを外し、いや~なムードがスタンドを覆ったのも束の間。直後の6分にサンウルブズの持ち味であるテンポの良いパス回しから初スタメンとなるウォーレンボスアヤコのトライで幸先良く先制する。サンウルブズは10分にもPGで加点し、8-0と上々の滑り出しだ。ディフェンスで孔が開くことも殆どない。とくに、FW第1列の3人(山本、庭井、山路)が起き上がりこぼしのように倒れても一瞬のうちに体勢を立て直して守備陣形を整えてしまうところは感動的ですらある。BKに展開されても組織的に面を作って飛び出し気味にプレッシャーをかけるから相手は蹴るしかなくなる。



12分にブルズにラインアウトからの一瞬の隙を突かれてトライを許した後は、お互いに一進一退の緊迫した攻防が繰り返される。23分にサンウルブズがPGを決めて11-7とリードを拡げるが、ブルズも25分にPGを返して11-10の一点差のまま前半が終了。強豪クラブを相手に普通に戦えていることは、かつての日本のラグビーでは考えられなかったことだ。ブルズがキックを多用し、ミスも出たことで助かっている面があるのは確か。バイウィーク明けのサンウルブズに対し、ブルズには遠征疲れがあるのかもしれない。とはいえ、集中力が切れないディフェンスの頑張りが光った前半のサンウルブズだった。

後半はクリップスに替わって田村が司令塔として登場。交替のアナウンスにスタンドから一際大きな拍手が起こったことも頷ける。木津や稲垣といった頼もしい選手達がベンチに控える陣容は昨シーズンなら考えられなかったこと。48分にPGで逆転を許し、ブルズの圧力が増す中でもディフェンスが破綻しなかったのは交代メンバーをフルに使って戦えるから。田村の投入でテンポアップを目指すサンウルブズに我慢の時間帯が続くが見応えのある攻防が続く。63分には攻め込みながらのミスで切り替えされて被弾し点差を9点に拡げられるが、不思議とこのまま行かれてしまうという感じにならない。



残り時間も少なくなった68分、サンウルブズが得意とする小気味よい繋ぎから松島がゴールを目指す。タッチライン沿いの左には福岡が併走する状況でゴールは目前。ここで誰もが松島からラストパスが渡るものと思った瞬間、松島は内側に切れ込んでゴールを目指すがタックルに遭う。福岡が左隅ギリギリの位置に飛び込むイメージが出来ていただけに残念ではあったが、相手選手がプロフェッショナルファウル(倒れ込み)を犯してシンビン。トライ狙いの納得のスクラム選択にスタンドからは手拍子が沸き起こり大いに盛り上がる。

サンウルブズは、左サイドのスクラムを起点としたアタックからラックを連取。右側にスペースが出来たところで田村からの芸術的なラストパスが右WTBの中鶴へ渡った。ボールをインゴールに持ち込むだけだった中鶴だが、落ち着いていた。喜んですぐにボールを置くこともなくゴール中央に回り込んで右中間にトライ。終盤の逆転劇を呼び込んだファインプレーだったと思う。2点差とPG成功でも届かな4点差では大きな違いがあるから、少しでも勝利に近づきたいという強い想いが逆サイドの観客席にも伝わってきた。



いよいよサンウルブズの時間となった74分、田村がPGを冷静に決めて1点差ながら遂に逆転に成功。しかし、簡単には勝たせてくれないのがスーパーラグビー。76分にサンウルブズが自陣で反則を犯したところで観客は思わず天を仰いだ。またしても勝利は遠のくのか。いつもなら相手ボールのPGでも静かに見守る観客がクラウドノイズを発生させる。過去を振り返ってもあまり経験がないことだが、自然発生的に何かをしたい気持ちが起こったことも理解できる。抜群の安定度を誇っていたプレースキッカーのショーマンが交替していたこともあり、PGは外れる。

あとは敵陣でできればボールキープの状態で時計を進めるだけ。ブルズが反則を犯し、ゴール前でのマイボールラインアウトとなったときには残り時間は1分を切っていた。しかし、またしても落とし穴が待っていた。敵陣奥深くとはいえ、ラインアウトでボールをスティールされ、逆転勝利を目指すブルズの死力を尽くしたアタックが続く。だが、サンウルブズの組織ディフェンスが最後まで破綻することがなかった。80分経過を告げるサイレンが鳴っても、とにかくピッチの内も外も我慢の時間帯が続く中でターンオーバーに成功。矢富がボールを冷静にタッチに蹴りだしてサンウルブズが勝利を掴み取った。

