ウィリアム・ハーシェル (Frederick William Herschel, 1738–1822) はドイツで生まれ、音楽家として19歳でイギリスに移り住み、オーボエやバイオリン、オルガンを演奏し、また多くの交響曲や協奏曲を作曲しました。
こちらは、ハーシェルが作曲した「交響曲第15番変ホ長調」(1762)の楽譜の一部です。
Public Domain courtesy of Wikimedia Commons and the British Library
音楽への関心は、次第に数学やレンズにおよび、ついには天体望遠鏡を自作するに至ります。1781年、ハーシェルはイギリスの南西部バース市の自宅で、焦点距離 7 ft の反射望遠鏡を用いて天王星を発見します。しかし、そのとき彼は惑星ではなく彗星だと考えていました。
天王星を発見したときに使われていた望遠鏡のレプリカが、自宅跡のハーシェル博物館に展示されています(涼麻父、バースに住んでいたことがあるにも関わらず、ハーシェルのことも博物館の存在も知りませんでした)。
Public Domain courtesy of Mike Young
後に、彼が発見した星は、土星の外側にある新惑星(=天王星)であることが判明し、ハーシェルは一躍有名人となります。
この惑星は、ドイツの天文学者ヨハン・ボーデが、星の女神ウラニア(Urania)にちなんで、ウラヌス(Uranus)と名付けられます。
ボーデの星図 "Uranographia"(1801)やジェイミーソンの "A Celestial Atlas"(1822)には、双子座と馭者座の間に、7 ft 望遠鏡をモチーフとした「ハーシェルの望遠鏡座」が描かれています。
「ハーシェルの望遠鏡座」は、IAUによる星座分類では「ぎょしゃ座」の領域に属します(ψ2, ψ3, ψ4, ψ5, ψ7星のあたり)
Detail of Plate 4, "A Celestial Atlas" by Alexander Jamieson, Public Domain courtesy of Wikimedia Commons
こちらは、手持ちの写真のうち、「冬のダイヤモンド」の上方を撮ったものですが、朱色の四角で囲んだ部分を拡大してみると、
かろうじて、「ハーシェルの望遠鏡座」が捉えられていました
ハーシェルは、生涯で400台以上の望遠鏡を製作したと言われており、その中で最も大きかったものは、この40 ft 望遠鏡です。一緒に描かれている人物の大きさから、この望遠鏡がいかに巨大であったかが想像できます。
"The Leisure Hour", No.829, p.729, 1867. Public Domain courtesy of Wikimedia Commons
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます