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中国夜話 毛沢東異界漫遊記(十二話) フルシチョフと、何故か仲良くの巻 

2022-01-02 22:23:02 | 小説

 第二次世界大戦、その後の時代で、毛沢東にとっての事である。
 彼にとっての、ソリの合わない順に並べてみるとどうか。
 敵国の東条英機を筆頭に、ヒトラー、ムッソリーニであろうか。
 では、見方ではどうか、トルーマン、フルシチョフか、さあ、どうか。

 1953年3月、スターリンが死に30年に及ぶ恐怖政治が終わったかにみえた、が。
 まだ、この亡霊に支配されて来たソ連、それを終わらせたのがフルシチョフだ。
 スターリン批判まで、実に3年もかかった。亡霊は、まだいたのである。

 嘗てレーニンの死をスターリンは待っていた、今度も、そうか……
 そこらも、ソリの合わない毛沢東と語り合ってほしいものだ……


毛沢東   「おお、これはこれはフルシチョフ同志、お久しぶりです」
      「下界ではとんだ失礼を致しました、北京の中南海での事です」
      「嫌がるあなたを、プールでパンツ一丁にさせてしまい、申し訳ござらんでした」
フルシチョフ「ダー、ダー、わしは腹が出てて恥ずかしかったですぞ」
      「とんだ接待ですな、都合2回中国に来たのに、得る所はなかった」
毛沢東   「いや、来てくれただけで、こちらの面子が立ち嬉しかったです」
      「あのスターリンでは、あり得ません。ひとえにあなたの、人徳かと」
      「昔はやりあったげど、この天界では、もう水に流しましょう」
      「良くぞ、スターリン批判をやってのけてくれましたです」
      「独裁主義、秘密主義、大粛清の暴露、30年の膿を出しましたな」
      「隣国として、どれだけ安堵したことか、感謝の言葉もありませぬ」
      「あなたは、スターリンを信奉していたのかと、思ってましたが」
フルシチョフ「ニェット、あれはグルジアのヤクザもんです。ロシア人ではありません」
      「共産革命、大粛清の嵐、ドイツとの大祖国戦でロシア人数千万殺しました」
      「あの男にとっては、ロシア人は雲霞の大群です。多過ぎるのです」
      「昔を引きずった、カフカスはグルジアの悪です、我がロシアは無惨にも」
毛沢東   「あの、それではレーニンは、生粋のロシア人ですかな?」
フルシチョフ「ニェット、実は違います。カスピ海のあるカルムイクの出です」
      「真に残念ながら、モンゴル、トルコの血が入ってます」
      「我が国は広大過ぎるのです。ヨーロッパ・ロシアの先はアジアです」
      「多民族を、ソ連という枠でまとめてるのです、強制力が必要です」
毛沢東   「では、あなたの出自は、いかがか?」
フルシチョフ「ダー、わたしは、スラブ民族です。ロシア人です」
      「その、ウクライナに接する炭鉱町で生まれました」
      「まあ、16世紀まではウクライナ領でしたな、うん」
      「ロシア国家で生まれた、ウクライナ民族とも言えますな」
      「その、この二つは微妙なのです。キエフ・ルーシが母体なのです」
毛沢東   「お互い多民族国家ですな。実はですな、中華民族も微妙なのです」
      「もともとの漢民族は黄河中流域の、黄土高原が故郷でしてな」
      「それが歴代皇帝の東西南北への征服の中で、混血していったのですな」
      「ですんで、北京人、上海人、広東人は微妙に違うのです」
      「私は湖南人です。大昔に、南下して来た漢族と土着が同化したのです」
      「お互いに、遡れば切りがありませんな。中国人も多過ぎます」
      「あなたは、スターリンによく見出されましたな?」
フルシチョフ「ダー、入党後、35の時に彼の妻と知り合い、紹介されました」
      「いかつい男で、人を射貫く鋭い目をしてました、びびりました」
      「モスクワに呼ばれたり、ウクライナに送り込まれたり」
      「独ソ戦の時は、スターリングラードで政治委員として軍を指導してました」
      「この政治委員は、陸軍中将にあたります。敵にも味方にも容赦しません」
      「敗走する自軍には、後方のスメルシが一斉射撃します」
      「師団長はその場で責任を取らされ、拳銃を渡し自決」
      「町は瓦解し廃墟に、両軍合わせて200万死傷、60万の住民は6万に」
      「そこでの勝利と、ウクライナの戦後復興で認められたのです」
      「大恩はあるが、私は彼の死を待ってた。ロシアを壊し過ぎたからだ」
      「まあ、私の時代は、彼の死後11年位ですかな、解任までに」
      「スターリンの罪は甚大ですぞ、革命の最中に将校大粛清で軍を弱体化された」
      「モスクワまで、30キロと大手が掛かった。砲弾の音は響いた」
      「あの男は,ロシア人がいくら死のうと、自分がロシアの血でないせいか……」
毛沢東   「そこの所は難しいですな。実はこの前に会ったのですが……」
      「この天界にても、やはり怖くて、まるで虎の前の猫でしたわ」
      「フルシチョフ同志、今のその話で、またぶり返しが」
      「ここら辺でお開きとしましょう。背筋が寒くなって来ました」
フルシチョフ「毛沢東同志、お国では、毛沢東批判が出ませんでしたな」
毛沢東   「その話は、また今度に致しましょう。ややこしくなります」
      「お会い出来て、懐かしく思いをはせる事が出来ました」
      「どうも、ありがとうごさいました」
フルシチョフ「ハラショー、こっちこそスパシーバ、ダスヴィダーニャ」





 この毛沢東にとっての、スターリン批判にあたる毛沢東批判は、やばいことに。
 虎の尾を踏むではすまされない、一番知っているのは、劉少奇か。
 それでも、アジアはまだ牧歌的である。もしソ連だったら。
 スターリンの生前にはありえなかった、彼の死後も、人民は、まだ恐れた。
 その呪縛を解いたのが、フルシチョフである。3年も後だが。
         


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