「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

山梨学院大学 vs 法政大学(2015関東大学リーグ戦G1部-2015.9.20)の感想

2015-09-27 20:22:04 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


前夜の南アフリカ戦勝利で長い眠りから覚めたかのように盛り上がる日本のラグビーシーン。だが、日本ラグビー村の中心にある大学ラグビー班の反応は鈍いようだ。競技場に少しは華やいだムードがあるかと思ったが、ちょっとやそっとでは変わらないのがこの世界。日本代表を率いるエディ・ジョーンズヘッドコーチが警鐘を鳴らしても肝心なここには届かない。テントの下でメンバー表を配っていた女子学生達が「昨日はとっても興奮しました!」と楽しそうに談笑していたことがせめてもの救いか。この日、上柚木公園で試合を行う4チームの中にも2019年のW杯で中心となる選手が居るはずからしっかり応援したいところなのだが。

さて、春シーズンでいい方で印象が残ったチームが中央大だが、逆に心配になったのが第1試合を戦う法政と山梨学院。法政は昨シーズン3位に浮上したとは言え、春シーズンは春季大会で惨敗を重ねるなどまったく元気がない。一方の山梨学院も本来なら今シーズンは上位に向けて さらなるステップアップを目指すはずが昨シーズンのような戦闘態勢が整ったチームにはなっていない。とくに山梨学院は昨シーズンの私的注目チームで期待も大きかっただけに、緒戦(東海大戦)の大敗に「何故だ」と「やはり」が交錯する不思議な心境になっている。昨シーズンの法政の3位も山梨学院の6位も希に見る混戦模様の結果という事実があったことを忘れてはいけない。

法政は緒戦から4人がメンバー交代で1年生の数は減ったものの基本的には下級生が多く含まれる布陣。そんな中で、SHに4年生の金子峻大がルーキーの根塚に代わって起用されたのが目を惹く。SHとしての力量には定評があったが何故かここまでスタメンでの登場機会にあまり恵まれなかった選手。SOは緒戦と同じくルーキーの金井が起用されているので、ゲームリーダー的な役割を期待されての先発だろうか。なかなか選手を固定できない法政だが、3、4年生で堂々とスタメンを張るはず選手達はどこに行ってしまったのだろうか。

山梨学院はチームきってのトライゲッターで今シーズンは主将を務めるNo.8ソシセニ・トコキオが中心選手。CTBで先発のタイオア・アピレイは前評判が高く、BKの攻撃力アップへの貢献が期待されるルーキー。昨シーズンに主将としてチームを引っ張った大型FL大石の卒業もあって今年も全般的に小柄の選手が多い。昨年同様にチームの纏まりで勝負したいところ。今シーズンも序盤は手堅く慎重になのか、それともアピレイが加入したことで本来目指しているBK展開で得点を目指すチームへと戦術を変えてくるのかに注目してキックオフを待った。



◆前半の戦い/ちぐはぐな山梨学院に対し得点を重ねるも法政はペースを掴めす

法政のキックオフで試合開始。山梨学院の自陣深くからのタッチキックがダイレクトタッチとなり、山梨学院は時計が1分に満たない時間帯で早くも自陣22m付近での相手ボールラインアウトのピンチを迎える。ここから法政は一気にオープンに展開するが山梨学院にオフサイド。法政はショットを狙わず再び山梨学院陣22m内でのラインアウトからゴールを目指す。今度はモールを押し込みPR前島があっさり先制トライ。GKは失敗するが法政が幸先よく5点を先制した。

5分、法政は自陣からの相手キックに対するカウンターアタックで左サイドを破り山梨学院ゴール前でラック。ここから右オープンに展開してこの日スタメン出場を果たしたWTB中井が右サイドを疾走してゴールラインを越える。今回もGKは失敗するが法政のリードは10点となる。法政の切れ味鋭いカウンターアタックからサイドを抉り、右に大きく展開してトライ。と文章にすれば見事なアタックだが、実体は山梨学院のディフェンスが対応出来ていないことにより生まれたトライ。

本日の山梨学院はどこかおかしい。それを強く感じたのは、リスタートのキックオフに位置につくまで悠々と歩いていること。言葉は悪いが「負けているのにチンタラ歩くな!」という檄が飛んでもおかしくない状態だ。その後も法政がトライを重ねるごとに同じ光景が繰り返されるのだが、レフリーが早く位置に着くようにと促してもまったく変化なし。ジョギングしようとする選手も居たのだが、キャプテンが「不動」のためか最後まで見たくないシーンが続く。点を取られたらすぐに取り返そうという姿勢がこのチームには見られないのが不思議。

普通なら対戦相手は(ラグビーを舐めるなよと)怒ってもおかしくない場面。帝京なら自分達のラグビー観とは相容れないチームに対して、圧倒的な攻撃力で容赦なく粉砕にかかるだろう。だが、法政はそうならない。相手のペースに付き合ってしまったかのようにアタックがむしろペースダウンし、山梨学院に反撃を許す。6分、リスターのキックオフに対して自陣でノックオンを犯したところから、自陣を背にして守勢に回る。そして12分、山梨学院は法政陣ゴール前でのスクラムからトコキオがボールを持ちだしてラックになったところでSH山際がサイドを抜けてトライ。GK成功で山梨学院が7点を返しビハインドは3点に縮まる。