昨年度のジャガーズ戦勝利も生体験しているので、その時味わった感動の方がより大きかったことは確か。しかし、やっぱり勝利はいいものだ。最初に書いたように、内容はよくても連敗が重なったら関心が薄れていくのがプロスポーツの世界。後でTV録画を観て判ったことだがサンウルブズのホームゲームの中では空席が目立つ状況だった。だからこそこの勝利の価値は大きい。勝因は最後まで集中を切らすことなくブルズの猛攻に耐えた、いや猛攻と感じさせないくらいに相手を止め続けたディフェンスにあったと思う。「攻撃は最大の防御」だが「防御も最高のアタック」になり得るのがラグビーの面白さだと実感した。



■TMOについて思うこと

この試合がとても引き締まったものに感じられたのは、お互いの力が拮抗していて僅差の接戦になったから。しかし、もうひとつ言えるのはTMOによる集中が途切れる時間帯がなかったこと。トライは文句なしのものばかりだったし、激しいファイトではあったものの際どい反則が少なかったことがTMOを必要としなかったと言える。あるいは、レフリーの技量の高さ、あるいはTMOに対する個人的な好き嫌いがあったのかも知れない。

この試合は、「疑わしきはTMO」のような状況になりつつある現状に対して一石を投じた試合と言えそうだ。一番近くで観ている人が自信を持ってジャッジし続ける状況こそが試合に緊張感をもたらしていたのではなかっただろうかと改めて感じた。



■ひとつでも多くの勝利を

今後もより厳しい戦いが続くサンウルブズ。だが、今シーズンの強みは日本代表との連携が強まり、バックアップ体制がしっかりしていること。パワーアップはあってもパワーダウンはおそらくないはず。だからこそ、ひとつと言わず、2つでも3つでも勝利を掴み取って欲しい。15試合を戦う中で、実質ホームの日本で行われるのは4試合しかない。アタックで世界のファンを魅了する場面を創り挙げて行くことに対する(正当な)対価の獲得も考えなければならない。

奇しくも、ブルズ戦勝利のあとに来シーズンのスーパーラグビーの枠組み変更が発表された。サンウルブズはオーストラリア・カンファレンス、ジャガーズは南アフリカ・カンファレンスに移り3カンファレンス15チーム体制になること。そのために前者から1チーム、後者から2チームが削減対象となること。サンウルブズが削減対象から外れたのは2019年の日本でのW杯開催があることが大きいようだが、戦えないチームだったら(削除要求の)クラウドノイズは大きくなっていただろう。世界のラグビーファンが観たいサンウルブズになって欲しいと切に願う。

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第2期サンウルブズ始動/大敗の中にも見えた光明

2017-03-02 23:27:20 | 頑張れ!サンウルブズ


いよいよスーパーラグビー2017が開幕。チーム結成2年目のサンウルブズの戦いが始まった。たとえ準備期間は短くても、また強豪揃いのNZカンファレンス所属チームとの対戦があるとしても昨シーズン以下の戦績は許されない。ひとつでも多くの白星を積み上げていくことはもちろん、日本代表チーム強化のミッションもある。そして、ファンが望むのはサンウルブズオリジナルと言ってもいい(力尽くではない)流れるような連携から産まれるトライ。スーパーラグビー経験者を揃えた「2年目」への期待は否が応でも高まる。

残念ながら負傷者が多いこともあり、やや不安ありのメンバー構成。熱き想いを胸にスタンドに足を運んだ多くのファン、そして実績のあるメンバー達がスタンドで見守る中でのキックオフだったが、いきなり昨年度王者ハリケーンズが巻き起こした嵐の中に新生サンウルブズは巻き込まれることになってしまった。



「情け容赦なし」と言ったらいいのか、3ヶ月間の準備期間をかけて作り上げられたチームがいきなり牙を剥いた。「俺たちは単に勝利するだけでは満足できない。」と言わんばかりに高速かつ正確にパスを繋ぐラグビーは、日本のトップリーガーだけでなく観客をも未体験ゾーンに放り込んでしまう。ここ数年で大きく戦術が変わった日本のラグビーだが、テンポは上げてもブレイクダウンからしっかり組み立てて攻めるのが基本。

そんな日本のラグビーをあざ笑うかのようにオフロードを駆使したミラクルパスが途切れることなく繋がっていく。ブレイクダウンの局面でもまるでセブンズを観ているかのように3人目の選手が素早くパスアウト。世界最高峰のアタッキングラグビーを標榜するスーパーラグビーはさらに進化したということだろうか。前半27分までにハリケーンズは6トライを量産。33分にようやくサンウルブズは1トライを返すものの、さらに1トライを追加されて5-45で前半が終了。このままのペースなら3桁失点もやむなしの前半だった。

しかし、大量失点の割には圧倒的に攻められたという感覚が薄かったことは不思議でもあった。昨シーズンに比べてFWのメンバーはパワーアップしており、サンウルブズが攻め込んでいる時間帯も多かった。BKにスーパーラグビー初経験のメンバーが多かったこともあり、相手のテンポに合わせてしまった感もある。そうなればパワーに確実性を兼ね備えたチームの方が優位に立つのも必然か。インターセプトなどミスをつかれてあっと言う間にゴールまでボールを持ち込まれてしまう場面の連続には歯がゆさを禁じ得ない。

後半もハリケーンズの勢いは収まらず、58分の時点で83点が記録される。しかし、試合は判らない。サンウルブズのメンバー交代が功を奏する形でハリケーンズの得点はピタリと止まり、試合の流れはサンウルブズに傾いた。FWのセットプレーが安定し、スクラムでは完全に優位に立てたことと、59分に投入されたSH茂野がアタックのテンポアップに貢献する。フィルヨーンに替わって後半に投入された江見を含むフレッシュなバックスリーの積極的なアタックなど見せ場を作ったサンウルブズは69分と77分にトライを奪って17-83がファイナルスコア。大敗には違いないが絶望感もなく、むしろ主力が復帰する今後に期待を抱かせる試合内容だった。

というわけでほろ苦さのない完敗。後半に投入されたメンバーを最初から出していれば(もっと得点できたし、失点は少なかったのでは?)という疑問も生じる。しかし、穿った見方かも知れないが、あえてこの試合は新たにサンウルブズに加わったメンバーに最高峰を経験させることと、今後起用するメンバーの見極めが目的だったのではなかっただろうか。ある意味でファンを裏切る形になりかねないから首脳陣も肯定しないだろうが、TV録画観戦という点は割り引いてもそのような印象を受けた。おそらく、勝利の期待が高まる2戦目以降でメンバーは固まっていくはず。

そう考えると、とくに後半に選手達が見せたパフォーマンスは首脳陣の期待以上だったかも知れない。この日初めて登場した選手達の中で今後の活躍が期待される選手はNo.8のブリッツ。普通に目立つ風貌の選手だが、目立つところに居て身体を張っている選手だとも言える。立川とともにチームを引っ張る存在となった闘将カークとともに注目していきたい。選手層の厚みが増したサンウルブズが去年以上の戦績を挙げてくれることを期待したいし、そうなるのではないだろか。

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スーパーラグビー2017開幕/2シーズン目を戦うサンウルブズへの期待

2017-02-24 00:54:24 | 頑張れ!サンウルブズ


出場メンバーも発表され、あとはキックオフを待つだけとなったサンウルブズの開幕戦。先日行われたトップリーグオールスターチームとのプレマッチを観ても、準備万端とまではいかなくても今シーズンも熱き戦いを見せてくれるに違いないと期待させるものがあった。

時計の針を1年半くらい前のW杯前に戻す。スーパーラグビー参戦がアナウンスされたものの、多くのラグビーファンは「本当に戦えるのだろうか?」いや「実際にチームが成立するのだろうか?」と疑心暗鬼になっていたことは間違いない。エディー・ジョーンズが指揮を執ったW杯の活躍で吹いた強力なフォローの風にも乗れず、なかなか実体を現さないチーム対してファンの心配は募る一方だった。

しかしながら、1勝1分13敗と戦績こそ散々だったものの、初年度の戦いぶりは「日本にサンウルブズあり」を印象づけるものだったように思う。W杯で活躍した日本代表メンバーの参戦が思いの外少なく、多国籍軍での戦いを余儀なくされたチームから「サンウルブズ・オリジナル」と言ってもよい「美しい」トライがいくつも産まれたことは特筆に値する。

とくに不安いっぱいで迎えた序盤戦での熱き戦いぶりが新たなファン獲得に繋がり、ラグビー場の雰囲気を変えてしまったことは新鮮な感動を呼び起こした。だからこそ、2シーズン目も迎えるサンウルブズへの期待は否が応でも高まる。とくに今シーズンはジェイミー・ジョセフが指揮を執る日本代表チームとの連携が明確に打ち出されたことも追い風になるだろう。

