『インディでいこう!』という本を読みました。著者はムギ(勝間 和代)さん。
この本を知ったきっかけは著者のブログ『日々の生活から起きていることを観察しよう!! by ムギ』や『CD、テープを聴いて勉強しよう!! by ムギ』(他にもあります)を私がよく読ませてもらっているからです。
ブログの普及で多くのビジネスマンが経済系のブログを解説しているのでしょうが、彼女の文章は分かりやすくテーマも身近なものが多いし、かつ事象のポイントを上手くついているのが印象的です。
著者の肩書きは外資系のVice Presidentとなっていて、こういう普段はまず知り合えないだろうなという人の考えていることが分かるというのも、ネットの、というよりブログのおかげですね。
この本の内容は、ビジネス社会と人生で女性が生きていく選択肢の一つを提供するというもの。それは仕事にもパートナーにも実家にも依存せず、自然体で楽しく人生を生きていきましょう、という感じです。著者はそれを“インディ”と呼んでいます。
女性がインディであることを示すメルクマールとして著者が挙げる条件とは、
・年収が600万円以上
・友達に自慢できるパートナーがいる
・歳をとるほど素敵になっていく
です。
年収が600万円以上
これは、女性が男性や実家に依存せずに、しかし都内で部屋を借りて育児もできるために必要という観点からはじき出された金額だそうです。
女性で600万という数字は、女性全体の年収の上位一割に入るのですが、著者はこの金額は30代前半であれば誰でも努力次第で手が届く金額ということです。
面白いのは、仕事選びの一つとして、女性を生かしてくれそうな職場を選ぶように進めていること。土木や大企業などでは女性を補助的な役割としか見なさない。しかし中小企業や化粧品メーカーなどでは女性も戦力と見なすと指摘されています。
現実に企業には書類の整理やコピーといった補助的な仕事が必要でどうしても女性にそれが押し付けられるという現実があるそうですが、その圧力をかわすためにも、まず女性を戦力と見なす場を選びましょうということです。
友達に自慢できるパートナーがいる
これは付き合う男で女性というのは変わるから。一緒にいる時間の長い相手ほど影響を受けるのは当然ということです。
面白いのは、インディである女性の付き合う相手としてふさわしいのは、年収が1000万円以上あること(これは男性の上位一割に相当)。それも一杯一杯ではなく、これからも伸びていく余地がありそうな男性。
これは、男性が女性より年収が低いとどうしても男性が萎縮してしまい(ふーん、そうなんだ)、結局分かれるという現実を著者がたくさん見てきたから。
ただ、もちろん年収があればいいのではなく、年収を自慢するような男でもなく、インディである女性の価値を認められること。
著者は、一度どこかでキャリアで挫折して、そこから違う分野でまた復活してきたような男性がいいと述べています。
要するに、ヘンにいばったりせずに自然体で周りの人と付き合えて、同時に自分の長所をうまく仕事に結び付けて成功している、そんな男性ですね。
歳をとるほど素敵になっていく
これが著者がもっとも訴えたかったメッセージかもしれません。著者は“インディ”な女性の反対として“ウェンディ”を挙げています。
ウェンディな女性とは
キャリア・年収をアップさせようという意欲がない
アンチエイジング・美容に大金をかけている
実家や男性に経済的に依存。年収一千万の男を見つけて寿退社するのが理想。
などなど。
このウェンディな女性は、章ごとの扉に絵が描かれていて、なんだかリアル。
昨日も電車に乗っていたら、明らかに30近くからそれ以上の年齢に見えて、どれだけ化粧で顔を塗りたくっても顔から皺が浮き出ていて、しかし服装は20前後のような女性をみかけて、ちょっと痛々しかったです。
しかし街を歩くと、こういうウェンディな女性というのは年齢を問わずたくさんいるのが分かります。“自分を高めよう”という意欲もなく(そう見える)、ただひたすら見た目にお金をかけてそうな女性。
もちろん、世の中には、“ウェンディ”な男もいるし、「ニート」の増加でそういう男は増えているのでしょう。
著者は、歳をとるほどきれいになっていくために、・愚痴を言わない、・身なりはきれいにこざっぱりと、・目の前の仕事に真剣に打ち込む、など色々なアドバイスをしています。
歳をとるほどきれいになっていくことと関係していたかは忘れたけれども、著者が強調していることの一つは、普通の会社では(いまだに)女性をビジネス上で指導していく雰囲気がないこと。
もちろん研修などオフィシャルなトレーニングはあるのでしょうが、キャリアアップの考え方やビジネスの現場での仕事のコツの伝授など、細かいけどとても重要なことを、インフォーマルな形で上司が部下に教えていく雰囲気が今でも日本の会社にはないそうです(著者は、そのことを教えてくれる本として『母が教えてくれなかったゲーム』という本を挙げています)。
著者がこの本を書いたのも、そうした細かな・しかし重要なことをビジネス・ウーマンに伝えようとしたのでしょう。いまだに働く女性がそんな悩みを抱えていることに少し私は驚きました。
以前わたしはあるセミナー会社の勉強会などに出て、そこで多くの働く女性とお話しすることができたのですが、今から思うとそういうキャリア上の悩みとかまでは話しませんでした。
