映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

大井町 ブルドック

2009-05-17 06:35:13 | 食べもの
東京に行った。昼飯をどこで食べようかと考えた。大井町が思いついた。
昨年死んだ父がよく話題に出していた。昭和40年代の品川の洋食というと、ここか五反田の「京浜ベーカリー」だった。大井町の駅を降りて2-3分くらいのところに昔からある洋食屋がある。
「ブルドック」だ。

11:30に行くと行列ができていた。
女性は誰もいない。サラリーマンが大半、作業着を着た肉体労働系の人もいる。
10分くらい待って、店の中に入った。カウンターに座った。
カウンターの前にガラス棚があって、あらかじめつくってあるキャベツが大盛で皿の上にのっている。
ランチを頼んだ。洋食2品と味噌汁、ご飯とのこと。
厨房の中では3-4人があわただしく調理していた。
毎日のことであろうから、手際は非常に良い。
ランチは早めに出てきた。

とんかつ、チキンが大盛のキャベツの上にのっている。
味噌汁は豚汁。数多くの種類の野菜が混ざっている丁寧につくったものである。
ご飯は大盛
この店は量で勝負する店である。12:00過ぎまで女性の姿は見えなかった。
良かったのは、キャベツの切り方が千切りでとんかつ屋が丁寧に仕事をした形跡のあるもの
とんかつは普通、しかし、それなりに量はある。
値段は840円也。これだけ食べさしてもらえば十分満足する。

先日書いたとんかつ屋950円也と比較する。
とんかつ:普通のどこのランチでも出るとんかつ。先日の方が脂身が多い。脂身はすくなめ
キャベツ:超大盛、食べても食べてもなかなか減らない。先日は少なかった。
     ポテトサラダがつけあわせでついている。
味噌汁:先日はプラス50円で豚汁。ましてこの豚汁はさまざまな野菜が入ってうまい。
ご飯:大盛。お代わりの心配の必要がない。

どうも量で勝負する店のようである。
横でメンチカツ、オムライスを頼んでいる人たちがいた。
ものすごい大きさであった。今度頼んでみよう。
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未来は今  コーエン兄弟

2009-05-15 05:32:28 | 映画(洋画 99年以前)
コーエン兄弟の「バーンアフターリーディング」はもう一歩だった。だからといって彼らに対するファン度が低くなるわけではない。
ティムロビンス「ザ・プレイヤー」を取り上げた後なら、「未来は今」をぜひ書きたい。
興行的に失敗作だったようだが、個人的にはコーエン兄弟ベスト3に入る。

1958年の年末、大学を出たけれど、失職しているティムロビンスが、経験不問の求職記事をみて応募した。郵便物管理係として働くことになる。その会社の社長は高層ビルから飛び込み自殺をしたばかりである。会社の規定で、社長が死んだ場合その持ち株は翌1月1日付で一般に放出されることになっている。
社長の片腕だった幹部ポールニューマンは、株式の価格を実態よりも下落させることをたくらむ。
郵便係のティムは社長の書簡を見つける。同僚はその手紙を取り扱うことを恐れる。
そして、ティムは幹部ポールニューマンのところへ届けに行く。やり取りがいくつかあった後、ポールはティムを社長にしようと思いつく。。。。。

自主制作が続いた後、コーエン兄弟の映画に初めてメジャー資本が入った映画だそうだ。
スプラッシュコメディというべき、お笑いに満ちている。高層ビルからの飛び降り自殺などで特撮の要素がずいぶんと入ってくる。ヒッチコックが得意の高所での格闘、スレスレの生き残りもふんだんにある。サスペンスの定石をはずさない。
「スパイダーマン」のサムライミ監督も製作に加わっているだけあって、空間設計の臨場感と空想性がある。ちなみに彼も出演している。

序盤からかなり飛ばしていく展開は、「赤ちゃん泥棒」などと一緒。イントロダクションのスピードは急ピッチだ。また、新聞記者から彼の秘書にもぐりこむ女性の早口言葉は、コーエン兄弟らしい演出。エレベーターボーイや郵便係の同僚たちの言葉の遊びも多い。
それにしても、世間を興奮させたフラフープやフリスビーを題材にしてしまうところがおもしろい。
こんな発想なかなか出てこない。