その後は双方にミスが多く、お互いが攻めきれない中でテンポアップすることなくもたつきが目立つ形で一進一退の攻防が続く。19分、法政は山梨学院陣22m付近でラインアウトのチャンスを掴み、モールからラック、BKに展開とボールを保持し続けるものの決めきれない。法政ファンにとってはなんとももどかしいアタックが続く。テンポよくボールを繋いでBKで鮮やかにトライを重ねる法政はどこに行ってしまったのか。山梨学院も昨シーズンのような組織されたディフェンスとは言い難く、すぐに綻びが見えるような状態だけによけいにそう感じる。

法政がもたつく間に24分、今度は山梨学院が法政陣でラインアウトのチャンスを掴む。ゴール前のラックからFL渡邊が一気に抜け出してボールを左サイドに運び最後はトコキオが決めた。GKは失敗するが山梨学院が5点を追加して12-10と逆転に成功する。29分、山梨学院はHWL付近でのスクラムから変則プレーを見せる。No.8のトコキオをCTBの位置に配しSHはFBの清水。しかし法政にスクラムを押し込まれてターンオーバーを許し、FL佐々木が一気に山梨学院ゴールラインまで到達。GK失敗ながら法政は15-12と再逆転に成功する。

これはあらかじめ準備されたプレーなのかも知れないがトコキオにボールが渡らなければ意味がない。「奇策」の失敗で山梨学院がせっかくつかみかけていたペースを手放してしまう。直後の33分、法政はHWL付近でのラインアウトから山梨学院ディフェンスを左右に揺さぶりWTB中井がこの日2本目のトライを奪う。すっかり歯車が狂った山梨学院。法政はさらに36分、自陣でのスクラムを起点としたオープン展開の連続でCTB井上がトライ。40分にも法政が1トライを追加して36-12とリードを24点に拡げたところで前半が終了。序盤の状況なら法政も東海大と同じく3桁に近い得点が取れるのではと思わせる状況だったので、リードしているとは言っても法政ファンには物足りない得点差。逆に法政が食い下がられて逆転を許すなど、両チームともちぐはぐさが目立つ前半だった。



◆後半の戦い/圧勝ムードを完全に消し去った法政の残り10分間の大失速

普通のチームなら前半の内容に対して首脳陣の厳しい檄が飛ぶはず。緩慢なディフェンスで失点を重ねた山梨学院、それに付き合って一時ペースを乱した法政とコーチがもしやかんだったら何度も沸騰して水を補充しなければならない状態だと思うのだが。しかし、後半もピッチに出てきた選手達の表情からはそんな様子は浮かんでこなかった。やはり、どちらのチームもどこかネジが外れているとしか思えない。とくに山梨学院は重傷。山梨学院サイドで首脳陣と控え選手達が陣取るテントの斜め後ろの位置で観戦していたが、首脳陣の動きや選手達との会話が少ないことも気になった。

山梨学院のキックオフで始まった後半戦。最初にチャンスを掴んだのは法政。4分、山梨学院ゴール前でのスクラムを起点として8→9からラストパスがWTB中井に渡る。これで中井はハットトリック達成。法政にとって頼もしいエース誕生といったところだが、相手のディフェンス力を考えれば、そして他のチームの猛者WTB達のことを思えばもっと力強さが必要なように見えた。サイズには恵まれているのでパワフルなトライゲッターへと成長して欲しいところ。7分、法政はさらに山梨学院ゴール前でのラインアウトのチャンスからFWでサイドを攻めPR越田がトライ。48-12と後半の序盤で法政がゲームを決めた。あとは、ボールをどんどん動かしてトライの山を築くだけ。コンバージョン後に悠然と歩いてキックオフに臨む(闘志に欠けると見なされても仕方ない)相手に付き合う必要はまったくない。



しかし、法政も何故かここでもペースダウンしてしまう。13分、法政は自陣ゴール前で山梨学院ボールのラインアウトに対し、モールからあっさりとトライを献上。これが30分以降に訪れる法政の惨劇(ディフェンスの心理的な崩壊)の予兆だった。山梨学院のディフェンスは既に崩壊状態にあり、23分に法政がカウンターアタックからFB尾崎がトライを決める。55-17で残り時間から見ても試合は完全に決まった。あとはメンバーを代えつつトライを取りに行って調子を整えたところで試合終了のホイッスル聴く。