わたしから見れば女性でもちゃんとした仕事に就き自立している彼女たちは立派に見えましたが、それでも未だに会社での差別は日本でも根強いのでしょう。
最近新聞で、50代の女性で銀行で派遣で働いている人の記事がありました。彼女は正社員と同じように勤務しながら自給は880円。
企業からしてみれば「補助的な業務には気軽な女性がぴったり」と考えているのでしょう。しかし現実としてその補助的な業務が企業に必要な以上、それに就く人にもっと多くの金を払ってもいいように思うのですが。
この本は、男性や周りに依存するのでもなく、かつバリバリのキャリアウーマンとして男性に同化していくのでもない、「第三の道」を提示したいのだと述べています。
もちろん専業主婦でも幸せに暮らしている人もいると思いますが、多くの働きたい女性・自立したい女性が、フェミニズムの流行が過ぎ去った今でも、こういう本を求めているということは、男性中心のビジネス社会で女性が男性中心文化を相対化しながら独自の行き方を模索するプロセスはまだまだ始まったばかりなのだということが分かります。
単なるバリバリのキャリアウーマンでもない、という道を模索しているところに、この本の独自性はあるのかもしれません。
しかし、まだそれがどういうものかは、この本を読んだだけではよく分かりません。あるいは、著者はその第三の道の人生を現実に生きているのかもしれませんが、まだそれは文章にしていないのか、あるいは私が読み取っていないのかもしれません。
ただ、著者が理想の生き方として、ビジネス上のアドバイスをしながら、同時にいいパートナーを見つけること、歳をとるほどきれいになっていくことを強調しているのは、この本が単なるキャリアアップを薦めているのではないことを示しています。そこに、仕事をあくまで人生の一部としてとらえて、仕事も人生を高めるものの一つとしてとらえている姿勢が現れています。
ビジネス中心文化を相対化する視点があるとすれば、そういう点だと思います。
参考 『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』 勝間和代(著)
『母が教えてくれなかったゲーム』 ベティ・L. ハラガン (著)
『会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール』 福沢 恵子 ・勝間 和代 (著))
『猪口さん、なぜ少子化が問題なのですか?』(猪口邦子・勝間和代著)
勉強と学校
この本を知ったきっかけは著者のブログ『日々の生活から起きていることを観察しよう!! by ムギ』や『CD、テープを聴いて勉強しよう!! by ムギ』(他にもあります)を私がよく読ませてもらっているからです。
ブログの普及で多くのビジネスマンが経済系のブログを解説しているのでしょうが、彼女の文章は分かりやすくテーマも身近なものが多いし、かつ事象のポイントを上手くついているのが印象的です。
著者の肩書きは外資系のVice Presidentとなっていて、こういう普段はまず知り合えないだろうなという人の考えていることが分かるというのも、ネットの、というよりブログのおかげですね。
この本の内容は、ビジネス社会と人生で女性が生きていく選択肢の一つを提供するというもの。それは仕事にもパートナーにも実家にも依存せず、自然体で楽しく人生を生きていきましょう、という感じです。著者はそれを“インディ”と呼んでいます。
女性がインディであることを示すメルクマールとして著者が挙げる条件とは、
・年収が600万円以上
・友達に自慢できるパートナーがいる
・歳をとるほど素敵になっていく
です。
年収が600万円以上
これは、女性が男性や実家に依存せずに、しかし都内で部屋を借りて育児もできるために必要という観点からはじき出された金額だそうです。
女性で600万という数字は、女性全体の年収の上位一割に入るのですが、著者はこの金額は30代前半であれば誰でも努力次第で手が届く金額ということです。
面白いのは、仕事選びの一つとして、女性を生かしてくれそうな職場を選ぶように進めていること。土木や大企業などでは女性を補助的な役割としか見なさない。しかし中小企業や化粧品メーカーなどでは女性も戦力と見なすと指摘されています。
現実に企業には書類の整理やコピーといった補助的な仕事が必要でどうしても女性にそれが押し付けられるという現実があるそうですが、その圧力をかわすためにも、まず女性を戦力と見なす場を選びましょうということです。
友達に自慢できるパートナーがいる
これは付き合う男で女性というのは変わるから。一緒にいる時間の長い相手ほど影響を受けるのは当然ということです。
面白いのは、インディである女性の付き合う相手としてふさわしいのは、年収が1000万円以上あること(これは男性の上位一割に相当)。それも一杯一杯ではなく、これからも伸びていく余地がありそうな男性。
これは、男性が女性より年収が低いとどうしても男性が萎縮してしまい(ふーん、そうなんだ)、結局分かれるという現実を著者がたくさん見てきたから。
ただ、もちろん年収があればいいのではなく、年収を自慢するような男でもなく、インディである女性の価値を認められること。
著者は、一度どこかでキャリアで挫折して、そこから違う分野でまた復活してきたような男性がいいと述べています。
要するに、ヘンにいばったりせずに自然体で周りの人と付き合えて、同時に自分の長所をうまく仕事に結び付けて成功している、そんな男性ですね。