ポールニューマンは重要な役柄であるが、脇に回っている。いわば悪徳代官みたいな役
ティムロビンスが漫才のボケ役みたいで本当におもしろい。

ちなみに私のコーエン兄弟ベスト3は「オーブラザー!」「赤ちゃん泥棒」とこの作品だ。

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ザ・プレイヤー  ティムロビンス

2009-05-14 19:19:48 | 映画(自分好みベスト100)
ロバートアルトマン監督のスリル物。ティムロビンスが映画会社の重役を演じ、ハリウッドの内幕を描く。
アルトマン監督の映画は登場人物が多く、頭が混乱することが多い。最初は複雑にするかと見せかけて、途中から登場人物を絞ってサスペンスらしくなってくる。ハラハラ感が心地よい傑作である。

ティムロビンスは映画会社の重役、脚本家の台本を映画化するかどうかの判断が仕事。その彼に脅迫状が送られてくる。彼は自分への恨みを持つ脚本家の仕業と考える。売り込みの脚本家リストを見て、一人に絞って、彼の自宅へ向かう。
その脚本家は不在で、妻がアートの仕事をしていた。彼女に外から電話をして脚本家が映画を見に行っていることを知り、映画館に向かう。(映画は自転車泥棒)ロビンスはそこで彼に声をかけ、一緒にのみに行くが。。。。

ロバートアルトマンらしい映画のスタートで、いきなり撮影所の中でいろんな人たちの会話が交錯する。
この映画では、映画スタジオが舞台なだけあって、ジュリアロバーツ、ブルースウィルスなど実際の俳優がその名で数多く出演している。その出演自体に大きな意味を持たせないので、登場人物の人間関係はそんなに複雑にはならない。通常のミステリーと変わらない。ストーリーは意外性を残しながら進んでいく。いろんな素材を組み合わせながら調理されたフレンチのように、美しく、丁寧に作っていく。名作「MASH」のようなユーモアのセンスも持ち合わせる。「映画の中の映画」の手法もとって実に見事だ。

ハリウッドの内幕については、「サンセット大通り」という古い傑作がある。あの映画でも、映画スタジオの場面が中心で、本物の俳優や監督たちが数多く出演していた。ハリウッドには魔物がいるといわれる。そういう妖しい匂いを少し残しているところも感じさせる。アルトマンも「サンセット大通り」のような映画をつくりたかったというのが、随所に感じられる。

ティムロビンスにとっては、コーエン兄弟「未来は今」と名作「ショーシャンクの空に」の前の作品
もうすでに主演を張っていて、この3作の演技は甲乙つけがたい。どこかしらナイーブなところがある役は非常にうまい。この主人公自体はこの3作の中でも一番性格的に問題のある役柄だと思う。
それだけにうまくこなしたものだ。この作品でのカンヌ映画祭主演男優賞受賞は、当然とうなずける。
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ナチュラル  ロバート・レッドフォード

2009-05-13 05:31:52 | 映画(洋画 89年以前)
ロバートレッドフォードが84年に主演した野球を題材とした映画。
「レインマン」のバリーレヴィンソン監督によるノスタルジックな世界
「フィールドオブドリームズ」などの野球映画の傑作はこの映画の影響が大きい気がする。美しい音楽をバックにして、安心してみていられる落ち着いた映画の構成。

ロバートレッドフォードは、セミプロ野球での好成績を受けて、シカゴカブスからスカウトがきている。
彼にはグレンクローズという将来を約束した彼女がいる。ロバートはテストを受けにシカゴへ向かう。
汽車で向かう際、強打者(顔はベーブルースに似ている)と新聞記者に出会う。停車時間に強打者と3球勝負の賭けをするが、ロバートが投げ勝ってしまう。それを見ていた同行の美人女性がシカゴでロバートに言い寄ってくる。ロバートは彼女の部屋に行くがいきなり撃たれてしまう。。。。
16年たってロバートはナイツという大リーグ球団からスカウトされる。しかし、35才になっている彼を監督とコーチは起用しない。あるとき練習のとき彼がものすごいバッティングをしているのを見て監督は驚くが。。。。。

主人公が何で撃たれるのか?明快な解答は映画終了まで見当たらない。
しかし、その銃撃の件が最後まで尾を引く。トラブルが途中で次々起こるが、基本的にはサクセスストーリーである。ルー・ゲーリックの伝記映画を思わせる。