はたして、問題の30分がやって来た。ここから僅か10分あまりの間(30分、33分、38分、43分)だった。法政は山梨学院に4T4Gを献上し終わってみれば55-45の10点にまでリードは縮まってしまった。あと5分あれば山梨学院が劇的な逆転勝利という雰囲気こそなかったが、とにかく法政はディフェンスで粘れず反則を繰り返し防戦一方。観客席からは体力的な問題よりも気力の問題のように見えた。とどめは35分。緒戦に続いて吉村主将がシンビン(危険なプレー)で試合終了までピッチに戻れない状況に陥る。本来なら精神的に緩んでしまったチームを立て直すべき選手のはずなのに。ディフェンスは崩壊してもアタックなら元気になる山梨学院も不思議なチーム。あまりにも残念な形での終戦となった。



◆闘志もプライドもない

この試合をひとことで総括するなら、「こんな試合は二度と観たくない」になる。ラグビーから闘志を抜いたらこうなるという典型例を観た想いがした。それと、山梨学院は昨年あれほど15人が意思統一できていたのがウソのようにチームは規律に欠けてバラバラだ。法政にしても、かつて関東学院と覇を競っていた頃のプライドはどこに行ってしまったのだろうか。2強としてリーグを引っ張る存在となった東海大も流経大も、かつては法政の厚い壁を破れずに泣かされ続けた歴史がある。そんな悔し涙をエネルギーとして日夜努力を重ねたことで今があるのだ。とにもかくにも、両チームともに明日に繋がるものが見えなかったことが寂しくて哀しい。

ラグビー日本代表監督エディー・ジョーンズの言葉―世界で勝つための思想と戦略
柴谷 晋
ベースボールマガジン社
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法政大学 vs 中央大学(2015関東大学リーグ戦G1部-2015.9.13)の感想

2015-09-21 09:39:46 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


熊谷のオープニングゲームでは大東大が13シーズンぶりに1部復帰を果たした専修を圧倒。ただ、点差は付いたものの展開指向のランニングラグビーの応酬は見応えがあった。展開指向のランニングラグビーなら第2試合を戦う2チームも負けないはずと言いたいところだが、リーグ戦グループの勢力地図も各大学の戦術もここ20年の間に少しずつ変化している。そして、ここ10年を見る限りは、リーグ戦Gでの戦績が低迷気味にあるのがこの2校と言える。

そんな両校だが、春シーズンの戦いぶりを見る限り、明暗がくっきりと分かれたと言える。Aグループで強力なチームとの対戦が続いたとは言え、攻守ともに精彩を欠いた法政はファンどころか選手達もすっかり自信をなくしてしまった感がある。それとは逆に、大東大OBの酒井氏がHCに就任して以来、浮き沈みはあっても中央大は緩やかな上昇気流に乗った感がある。実は、春の戦いぶり(と言っても相手のミスに助けられた形で辛くも勝った大東大戦1試合のみだが)を観て、2強(流経大と東海大)を追う存在の1番手として期待が高まったのは中央大だった。大東大のような爆発的な攻撃力こそないものの、チームの纏まりがよく、勝負強さも身についてきたように感じたのだった。

しかし、チームは夏合宿を経ていい方に変わる。ファンはそう信じて秋のシーズンが始まるのを待っている。法政は春からかなりメンバーが入れ替わった。U20代表でルーキーのSO金井がメンバーに加わり、HB団は春シーズンで活躍したSH根塚との1年生コンビとなった。昨シーズンはSOに4年生の北島を起用したことでBKラインが活性化し、そのことが法政をリーグ3位に押し上げる原動力になったことを考えれば新たなチャレンジと言える。その他にもリザーブには1年生が4人入るなど、1、2年生が登録メンバー23人中12人を占めるリフレッシュされた陣容になっている。だが、本来ならスタメンでチームの軸になるべき上級生達は何処に行ってしまったのだろうか。

中央大はルーキーでスタメン起用されたのがFBの重松1人で、他は実績のあるメンバーで固めた陣容。エースの高が欠場になったのは残念だが、昨年のほぼ1年のブランクを経てSH長谷川とSO浜岸で組むHB団はリーグ随一の安定度を誇る。SHの控えにはスピードスターの住吉がいて、後半からの登場で中央のアタックをテンポアップすることになるだろう。前半は手堅く、そして後半はチャレンジングにと中央のゲームプランはほぼ確定。FWも全体的に身体が大きく見える。メンバーを観る限りは中央の方がチームとしてできあがっていることは明らかだが、実戦ではどうだろうか。



◆前半の戦い/法政のリードも束の間、全般的にペースを握ったのは中央

ライバル意識の強い伝統を誇るチーム同士の対戦。第1試合以上にヒートアップした戦いになることが期待される中、法政のキックオフで試合が始まった。酒井HCが就任する前の中央大はワイドなBK展開を指向していたチームだった。しかし、FWのフォローが追い付かなくて2次攻撃の段階でラインを形成しているのは背番号一桁台の選手ばかりという状態が頻発。しかし、それも過去のものとなった。FWが主体となって身体を張ってボールキープし、相手のDFが薄くなったところでBK勝負という「タテ、タテ、ヨコ」の手堅いラグビーになった。前半はSHにFWのコントロールに長けた長谷川を起用している理由もここにあると思われる。

