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「われ日本海の橋とならん」

2011-09-10 13:47:13 | 華流
 ども。

 昨日は京都文化博物館で清水焼団地50周年記念の展示会を見学したあと、大丸からJUNKUDOへまわり、ぐるぐると音楽、歴史、語学、漢詩などチェックして、最後に買ったのがこの本。

「われ日本海の橋とならん」ダイヤモンド社 2011年 加藤嘉一◆著。
 確か朝日新聞の書評欄で読んで気になっていた本。
 面白くて一日で読み終える。

 著者の語学学習法、中国分析などは非常におもしろい。
 「暇人」に対する分析や中国の政治手法、加藤嘉一の「ストライクゾーン」などは中国と中国人にどのような態度をとるか考えるときに、非常に参考になる。
 やはり中国社会に入り込み、そこでの一次情報から発信する中国の姿は日本でよくみられるステレオタイプの中国観を打ち破る説得力がある。

 しかし、残念なのは日本と日本の若者に対するメッセージだ。

 著者が語る中国情報と比較すると、若者に対する「外国に飛び出せ」というメッセージは素晴らしいと思うが、他の呼びかけは、ステレオタイプである。

 たとえば、174ページの「(日本の)奨学金制度だって充実してるのだし、勉学についてお金や不況を言い訳に使うのは筋違いである」という主張は、日本の世界に例をみない高学費や不況で進学率まで下がっている現実から見てあまりにも現場を知らない発言だと感じる。日本の奨学金は決定的に改悪されていまや単なる「学費ローン」と化している。「奨学金」とはほど遠いものである。


 また、同じように188ページで「島国であり、資源に乏しい我国は、」という認識は、実はアメリカの従属下に抑え込まれたエネルギー政策=(アメリカの圧力のもと、日本国内の使用量200年分以上も埋蔵されている石炭を放棄して石油輸入を行い、アメリカからのウランや技術・製品導入で原子力発電にのめりこんでいった日本のエネルギー政策の歴史)と、原発事故後に日本の自然エネルギーの豊かさが新たに注目されていることには無頓着だといえる。

 総じて、著者の日本社会の現実と日本経済へのステレオタイプな認識から、中国分析に見せるほどの卓見は、日本社会に対する提言としては力を持たないと言える。

 その点で、日本への提言はさておき、すぐれた中国分析の一書として本書を読めば、非常に価値の高い本だと思った。


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