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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

リケルメはいらない? 日本代表vsトリニダード・トバゴ

2006年08月10日 | スポーツ

さて、サッカー日本代表のトリニダード・トバゴ戦はいかがでしたでしょうか?

私は見ていて、ドイツ・ワールドカップの試合のような気がしました。6月のW杯は、ジダンを除けば、個人技のスーパープレイはあまり目立たず、派手なゴールがあったわけでもなく、むしろ組織対組織のサッカーで、スピードで互いがボールを中盤で奪い合うといった印象があります。

昨日の試合は、レベルの違いはともかく、スタイルがとてもワールドカップで見られた試合と似ているなぁという感じでした。

あるいは、いい時の韓国代表の試合というか。

たしかに後半は相手に主導権を握られた時間が多かったですが、それも含めて、個々人が組織の中の一つのピースとして、チームのために自分ができることを最大限発揮しようとする気迫が感じられて、それが相手ボールへの素早いチェックだったり、字チームがボールを持ったときのフリー・ランニングなどに現れていたように思います。

昨日の試合を見ていて僕は、トルシエさんがオリンピック代表を指揮していたときも、こういうワクワク感があったなぁと思いました。

当時、組織的なサッカーを実践する中で、交代で次々と生きのいい若い選手が出てきて、そのどれもが高いテクニックを持ち、懸命に走る姿に、日本サッカーの輝かしい未来を予感しました。

思えば、トルシエさんのサッカーは当時の日本サッカーができる最大限のサッカーだったのかもしれません。もちろんトルコ戦の敗北はトルシエさんの不可解な選手起用にあったと思うし、日本はもう少し先にいける可能性があったと思います。しかしサッカーの内容としては、トルシエさんはできる限りのことをしていたように思います。

昨日のオシムさんのチームを見て、この方向性を進める過程で、トルシエさんの再評価が起こるかもしれないと思いました。


さて、昨日の試合を見て思ったもう一つのことは、果たして日本が誇る中盤の「才能」たちはオシムさんのチームにどれだけフィットするのかということです。

昨日の日本代表のサッカーを見て、僕は、この中に中田英がいれば、彼のやりたいことができて、すんなりチームに溶け込み、オシムさんの意図を最大限引き出すプレーをしたのではないかと思います。中田英は足下のテクニックよりも、シンプルにボールをまわしながら、ボールを持たないところで各選手が自由に動き回るサッカーを志向し、自分自身もつねに効果的なポジションをとるために動き続ける選手だからです。

ほかに、松井もこのチームにすんなりフィットするように思います。松井はパサーとして優れていますが、自身も果敢にゴール前に走ってボールをもらう動きをする選手です。足下のテクニックも一流ですが、彼はつねにスピードとテンポを重視する選手だと思います。

それに対して、中村・小野・小笠原・中田浩・稲本・遠藤・福西がどれほどオシムさんのチームにフィットするのかは、昨日の試合を見てもイメージするのは難しかったです。とくに中村・小野・小笠原は、もし使われるとしても、その中の誰か一人であって、(今のままでは)同時に起用されることはまずないんじゃないでしょうか?

オシムさんがインタビューで言っていたことは衝撃的でした。

「ジーコが連れて行った選手は日本のベストプレーヤーたちだ。だが彼らはある程度年齢を重ねていて、サッカーに対する考え方が固まってしまってる」

つまりオシムさんは、ジーコが重用した選手たちは、才能はあるが、考え方・プレースタイルをもはや変えられないから、自分は使わない、そう彼は考えているとも受け取れるのです。

日本の中盤の「才能」たちは、日本のサッカーが世界水準に達するという夢を私たちに与えてくれた選手たちばかりです。その彼らも20代後半になり、次のワールドカップ時には30歳を越えます。その彼らが日本代表に生き残るためにどういうプレーをするのか?彼らがオシムさんとどのような関係を築いていけるのか?こちらもとても興味深い問題です。



参考:「2006_O.J.・・初戦を飾れて良かった・・また、才能に対するオシム流のメッセージについて・・日本代表vsトリニダード・トバゴ(2-0)」 湯浅健二

   「もうひとつのマニフェスト 日本代表対トリニダード・トバゴ代表」
 宇都宮徹壱