一方の法政はBKにワイドかつテンポよく展開してスピード勝負でトライを取りたいチーム。しかし、ここ数年の法政はBKのヨコよりもFWのタテの強さが目立つチームになっている。昨シーズンに一筋の光明が見えたのも束の間、春の印象では今シーズンもFWが中心になりそうだ。BKにスムースに展開しようにも、SHが意図した位置にFWの選手が居ない状況が続く。また、BKラインからは賑やかな声が飛び交うが統一した指示にはなっていないように聞こえる。手堅くキックの応酬が続く中、序盤の数プレーを観ただけでやはり法政は組織作りが上手くいっていないことがわかる。そもそも、かつての関東学院がそうだったし、現在の流経大や東海大もそうなのだが、選手達は指示される前にしかるべき位置に立っている。だから、ピッチの上は至って静かな状態になっているのが普通。

さて、両チームともに緒戦の堅さが出たこともありミスが目立つ中で最初にチャンスを掴んだのは中央大。8分、法政陣10m/22mで得たPKをタッチに蹴りだし22m内でのラインアウトを起点にゴールを目指す。この形はモールに強みを持つ中央大の得意とする形だが、ボールキャリアーがタックルに遭ってノットリリースの反則。法政はピンチを脱したかに見えたがタッチキックは距離が伸びない。中央大は再び法政陣22m付近のラインアウトからゴールを目指す。ここで法政に反則があり、中央大はFKをタップキックにして攻め、FL小野がトライ。GKも成功し中央大が幸先よく7点を先制した。

その後しばらくは両チームが一進一退の攻防を見せて緊迫した好ゲームとなる。と書きたいところだが、FW中心の攻めが多い。ボールが大きく動いた第1試合に比べると停滞感は否めない。もっとも、この形で前半をじっくり運ぶことがおそらく中央大の意図するところ。ルーキーでHB団を組んでいるとはいっても、法政にはプランが見えないのが気になる。昨シーズンは強力な武器となったFWのタテもさほど脅威にはなっていない。そんな中で18分、法政は自陣22m内のラインアウトでの相手のミスに乗じてウラに大きく蹴り、中央陣22mまで一気に陣地を挽回。中央大のオーバー・ザ・トップの反則に対し、中央大ゴール前でのラインアウトからFW中心で攻め続けて最後はWTB桶谷がインゴールに飛び込んだ。GK成功で7-7と法政がゲームを振り出しに戻す。

リスタートのキックオフで中央大がノックオン。さらに中央大がスクラムでアングル(真っ直ぐに押さなかった)の反則を犯し、再び法政がPKから中央陣22mでのラインアウトのチャンスを掴む。ここから法政はオープンに展開し中央大が自陣G正面の位置でさらに反則。FB尾崎がPGを難なく成功させて法政が10-7と逆転に成功した。法政にはツキも味方する。32分、自陣からのキックに対して中央がレイトチャージの反則を犯し、ボールの落下地点は中央陣22mのゴール正面の位置。選手の接触の状況から見てちょっと厳しい判定のように見えたが、ここもPGが難なく決まり法政のリードは6点に拡がる。

前半も残りが5分あまりとなったところでリードを奪った法政はこのまま前半を終えたいところだった。しかしながら、40分に中央陣10m付近で反則を犯したことが結果的に痛恨のミスとなる。中央大は転がり込んできたチャンスを逃さない。法政陣ゴール前でのラインアウトからモールを組んでゴールを目指すところで法政にノックオン。さらに直後のスクラムで法政がコラプシングの反則を犯す。ショットの選択肢も有ったが、中央大は間髪入れずにPKからタップキックで攻め込みNo.8赤池がインゴールに飛び込みGKも成功。14-13と僅か1点差ながらも中央大が逆転に成功したところで前半が終了した。



◆後半の戦い/プラン通りに戦った中央が点差以上に法政を圧倒

先発SHが長谷川ということもあり、中央大はFW中心でタテを突く戦術だった感がある。一方の法政もFW中心のどちらかと言えば遅攻ということで、BK勝負が中心だった第1試合(専修vs大東大)に比べると停滞気味という印象が強かった前半。ただ、これは中央大のゲームプランと考えられる。法政にリードを許す展開になったとは言え、じわじわとゲームを自分達のペースに持っていき最後に逆転。タフな戦いとなることは織り込み済みの中、たとえ1点でもリードしての折り返しはプラン通りではなかったか。あとは、後半にタイミングを見計らって住吉を投入し、アタックのスピードを上げて得点を重ねることができればベストだ。

後半は中央大のキックオフで開始。法政陣奥深くに蹴り込まれたボールを法政選手が自陣22m付近でノックオンして中央大はチャンスを掴む。中央大はさらにFWでボールを前に運ぶがノットリリースの反則。法政はピンチを脱したところから大逆襲を見せる。2分、自陣10m付近のラインアウトを起点としてタテ、タテ、タテの波状攻撃で一気にゴール目前までボールを運ぶ。最後は中央大渾身のディフェンスに遭いノックオンで終わるものの、法政にとってはこの日最大の見せ場となった。個々の能力が高い選手達が集中して前を目指したら恐ろしいアタックになる。

