街を歩くとずっと同じ風景が続くことに驚きます。
目の前には3年前や4年前と同じ風景があります。
しかし、そのころ大学に入学した人はもう卒業であり、生まれた子供は幼稚園に通い出しています。
明らかに私の中では時間の変化を感じなくなっているのです。
時間から起伏が消え、ただ数字としての時が過ぎていきます。
単線的な「時計」が刻む時間観念は、歳をとるほど実感していくものではないでしょうか。
幼い頃ほど、季節の変化がダイレクトに体に感じられ、一年の積み重ねが重いものに感じられます。
時間の流れは20歳までは遅く、それ以降はそれ以前の3倍の速さに感じられるようになるそうです。つまり、20歳を過ぎる頃には、実は、人は人生の半分を過ぎているのです。
目の前には秋の風景が広がっていますが、私には10年後も20年後も30年後も同じような光景がそこにあるのではないでしょうか。
30年後や40年後には首相も変わり、政党も変わり、社会は様変わりしているでしょう。
しかし私の中身はまったく変わっていないのではないかと思います。10年前の自分と今の自分に変わりがないように。
歳を重ねるほど、何も変わらなくなっているのです。