突然、若い男性の声で電話。
『もしもし、●●さんですか？こちら●●警察の●●ですが。』
頭の中は数年前のニィニィの事故の事がよぎったけど意外と冷静な私。
あの時も若い警察官からの電話で、お盆休みに出かけ先でニィニィが交通事故にあった電話だった。
車に乗ることの多い息子なので、交通事故には会わないようと以来、母はいつも祈る気持ちで息子にお弁当を作っている。
警察官の言うには、私の自転車が放置されているという内容だった。
『エッ？！ そしてやっぱり見つかった・・・・・。』と思った。
中学生だった娘にせがまれて買った大人用の自転車がすぐに盗難にあったことがある。それも庭先で鍵もかけていたのに。
娘も心を痛め、私もパートをしたお給料でプレゼントしたもので悔しかった。すぐに同じ型のを買って上げたけど盗まれた自転車の事は頭から離れなかった。
それが１週間後くらいのある日、普段は通りもしない道を、自転車で走っているときに娘の盗まれた自転車を偶然に見つけた。家から２ｋｍくらい離れた場所の細い路地裏で。
とても不思議だった。まるで自転車に招かれるように普段は通りもしない道を、それも買い物先を突然変えて逆方向に自転車を走らせた結果だった。
人はいくつか説明のつかない不思議体験をしていると思うけど、私にも数件の不思議な体験がある。盗まれた娘の自転車が無傷で娘の元に戻ってきた事もその一つだ。
自分の盗まれた自転車は、もう古いし、盗んだ人が欲しいのなら乗ってくれればいいと内心思う気持ちもあった。そしてすぐに新しい自転車を買った。
その自転車に昨日、初めて乗った。６段変速が付いているから坂道でも楽チンだ。そして最近のお気に入りの ピンク 。
けど、乗り心地が馴染めない。盗まれたあの自転車はさびが出始めて古ぼけて来たけれど車体がしっかりしていて荷物を沢山積んでも安定していた。変速は出来ないけど坂の少ない私の街では全然、平気だった。
盗まれたこの自転車は余り歩けなくなった愛犬を彼の好きだった散歩コースの各公園に連れて行くために買ったのだが、彼が亡くなった後も便利だった。
家の前に置いておいたほんの３０分程度の間に自転車は盗まれてしまった。鍵を付けたままに置いておいた私も悪かったが、家の前だからと安心していた。それに古くなってきた自転車はどう考えても他人が欲しがるようなものでないと思う気の緩みもあったと思う。
あの盗まれた古ぼけた自転車に私がこんなに愛着を持っているのだから、必ず何処かで以前のように探せると妙な確信を持ちはじめていた。
そして警察から放置自転車として発見の電話だったのです。
新年にとてもよい経験をしました。思いは通じることがあるのですね。