しかし、後が続かなかった。アタックの状況を冷静に振り返ってみれば、準備されたアタックではなかった感が強い。例えは悪いかも知れないが、ピストルの弾倉に球が充填されない状態でどんどん撃って行くから、弾がなくなった段階で攻撃も終わる。法政ファンには申し訳ないが、端的に言うと、帝京なら弾倉にどんどん新しい弾が充填されていき、しかも射速も高まっていくから必ずゴールラインまで到達する。法政の波状攻撃はどこかで止められたら終わり。何とか弾がなくなるまでにゴールラインを越えたかったところ。そうなっていれば、時間的に見てもゲーム展開が違ったものになった可能性が高い。何とか首の皮1枚のところで止めた中央大のディフェンスを褒めるべきだろう。

この試合最大のピンチを脱したタイミングで中央大はSHを長谷川から住吉に代える。スタンドからはあちこちから「あいこー!」の声が飛ぶくらいの中央大きっての人気選手。一昨年は「なぜ俺が2番手なのか?」の状況が見て取れ、昨シーズンは当初スターターだったものの4年生加藤の台頭でやはり控え的存在。しかし、今シーズンは中央大のゲームプランの確定(おそらく)で本人もファンも納得の起用と言える。ここ2年間は模索状態にあった中央大のSH起用法だが完全に結論が出た。また、住吉本人も昨シーズンの加藤のプレーには大きく影響を受けたようだ。モールでのFWの動かし方を見ているとそんな印象を受ける。

住吉の投入により、中央大のアタックは明らかにテンポアップし、ディフェンスへの対応が遅れ気味となった法政は反則を重ねる展開。以後、ボールが動く範囲は殆どが法政陣内という一方的なゲーム展開となる。かといって中央大の得点が増える訳でもないのだが、法政の粘りのディフェンスがあったこともあるが、中央大はテンポを上げても攻め急がなかったから。勝負はあくまでも終盤で、そこで確実に得点を挙げて勝つことが中央大のゲームプラン。18分には法政の吉村主将が不行跡でシンビンを適用されて10分間の一時退場。自陣ゴールを背にして守勢に回ることが続く状況でいらだちがあったのかも知れないが、チームの要の主将がそこを我慢しきれなかったことが惜しまれる。

中央大は22m内でPKを得るが、ショットを狙わずにスクラムを選択。通常なら確実に3点に狙うところだが、相手のFWが少ない状況でトライを取ることはもちろん、プレッシャーをかけ続けることを選択したように見えた。法政FWがなんとか踏ん張る状況でスクラムが組み直されるが27分、中央大は右サイドの5mスクラムからFWでサイド攻撃を経てFL佐野がトライを挙げる。GKは失敗するが19-13と中央大はリードを6点に拡げる。ただ、残り時間から考えても1T1Gで逆転可能な6点差はまったく安心できない。勝利を確実なものにするために、中央大は「あとひとつ」を狙い続ける。

中央大が攻勢を強める中で、法政は反則(ノットロールアウェイやホールディング)を重ねてなかなか自陣から脱出することが出来ない。そして34分、中央大は法政陣10m/22mでのラインアウトから得意にモールでじわじわと前進しゴール前へ。そのまま押し切れないところが中央大ファンにとっては不満な部分ではあるが、ゴール前でのラックから住吉が素早く浜岸にボールをパスアウト。法政のディフェンスはこの緩急の変化について行けず、浜岸が一直線でゴール中央に到達する。26-13のダブルスコアとなり残り時間から考えても、ほぼ勝敗が決したことを示す鮮やかなトライだった。

とは言っても、2T2Gで逆転可能だし、法政にはその力もある。残り時間が5分を切る中で、法政の逆転勝利を目指したアタックが始まる。36分には中央大ゴール前でのラインアウトの絶好のチャンスを掴むがノットストレート。タッチキックに対してはクイックスローで攻勢を強めるものの中央大のディフェンスを破ることが出来ない。終了間際には中央大が法政陣G前でのラインアウトを起点としてモールを軸にしたオープン展開で攻める。ここでノックオンがあり、法政がスクラムからの最後の逆襲を試みるもののスローフォワードでノーサイドとなった。

ファイナルスコアは26-13。数字だけを見れば接戦だが、観戦者の感想は中央大の完勝。とくに後半は法政が中央大陣に殆ど入ることができないほど圧倒されていた。中央大ファンとしてはもっと点を取って欲しいという想いがあったかも知れない。しかし、リーグ戦ではたとえ1点差でも白星を上げることが大切だ。それをプラン通り実践できたかどうか。僅か13点差の中にも両チームの間には想像以上の差が出来てしまったことを感じずには居られない。ひとことで言えば「ゲームプランがあるかないか」。もちろんゲームプランを持つためには普段からしっかり目標を立てて練習に取り組む必要がある。法政には果たしてそれがあるのか?というのがこの試合からの率直な感想だ。



