牛飼い座の左側に、リング状の星の並びがあります。
これが「(北の)冠座」ですが、結構、リング状の並びは他にもあって、例えば、射手座の近くに「南の冠座」があったりします。
今回は、北斗七星から冠座のα星アルフェッカを目指します。
冠座は、7つの恒星で構成されますが、アルフェッカが2.24等星と明るい他は4等星以下と暗いので、眼視や双眼鏡では、アルフェッカを頼りにすることになります。
"Star Identification"によると、北斗七星のメグレズからアリオトへ向かう直線を延長すると冠座のアルフェッカがある、と説明されているのですが、星図をみると、どうも差異が大きく、これでは道に迷いそうです。
星図をみたところ、アルフェッカは、メグレズとアルカイドを繋ぐ直線の延長線上にあるようにみえます。
さて、今回も球面幾何学を利用して確認してみましょう。
メグレズ、アルカイド、アルフェッカの位置(それぞれ点A、点B、点Cとします)は、赤径αと赤緯Decを用いて、以下のように表されます(元期 J2000.0)。
点A メグレズ:(12h 15m 25.56063s, +57° 01′ 57.4156″)
点B アルカイド:(13h 47m 32.43776s, +49° 18′ 47.7602″)
点C アルフェッカ:(15h 34m 41.26800s, +26° 42′ 52.8940″)
メグレズとアルカイドを結ぶ直線(=天球上の大円)は、大円G1の方程式を
とおくと、【基本計算式2】を適用して、a=1.5823、b=-0.5486です。
大円G1と直交し、アルフェッカを通過する大円G2の方程式のパラメーターは、【基本計算式3】を用いて、a=-0.3310、b=0.8681です。
大円G1とG2の交点Qは、 【基本計算式4】を用いて、
交点Q:(α, δ)=(15h 33m 55s, +26° 35′ 44″)
です。この交点Qはアルフェッカがあると期待される位置です。
この交点Qと実際のアルフェッカの間の角距離は、【基本計算式1】より、θQC=0.2080°です。この値は十分に小さく、アルフェッカは、メグレズとアルカイドを結ぶ直線上にあると言えます。
メグレズからアルカイドまで距離は、【基本計算式1】より、θAB=15.7051°で、またアルカイドからアルフェッカまでの距離はθBC=30.6014°です。30.601°÷15.7051°=1.9485倍≒1.95倍なので、アルフェッカは、メグレズとアルカイドの間の距離を、2倍弱ほど延長したあたりにあるということになります。
以上の計算結果を手持ちの写真で説明すると、こんな感じになります(写真画像なので歪曲収差があります)。
5つの【基本計算式】をこちらで紹介しています
その他の『天球の歩き方』はこちらへどうぞ
Big Dipper to Corona Borealis
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