もちろん、ここで何度が書いているように、「サンウルブズは(プロチームである以上は)世界一を目指すべき」という持論は変わらない。ただ、昨シーズンのままの状態ではそれもままならないことを実感させられた。負傷者の戦線離脱によりチーム力が低下した終盤戦の戦いぶりが選手層の薄さ(チームの基盤の脆弱さ)を露呈したと言える。そういった意味で、「日本代表との連携強化」はチームの安定に寄与するに違いない。

昨シーズンのサンウルブズの熱き戦いぶりを振り返ると、その根底には3つの重要な要素があったのではないかと思う。ひとつは強い使命感。「俺がやらなくて誰がやる」という熱い気持ちを持ってサンウルブズに参加した選手がいたことはメンバーを大いに元気づけたに違いない。2つ目は強い危機感。W杯の活躍でようやく注目が集まったのに、スーパーラグビーで躓いたら日本のラグビーの将来はなくなるかも知れないという意識を胸に戦った選手も居たはずだ。

3つめはサンウルブズに限った話ではなく多くのチームに共通することだが、強烈なプロ意識。試合に出て活躍することで自分のプレーをアピールし、世界に認められること。事実、サンウルブズでのパフォーマンスで日本代表キャップを掴んだ選手がいたことからもそのことは裏付けられる。そのような状況の中でカークやデュルタロやモリやフィルヨーンといった選手達が真摯なプレーでファンの心をガッチリ掴んだことも忘れてはならない。サンウルブズが多国籍のメンバーの協力のもとに成り立っている「国際宇宙ステーション」になぞらえた理由もここにある。

持論(サンウルブズは世界一をめざすべし)は変わらなくても、日本代表とサンウルブズの連携強化は「世界一」へのチーム基盤の強化に向けた1ステップになるものと期待している。2年目のある意味安心感が出てきた状態での旅立ちとなるが、1年目の戦いで苦労を重ねた選手達の精神はしっかりと受け継いで欲しい。困難な状況の中、選手達が強烈な反骨精神を胸に秘めて戦ってきたことはサンウルブズの精神的支柱となっているはず。立川と主将を分かち合う形にはなるが、カークが文字通りキャプテン(船長)としてチームを引っ張る存在になったことをとても心強く感じている。

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ありがとう!サンウルブズ/日本での最終戦、大敗も感謝の気持ちでいっぱい

2016-07-07 01:39:43 | 頑張れ!サンウルブズ


2月末に始まったサンウルブズのスーパーラグビーへのチャレンジも残すところ3戦。最後の南アフリカ遠征を前にしたこの試合は日本での今季最終戦となる。相手のワラターズは好調なうえにベストメンバーで来日と、サンウルブズにとっての2勝目へのチャレンジは今まで以上に厳しい戦いとなることは必至。味方に付けられるのはラグビーの試合では考えられないような酷暑くらいか。

いやいや、ホームチームのサンウルブズには、酷暑よりも熱いサポーターという強い味方も居る。熱中症が心配される状況でも、これまで以上に多くのサポーターが訪れた秩父宮ラグビー場の周辺は試合前から人波でごった返している。ハブで既に「いい感じ」になっている外国人の姿も目立つ華やかさは、国際プロリーグたるスーパーラグビーならではのもの。いつもの年ならこの時期はラグビーが消えてしまっていたことを考えれば、酷暑もなんのその。



キックオフの凡そ30分前に観客席へ。暑さをものともせず、両チームの選手達がアップに励んでいるなか、メインスタンドから順番に観客席が埋まっていく。そして、試合開始前のセレモニーでは高円寺のひょっとこ連による阿波おどりが披露された。夏のお祭りに欠かせない太鼓だが、なぜか一服の清涼感をもたらしてくれる。やっぱり日本の夏はこれに限ると感じたが、すぐにここはラグビー場だということを思い出した。



■前半の戦い/くい下がりを見せるも決定力不足に泣く

両チームの選手達が登場していよいよキックオフ。猛暑をものともせず、すぐに試合はヒートアップするところは流石だ。個々の強さ(それも尋常ではない)と組織のバランスが絶妙なワラターズに対し、サンウルブズの生命線は組織的なパス回し。個々の強さが足りない部分をカバーするが如く、人数をかけて地道にボールをキープしていき、相手のディフェンスに綻びが出たところで勝負に出る。