◆監督の指導力と観察力

作戦の春シーズンでは一体どうなるのかと思わせた中央大だったが、秋のシーズンイン以降チームの建て直しに成功。それが今シーズンに繋がった感があり、今年の春に観た大東大戦では流経大と東海大に続く3番手になることが期待されるくらいになった。そこには、浮かび上がってくるのが大東大OBの酒井氏をヘッドコーチに迎えたことの影響が大きいように感じる。なぜそう感じるかだが、ここ3年で中央大は本来持っていた長所を取り戻したように見えるから。具体的に言うと、アタックではBKへのワイドな展開は封印してFW周辺で相手に身体をあてながら前を目指す。ディフェンスでもFW周辺をガッチリ固めて相手の前進を粘り強く阻止する。自分達にとっても相手にとっても痛くてしんどいラグビーだ。

そんな相手が嫌がる身体を張った泥臭いラグビーこそ中央大の持ち味であることを大東大に居た酒井氏が身をもって体験していたことがチーム躍進(と言っていいだろう)の原動力になっているような気がする。対戦相手の方が「フィルター」や「バイアス」がかからない分、冷静にチームを観ることができるという面もあると思う。ただ、そういった構想を外から来た人間がいきなり実現しようとしても難しかったはず。そこには酒井氏の人間的な魅力も役立っているに違いない。少なくとも「痛くてしんどい」ラグビーを全員で集中して実践している選手達の表情からそんな風景が浮かんでくる。部外者の勝手な意見だが、法政も部外者の招聘を検討したらと思う。このメンバーを見て、「俺なら最強チームが作れる」と思っている(対戦相手として法政の怖さを痛いほど知っている)人は少なからず居るはずだから。


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専修大学 vs 大東文化大学(2015関東大学リーグ戦G1部-2015.9.13)の感想

2015-09-17 00:10:52 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


いよいよ今年も待ちに待った季節がやって来た。しかし、春シーズンが終わってからの2ヶ月余りの間に起こった一連の出来事がラグビーファン、いや日本のラグビーそのものに暗い影を落としている。来週からは4年に1度のW杯が始まるというのに、戦績はさておいても(一時的に棚上げになっている格好の)2つの懸案事項がどうなるのかという不安も拭いきれない。

しかし、上手くなりたい、強くなりたいという強い気持ちで頑張っている選手達が居る限りラグビーファンを止めることは出来ない。関東リーグ戦Gの本格的観戦を初めて19シーズン目を迎えるにあたって、13シーズンぶりとなる専修の1部リーグ復帰は明るい材料。キックオフ10分前に熊谷ラグビー場に着いたときには、既に第1試合のメンバー表がなくなっていた。そしてスタンドに足を踏み入れると、この日が来るのを待ち望んでいたファンの姿が目立つ。思い起こせば昨年12月、専修の復帰を力強く後押ししたのは諦めずに応援を続けたサポーター達だった。

さて、メンバー表は手元にないが、事前情報で大東大のBK陣に強力な2人が復帰したことを知る。一昨年にルーキーながらFBとして鮮烈なデビューを果たした強気のトライゲッター大道と昨年に同じくルーキーで登場したラグビーセンスが光るクルーガー・ラトゥ。大学生でNo.1の評価を得ているSH小山とディフェンスだけでなくアタックでも成長を見せた川向で組むHB団。キック力が持ち味の新人CTBアピサイ拓海、大学生屈指の超強力なWTBホセア・サウマキ。さらには、地味ながらも堅実に仕事をこなすWTB戸室。ズラリと名前を並べただけでも個性派が揃った黄金のBKラインの完成だ。

対する専修は大東大のような「大砲」が不在で苦しい戦いを強いられることは必至。どうしても大東大がトライの山を築く光景を思い浮かべてしまう。しかし、13シーズンぶりとは言ってもどこかに1部リーグで培ってきたDNAは残っているはず。昨シーズンの入替戦で見せたテンポよく組織的にボールを動かすプレースタイル、そしてセブンズで磨かれたパス回しなど専修ならではの武器もある。大東大優位の状況ではあるが、専修のアタックがどこまで通用するかに期待したい。



◆前半の戦い/積極果敢に攻めたがミスに泣かされた専修

専修のキックオフで試合開始。いきなり大東大選手がノックオンを犯したところから専修の果敢なアタックが始まった。古川と工藤で組むHB団を中心としてテンポよく攻めるのが専修の持ち味。だが、大東大のような突破役が居ないためなかなかボールを22m内まで持ち込めない。この最初の1プレーが象徴するように、大東大はキックオフされたボールの確保が終始不安定だったため、専修につけいる隙を与え続けていたことは否めない。