出演者には私の大好きな芸達者が多い。
ロバートレッドフォードは、若き日に野球の選手だったらしい。そういうこともあってか、のびのびと楽しんで演技をしている印象。ちょっとオーバーなホームランが笑える。
実は私はキムベイシンガーの大ファン。彼女にとっては、007の後でナインハーフを撮っていないころの映画である。セクシーで官能的な役が多い彼女にはチョイ悪の役は天性の才能を示す。黒が似合う女性である。
グレンクローズは、恐怖のストーカー女「危険な情事」とは全く正反対のおとなしい役柄。ロバートとの純愛を日本女性的おしとやかさを持って演じる。
何よりもここでリチャード・ファーンズワースに再会できたのがうれしい。
デイヴィッドリンチ監督「ストレイトストーリー」でトラクターで病気の兄へ会いにに行く役や「ミザリー」の保安官役で好演の大ベテラン、今回はコーチ役

ランディーニューマンの音楽が良い。
ロバートらしい映画の構成にあっている場面に対して適切な音楽だ。
彼といえば、ハリーニルソンの「ランディーニューマンを歌う」は大傑作
初期のスリードックナイトが歌う「ママトールドミー」は全米no.1ヒット
その後、映画音楽に活動の中心を移し、その才能を発揮している。この音楽があるので雰囲気の良さが保たれる。
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夜の女たち  田中絹代

2009-05-12 18:48:23 | 映画(日本 昭和34年以前)
戦後街娼がさまよう大阪を舞台にした溝口健二監督の作品。田中絹代が普通の主婦から娼婦に転落する役を演じる。溝口健二は「女を売ること」を映すのにひたすらこだわる。
この映画が映す焼け跡の大阪には、瓦礫の山がいたるところに残っている。梅田駅近くの闇市、西成の暗い世界。女たちがさまよう夜の街。
野良犬や猫が保健所にさらわれるように、取り締まり警官によって街娼たちがトラックに運び込まれるシーンからは、リアル感が伝わる。

カメラは大阪の焼け跡の街並みを映す。田中絹代は、夫を亡くし、中小企業の社長秘書兼恋人となっている。彼女は金に困って質屋に出入りする。質屋からお金になる仕事をやればといわれるが、断っている。そこに朝鮮からダンサーの妹が帰国する。彼女は田中の家に居候する。
田中が仕える社長は妹に会い、付き合いを迫る。それを知った田中は家を出て行くが。。。。

溝口健二の実姉は、金持ちの妾になってその貧しい家庭を支えていたという話がある。
そういう育ちのこともあってか、街娼、芸者、赤線の女と「女を売る」女性たちの物語が多い。
だからといって、濡れ場らしきものは直接は映さない。エロのにおいがない。
あるのは悲惨な女性の姿だけだ。

この映画ができたとき、どん底から先が誰も見えていない時代である。
昭和から平成になり、今でも「女を売る」人たちはいるが、戦後まもなくのような悲惨さはない。
この映画には先がないつらさがある。
今その気になれば、身体を売らなくても仕事はいくらでもある。
しかし、この時代の女たちには、男に頼るしか生きる道はなかったのである。

山のようにいたといわれる街娼たちは、その後どうやって人生をしのいでいったのであろうか
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喜びも悲しみも幾歳月  木下恵介

2009-05-11 05:58:59 | 映画(日本 昭和35年~49年)
木下恵介監督の全国を巡る燈台守家族を描いた作品。佐田啓二、高峰秀子夫婦を中心として、北海道から九州の離島での赴任時の出来事を描く。
個人的には凡長な印象であった。

昭和7年の北海道からスタート、長野から燈台守の佐田啓二のお嫁にきた高峰秀子が激しく降る雪の中第一子をつくる。その後第二子の男子が誕生。次は九州の離島、佐渡、御前崎、大島、瀬戸内海と移っていく。それぞれの場所でさまざまな逸話をつくっていく。戦争時には、灯台も被爆され、数多くの燈台守が亡くなる。。。

木下恵介はロケ撮影時の天候をものすごく気にするらしい。これは彼の作品に子役として出演した人から聞いたことがある。この映画でも、それが良くわかる。日ざしが強い晴れた日を選んだのであろう。さぞかし時間がかかったと思われる。嵐の日の撮影、雪の日の撮影にしても情景の撮影には凄みがある。