戦績は最下位でもトライの取り方では十分に存在感を示すことができているのは、他のチームには真似ができないような繋ぎがあるから。序盤から果敢に攻めて敵陣22m内までボールを運ぶ場面があるものの、要といえるテンポアップができないところが歯がゆい。デュルタロと山田がそれぞれ米国と日本の五輪セブンズチームに行ってしまった影響は確かに大きいが、ワラターズの要所を押さえたディフェンスは流石。逆にワラターズは10分に強力なタテ突破連発を武器に1トライを先制する。

なかなかあと一歩のブレイクができないサンウルブズだが、20分と22分に連続でPGを成功させて6-7と食い下がる。とくに22分のフィルヨーンが決めた60m近い超ロングPGは距離を全然感じさせないくらいで、素晴らしいライナー性の弾道はずっと記憶に残るだろう。直後にエースのナイヤラポロがシンビンとなったところでサンウルブズはさらに1PGを追加して遂に逆転に成功する。27分にワラターズに再びトライを奪われるものの31分にPGを返して12-14。ここで1つ取れれば「祭りだ、わっしょい!」になるところ。



しかし、ワラターズは残り10分ないところで2トライを奪いサンウルブズファンのかすかな希望を打ち砕く。個々のプレーの力強さもさることながら、それだけではない。とくに感心したのがイーブンボールに対する反応の速さと正確な処理。イーブンボールというよりも、むしろ先に確保出来そうな感じだったが、あと一歩で確保という瞬間にボールを奪い取られてしまうシーンが散見された。マイボール!と思った時でも慌ててしまってボールを逃してしまう場面は大学生の試合でも散々観ている。

あたかもミスが起こることを想定しているかのような無駄のない動きは、普段プレーしているラグビーの質の違いを感じさせる部分でもある。思うにミスが出るのは、想定していないことが起こると一瞬頭と身体がどう反応していいか食い違ってしまうことに原因があるような気がする。日常の練習でいかにいいイメージトレーニングが出来ているか。とはいえ、12-26の折り返しならまだ望みはある。ワラターズも戦術を変えてくることは当然として、サンウルブズの修正能力も試される。そのために後半は先に1トライが欲しい。



■後半の戦い/失速どころかむしろ加速したワラターズの勢いに感服

得点は4PGのみでワラターズ陣22mに入ってからゴールラインまでの距離がとにかく長く感じられた前半のサンウルブズ。攻めることが出来ていた分だけ思っていたほどは力の差がないように思われる。しかしながら、アタックのテンポアップをさせてくれなかったことや、ボールを奪ったら一瞬でゴールラインまで運んでしまう切れ味の鋭いアタックを見てしまうとやっぱり力の差は大きいと感じざるを得ない。逆襲体制を整えるために必要なのはやはりトライ。

しかし、酷暑をもろともせず後半のワラターズはさらに勢いを増す。消耗戦を乗り切るためには早めの選手交替がポイントになる。メンバーが替わってもパフォーマンスが落ちないという意味で、選手層が厚いワラターズの優位性がより明らかになる。サンウルブズは、後半開始早々の44分、47分に2連続トライを許し12-33と点差はどんどん開いていく。結局サンウルブズは反撃の糸口を掴めないままその後3トライを奪われて12-57で試合終了。終了間際に一矢報いるべく見せた渾身のアタックもゴールラインまで届かず日本でのラストゲームを勝利で飾ることが出来なかった。



試合後のインタビューで46分から出場し気を吐いた稲垣が語った言葉が印象に残る。「相手FWが想定外の戦い方をしてきたことは判ったが対応出来なかった。」と。わかってはいても、個別に対応したのではチームが壊れてしまう。しかし、ここが日本からサンウルブズがスーパーラグビーに参入したことの大きな成果だと思う。今までなら、相手チームのいろいろな引き出しを開けさせるような戦いは出来なかっただろうし、仮に開けさせても対応を考えるところまで行ったかどうか。試合中に劣勢のスクラムの建て直しに成功するなど、勝利に結びつかなくても修正する能力や意思は持てるようになった。

この日は日本でのラストゲームということもあって、様々なファンサービスが用意された。ラグビー場の雰囲気を明るくする力を持っているファンが大勢訪れたのだから、1トライでも挙げていれば盛り上がっただろう。私的には、意思統一の面での物足りなさからくるモヤモヤ感が消えない状況。しかし、今までに知らなかったことの数々を体験させてくれ、しかもそれらは明日に繋がるものばかりだったことを考えれば、困難な状況で戦ったハメットHCを始めとするスタッフ、そして身体を張って戦った選手達に感謝しないわけにはいかない。挨拶に訪れた選手達に力一杯拍手を贈って秩父宮を後にした。