3分には専修が22m付近でのラインアウトを起点とした継続プレーで中央付近のラックからドロップゴールを狙う。しかし無情にも大東大のチャージに遭い、ここからボール確保に成功した大東大が一気に逆襲。左タッチライン際を快走したラトゥから内側にスピードアップしてフォローしていたSH小山に絶妙のタイミングでラストパスが渡る。強力なランナーを揃える大東大に対しては、たとえ敵陣奥深くの位置でもひとつのミスが命取りになることを象徴するような鮮やかな先制トライだった。

リスタートのキックオフで大東大は左オープンに展開しパスがサウマキに渡った瞬間、間合いを見計らったかのようなタイミングでの飛び出しでタックルが決まりサウマキがノックオン。ディフェンスの組織が崩れなければ強力なトライゲッターも止められる。しかし、言い換えればあくまでも止めることが出来るのはこの形。ミスでアンストラクチャーの状態になったときは、高い確率で失点してしまうことをひとつの試合を通じて専修は思い知らされる事になる。

大東大にはFWにも強力な選手がいる。それはNo.8でゲームキャプテンを務める長谷川と書きたいところだが、よりパワフルなランニングを見せたのがLOのタラウ・ファカタヴァ。9分、HWL付近でのスクラムで専修のコラプシングにより得たPK.から大東大はタップキックで攻めてタラウが専修ゴール目前までボールを運ぶ。専修が反則を重ねたところからさらにPK(タップキック)で右オープンに展開しWTB戸室が難なくインゴールに飛び込んだ。GK成功で大東大がリードを12点に拡げる。きれいな弾道でプレースキックが蹴れるアピサイはなかなかの好キッカー。

16分、大東大は専修陣22m付近でのラインアウトからモールで前進し、今度はFWの近場に居たサウマキがトライ。スペースのあるところで抜群の強さを見せるサウマキだが、ゴール前のゼロスペースの状態でも9人目のFWとしてトライが取れるのが強み。逆にいい形でボールが回ったときはダブルタックルに遭ったりして突破できないこともある不思議な選手でもある。今すぐにでもサクラのジャージに袖を通して欲しいくらいのアスリート系ランナーだ。GK成功で大東大のリードは19点となる。

このまま大東大が勢いに乗ってトライを重ねるかと思われたが、攻めている時間は専修の方が長い。20分には大東大陣22m内で得たFKのチャンスでスクラムを選択。パスアウトされたボールをSO工藤の地を這うような絶妙のグラバーキックに反応したCTB太田がゴールポスト真下でグラウンディングに成功。7-19と専修が一矢報いる。いい形で得点できたことで専修に勢いが出るかと思われたが直後に落とし穴が待っていた。大東大陣奥深くでサウマキにスペースを与え、左タッチライン際を80m近くを走りきられてしまった。ディフェンダーにタックルに入る間合いを与えないくらいの迫力あるランはこの選手ならでは。20年近くリーグ戦Gのラグビーを観ているがここまでのスピードと持久力を兼ね備えたランナーは記憶にない。

優位に試合を進める大東大だが、やっぱり相手キックオフのボール確保がうまくいかない。専修はまたしても転がり込んできたチャンスを活かし、大東大陣22mでゴールを目指す展開。しかし、あと一歩という所でミスを犯してしまう。そこが例え自陣インゴールであろうと、ターンオーバーから一気に逆襲に転じることができるのが強力なランナーが揃った大東大の強み。狙ってできるプレーではないが、攻め込まれても粘り強くディフェンスし続ければトライまで持って行けることを励みにして欲しいところ。相手が前掛かりで攻めてきてウラにスペースが出来たときはビッグチャンスが生まれる。専修が自陣でのマイボールラインアウトのミスからアピサイにトライを奪われ7-31となる。

攻めているのに失点が増えていく中でも専修の士気は落ちない。そう、まだまだ諦める点差ではない。前半も終わりに近づいた37分、専修はFWのパワープレーで2トライ目を奪う。GK成功で14-31となり、後半に望みを繋ぐ形で前半が終了。専修にとっては、1部リーグのチームのフィジカルコンタクトの強さと一瞬の切り返しによる失点の怖さを思い知らされた格好。しかし、大東大のもたつきがあったとは言え、選手達は十分にやれるという感触を40分間の間に掴んだように見えた。やはり、初めて1部に上がって戦うチームとは違う。もちろん、スタンドに陣取った熱いファンの気持ちも選手に伝わっているはずだ。



◆後半の戦い/大東大に圧倒されるも3トライを挙げて手応えを掴んだ専修

組織的なパス回しで果敢に攻める専修に対し、相手のミスを見逃さずに一発の切り返しで得点を重ねる大東大といった形でお互いの持ち味(大東はそうでもないか)が出た戦い。緒戦と言うこともありとくに専修は堅さが目立ったがパス主体でボールが大きく動くラグビーは観ていて楽しい。5トライを被弾した格好の専修ではあるが、ビハインドは17点。スタンドからも「まだまだ行けるぞ!」の声援が飛ぶ中、大東大のキックオフで後半が始まった。

