joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

専門家と啓蒙書

2007年10月12日 | Book
前のエントリでも取り上げた、神田橋條治さんの『追補 精神科診断面接のコツ』から、印象に残った言葉など。

「啓蒙活動においては、分かりやすい伝わりやすい表現にするために、複雑なものを単純化し、特殊なものを平凡で卑俗な見かけに置き換えねばならない。その過程で、ときには、本質的な部分が切り落とされたり歪曲されたりする。本質についての把握が確かであることが、啓蒙活動における核である。したがって、啓蒙書の質を見てみると、その専門家の程度が量れる。着眼点は、切り落としと単純化がじゅうぶんであるか、本質部分を切り落としたり歪曲したりしていないかである。その事情は、ちょっと生け花に似ている」(神田橋條治『追補 精神科診断面接のコツ』

そう言われてみると、素人に対して面白い本を書ける人は専門家としても優れてる場合が多いのではないかと、私も(漠然と)思います。

やはり、そういう人たちは、自分のしていることが人間や社会とどういう関係にあるのか突き詰めて考えているのでしょうね。

少し前から新書ブームですが、そういう新書の中にも、専門家として活動してきた人が、自分のしてきたことの核をまとめているものもあるでしょう。学者・専門家と一般の人との垣根を低くしたという点で、よい傾向なのでしょうね。