しかし、映画のテンポが悪い。ロードムービーと考えても良いので、もう少しスピードアップしても良いのではないか?この題材もあの題材もとたくさん選ぶのであればなおのことである。アメリカ映画ならもっとカットされたはずである。
あとは、音楽が悪い。繰り返される主題歌はともかく、まったく情景にあっていない。

高峰秀子も今ひとつかな?彼女は木下の作品に数多く出ている。「二十四の瞳」の女教師役も、「カルメン故郷に帰る」のストリッパー役も好きだ。個人的には大ファンの一人だ。しかし、成瀬巳喜男監督ほどは高峰秀子の良さを引き出していない気がする。
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スピードレーサー  マッハGOGOGO

2009-05-09 21:42:53 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)

マッハgogogoの実写版。「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟が監督レース場面は実写というよりもアニメ度合いが高い。普通だったらありえないような場面の連続で、ちょっとリアリティにかけすぎてどうかな?

原作アニメは小さいころテレビで見ていた。ストーリーは全く覚えていない。テーマソングはよく口ずさんだものだ。映画で流れてうれしくなった。覆面レーサーが出てきて、懐かしいなと思った。ストーリーは記述するには至らない。レース場面がメインなので、見てのお楽しみといったところだ。

 この映画ですごいと思ったところが一つだけある。色彩設計の凄みだ。「ペドロ・アルモドバル」の映画や「アメリ」ばりに目の覚めるような原色の使い方がうまい。美術がいいというべきなのであろうか?出演者の衣装の色使いもなかなかのセンスだ。 それでも、ぜひ見てください!とはいえないなあ

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噂の女  田中絹代

2009-05-09 07:32:48 | 映画(日本 昭和34年以前)
溝口健二が、京都島原遊郭のお茶屋を舞台に描く男と女の物語。
田中絹代と久我美子が同じ男性を好きになる設定。スタジオの撮影が中心で溝口健二がきっちり演技指導をしたというのがわかるしっかりとした劇仕立てである。

田中絹代は、京都島原にある大夫の置屋兼お茶屋の女将である。娘の久我美子は、東京の音楽大学に学んでいた。彼女はある男性との恋が実らずに自殺未遂をして、田中が京都へつれて帰ってきた。しかし、久我は御茶屋の仕事が気に入らない。毎日のように店で男たちが遊んで、それを女郎たちが接待する姿を見て、不快な顔をしている。田中は茶屋の組合の侍医をしている年下の医者に気があり、彼を開業させてあげたいと思っている。娘の久我は地元に知り合いがいないので、出入りしている医者と仲良くなるが。。。

田中絹代の演技は非常にすばらしい。このころのいくつかの作品と比べても、一番力が入っている気がする。溝口健二との名コンビで非常に冴えている。
久我美子は、もう少し年をとってからのテレビの母親役のイメージが強い。ここでは花魁たちの中に入っていかにもモダンな姿である。彼女は源氏時代からの華族の家系であのころの学習院を中退して女優になっただけに、気品を感じさせる洋装は他の俳優たちとは違う匂いを持っている。顔が他の俳優と比べて一回り小さいのも特徴
相手役の大谷友右衛門はそののち中村雀右衛門となり、文化勲章までとる歌舞伎界の大御所女役。育ちの良い彼の医者役は非常に合っている。医者にもタイプいろいろいるけれど、私が付き合っている若き30代の医者って彼のような顔をしている人が多い。

浪花千栄子は「祇園囃子」と比較するとおとなしい。女将役と女年寄役の違いか
進藤英太郎は御茶屋の大御所役、「祇園囃子」では貧相な役であったが、ここでは
貫禄を見せる。二人とも溝口作品に欠かせない人たちである。

思うにこの時代、まだまだ女性の地位が低く、なかなか普通の仕事にありつけない。男に頼って生きていくか、女を売って生きていくしかない。溝口健二はこのテーマが大好きなようである。現代劇と古典を題材にした時代劇を交互に演出しているが、個人的には現代劇の方が好きだ。
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赤ちゃんのおでかけ

2009-05-08 06:41:59 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
ともかく笑えるコメディ!!
なんてことないストーリーだけど、赤ちゃんをうまく手なずけたものだ。
腹が痛くなるくらい笑いたいときにはいい

富豪の一人息子はまだ1歳にならない赤ちゃん。その子の肖像写真を撮ろうとして
写真館の3人がやってくる。実はその3人は身代金狙いの誘拐犯であった。
誘拐犯はマイクロバスで赤ちゃんをさらったあと、自分のアジトへ行く。一人が赤ちゃんを見張っていたが、赤ちゃんは見張りが居眠りをしている間に部屋から飛び出してしまう。。。