後半の開始早々にチャンスを掴んだのは専修。大東大陣10m/22mの位置でのスクラムからSH古川がサイドを抜けて大東大陣22m内までボールを運ぶが惜しくもノットリリース。大東大はタップキックから前進を図りピンチを脱する。とはいえ、サイドをあっさりと抜かれる場面が散見されたことは大東大にとっては不安材料だ。3分、専修陣10m/22mの位置でのラインアウトを起点として、大東大にこの日一番のトライが生まれる。順目の展開でゴール中央付近のラックからボールが素早く右オープンに展開され、FL湯川からラストパスがWTB戸室に渡る。

逆転に一縷の望みを持って後半の戦いに臨んだ専修だったが、いきなり出鼻を挫かれた格好。さらに「ショック」は続く。キックオフのボールに対し、大東大は自陣から果敢にオープンに展開。危うくインターセプトに遭いそうな中でボールを確保したサウマキがボールを力強く前に運ぶ。サウマキはゴール目前で2人のディフェンダーに捕まるものの、倒れずにそのまま2人を引きずる格好で3トライ目をゲット。ダブルタックルでも足りなかった専修はショックだったに違いない。左隅からのアピサイのGKも決まり、45-14と大東大のリードは31点に拡がった。

大量リードを奪ったこともあり、大東大のパス回しのテンポがよくなってきた。元来、起点となる小山がテンポを作っている大東大だが、こちらも緒戦と言うことで前半は堅かったようだ。しかし、大東大は自陣で犯した反則からピンチに陥る。13分、専修は大東大陣ゴール前ラインアウトからFWでボールキープしながら前進。最後はNo.8徳田がボールをインゴールに運び21-45(GK成功)と食い下がる。

しかし、またしても専修の反抗機運を挫いたのが大東大の11番だった。この日の4トライ目は専修ゴール前でのラインアウトから自身のサイドアタックの後、ラックから出たボールをラトゥから受け取ってインゴールに運んだもの。そのラトゥも直後に自陣でのタップキックから専修ゴールまで到達するランを見せる。結果はパイルアップだったが、サウマキとは違って2人のディフェンダーを手玉に取るように翻弄するランは観ていて面白かった。が、一気に走りきらないところに、まだ足の状態が完全ではないようにも感じられた。将来は親子2代でサクラのジャージを担うことも期待される逸材だけに無理はしないで欲しい。

さて、大東大にはさらにもう1人怪物ランナーが居る。後半にLOのタラウに代わって登場したアマト・ファカヴァタは195cmの長身ながらチーム1の高速ランナーだとか。長谷川に代わってNo.8の位置に入ったアマトは23分に専修陣22m内でのスクラムから8単であっさりトライを奪う。26分に大東大陣22m付近を起点としたラインアウトから鮮やかなオープン展開でWTB上田(後半21分に水野に代わって登場)がトライを奪うが、30分に再びアマトに8単を決められてしまう。

直後の31分、専修はまたしても大東大のキックオフに対するノックオンを起点としてFB田辺が鮮やかにノーホイッスルトライを決める。勝敗は決しているとはいえ、最後まで闘志を失わない専修が粘りを見せる。しかし、乱戦模様となった試合を締めたのもサウマキだった。今度は小技で、前が開いたところをウラへキック。自身でボール確保に成功しディフェンダーに捕まったものの、フォローした竹原にラストパスを渡す。31-71で40点差が付いた完敗は専修にとってショックだったに違いない。しかし、ピッチの上にもスタンドの中にも悲壮感はなかった。大量失点負けには違いないが、13年のブランクを感じさせない戦いを見せてくれたチームがあったことを記憶にとどめておきたいと思う。



◆上位進出に向けて一抹の不安を感じさせた大東大

BKを中心にほぼベストの陣容となり、東海大と流経大に何処まで迫れるか、いや上回ることができるかが今シーズンの大東大に期待される部分。そういった意味からは、大量得点勝ちではあっても安心できない戦いぶりだったと思う。キックオフのボール確保のミスはまだしも、あっさりとサイドを破られるような脇の甘さは致命傷になる。春とはメンバー構成が少し変わったことで、今後コンビネーションに磨きがかかれば攻撃力はさらに上がるが、それもFW次第。本当の力が試されるのは、最初の関門でもある次節の中央戦になると思う。



◆1部リーグの洗礼を受けるも手応えを得た専修

数字から見ればディフェンスの破綻と観られても仕方がない専修。だが、崩されて取られたトライは数本のみで、あとは前掛かりの状態になっているときに犯した痛いミスを強力なランナー達に決められた形。統計的な裏付けがあるわけではないが、攻めていた時間は専修の方が長かったと思う。願わくばだ、大東大のような強力なランナーが欲しいところ。しかし、上でも書いたように悲観する必要はない。自分達のやりたい形は出せていると思うし、最初に個々のフィジカルが強い相手と試合ができたこともプラスだった。個人に頼らないことでかえって組織的に戦える部分もあるはずだからそこを徹底的に磨いて欲しいと思う。

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