水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

はるかぜちゃん

2017年04月05日 | 教育に関すること

 

  道徳の教科書が、文科省の検定の結果、パン屋さんが和菓子屋さんに書き換えられるというニュースがあった。

 … って書き始めてみたが、これじゃ、知らない人には伝わらないヘタクソ過ぎる文章だな。
 ていうか主語述語がおかしい。こんなおれが、今年本格的な小論文始動に入れるのだろうか。
 もう少しくわしく言うと、新設される道徳科の教科書検定の話だ。

 今までと違って、一教科として独立した「道徳」の時間ができる。
 その教科書は、国語や数学のように文科省による検定を受けなければならない。
 東京書籍の教科書が「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度を学ぶ」内容が不足しているとの指摘を受けた。 東京書籍側は、「にちようびのさんぽみち」という作品で、主人公が散歩して見かける町の「パン屋」さんを、「和菓子屋」さんに書き換えたという。
 別の作品では「アスレチックの公園」を「和楽器店」に書き換えた箇所もあるという。
 もちろん文科省は、直接こう書き換えよと指示したわけではない。
 文科省に抗議の電話をする人もいたらしいが、そんな指示はしてないと担当者は当然答える。
 まさに出版社の忖度によるのだが、この稚拙な書き換えによって、検定に通ることになるのだろう。
 
 朝日新聞で、池上彰さんがこの件を取り上げ、おかしいと書いてらした。
 自分も、なんていうか、腹が立つというか、あぜんとした。
 こんなヤツらが作った教科書で道徳を学ばせられるというシュールさに、教員のはしくれとして驚かずにいられようか。
 文科省は、天下りはもうしょうがないから、道徳には口を出すなと内田樹先生もつぶやいてらしたが、本当にそのとおりだ。
 このやりとり自体がまさの道徳の教材にはなりうるが。
 
 こんなときは「はるかぜちゃん」だ。
 メディアで目にするどんな言説より、はるかぜちゃんのツイッターは、勉強になる。
 物事の本質をついてくる。それでいて、おれの文章のように品悪くならない。
 年下の人で、ここまで心から尊敬する存在はいない。


 ~ パンが日本の教育にふさわしくないとかおかしなことを言う人は、もう日本でパンをたべないでもらいたい ~

 ~ 愛国心ってそういうことじゃない
 この国で働いている人達すべてに敬意を払う気持ちを持つことが国を愛するということ
 毎日この日本で日本人がたべるおいしいパンを焼いているパン屋さんと和菓子屋さんになんの違いがあるのか教えてもらいたい
 おまえのパンねーから ~

 ~ あと個人的にはこうやって ど素人が部分的に文章をいじくるのも
 元の文章を書いた方に対して とてもとても失礼な行為だと思います
 書く側は文字の持つ雰囲気やバランスまで考えて作品を仕上げているのに ~

 ~ パン屋と和菓子屋じゃぁ 文字の持つ「匂い」がぜんぜんちがう
 どうしても差し替えたいなら、せめて雰囲気合わせなよって感じです  プンスコ ~

 ~ わかんない人にはわかんないんだろうけど
 別にいーじゃんって思うんだろうけど
 パン屋がいやなら新しく「和菓子屋さんが出てくる物語」を書いてもらえばいい
 そしたら気づくはず。
 ぜんぜんストーリーも登場人物の名前も文章のリズムも句読点の位置も、何もかもきっと違ってくるはずだから。 ~

 ~ パン屋でも和菓子屋でも作品は変わらないなんておもうなら
 いっぺんハイジの白いパンを肉まんに置きかえてみたらいいんだわ ~


 あまたの評論家のような、文科省や教科書会社の政治的かけひきへの批判にとどまらない。
 言葉で表現する仕事に真摯に向かい合っているからこそ発せられる言葉愛だ。
 彼女の域に達することはできない。できないが、努力しなくていいことにはならない。

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