怖いもの知らずの赤ちゃんはハイハイで外を自由自在に動き回る。誘拐犯たちはなかなか捕まえられない。その動きが実におもしろい!本当に笑える。

娘が以前私がこの映画を見て腹を抱えていたのを覚えていた。
あの大笑いした映画が見たいと言ってDVDを借りた。
二人でゲラゲラ大笑い。これは幸せだ。
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ダークマン  リーアムニーソン

2009-05-06 05:41:59 | 映画(洋画 89年以前)
スパイダーマンのサムライミ監督の89年の作品。ダークマンは「シンドラーのリスト」のリーアムニーソンが演じ、相手役はコーエン兄弟作品常連のフランシスマクドーマンドである。そののちスパイダーマンを撮るサムライミ作品だけあって、見るものをあきさせない連続性がある。加えてダニー・エルフマンの音楽が響き渡り気分を盛り上げる。B級映画の域を超え、なかなかの傑作だ。

リーアムニーソンは人工皮膚の研究者、弁護士のフランシスマクドーマンドにプロポーズをしたところだ。弁護士の彼女は、湾岸開発に関する裏話の秘密文書を手に入れた。顧問先社長から文書を要求されるが、受け渡さない。その文書をめぐって、恋人のリーアムが何か知っているのではと、利害に関係するマフィアたちが、彼の研究室に侵入して、彼と研究所をむちゃくちゃにして、機密文書を奪う。
研究室の爆発で耳しか発見されず死んだと思われたリーアムは、海に漂流されたところを行方不明者として発見される。全身大火傷で介護された病院を抜け出し、恋人の元へ行くが化け物としか思われない。恋人マクドーマンドが顧問先社長たちと楽しむパーティ会場へリーアムが行くと、そこには研究室を襲ったマフィアたちも参加していた。リーアムは復讐に燃え、マフィアの一人を叩き潰すが。。。。。

このあと自分が研究していた人工皮膚のマスクを作り、マフィアたちに挑む話の流れでストーリーは単純だ。ダークマンとなり、七変化する中で、面白いヤマ場をいくつか作る。
思わず大笑いしてしまうシーンも多い。
バットマン、スパイダーマンの伝統的アメコミの流れに加えて、オペラ座の怪人の不気味な流れを混ぜていく。ダークマンは正義の味方で市民を助けるといった立場ではない。時折正義に反することもやってしまう。ダークナイトで検事役の顔が火傷でむちゃくちゃになるのは、この作品の流れか?

俳優が特別な活躍をするわけではない。むしろスタントマンのすごいアクションに敢闘賞という感じ。
悪役がいかにも悪役らしい顔をしているのが良い。
高らかに響き渡るダニー・エルフマンの音楽の迫力はいつもながらすごい。この映画音楽があるからC級映画がA級まで押し上げられる。ダニーは、画面を見てから、音楽をあわせるのであろうか?緩急自在にアクションの抑揚に連動する音楽で、身体がジェットコースターに乗っているように躍動してしまう。
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バーン・アフター・リーディング コーエン兄弟

2009-05-05 08:49:36 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
昨日休みで家族でショッピングセンターへ行ったりしていた。夕方さいたま新都心で、寿司を食べた後、娘の希望で「バーン・アフター・リーディング」を見た。 ともかく良くぞ集めたというような錚々たるメンバーである。オスカー作品賞の次作でもあるし、当然のごとく注目を集める。しかし、今までのコーエン兄弟の作品群の中では中の下くらいに位置すると私は考える。

スターを集めたので、そのスターにそれ相応の役柄を与える。ジョンマルコビッチは酒癖の悪さでCIAのそれなりの地位を追われる。彼の妻は財務省保安官ジョージクルーニーと浮気をしていた。彼女はマルコビッチとの離婚を考えている。そこでマルコビッチの財産の資料を弁護士に渡す。その中には、マルコビッチがCIAでの働きを自伝にしようとしていたCDが入っていた。
ブラットピットとフランシスマクドーマンドはスポーツクラブで働いている。そのクラブの忘れ物にCDがあった。中身をみると機密資料と思しき内容のようだ。金になると直感した2人は、持ち主のマルコビッチに電話をして、返却するが金をよこせとばかりに交渉を始めるが。。。。。

