私はオペラを見る機会が少ない。
若い頃、俳優の修行をしている時に数回見た。うんざりした。一体これは何だ。
作り事、嘘っぱち、真似事まで及ばない趣味の世界だと呆れた。
もしオペラを芸術の範疇に入れるとすれば、この真実から程遠い嘘っぱちをどう理解するのか。
演技者でも嘘っぱちの感情表現をするひとが多い。
こんな人レベルの高い激からは相手にされない。
つまりオペラ歌手の大半は『相手にされない演技』のオンパレードだ。
今日ある人に簡単な感情表現を試みてもらうと、『やはり嘘の表現か』を再確認した。
全てに声が気にかかる。
自分が出す声が常に気にかかる。
声、声の出しかたが一番最初に気にかかる。
この段階で嘘は始まる。
オペラの演技は嘘で始まり嘘で終わる。
つまり全編、全員が嘘で固めるのだ。
オペラが皆に愛されるために全員が本当を目指すのだ。
演技的感動の上に歌・声があるのだ。
こんあオペラがあれば私は毎月でも見に行く。