
Mさん、いやここではあえてM君と呼ばせてください。M君、昨日は久しぶりに会えてとても嬉しかったです。まずはお元気で安心しました。もちろん、心の中では様々な葛藤や苦しみを抱えてはいるのでしょうが・・・。
あなたにここ数か月間のなかで起こった、とてもとても辛かったこと、それはどんなにか苦しい試練だったことでしょう。
自分の人生が大きく変わってしまう、あるいは自分の生活が180度様変わりしてしまう、それもある意味、思っても見なかった外圧によって、すべてが崩れてしまったということ、それは耐えがたいほどの絶望だったと思います。

実は、そんな自分もまた、ここ数か月間、自分の周辺で起こった色んな出来事に対して、心底疲弊し、心が折れそうになりました。夜、眠れない日々を過ごしていました。
他人が信じられなくなり(まあ、ずっと昔から、他人という存在に対する怖さのようなものは抱いてはいましたが)、その底に渦巻いている「嫉妬」だとか「他人の不幸は自分の幸せ」だとか、そういう醜い面をまたまた垣間見てしまったこと、それらに当然起因している出来事でした。

話は少し横道に逸れるかもしれません。
その昔、まだ幼い子どもだったころ、何の切っ掛けでそういう話題になったのかはもうすっかり忘れてしまいましたが、ある日、祖母と取りとめのないと会話をしていた最中のことです。
わたしがお化け(幽霊についての話題だったと思いますが)について「お化けが一番怖い」と祖母に話しかけたところ、祖母は微笑みながらこうわたしに言いました。
わたしがお化け(幽霊についての話題だったと思いますが)について「お化けが一番怖い」と祖母に話しかけたところ、祖母は微笑みながらこうわたしに言いました。
「お化け? お化けなんて怖くないよ、そんなもん。怖いのはね、この世で一番怖くて恐ろしいものはね、それは人間だよ。人間様が一番この世で怖いんだ」よと。

そのときはただきょとんとして聞いていただけなのですが、何故かそのことが頭の中にこびり付いて離れませんでした。
そしてそれが今では本当によく分かります。
そうなんです。人間が一番怖いんです、この世の中で。
絶えず他人と自らを比較し、意識している他人が、転んだり倒れたり笑わられたりするのを見た瞬間、それは瞬く間に爽快感へと様変わりし、心の中でほっと安心するのです。
ああ、自分はそこから免れ、助かったのだと胸を撫でおろすのです。他人の不幸は蜜の味。
それが人間という愚かな生き物なんです。

今日の日曜日、この街は晴天に恵まれ、朝から雲一つない空が広がりました。もうこの街にも夏がやってきました。待望の夏です。
わたしは今日、正午から「スポーツジム」へと赴き、1時間ほど汗を流しながら、頭の中ではずーーっと一つのフレーズが飛び交っては消えていました。
よくこれまでに何度何度も口ずさんだ言葉です。
裏切られた、足を激しく引っ張られた、陰口を叩かれた、あの人とあの人とあの人の姿を想い浮かべながら・・・。
それだけ、最近自分に降り懸かった火の粉があまりにも強烈過ぎたのかもしれません。

それは、「優雅な生活が最高の復讐である」という箴言でした。
そのフレーズが何度も何度も頭の中で浮かんでは消えていったのです。
自らが優雅で充実した生活をし続けること、それこそがあいつとあいつとあいつとあいつに対する最高の復讐なんだと。
そう繰り返しながら・・・。