易断家のオバチャンが占いの能力を身につけたキッカケのハナシ、続編です。
ある日、急なお客を数日間に渡って自宅に泊める必要が生じました。
家族が使っている部屋を色々とアレンジして一部屋を来客用に用意した結果、オバチャンは普段は使っていない部屋に寝ることになります。そこは通常あまり使わないものを入れておく、いわば物置のように使っている部屋で、その他には別に特徴のある部屋ではありませんでした。就寝した際に鴨居に掛けられた夫の両親の遺影が、視界の正面になることを除けば。
常夜灯の薄暗いオレンジ色の明かりの中で、死んだヒトの写真がこちらを見つめている・・・と書くと、ちょっと薄気味悪さが漂いますが、オバチャンにしてみれば長く同居し、亡くなる時にも自分が看取った舅と姑です。気味が悪いなんてことはなくて、むしろ「お二人とも、おやすみなさい」と心の中で声を掛けて、眠りに就こうとしたのです。
ところが、その遺影、なんか変なんです。
二人の写真の口の辺りが、動いているように見えるんです。
「まさか写真の中の人物が動くなんて、そんなことあるわけないわよねー」
でも確かに動いているように見える。
暗がりの中で身を起こし、よっこいしょっと立ち上がったオバチャンは、確認するために近くに寄って写真をよく見ました。
「あ、やっぱり動いてる!」
額に納まった写真の中で、舅も姑もおしゃべりをするように口を動かしているんです。動いているのは口だけで、他の部分は写真のままです。目は相変わらず一点を見つめ、鼻や耳も動いていません。ただ口だけがパクパクと開閉運動を続けており、更に目を凝らしてよく見ると口の周辺のシワなども動いているんです。
中の人物が動く遺影。
メチャクチャ恐ろしいシチュエーションですが、オバチャンはまったく恐怖を感じなかったんだそうです。
「不思議なことがあるものねー」
いや、この状況を怖がらないことの方が不思議なんだけど。
オバチャンは変に納得しつつ再び床に戻り、翌朝までぐっすり眠ってしまったんですって。
このあたり、中年女性の強さというか鈍感さというか、いかにもオバサンっぽい反応で笑えちゃうんですが、とにかく無事に夜が明けたのです。
(この項、更に続く)
ある日、急なお客を数日間に渡って自宅に泊める必要が生じました。
家族が使っている部屋を色々とアレンジして一部屋を来客用に用意した結果、オバチャンは普段は使っていない部屋に寝ることになります。そこは通常あまり使わないものを入れておく、いわば物置のように使っている部屋で、その他には別に特徴のある部屋ではありませんでした。就寝した際に鴨居に掛けられた夫の両親の遺影が、視界の正面になることを除けば。
常夜灯の薄暗いオレンジ色の明かりの中で、死んだヒトの写真がこちらを見つめている・・・と書くと、ちょっと薄気味悪さが漂いますが、オバチャンにしてみれば長く同居し、亡くなる時にも自分が看取った舅と姑です。気味が悪いなんてことはなくて、むしろ「お二人とも、おやすみなさい」と心の中で声を掛けて、眠りに就こうとしたのです。
ところが、その遺影、なんか変なんです。
二人の写真の口の辺りが、動いているように見えるんです。
「まさか写真の中の人物が動くなんて、そんなことあるわけないわよねー」
でも確かに動いているように見える。
暗がりの中で身を起こし、よっこいしょっと立ち上がったオバチャンは、確認するために近くに寄って写真をよく見ました。
「あ、やっぱり動いてる!」
額に納まった写真の中で、舅も姑もおしゃべりをするように口を動かしているんです。動いているのは口だけで、他の部分は写真のままです。目は相変わらず一点を見つめ、鼻や耳も動いていません。ただ口だけがパクパクと開閉運動を続けており、更に目を凝らしてよく見ると口の周辺のシワなども動いているんです。
中の人物が動く遺影。
メチャクチャ恐ろしいシチュエーションですが、オバチャンはまったく恐怖を感じなかったんだそうです。
「不思議なことがあるものねー」
いや、この状況を怖がらないことの方が不思議なんだけど。
オバチャンは変に納得しつつ再び床に戻り、翌朝までぐっすり眠ってしまったんですって。
このあたり、中年女性の強さというか鈍感さというか、いかにもオバサンっぽい反応で笑えちゃうんですが、とにかく無事に夜が明けたのです。
(この項、更に続く)