歳をとるほど素敵になっていく
これが著者がもっとも訴えたかったメッセージかもしれません。著者は“インディ”な女性の反対として“ウェンディ”を挙げています。
ウェンディな女性とは
キャリア・年収をアップさせようという意欲がない
アンチエイジング・美容に大金をかけている
実家や男性に経済的に依存。年収一千万の男を見つけて寿退社するのが理想。
などなど。
このウェンディな女性は、章ごとの扉に絵が描かれていて、なんだかリアル。
昨日も電車に乗っていたら、明らかに30近くからそれ以上の年齢に見えて、どれだけ化粧で顔を塗りたくっても顔から皺が浮き出ていて、しかし服装は20前後のような女性をみかけて、ちょっと痛々しかったです。
しかし街を歩くと、こういうウェンディな女性というのは年齢を問わずたくさんいるのが分かります。“自分を高めよう”という意欲もなく(そう見える)、ただひたすら見た目にお金をかけてそうな女性。
もちろん、世の中には、“ウェンディ”な男もいるし、「ニート」の増加でそういう男は増えているのでしょう。
著者は、歳をとるほどきれいになっていくために、・愚痴を言わない、・身なりはきれいにこざっぱりと、・目の前の仕事に真剣に打ち込む、など色々なアドバイスをしています。
歳をとるほどきれいになっていくことと関係していたかは忘れたけれども、著者が強調していることの一つは、普通の会社では(いまだに)女性をビジネス上で指導していく雰囲気がないこと。
もちろん研修などオフィシャルなトレーニングはあるのでしょうが、キャリアアップの考え方やビジネスの現場での仕事のコツの伝授など、細かいけどとても重要なことを、インフォーマルな形で上司が部下に教えていく雰囲気が今でも日本の会社にはないそうです(著者は、そのことを教えてくれる本として『母が教えてくれなかったゲーム』という本を挙げています)。
著者がこの本を書いたのも、そうした細かな・しかし重要なことをビジネス・ウーマンに伝えようとしたのでしょう。いまだに働く女性がそんな悩みを抱えていることに少し私は驚きました。
以前わたしはあるセミナー会社の勉強会などに出て、そこで多くの働く女性とお話しすることができたのですが、今から思うとそういうキャリア上の悩みとかまでは話しませんでした。
わたしから見れば女性でもちゃんとした仕事に就き自立している彼女たちは立派に見えましたが、それでも未だに会社での差別は日本でも根強いのでしょう。
最近新聞で、50代の女性で銀行で派遣で働いている人の記事がありました。彼女は正社員と同じように勤務しながら自給は880円。
企業からしてみれば「補助的な業務には気軽な女性がぴったり」と考えているのでしょう。しかし現実としてその補助的な業務が企業に必要な以上、それに就く人にもっと多くの金を払ってもいいように思うのですが。
この本は、男性や周りに依存するのでもなく、かつバリバリのキャリアウーマンとして男性に同化していくのでもない、「第三の道」を提示したいのだと述べています。
もちろん専業主婦でも幸せに暮らしている人もいると思いますが、多くの働きたい女性・自立したい女性が、フェミニズムの流行が過ぎ去った今でも、こういう本を求めているということは、男性中心のビジネス社会で女性が男性中心文化を相対化しながら独自の行き方を模索するプロセスはまだまだ始まったばかりなのだということが分かります。
単なるバリバリのキャリアウーマンでもない、という道を模索しているところに、この本の独自性はあるのかもしれません。
しかし、まだそれがどういうものかは、この本を読んだだけではよく分かりません。あるいは、著者はその第三の道の人生を現実に生きているのかもしれませんが、まだそれは文章にしていないのか、あるいは私が読み取っていないのかもしれません。
ただ、著者が理想の生き方として、ビジネス上のアドバイスをしながら、同時にいいパートナーを見つけること、歳をとるほどきれいになっていくことを強調しているのは、この本が単なるキャリアアップを薦めているのではないことを示しています。そこに、仕事をあくまで人生の一部としてとらえて、仕事も人生を高めるものの一つとしてとらえている姿勢が現れています。
ビジネス中心文化を相対化する視点があるとすれば、そういう点だと思います。
参考 『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』 勝間和代(著)
『母が教えてくれなかったゲーム』 ベティ・L. ハラガン (著)
『会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール』 福沢 恵子 ・勝間 和代 (著))
『猪口さん、なぜ少子化が問題なのですか?』(猪口邦子・勝間和代著)
勉強と学校
なかなか理想だなぁ~と思いつつ読んでいます
楽しみが増えました キャリアアップしたいというか
自分の仕事に役立つ勉強はずっとし続けたいなと思います
勝間さんの本の内容は、私たちが学校で培った“勉強”というスタイルを、大人になってからどう活用すればいいのかを分かりやすく述べてくれているので、面白いですよね。
学校と実社会との間の架け橋を教えてくれているようにも思います。
たしかにとても理想的な生き方をされているので雲の上の人みたいですが、それでも多くの人にとって何かをヒントを与えてくれているように思います。
またお時間のあるときにでも遊びに来てくださいね。