■サンウルブズに感謝の気持ちを込めて/日本代表強化「3段ロケット構想」

改めて。サンウルブズがあったお陰で日本のラグビーファンはどれだけ楽しませてもらったか。春シーズンの空白を埋めただけでなく、世界への道程の厳しさを「可能性」とともに示してくれたことの効果は計り知れない。そして、新たなファンを獲得することができたことも特筆すべきだろう。この日、客席を埋めた2万人弱の観客の大多数は大学ラグビーの試合では見ることのなかった人達だからよけいにそう思う。

「サンウルブズは日本代表強化のためにある。」というのは尤もなこと。しかし、大事な初年度で思いの外日本代表選手を集められなかったことも事実。プロチームである以上、選手もそれに見合うだけのものを求めることは当然と言える。チームの側も勝利を求めることはもちろんのこと、ファンに夢を与えることを考えなければならないはず。メンバー構成は「日本代表強化」のかけ声に反して、多くの外国人選手を含む形のものとなった。

しかし、結果的にそうなったとは言え、カークやモリやデュルタロといった地味だが堅実で屈強なプレーヤー達と契約できたことはプラスに作用したと思う。彼らが居たことでサンウルブズは世界を驚かせるようなトライをいくつも取ることが出来たから。また、サンウルブズで活躍することで日本代表キャップを獲得した選手がいた。ことを考えれば、十分に役割(体技名文)を果たしたと言っていいのではないだろうか。そして、おそらく最高の効果と考えられるのが、試合中にピッチに立った選手達で修正ができるようになったこと。エディ・ジョーンズの果たした役割は確かに大きい。しかし、サンウルブズのHCを引き受けることで日本代表を後退の危機から救い、飛躍に向けての方向性を示したと言う意味でハメット氏の果たした役割も評価すべきだと思う。

エディ・ジョーンズありきの結果論が混じるが、日本代表の強化を3段式のロケットに例えてみたい。ロケット1段目(エディ)の強力な推進力は改めて書く必要はないだろう。問題は2段目(ハメット)の性能だった。1段目のような推力は不要でも姿勢制御の難しさは1段目以上のはず。スーパーラグビー終了後に日本代表監督就任が決まっているジェイミー・ジョセフ(3段目)にいかにいい形でバトンを引き継ぐかもミッションになる。首脳陣とともに、ごく短期間の間に与えられた選手をどのように纏めてチームとして仕上げるかに日々頭を悩ませていたであろうことは想像に難くない。

模索を続ける中でえた結論は、多くの試合でWTB山田がフィニッシャーとなった形でトライを取ることだったと推察される。基本は、セットプレーからFW主体で確実にボールをキープしながら前進させBKにボールを渡してさらに前進を図る。ここで重要なことは、(孤立→ターンオーバーを招きかねない)ビッグゲインを稼ぐことではなく、テンポを落とさずにボールを動かし続けること。強力な突破役が居ないことによる苦肉の策とも言えるが、あくまでも選手間の緊密な連携で孤立せずにパスを駆使して組織的な突破を図る。

トライに繋がった場面を振り返ってみると、最後は独走状態になっても常に3~4人の選手間でパス交換をして相手を崩しきっている。サンウルブズは危険なチームとの警戒心を抱かせたトライは世界に誇れるものだったと思う。勝利と引き分けがひとつずつでも息切れせずに応援できたのはこんなトライをひとつでも多く観たかったから。足りなかったものは足りなかったものとして、ハメットHCは来シーズンに繋がるものを示せたと思う。将来的に「2段目の姿勢制御が素晴らしかった」という評価になったら嬉しい。

あと2戦、負傷者が相次ぐ中、前回の遠征の結果からも南アフリカでの戦いは厳しいものとなることは必至だが、いいイメージを残してシーズンの締めくくりとして欲しい。


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インビクタスからサンウルブズへ/ラグビーが結ぶ点と点(2)

2016-05-31 02:21:52 | 頑張れ!サンウルブズ


スーパーラグビーの第14節でサンウルブズはブランビーズに惨敗し、遂に10敗目を喫した。ウィンドウマンス明けに行われる残り3試合も厳しい相手で最下位の可能性がより高まったと言える。しかし、悲観的な材料だけではない。少なくとも、春シーズンに最高レベルのラグビーを楽しめるのは過去にはなかったことだし、1戦1戦を大事に戦うことで日本のラグビーに足りないものを明確にしてくれる。もしもサンウルブズがなかったら、そしてその可能性はけして小さくなかったことを思うと、2015年9月19日は永遠のメモリアルデイになるだろう。