すべての人が勘違いをしているという設定は、コーエン兄弟の得意のパターン。「ブラットシンプル」から始まってずっと続いている。しかし、今回は脚本に詰めの甘さを感じる。余韻を残すつもりだったのか?大スターの揃い踏みにスケジュール調整がきつかったのか?もう少し見せるところがあってもいい気がする。

ブラットピットがお気楽なスポーツクラブの店員を演じる。初期は別として、ここしばらくこんな役はなかったのではないか?むしろ初期の彼を思わせるいい加減さが非常に良かった。ジョージクルーニーとの「かくれんぼ」の場面は実に笑える。
ジョンマルコビッチもまさに適役。顔からしてCIAの匂いを感じさせる。彼の一番の怪演はイーストウッド主演の「シークレットサービス」の凶悪犯だと私は思う。悪も演じられるし、コメディの味を常に持っているところが良い。
フランシスマクドーマンドは、コーエン兄弟の常連というよりも、伊丹十三監督作品での宮本信子の存在というべきだ。今回急激に年齢を感じた。出会い系サイトの常連で、全身美容整形で美しくなろうとする役にぴったりするくらい老けたかも?「赤ちゃん泥棒」のころはもとより「ファーゴ」「オーブラザー」に比べても老けたのを感じる。マルコビッチに顔が似ているような気がした。
ジョージクルーニーはいつもどおりの味を出している。コーエン兄弟の作品では2枚目であるけれど、多少間抜けなところもある役が多い。今回もその線。コーエン兄弟とは相性がいいのだと思う。

衝撃のラストという題目はちょっと言いすぎ。むしろ中盤にヤマが来て、最後は尻つぼみという印象を受けた。映画館の同じ列に外人さんがいた。ケラケラ笑っていた。うちの中学生の娘はいえば、大笑いの連続であった。これはこれでほっとした。
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ウォンテッド  アンジェリーナジョリー

2009-05-04 10:40:35 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
すごいアクション映画だ。娯楽作品としてものすごく楽しめる。
「ハンコック」と比較すると、はるかにこちらのほうがいい!!
序盤から展開が速く、カーチェイスやループ電車でのアクションと続き、ずっと目が離せない。

アンジェリーナ・ジョリー、モーガンフリーマンの二人の主演級が脇に回って、英国のジェームズマカヴォイが主演。スパイダーマンのトビーマクガィアーとかユアンマクレガーと一緒で気弱そうな普通の若者を演じる。

ジェームスマカヴォイは管理業務の普通のサラリーマン。大デブの上司にいじめられたり、同僚に彼女を寝取られたりパッとしない。
そんな彼がコンビニでセクシーなアンジェリーナジョリーと出会う。そこで、彼女は、いきなり殺し屋とドンパチをはじめる。カーチェイスでの銃撃戦の末、主人公はアンジェリーナのアジトへ行く。
そこには、モーガンフリーマンをはじめとしたアンジェリーナの仲間がいた。彼らからカーチェイスでドンパチをした相手が、主人公の父親を殺した相手だと教えられる。その相手を標的にする前に、モーガンたちに精神的にも肉体的にも徹底的に鍛えられる。最初は殺しに対する嫌悪感を抱くが、一人を殺せば1000人が助かると悟らされて、殺し屋稼業にはまっていくが。。。。。

脚本は、いくつかのスパイダーマンなどアメコミ系映画と同じような展開。普段は目立たない男があるきっかけで強くなっていくパターン。
アンジェリーナジョリーは最高の適役。「トゥームレイダー」やブラットピットとの共演「MR&MRSスミス」の格闘シーンなどでもわかるように、シリアスな映画よりアクションの方が本領を発揮する。気の弱い男たちからは、こういう強い姉さまは羨望のまなざしであろう。車での銃撃シーンや列車の上での立ち回りがかっこいい!

