淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

矢沢あいの人気コミックの映画化、第二弾「NANA2」。この映画、一作目よりは面白いかも。

2006年12月11日 | Weblog
 矢沢あいの漫画「NANA」は、コミックで全部読んでいるけれど、この漫画、読めば読むほど奥が深い。
 女性漫画は、本当に侮れない。
 傑作がごろごろと転がっている。勿論、その全てを読んだわけじゃないけれど、まだまだ未読の素晴らしい宝物がたくさん眠っているんだろうなあ。
 恐ろしい・・・。

 漫画「NANA」は、ナナをボーカルに据えたロック・バンドのサクセス・ストーリーという主軸を掲げながら、同じ名前の奈々(ハチというあだ名で漫画自体は進むんだけどね)との偶然の出会いを経ての同居生活と、様々な恋愛模様が描かれている。
 
 この漫画の凄いところは、その恋愛の駆け引きや行為を読み進んでいる瞬間に、深遠で透徹な作者の目が、背後からひんやりと感じられることだろう。
 残酷さと言ってもいい。あるいは、儚さとも。
 本当は「愛」など信じてないのかもしれない。矢沢あいって。

 当然、少女漫画の形態を取る以上、表面的には、笑いをまぶしながらナナとハチ(もう一人の奈々)との女同士の友情や、周囲の仲間たちの恋愛と葛藤が綴られてゆくわけだけれが、そんな単純な図式でこの物語は進むわけがない。
 そこが、この漫画の人気の所以だろう。

 主人公のナナは、幼い頃の複雑な家庭環境にトラウマを抱えたままだし、ハチは、好きになると周囲の状況など省みず、すぐに体を許してしまうし、バンドのそれぞれのメンバーも、そのほとんどが屈折した恋愛感情を抱いているし・・・。
 漫画という形式が物語を救っているようなもので、一枚捲ると、「NANA」には暗くて冷たい河が流れている。

 そして今回、映画「NANA2」が公開された。
 つまり、中島美嘉、宮崎あおい主演で映画化し大ヒットした青春ドラマの続編である。
 今回、ハチ役は宮崎あおいから市川由衣にバトンタッチした。まったく対照的な性格のナナとハチが、それぞれ葛藤や困難を乗り越え成長していく姿をドラマチックに綴ってゆくことに変わりはない。
 監督は前作に引き続き大谷健太郎。この監督は好きな監督の一人である。

 東京で共同生活を送るナナとハチ。彼氏にフラれたハチを励まそうと、ナナはハチの憧れのバンド「TRAPNEST」のタクミを紹介する。一方、ナナのバンドのメンバーの一人、「BLACK STONES」のノブも、自らのハチへの気持ちに気づき始めていた。
 そんなある日のこと、バイトをクビになって落ち込むハチは、偶然街でタクミと再会し、二人はそのまま一夜をともにしてしまう。
 そして、順調にメジャーデビューの道を歩んでいた「BLACK STONES」にも、思わぬ障害が持ち上がる・・・。

 ナナの中島美嘉、ハチの市川由衣、それから、「TRAPNEST」と「BLACK STONES」のメンバーとなる姜暢雄、玉山鉄二、伊藤由奈、成宮寛貴、それぞれ、原作のイメージを損なわない演技に徹しているのはさすがである。

 漫画に流れる、何処か冷たい恋愛感のようなものはないけれど、それなりに最後まで飽きさせずに見せてくれるのは、監督、大谷健太郎の力量かも。

 前作よりは面白かった。
 でも、原作である漫画は超えちゃいないけどね。



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