この日、英国ブライトンで起こったこと、すなわち、第8回ワールドカップでの南アフリカ戦勝利は世界から見ると「史上最高の番狂わせ」だが、日本のラグビー関係者の立場からは日本のラグビーを救ったという意味で「世紀の大勝利」に他ならない。思い起こせば大会前、日本のラグビーの実情を知る人ほど将来に対する希望が持てない状況になっていたことを考えると、その思いがより強くなる。

件のワールドカップ開催が目前に迫った某日、印象に残ることがあった。NHKラジオの夜の番組の「ワールドネットワーク」を偶然聴いていた時だった。海外在住の日本人に電話でインタビューをしてその土地の話題を語ってもらう番組で、海の向こうで受話器を握っていたのは南アフリカ在住の日本人女性。NHKのアナウンサー(男性)が「南アフリカではどんなことが話題になっていますか?」と問いかけたとき、「今は国中がラグビーのワールドカップの話題で持ちきりになっていますよ。」と。続けて「日本でも南アフリカの選手がトップリーグで活躍していますね。例えばサントリーにデュプレア選手(以下、チーム名と選手名がスラスラと出てくる)が所属していますし。」

ここで、アナウンサー氏の反応が「そうですね、南アフリカの強力な選手達の活躍は日本でも大きな話題になっています。」と答えることが出来れば100点満点だった。しかし、氏が海の向こうから電話回線を通じて届く熱い気持ちに殆ど答えられないでいるのが、ラグビーファンとしてはもどかしかった。そして、決定打がでてしまう。「ところで、南アフリカはどのくらい強いのですか。」 もうラグビーファンなら卒倒しそうな質問。中には頭に血が上って、「そんなこと(南アフリカが世界の最強国のひとつであることはラグビーに留まらず世界スポーツ界の一般常識)も知らないのか。」と抗議の電話の1本も入れたかも知れない。

しかし、アフリカ大陸の最南端にいる日本女性は賢明だった。おそらく、普段から彼の地と日本ではラグビーに対する空気がまったく違うことを肌身で感じて居たのだと思う。アナウンサー氏が抱いた素朴な疑問に丁寧答えることで、ワールドカップに日本が出ることや、緒戦の相手が南アフリカであること等を日本のリスナーに伝えてくれたのだった。今となっては笑い話だと思うし、件のアナウンサー氏も同じ機会が訪れたら、「日本に敗れた南アフリカですが、その後のチームの状態はいかがですか?」という質問が普通にできるようになっているはず。

こういった日常の一コマを見ても、ラグビーが宗教とも言われている国との間には体感以上の温度差があったことは間違いない。だから、南アフリカに勝利したことは想像を絶するくらいに大きな出来事だった。その後にサンウルブズが無事出陣できたことも「南アフリカ効果」のひとつと言って間違いないだろう。さらに言えば、日本にとって南アフリカがけして遠い国でなくなったことも大きい。

■映画『インビクタス』のこと

原作を読み終えた後、録画しておいた『インビクタス』を改めて観た。1995年に南アフリカが開催された第3回ラグビーワールドカップの決勝戦、すなわち南アフリカがひとつになった瞬間に至るまでの数年間を切り取って映画化したのがこの『インビクタス』。原作はそこに至るまでの苦難の道程をネルソン・マンデラの「戦い」を通して克明に描いているが、映画はそこにはあえて触れていない。

オープニングでは、道路を隔てて立派なグランドでラグビーの練習に励む欧州系の少年たちに対し、荒れたグランドでサッカーに興じているアフリカ系の少年たちの姿が描かれている。そこに通りかかったのが、大統領に就任したマンデラたちを乗せた車列。道路の両端でのまったく違った反応、方や熱烈な歓迎、方や「誰だ?何故騒ぐ?」の冷めた反応といった具合に、示唆に富んだ場面が続く。あえて細かい説明は避けて、観る者に「何か」を感じさせるスタンスでこの映画は作られている。

終盤の最高のクライマックスシーンもさることながら、スタジアムで熱狂する観客の姿が実際に試合を観ているかのように再現されている場面に驚かされた。試合の場面からは近接撮影ならではの肉体のぶつかり合いの迫力が伝わってくる。やはり、マンデラその人になりきっているモーガン・フリーマンが素晴らしい。そして、ピナールを演じるマット・デイモンも。最初に観たときに、ひときわ印象に残ったのは、この2人が出逢う場面。大統領が主将に託した使命を思うと、日本代表のキャプテンにここまでの重圧がかかることは今後もおそらくないだろう。それは、日本にとって幸せなことに他ならないのだが、スプリングボクスだけでなく、オールブラックスもたぶん同じなんだろうなと思った。