この映画をみて思い出したのが、中島敦「名人伝」である。
この小説を連想させる3つのシーンがある。一つは主人公が訓練中にハエの羽を撃つ場面、撃つのは無理と思ったのに突如ハエが巨大に見えて撃ち落せる場面。「名人伝」で、毎日虱を見続けていたときに、突如その大きさが数倍に見えた場面を思い起こす。
2つ目はモーガンフリーマンが繊維工場を経営していて、そこの機織り機の中に動く弾丸を一瞬のうちにとる訓練をさせる場面。「名人伝」では最初に師が瞬きをせざるを覚えさせるために、機織り機の下で機械が目の上すれすれに動くところを、瞬きしないように訓練する場面がでてくる。
3つ目は主人公が殺し屋と撃ち合う時に、お互いの技量が同じであるため、弾と弾がぶつかり合ってしまうシーン。「名人伝」で、主人公が師から学ぶことは何もないと思った時に、師を弓で射ち、やはりお互いの腕が同じくらいなので矢と矢がぶつかり合ってしまう場面
もしかしたら、演出家か脚本家は名人伝またはそのルーツの中国の古典を見ているかもしれない。

今回ティムールベクマンベトフというロシア人監督が演出している。
個人的には初めてだが、なかなかの奇才だと思う。他の作品にも注目したい。

ハンコックはロスが舞台で、ウォンテッドはシカゴが舞台であった。シカゴ舞台の場合、目がなれるまでニューヨークかな?どっちかな?と思う。途中で跳ね橋が出てきて、シカゴと確信した。映画「ブルースブラザーズ」に跳ね橋を車が飛んでいく場面が出てきたので間違いない。
ロスと比較して、シカゴの場合、ループ鉄道がある分、アクション場面の引き出しが多くなる気がする。アンジェリーナジョリーが自由自在に鉄道の上を走り回るのはかっこいい!!
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ハンコック  ウィルスミス

2009-05-02 05:38:57 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ウィルスミスが宇宙からきた超人を演じる。スーパーマンやスパイダーマンと同じで、困っている市民を助けるのであるが、器物損壊が激しすぎて市民の支持が得られていないという設定

善人だけれども、それに伴う人への迷惑はどうなるんだという論点は、映画としては非常に珍しい。彼を支えるPR会社社員とその妻シャーリーズセロンの介在も面白く、途中から意外な展開になる。

比較するのがいいかどうかだが、ダークナイトを見た後だとこの映画はかなり物足りない。CGの使い方ももう一歩だし、ファンタジータッチにせよ、どこか不自然な感じがする。ちょっと残念
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中島敦  山月記①

2009-05-01 06:23:23 | 
ここのところ映画以外は完全に中島敦にはまっている。

高校2年の現代国語の時間で「山月記」をやった。高校一年の現代国語の授業のことはまったく覚えていない。しかし、「山月記」のときのことはあらゆる高校授業の中でも一番印象に残る。教師はおばさんであった。当時としては珍しい東大出の女性、古文が専門で参考書も書いていた。1年のときは古文の担当で、2年になって現代国語の教師と受け持ちを交換した。昨年の高校同窓会に出席していた。おそらくは80才に届いているはずなのにかくしゃくとしていたすごいおばさん

そんな教師の現代国語の時間は、議論好きの高校生が文の解釈をめぐって討論しあういい授業だった。その中でも「山月記」のときはすごかった。国語の教科書にある作者紹介の中島敦の写真は、牛乳瓶の底のような丸メガネをかけて気難しそうな怖い顔だった。しかも漢文調で始まる文章は難しそうで、こういうのはやりたくないなと思ったものだった。高校2年で文理授業は分かれていない中、そののち東大行って大学教授になった成績が優秀なやつも、普通のやつもぴりぴりしながら、討論した。すごくエキサイティングだった。

ポイントは「尊大な羞恥心と臆病な自尊心」のところ
虎になってしまった主人公が、虎になってしまった理由はわからない。しかし思えば自分のこういうところがいけなかったのだと悔いる場面である。ここが焦点だったのは覚えている。しかし、どういう議論が出ていたのかは30年以上前なので覚えていない。
あとは、虎になった主人公が昔の親友にあい、高名な詩人になれず虎になった今でも暗誦できる詩を昔の親友に伝えた。親友が「格調高雅な詩であるが一流になるにはどこかかけるところがあるのではないか」と感じたと記すそれはどういうことか?ということ。

中島敦は32歳で亡くなっている。その短い人生で信じられない素晴らしい作品を残している。「名人伝」「弟子」など自分なりに感じる中島敦の偶像と彼の文面から感じられる人生訓をこれから書いてみたい。
携帯電話のメールにネットにある中島敦の小説をメールして送って、ひまさえあれば見ている。ここ1ヶ月で20回は読んだ。
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