そして改めて感じたことは、この映画の製作にはアメリカの巨大資本と有名監督(クリント・イーストウッド)が必要だったということ。資金の問題は別にしても、南アフリカのスタッフで撮ることは困難だし、原作者の母国である英国のスタッフで撮ることも困難。人種問題を抱えるアメリカで、かつ有無を言わさずという力がある有名監督でなければ撮ることができない映画があることを実感させられた。そして、さりげないカットの中に込められたメッセージを読み取ることで、その背景にあるものに興味を抱かせる。2時間あまりという限られた時間の中で、「マンデラと南アフリカの知られざる物語」に目を向けるようにすることがこの映画の隠されたミッションでもあるのだ。

■原作『プレイイング・ザ・エネミー』のこと

映画『インビクタス』は上でも書いたように、ジョン・カーリンの “Playing The Enemy”の中のハイライトシーンを切り取って映画化したもの。原作はネルソン・マンデラが類い希なる人間的魅力と巧みな戦略により、如何にして「敵」を味方につけていったかを描いたヒューマンドキュメント(ノンフィクション)になっている。南アフリカをひとつに纏める困難な作業の最後の切り札になったのがラグビーだったわけだ。ラグビーファンはスプリングボクスが世界最強チームだと知っていても、なぜ世界のラグビーシーンから閉め出されていたかの真相を知ることになる。

アパルトヘイト時代の南アフリカでは、人種が4つに分けられていただけでなく、同一人種、例えば欧州系の人達の間でも格差があったことなどは日本では殆ど知られていなかったと思う。そんな様々な立場の人達(すべてがマンデラにとっては敵だった)を味方にしていく気の遠くなるようなプロセスを文章で追いかけていくのは正直しんどい部分がある。しかし、一刻も早くラストの歓喜の瞬間に到達したいという気持ちが前へと向かわせる。そういった意味からは、映画を先に観て感動を味わったことはプラスだったと実感している。原作を読んだあとで再び映画を観ると、新たな発見があるという具合に映画と原作は連動している。

確かに映画はアメリカでないと製作が難しい。しかし、ノンフィクションに仕上げるのはジョン・カーリンのような南アフリカ滞在経験を持ち、ラグビーやサッカーにも通じている英国人のジャーナリストでないと難しいことも実感した。マンデラの敵でなくなった多くの人達にインタビューを試みることは、並大抵のことではなかったはず。そういった意味でもクライマックスシーンを感動なくして読み終えることはできない。

■インビクタスからサンウルブズへ

時代も場所も背景も違うが、実はサンウルブズの戦い(苦闘)にインビクタスに通じる者を感じる。サンウルブズの直接の相手はスーパーラグビーの南アフリカカンファレンスに所属するチーム。何故か南アフリカという点はさておいても、間接的に見えてくるのは、日本のラグビーに立ちはだかる様々な問題や課題が相手でもあるということ。対立的要素であったり、矛盾点であったり、あるいは世界のラグビーから取り残されている部分をファンの気持ちをひとつにすることで溶かしていく潜在的能力を持つのがサンウルブズと言えないだろうか。

サンウルブズは南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリア、トンガ、フィジー、サモア、アメリカ、アルゼンチンといった国々からやってきた選手から成る多国籍軍。中でもひときわ注目の人になっているのが南アフリカ出身の鉄人フィルヨーン選手。堅実なFBとしてチームに欠かせない存在だが、プレーに南アフリカ魂といったらいいのか人一倍の芯の強さがある。派手さはなくても、ひとつひとつの確実なプレーは活きた教科書と言えるくらい。

フィルヨーンに限らず、南アフリカの選手達には肉体の強さの中にも激しさと優しさが同居しているようなところに人間味を感じる。例えばの話、トップリーグのチームに必ず1人は必要ではないかと思ってしまうくらいの存在感を感じる。『インビクタス』を観て、そして『プレイイング・ザ・ゲーム』を読んで、南アフリカの選手達の精神面のバックグラウンドが分かったような気持ちになったし、愛着が深まったことは間違いない。


インビクタス~負けざる者たち
ジョン カーリン
日本放送出版協会
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